
中学受験が近づくと気になるのが、合格・不合格の結果ですよね。「すべて合格してほしい!」と願うものの、「絶対(合格)」はないのが受験。
もし、万が一、考えたくはありませんが、すべて不合格(全落ち)になったらどうするか。
この記事では、
「どういう特徴の子が全落ちしやすいか」
「全落ちしたときの対処方法」
をお伝えします。
※「落ちる」というNGワードを使っていますが、決してネガティブな内容の記事ではありません。
これから受験を迎える方も、中学受験をするかどうか迷われている方も、
「子どもの成長過程における受験の位置づけ」
を考えるきっかけとしてご覧いただければ幸いです。
※関連記事:中学受験やめようかなと思ったら:やめどき・判断基準3つと、やめた後にすること
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※Z会の中学受験コースのメリットや活用法を下記の記事で紹介しています。
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全落ちしやすい特徴の子
全落ちしやすい子には特徴があります。いくら中学受験がきびしい受験だと言っても、受けるからには合格がほしいと思うのが人情です。
親に限らず、塾の先生からしても、「合格実績を出す」という社内事情以上に教え子に「合格の喜び」を味わってほしいと思うものです。
全落ちを避けるため、
受験校の選択にはセオリーがあります。
難易度別に下記の3種類の中学を受験するというものです。
①チャレンジ校:本人の実力より上の学校
※たいてい、第一志望校より上位校
②本命校:本人の実力で受かりそうな学校
※たいてい、第一志望校
③安全校:本人の実力なら確実に合格しそうな学校
※たいてい、本人の偏差値より10-15ポイント下
「本命校」で合格をねらいに行きますが、
おしくも届かなかった場合でも「安全校」で合格を取っていれば全落ちを回避できます。
このやり方は、「どこか1校でも合格を取っておくこと」を最優先にした方法です。
※関連記事:【中学受験】志望校の決め方:いつまでに・どうやって?
それでも全落ちしてしまうのは理由があります。
- 本人の性格
- 受験校選択
それぞれ説明します。
本人の性格
全落ちしてしまう子には、共通してみられる性格的な特徴があります。
特に男の子によくみられます。
- 計算ミスが多い
- 好きな教科ばかり勉強している
- 復習をしたがらない
よくあるのはこの3つです。模擬試験の偏差値がいくら高くても、入試でその実力を出し切れないと不合格になることもよくあります。
特に中学入試は選抜試験なので、合格者よりも不合格者のほうが多いです。
計算や基本問題をおろそかにせず、
確実に正解を取る姿勢を養いたいですね。
また、算数が得意な子のなかには、
算数ばかり勉強している子もいます。
入試は3-4科目の受験が多いです。
算数1科目だけではなく、理科や社会の勉強もがんばりましょう。
ほとんどの第一志望校合格者は、理科や社会でも高得点を取っています。
理科・社会の勉強法:理科・社会を得意にしておくと良い理由
理科の受験対策問題集
社会の受験対策問題集
受験校選択で安全策を取らない
先述のように、受験校を選ぶときに安全策を取っていれば、全落ちは回避しやすいです。
ところが、安全策を取らない場合も少なからずあります。
具体的にはどういうときに安全策を取らないのか確認していきます。
志望校1校のみ受験する
安全策を取らない場合の1つ目は、
「志望校1校のみ受験」した場合です。
チャレンジ校・本命校・安全校の3種類受けるのではなく、
「絶対に行きたい中学校」だけ受ける方式です。
そもそも安全策をとるかどうかは、そのご家庭における中学受験の目的によります。
下記のグラフをご覧ください。

1番多かったのは「質の高い教育を受けさせたかったから」という理由です。納得の第1位ですね。
これ以外の中学受験目的はご家庭によってさまざまです。
「教育方針や校風が気に入ったから」
「高校受験(大学受験)がないから」
「同じレベルの生徒が集まるから」
「公立中学の教育や環境に不安があったから」
などです。
※関連記事:公立中高一貫校の入試制度の解説とおすすめの対策問題集を紹介
さまざまな目的にわかれるなか、
- 大学受験を有利にしたい
- 同じレベルの生徒が集まる環境で過ごさせたい
- 地元の公立中を回避したい
という目的の場合には受験校を決める際に安全校の受験は必須になるでしょう。
ですが、
「〇〇中学の環境で過ごさせてあげたい。それが無理なら地元の公立中学で納得」
という希望状況なら、わざわざ志望外の中学を受験する必要はありませんね。
すべてチャレンジ受験する
2つ目は、
「受ける中学すべてチャレンジ校だった」という場合です。
これも中学受験の目的に沿った判断です。
上記のグラフでいえば、
「有名な高校に行かせたかった」
「質の高い教育を受けさせたかった」
という受験目的の場合、
気に入った学校以外は受けないことがよくあります。
気に入った学校がすべて子どもの学力より上だったとしても、
安全圏内に気に入る学校がなければ、
結果的にすべてチャレンジ受験になります。
チャレンジした上で届かないなら諦めがつきます。
後述するように高校受験で再チャレンジも選択できます。
中学受験はハードルがたかい
中学受験は高校受験や大学受験とくらべてハードルがたかいです。
高校受験や大学受験が進学先を選ぶ受験なのに対して、中学受験は選抜試験だからです。
選抜試験なので一部の子どもしか受けませんし、学校で習わない内容も入試に出して「ふるい」にかけます。
下記の表は2022年度に首都圏で行われた全中学入試の入試データです。募集人数と受験者数のちがいをご覧ください。
募集人数 | 応募者数 | 受験者数 | |
首都圏私立中入試 | 41,699 | 327,470 | 244,739 |
首都圏国立中入試 | 976 | 4,847 | 3,633 |
首都圏公立中入試 | 4,080 | 18,782 | 18,106 |
合計 | 46,755 | 351,099 | 266,478 |
募集人数46,755人に対して、受験者数は266,478人です。
単純計算でのべ219,723人が不合格になります。
もちろん多くの中学では募集人数以上に合格者を出しますが、それでも不合格人数はのべ17-18万人になります。
合格人数を7-8万人としても、合格をもらえる回数より不合格になる回数のほうが2倍以上も多いのです。中学受験で6人に1人は全落ちすると言われています。
こうしたきびしい関門が設けられていますから、高校受験のように受験すればとりあえずどこか受かるというわけにはいきません。
全落ちを避けるためにできること
では、合格を1校でも取るにはどうすればいいでしょうか。その方法は3つあります。
安全校を併願する
まず1つ目は、「安全校の受験」です。
前述のように、「チャレンジ校」や「本命校」だけ受験するのはリスクがあります。もちろん、その安全校を受けないのには理由があるでしょうが、「子どもが自信を失うリスク」を避けるにはやはり安全校の受験が手堅い手段です。
標準レベルの問題の正答率をあげる
志望校に届かない子には、「ミスが多い」「取れるはずの問題を取りこぼす」といった特徴がみられるとお伝えしました。言いかえれば、この弱点を克服すれば合格の可能性をかなり上げられます。
- 算数の標準問題(模試で受験者の正答率50%以上の問題)
- 国語の漢字・熟語、説明文
- 理科・社会
上記の科目や内容は「正しい対策をすれば得点化しやすい」ものばかりです。これらをきっちり押さえるようにしておきましょう。
※関連記事:【中学受験】国語の長文読解を短期間で伸ばす勉強法
※関連記事:【中学受験】理科・社会のおすすめ問題集:理社を得意にして合格を勝ち取る戦略的な勉強方法
※関連記事:中学受験の理科でよく出る問題の一問一答
※関連記事:中学受験の社会でよく出る問題の一問一答
中学受験から撤退する
最終手段は「中学受験からの撤退」です。極端な手段のように思われるかもしれませんが、こうした判断をされるご家庭は多いです。
中学受験はお子様と保護者、双方のためです。双方にとってプラスにならない(マイナスになるリスクが大きい)と判断すれば、受験回避は決してマイナスな判断ではありません。
中学受験を回避するというのは、言いかえれば「高校受験にシフトすること」です。中学受験で身につけた学力や学習方法は高校受験でも大きく役立ちます。
※関連記事:中学受験やめようかなと思ったら:やめどき・判断基準3つと、やめた後にすること
入試対策を念入りに行う
全落ちを回避するには、やはり合格を勝ち取りに行くのが一番の近道と言えます。
ケアレスミスをなくす
点数が伸び悩む原因の多くは、ケアレスミスによる減点です。式は合っていたのに計算間違いで5-10点下げてしまった、というのは多くの子に見られます。
そうしたミスをなくすだけで偏差値は一気にはねあがります。
理科・社会の暗記に取り組む
「中学受験は算数次第」と思ってらっしゃる方は多いようです。
確かに受験算数は難易度が高く、算数で高得点を取れる子はほかの科目でも得点が高い傾向にあります。
ですが、算数の対策には時間がかかります。いくら対策をがんばっても受験に間に合うかどうかが不安ですし、何より「算数で合否が決まるわけではありません」。
理科や社会の暗記に力を入れてみてください。入試直前の2週間~1か月を理科・社会の対策に集中させて一気に10-20点アップさせているご家庭はとても多いです。
※関連記事:【中学受験理科】よく出る問題の一問一答
※関連記事:【中学受験】理科の便利な覚え方と語呂合わせの一覧
※関連記事:【中学受験社会】よく出る問題の一問一答
※関連記事:歴史の年号語呂合わせ一覧
通信教育を試してみる
塾に通ってみて上手くいかなければ、通信教育を試してみるのも一つの手です。
移動時間がゼロですし、塾に比べて短時間の1回あたりの勉強が短時間に設計されています。「塾と併用」「通信教育単独」のどちらも選べます。
難関中学対策ならZ会
難関中学、最難関中学(首都圏御三家、灘中学、ラサール中学など)を目指しているならZ会がおすすめです。下記のような特長があります。
- トータル受講、ライトな受講(要点集中プラン)を選べる
- 1科目から受講できる
- 塾と同じかそれ以上の難易度の問題にもチャレンジできる
- 記述特訓や理科の複雑な計算対策など入試頻出分野の対策講座を取れる
※関連記事:Z会中学受験コースだけで難関中学に合格する方法
苦手、嫌いを克服するなら進研ゼミ
中学受験対策の通信教育として進研ゼミも多くの受験生に選ばれています。楽しく、自信をつけながら学べるという特徴があります。
- 視覚的に理解しやすい授業動画
- 1回15分の設計で勉強がつづけやすい
- 赤ペン先生がほめながら添削してくれる
- 合格実績は4,000名以上
※関連記事:進研ゼミ小学講座の特徴と効果的な利用法
楽しく算数を勉強するならRISU
算数に苦手意識のある子を「算数好き」にする通信教育としてRISUが注目を集めています。
ゲームのようにステージをクリアすればするほど算数の問題を解けるようにしていくシステムです。
小学校の勉強先取りはもちろん中学受験の問題もたくさんあり、RISUの会員で四谷大塚の全国小学生学力テストやSAPIXの模試で全国1位を取っている子も出ています。
費用のシステムが分かりにくいので、その解説も含めて下記の記事で紹介しています。
中学受験で全落ちしたらどうなるか
受験校を絞ったり、
アンラッキーが重なったりして、
志望校に届かなかった場合、その後はどうなるか確認します。
学習的にポジティブな影響が多い
受験校すべて不合格になったという結果は残念ですが、
中学受験の勉強や受験をしたこと自体はむしろポジティブな影響のほうが多いです。
たとえば下記のような感想がよく聞かれます。
- 学習習慣が身についた
- 高校受験で上位の学校を目指せる学力が身についた
下記のグラフをご覧ください。
中学受験をした家庭を対象に、小学校6年生が平日に何時間勉強していたかを調査した結果です。

この調査結果によれば、平日に3-5時間勉強する小学校6年生が1番多いです。
毎日のように塾の自習室で勉強したり、家庭学習したりしているのです。
当然ですが、受験しない小学生はこれほど長い時間勉強しません。
対象を中学受験生に限らず調査した別のものでは、
6年生は平日に平均1時間勉強しているという結果が出ていました。
中学受験生は受験しない子より毎日3-4倍も勉強しているのです。
これだけ毎日勉強していれば、
「勉強するのが当たり前」という感覚になります。
それだけでなく、
間違えた問題は解説を読んで解きなおす、
テストが返却されたらテストの分析をする、
という勉強の仕方も身についています。
【中学受験の勉強をとおして身につくこと】
①毎日勉強するのが当たり前という感覚になる
②間違いなおしや見直し、テスト分析の習慣が身につく
そして何より、学力が上がっています。
毎日3時間の勉強を1年間した子は、まったくしていなかった子にくらべて1,000時間多く勉強しているのです。
小学校で習うレベルの問題はスラスラ解けるようになっていますし、もっとむずかしい問題も解き方をある程度マスターしています。
この学力があれば、高校受験は地域トップを目指すこともむずかしくはありません。
※トップ高を目指す人向けのおすすめのハイレベル問題集はこちら:
英語 数学
中学受験で偏差値50の学校に届かなかったとしても、
高校受験では偏差値60以上の学校を目指せます。
行きたかった中学よりも、もっと子どもにあう教育環境の学校を高校から選べるかもしれません。
結果は残念であっても、その努力は次の受験期にもっと大きく報われるケースもよくあるのです。
全落ちしても子どもはすぐに立ち直る
不合格ばかりだと、子どもは当然ショックを受けます。
学校の友だちから「受験落ちたの?」と言われるかもしれません。
ですが、心配はいりません。
受験しなかった子にとって受験はそれほど興味のある話題ではありません。
1-2週間もすれば話題にもなりません。
それより小学校卒業のほうが大きなイベントです。
親はショックで落ち込むかもしれませんが、子どもは案外、次の日には元気になっていたりします。
全力で取り組んだ結果ですし、
塾でも上の学年の子たちが不合格になっている姿をたくさんみています。
しかも、受験が終わったのでたっぷり遊べます。自由時間が手に入るのです。
子どもにとって悪いことばかりではありません。
受験勉強を経験してハイレベルな学力になっていますから、
公立中学校の定期テストでは高得点を取りやすいです。
中学校に入って最初の中間テストが返ってきたころには、
「〇〇くん/さん、やっぱりスゴイね!」
と言われるでしょうね。
友だちにホメられて浮かれて勉強しなくならないか心配されるかもしれませんが、それも大丈夫なんです。
受験に失敗した経験があるので、油断せずに次のテストに臨もうとします。
【中学受験のプラス面】
①学力がかなり上がる
②勉強の仕方を同年代のなかでハイレベルに身につけられる
③毎日勉強する学習習慣を身につけています
中学受験で失敗しても、リベンジする機会は3年後にやってきます。
高校受験でリベンジを果たすと、
「中学受験で失敗してむしろ良かった」
と思えるようになります。
以前の自分を乗り越えるわけです。
この経験は本当に、本当に大きいです。
子どもは心配いりません。
親のほうがショックかもしれませんが結果を受け入れて、
受験の過程で得たたくさんの財産に目を向けるようにしましょう。
中学受験終了後の高校受験対策
結果的に志望校に届かなかった場合、
新たな目標ができます。
高校受験でのリベンジです。
本人に悔しさが残っている間に、
次の受験に向けて勉強に取り組むほうがいいでしょう。
- 塾で高校受験コースに入る
- 自宅学習で中学の先取りをする
これらの選択肢があります。
塾で高校受験コースに入りなおす場合、
あらかじめ保護者の方が塾のホームページなどから情報収集されておくほうがいいです。
本人の様子をみて、
「じゃあ、次に向けて再スタートしよう!」
と伝えて資料を一緒にみるようにすると、本人の気持ちも前向きになりやすいです。
※関連記事:中学生で最初のテスト:中間・期末テスト勉強はいつから・どうやって
まとめ
中学受験は必須の受験ではありません。
だからこそ、受験する目的によって受験校を選びます。
目的によっては
「地元の公立中学に進学すること」も大きな選択肢になります。
予想外の不合格だったとしても、受験勉強で得た学習習慣と学力を活かして、次の高校受験でもっと大きく飛躍しちゃいましょう!
【まとめ】
①全落ちという「結果」は残念でも、勉強の「過程」で得られるものは大きい
②受験勉強で得た学習習慣と学力を使って、高校受験でもっと可能性を広げられる
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※Z会の中学受験コースのメリットや活用法を下記の記事で紹介しています。
Z会中学受験コースだけで難関中学に合格する方法
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