「勉強しているのに算数の点数が伸びてこない」
このような悩みをかかえている中学受験生は多いように思います。
勉強を頑張っているのにうまくいかない時期は誰にでもあります(ひまわり教育研究センターより)。
ですが、しっかり伸びてきてくれないと入試で失敗する原因になりかねません。
そこで、この記事では中学受験生が算数の成績をアップさせるためのポイントを紹介します。
成績が伸びない原因や対策方法を理解し、効果的な勉強法を取り入れて、志望校合格への道を切り拓きましょう。
※関連記事:中学受験をやめたいと思ったら?保護者ができる対処法と勉強嫌いにならないようにする上手なサポート方法
中学受験は勉強する内容が多く、どの子も長い時間がんばっています。
それでも成績が伸びない場合には原因があります。
よく見られる原因をいくつか紹介します。
※関連記事:6年生での中学受験志望校変更:変更する理由と合格できる対策方法とは?
算数は計算力が大切です。
速さ・正確さの両方がハイレベルで求められます。
例えば5-6年生であれば、下記の2点を試してみてください。
この2点ができれば十分というわけではありませんが、整数の計算ならあまり考えなくても正しく答えられるくらいの計算力は必要です。
また、途中式を省略しすぎて間違ってしまうケースもよくあります。
計算ミスが多い場合には途中式をどこまで書けば良いか確認してみましょう。
問題演習が不足すると、応用力や計算力が養われません。
解法を暗記して当てはめて解くだけでなく、標準レベルくらいまでの問題なら見てすぐ解き方が出てくるくらいまで演習することが重要です。
塾の模擬試験などで、時間配分が上手くいかないと点数が伸び悩みます。
特に下記の2点をチェックしてみてください。
苦手分野を克服できないままになっていませんか?中学受験生によくみられる現象です。
目の前の宿題やテスト勉強追われて苦手克服に時間を回せないと、同じところでいつも点数を下げてしまいます。
成績が伸びない原因を確認したところで、その対策方法をまとめて紹介します。
※関連記事:共働き家庭の中学受験対策:課題と乗り切り方
まず、計算力が求められるレベルに追いついていないかもと感じたら、毎日計算問題を解きましょう。
1日10分・解けそうな問題を解くだけです。
基本的な計算力を高めるには、「正しい解き方」をしっかり身につける必要があります。
解けそうなレベルの問題を確実に正解するクセをつけましょう。
基本的な公式や概念があやふやになっていると感じたら、基本問題を繰り返し解きましょう。
応用問題を解けるようにするには基本(=土台)が大切です。
基本がばっちり定着してはじめて応用できるようになります。
テストで時間がいつも足りない場合、時間配分を事前に決めておきましょう。
たいていの子はすべての問題をじっくり解こうとするより、解けそうな問題で確実に正解を取るほうが高い点数を取れます。
特に大問1~大問2はほぼ全問正解をねらいにいきたい範囲です。それらの問題に時間を使う計画にします。
逆に、ラスト2~3つの大問は最初の小問を解いておけば十分な場合が多いです。
解けるかどうか分からないハイレベルな問題に一生懸命時間を使っても、結果的に不正解ならその問題は0点です。
その時間を大問1や大問2に使うと点数が上がる子はたくさんいます。
(人によるので、自身の答案をチェックしてみてください。)
模擬試験で点数を伸ばそうとするなら、ミスを減らすのと苦手分野の克服が必須です。
ミスは時間配分と日ごろの反復演習でかなり改善できます。
苦手分野の克服は、計画的な復習が必要です。
目の前の勉強だけでなく、1週間あるいは1か月の学習計画に、「いつ」「どの分野」の復習をするか予定を入れておきましょう。
苦手分野を1つ1つ克服していけば、徐々にテストの点数は上がっていきます。
ここからは算数の分野別には伸びない原因とその対策方法を紹介していきます。
ただし、原因は人によってさまざまです。全部試そうとするより、自分に当てはまるものを対策するようにしましょう。
※関連記事:平面図形・空間図形の解き方
二等辺三角形や平行四辺形の性質、相似な図形の条件など、覚えていないと使えない知識が図形分野にはたくさんあります。
対策としては、図形の性質や定理、条件などをしっかり暗記することです。
算数であっても暗記はあります。理科や社会のように、暗記して確認テストを繰り返してみましょう。
※関連記事:面積の求め方:正方形、長方形、平行四辺形、ひし形、台形、三角形、円、おうぎ形の面積を求める公式
知識はあっても、どの問題で何の性質を使えば良いか分からない問題で使えない場合もよく見られます。
実際の問題演習が不足していると基礎力が中途半端になり、応用力が身につきません。
自身の学力に合った問題集を使って反復練習しましょう。
中学受験の図形の問題では、問題用紙に一部の図形が描かれていないこともあります。
平面図形を回転させて、回転させた後の立体図形の体積や表面積を求める問題がその代表格です。
頭のなかでイメージするだけでなく、図形を描いて視覚的に理解できるようにするだけで正解できる子はたくさんいます。
図形の問題では問題用紙やノートの余白に必ず図を描きましょう。
描くときには定規を使わなくて大丈夫です。フリーハンドでスピーディーかつある程度正確(図形の特徴がちゃんと描けている程度)に描けるように練習しましょう。
図形の問題、特に応用問題では比をよく使います。
辺の長さが分からない図形で、相似比を使って面積比や体積比を求めます。
比は慣れておかないと中学受験算数で極めて大きなビハインドになります。
比が苦手な人はできるだけ早く比の苦手克服に取り組みましょう。
基本的な計算力が不足している場合、図形の問題にも影響します。
特に図形では分数がよく出てきます。計算ドリルなどを使って毎日計算力アップに取り組みましょう。
比と割合が伸びない原因は様々ですが、以下に考えられる大きな要因をいくつか挙げてみます。
これらの要因に当てはまる場合、併記している対策を取ってみましょう。
※関連記事:比の解き方
※関連記事:逆比、連比、比例式の練習問題(中学受験)
※関連記事:【中学受験】割合の問題の解き方を解説
比と割合には基本的な計算力が強く求められます。
四則計算や分数の計算、□を使う計算など基礎的な計算力が不足していると、比と割合の理解が難しくなります。
日々の計算練習で克服しましょう。
比や割合の問題には小学生にあまりなじみがない言葉や、違いを区別しづらい言葉が多数出てきます。
などがそうです。
これらの言葉の意味を確認してしっかり理解してから問題を解いてみるとかなり解きやすくなります。
算数は解法の知識だけでなく、問題演習が重要です。
問題バターンはある程度限られているので、比や割合に関する様々な問題に取り組むことで、応用力が身につきます。
比と割合の基本的な概念が理解できていないと、応用問題に対応するのが難しくなります。基本的な概念を確認しましょう。
概念が分かりづらい場合、「どちらのほうが多いか/大きいか/長いか/年上か/速いか」を考えます。
比や割合は抽象的な概念なので、いったん大きさを比較するなどして具体的にイメージしやすい状態に戻してあげると理解しやすくなります。
比や割合の問題は、問題文が複雑化する傾向にあります。
例えば下記の問題文をご覧ください。難関中学を受験予定の子なら5年生で解くような問題です。
「母と娘がいる。3年前は母の年齢と2倍と娘の年齢の8倍が等しかった。6年後には母の年齢の2倍と娘の年齢の5倍が等しい。
現在の母の年齢を答えてください。」
今から3年前の母娘の年齢比、今から6年後の母娘の年齢比を出し、そこから現在の母の年齢を求めます。
「今から3年前」(①)と「今から6年後」(②)を比較するので、①から②まで9年経っていることになります。
この点を読み落としてしまうとこの問題は解けません。
算数とはいえ、ポイントを整理して理解する読解力が必要なのです。
文章題の読み取りが苦手なら、いったん解き方を丸暗記してしまいましょう。暗記したうえで、解き方を自分で解説してみます。
なぜその解き方をするのか、この問題のポイントは何かを説明できるようになれば、徐々に算数の文章題で求められる読解力もついてきます。
線分図の描き方など、塾の授業や家庭学習の教材に理解が追いついていない場合も考えられます。
そういう場合には、もう少し難易度を下げた教材で演習を重ねましょう。
無理に難易度の高い問題ばかり解いても理解しづらく、自信を失っていく一方です。
むしろ難易度を下げると理解しやすくなります。段階的に難易度を上げていけば入試レベルまできちんと追いつけます。
中学受験で算数の「速さ」の単元が伸びない原因も複数考えられます。
以下はその一例です。対策とともに紹介しています。
※関連記事:速さの問題:追い越し算・通過算・出会い算など
算数の速さの問題では、分数や4-5ケタくらいの大きな数の計算力が重要です。
計算ミスが多かったり、時速→分速、km→mへの単位変換に時間がかかるようであれば計算ドリルなどで計算力をきたえましょう。
速さの問題はパターンが限られています。
兄と弟が異なる速さで目的地に向けて出発し、途中で兄が休憩をしたり忘れ物を取りに家に戻ったりします。
問題文中の状況が変わるごとに式を立てるようにすれば、問題を解きやすくなります。
単位変換や分数の計算で間違う以外に、速さの問題では問題と解答のズレによる間違いも発生しやすいです。
問題では分速を聞いているのに、時速で解答してしまう。kmで聞かれているのにmで答えてしまう。
こうした解答ミスが起こりやすい分野です。
問題文で聞かれている箇所(「~を求めなさい」の箇所)に線を引き、解答を出してからミスをしていないか確認しましょう。
割合、図形など、苦手分野の克服に便利な問題集をまとめました。
最初に紹介するのは「速ワザ」シリーズです。
中学入試算数を分野別に対策するためにつくられており、標準レベルの問題をしっかり演習できます。
解説が見やすいので通常の問題集だと分かりづらく感じる子も、ひとりで勉強しやすいです。
文章題↓
規則性↓
平面図形↓
立体図形↓
つづいては「集中レッスン」シリーズです。
中学入試によく出てくる計算問題、文章題を解くコツなどを端的にまとめてくれています。問題量もコンパクトで、じっくり取り組んでも2-3か月でかなり苦手を克服できます。
5年生から受験勉強をはじめた子や、6年生で算数の苦手な子におすすめです。
なお、「文章題編」では面積図や線分図の描き方・解き方を解説してくれています。速さの問題は「速さ編」で掲載されているため、「文章題編」には載っていません。
問題集を選ぶ際にはご注意ください。
計算↓
文章題↓
場合の数↓
速さ↓
規則性↓
平面図形↓
立体図形↓
いよいよ受験学年である6年生になっても算数で伸び悩んでしまうと、焦ってしまいます。
そんなときの対策方法をいくつか紹介します。
計算力や図形の性質など、基本的な部分が不足していないか確認しましょう。
覚えていない公式や性質がある、解き方のあやふやな計算がある場合、急ぎ対策を取りましょう。
対策方法としては、市販の問題集で気になる分野の対策に特化しているものを毎日10分~15分程度取り組むのがおすすめです。
塾の宿題で解けなかった問題をそのままにしていませんか?
宿題は「全部すること」が目的ではありません。「解けるようになること」が目的です。
一度解いて解けなかった問題は繰り返し解いて、正解できるようにしましょう。
もし2回目も解けなかった、あるいは解き方が分からなかったら塾の先生に質問に行きましょう。
さきほどの内容とは逆になりますが、塾の宿題などあまりにも目の前の勉強をこなすことに時間をかけすぎていませんか?
6年生になれば新たに習う内容はほとんどありません。
分からないままでとにかく問題を解こうとしてもあまり効果はありません。
苦手分野は5年生の教材などを引っ張り出して復習しましょう。
受験学年とはいえ、過度な勉強やストレスは逆効果です。
十分な睡眠や適切な休息を確保し、体調管理に気を付けましょう。
上記のように、日常的・定期的にリフレッシュする時間をつくることで勉強の集中力を高めやすくなります。
※関連記事:勉強の集中力を高める方法
6年生で算数に苦労している場合、塾の教材が合っていない可能性が極めて高いです。転塾も検討してみましょう。
6年生からの転塾だと不安に感じるかもしれません。ですが、前述のように6年生で新たに習う内容はほとんどありません。
後は復習メインです。
他塾の教材を無料体験授業で解いてみて、自分のレベルに合っていると感じたら思い切って塾を変えてみるのも有効な手段です。
※関連記事:中学受験生が6年生で転塾するのは大丈夫か?
いかがでしょうか。
勉強しているのに算数の成績が伸びない中学受験生向けに、伸びない原因と対策方法を紹介しました。
算数は計算力や問題文を読み取る力、問題量が重要です。
苦手にしている小学生が多い図形、比と割合、速さについてはそれぞれ苦手になる原因と対策方法を紹介しています。
市販教材も上手に活用して算数を得意科目にしていきましょう!
※関連記事:中学受験社会の伸ばし方(地理、歴史、公民)
※関連記事:中学受験理科の苦手克服!原因と対策法を分野別に解説(てこ、ばね、かっ車、化学変化、星座など)
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