中学受験を控え、志望校に不安を感じる6年生の保護者や生徒にとって、志望校の変更は一つの重要な選択肢です。
ですが、志望校変更がプラスになる場合もあればマイナスになってしまう場合もあります。
そこでこの記事では、6年生での中学受験志望校変更のポイントと、変更後に合格できるための効果的な対策方法について解説します。
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6年生になると、さまざまな理由で志望校の変更を検討するときがあります。
志望校変更の理由をまとめました。
まず、塾の模擬試験での偏差値が志望校変更を検討するきっかけになりやすいです。
6年生になって受けた模試で偏差値が10ポイント足りないなど、偏差値が届いていないと不安になります。
※関連記事:【中学受験】塾に通っているのに成績が伸びない理由とは?
志望校の例年の入試状況を確認したときに、倍率の高さに驚いて志望校変更を考える場合もよくあります。
首都圏で7倍近く(日能研より)、関西圏で3.5倍あります(英俊社より)。
単純計算で7人に1人、あるいは3.5人に1人しか合格できないことになります。
合格確率の高い中学校に変更するほうが良いのではと考えたくなるかもしれません。
倍率の高さとも関係しますが、受験した中学校すべて落ちてしまうケースも考えられます。いわゆる全落ちです。
親としては全落ちして子どもが落ち込むのを避けたいと願うのも不思議ではありません。
※関連記事:中学受験全落ちしたらどうなる?:全落ちしやすい子の特徴と全落ちを防ぐ方法を紹介
学力面や入試が理由ではなく、入学後の環境面を考慮しての志望校変更もあります。
第一志望校は大体5年生くらいまでに決める人が多いですが、それ以降にもっと魅力を感じる学校に出合う場合もあります。
※関連記事:中学受験の志望校の選び方:いつまで?どうやって選ぶ?併願校の選択方法は?
良いと思っていた学校の校風が子どもに合わなさそうと感じて志望校を変更する場合もあります。
例えば「学校行事に熱心」「生徒主体」「おとなしい校風」「非常に勉強熱心」な学校があります。
学校説明会の段階では学校の教育方針や設備、大学進学などに魅力を感じていても、そうした校風がわが子に合わないかもと感じるときはあります。
よく言われるのが、桜蔭・女子学院・雙葉の空き缶の例えばなしです(日経womanなど)。
12~18歳の6年間を過ごす学校なので、雰囲気になじめるかどうかも大きなポイントです。
志望校変更を検討していて気になるのは、「今から変更して大丈夫か?」という点ではないでしょうか。
いつまでなら志望校変更が間に合うか紹介します。
前述のように、志望校変更の理由はさまざまです。大きく分けると2つあります。
変更理由によっておすすめの変更期限は異なります。
入学後の学校の環境面が変更理由なら、小6の10月までに決定しましょう。
小6の10月以降は、「本当に変更するほうが良いかどうか」を冷静に検討するのがむずかしくなるからです。
受験が近づくにつれて不安が増してきます。行きたい学校よりも、受かりそうな学校を選びたくなります。
ところが、「受かりそうな学校」を選ぶと、「やっぱり最初に決めていた志望校を受ければ良かった」と入学後に後悔する子もいます。
変更後の学校が良い・悪いではなく、「志望校を変更したこと」を後悔してしまうのです。
志望校変更の理由が学力面(偏差値が足りない、倍率が高い)であれば、変更は入試直前でも間に合います。
出願直前の模擬試験で偏差値が10ポイント足りない。さすがに合格は厳しいかなと思って変更するのは決して少なくありません。
変更を決めた時点から過去問を解いて時間配分などに慣れれば問題ありません。
ただし、入試間近で模試の偏差値が足りていなくても合格できる子は毎年少なからずいます。
模試の出題傾向と入試の出題傾向は異なりますし、子どもは気持ちと学力がかみあえば点数が一気に伸びる可能性を秘めています。
全落ちを心配して志望校変更を検討する場合、第一志望校を変更しなくても併願戦略次第で全落ちは避けられる可能性が高いです。
併願パターンは「希望校」「チャレンジ校」以外に「安全校」も受けるのが一般的です。
安全校の難易度を思い切って下げることで全落ちの回避率を高められます。
ただし、安全校を下げる場合でも「子どもが行きたいと思える学校」を選ぶようにしましょう。入学後に後悔するのは避けたいところです。
※関連記事:中学受験の志望校の選び方:いつまで?どうやって選ぶ?併願校の選択方法は?
志望校変更は大きな決断ですが、もっと大切なのは変更後の対策です。
志望校を変更したことで満足して勉強がおろそかになってしまってはもとも子もありません。
変更後の志望校合格に向けた対策を以下に紹介します。
新しい志望校に合わせた学習計画を練りなおしましょう。
6年生であればほとんどの中学受験大手塾では、受験に必要な内容を習い終えています。
いつ・どの問題集を使ってこれらの対策をするのか、予定を立てます。
変更後の志望校の過去問を解き、対策の必要な分野を洗い出します。
苦手分野を勉強しつつ、定期的に模擬試験を解いて苦手克服ができているかどうかを確認しましょう。
中学校によっては「毎年出題されているタイプの問題」があります。
算数の図形の問題、100字の記述問題、対話形式の思考力問題など。
これらの問題はその学校を志望している受験生なら念入りに対策してきています。ここで差をつけられないように急いで対策をはじめましょう。
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記述問題や思考力問題、図形などの必出問題の対策に時間を取られ過ぎて、知識問題のような「取れるはずの問題」で点数を取りこぼさないように気をつけましょう。
出題傾向に合わせた対策も大切ですが、入試合格のカギは「正答率の高い問題」にあります。なかでも、理科や社会の知識問題は「覚えれば正解できる問題」です。
知識問題で2問正解を取れば、記述問題1題に正解するのと同じくらいの得点をかせげます。
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志望校変更後は、塾や親によるサポートが欠かせません。勉強のリズムをくずしてしまう子もいるからです。
「志望校を変更したのだから、以前よりもがんばらないと」と意気込みすぎる。
「志望校を下げたから勉強しやすくなった。たぶん合格するだろう」と油断してしまう。
こうした「気持ちや行動の大きな変化」は学習面にマイナスの影響になることもあります。マイナスにならないように、子どもの様子をみて適切な声かけをする必要があります。
6年生の中学入試直前対策におすすめの問題集を紹介します。いずれもAmazonのPRリンクをつけているので、リンク先でお得に購入いただけます。
難関中学を志望していて、算数や国語の勉強がかなり進んでいる子には「塾技」がおすすめです。入試で間違いやすい問題の実践的な解法を学べます。
長期休みに短期集中で取り組むのも良いですね。
難関中学・最難関中学の志望者は「必ず」取り組んでおかれるほうが良い問題集です。
苦手分野の克服には「速ワザ」シリーズがおすすめです。
中学入試算数を分野別に対策するためにつくられており、標準レベルの問題をしっかり演習できます。
解説が見やすいので通常の問題集だと分かりづらく感じる子も、ひとりで勉強しやすいです。
思考力問題をタイプ別に解説・演習できるようになっています。
6年生の夏以降に取り組むと冬ぐらいに成果をかなり実感できます。
最後に紹介するのは、中堅校から上位校をねらう人向けの問題集です。
特定の分野が苦手になっていても、解き方のコツをつかむとぐんぐん伸びることがよくあります。
この問題集は苦手になった人のこんがらがった解き方・考え方をほぐし、分野別に解き方のコツをたくさん教えてくれています。
志望校を変更するとモチベーションが下がって勉強しなくなる子もいます。
逆に、自信を取り戻して成績を伸ばしていく子もいます。
ここでは、志望校変更がプラスになる子の特徴を紹介します。
志望校変更は新たなスタートです。前向きな姿勢と努力が成功へのカギとなります。
これまでの受験勉強の様子をみて、勉強を自分事としてとらえてコツコツがんばってきた子は志望校変更をプラスに持っていける可能性が高いです。
逆に、勉強に対して後ろ向きになっている、受け身で勉強してきている子は、志望校を変更すると受験から気持ちが離れていくきっかけになり得ます。
長期間にわたる受験勉強では、モチベーションの維持が不可欠です。
もちろん、常にモチベーションの高い子はマレです。誰でもモチベーションが下がる時期はあります。
モチベーションがダウンしている時期が短い子、見守ってあげると自分からコツコツと勉強をはじめられる子は志望校変更によるマイナスの影響を受けにくいです。
復習を欠かさない子も志望校の変更をプラスに持っていきやすいです。
志望校を変えると、新たな出題傾向に合わせた対策が必要になります。対策すべき分野も変わりますから、指示された勉強だけでは足りません。
自分に何が足りていないか、どこを復習すれば良いかを自分でも意識して自主的に取り組める子は志望校を変更後もしっかり勉強ができるでしょう。
子どもが中学校に入ってからの生活をイメージできているかどうかも確認しておきましょう。
確認中学入試は勉強のゴールではありません。中学入学後の生活のほうがメインです。
入学後の自分をイメージできていれば、受験勉強を「入学後の生活を手に入れるための手段」として冷静にとらえ、対処できます。
いかがでしょうか。
小6で中学受験の志望校変更について、変更する理由や期限、変更後の対策方法を紹介しました。
志望校変更の理由は「学力面」と「入学後の環境面」の2つに大別できます。学力面が理由なら入試直前の変更でも大丈夫ですが、入学後の環境面が理由なら小6の10月くらいまでに決定しましょう。
また、変更後にモチベーションが下がる子もいます。具体的な入試対策とともに周囲のサポートも欠かせません。
12歳から18歳までの重要な時期を過ごす学校選びです。納得のいく中学入試ができるよう祈っています!
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