中学受験が近づくと気になるのが、合格・不合格の結果ですよね。「すべて合格してほしい!」と願うものの、「絶対(合格)」はないのが受験。
もし、万が一、考えたくはありませんが、すべて不合格(全落ち)になったらどうするか。
この記事では、
「どういう特徴の子が全落ちしやすいか」
「全落ちしたときの対処方法」
をお伝えします。
※「落ちる」というワードを使っていますが、決してネガティブな内容の記事ではありません。
これから受験を迎える方も、中学受験をするかどうか迷われている方も、
「子どもの成長過程における受験の位置づけ」
を考えるきっかけとしてご覧いただければ幸いです。
※関連記事:中学受験をやめたいと思ったら?:保護者ができる対処法と勉強嫌いにならないようにする上手なサポート方法
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中学受験は合格率の低い受験です。全落ちの可能性も決して低くありません。
もし全落ちしてしまったらどうなるか、まとめました。
まず、不合格という残念な結果を突きつけられ、子どもは自信を失います。
一生懸命にがんばってきた子ほど、「がんばったのに…」とショックを受けます。
周囲が合格して喜んでいるのを見るとさらに「自分は勉強ができないんだ」と落ち込みます。
自信を失って落ち込むあまり、「受験なんてしなければよかった」と言う子もいます。口に出さなくても態度に出ている場合もあります。
そういう様子をみると親も困ってしまいます。
こういう場合、親の対応は大きく2パターンに分かれます。
パターンA:「チャレンジしたことが大事な経験になったよ!」と励ましてみる
1つ目は励まして自信を取り戻させる、安心させる対応方法です。
中学受験はそもそも「合格しにくい受験」ですから、実力が十分でも当日の問題との相性や子どものコンディション次第で不合格になることはよくあります。
パターンB:「受験させないほうが良かったかも…」と一緒に落ち込んでしまう
2つ目は一緒に落ち込んでしまうパターンです。
子どもから「受験なんてしなければよかった」と言われると、親としてはかなり辛いです。
もちろん中学受験は「子どものため」ですが、肝心の子どもが自信を失っていると、「受験をさせないほうが良かったのでは…」と親としての責任を感じてしまいがちです。
落ち込んでしまい、「友だちに会いたくないから学校にも行かない」と言い出す子もなかにはいます。
「何日から行く」と確約できるなら親も「学校休んでいいよ」と言いやすいですが、約束したところで安心できる状況でもないため、不安が募ります。
受験校すべて届かなかった場合、親はどうすればいいでしょうか。
とにかく、普段どおり過ごしましょう。
励ましてみても、一緒に落ち込んでしまっても、それで子どもが急に元気になるわけでも自信を取り戻すわけでもありません。
普段と変わりなく食事をして、一緒に過ごして、部屋を片付けなさいと言う。いつもどおり過ごすことで子どもも落ち着いてきます。
親が落ち込んだり子どもの様子にハラハラしてしまうものですが、子どもはじきに立ち直ります。
受験することを知っている学校の友だちからは「受験落ちたの?」と言われるかもしれません。ですが、心配はいりません。
「一緒の中学に行けるからうれしい!」と言って励ましてくれます。
友だちからの言葉で本人も「次の進路」に向けて気持ちが前向きになります。
前述のように、「学校に行かない」「友だちに会いたくない」と言ってくる子もいます。そう言ってきても「行きなさい!」とも「行かなくてもいい」とも言わないほうが良いです。
大きなショックを受けて一時期的に気持ちがザワついている状態ですから、何を言っても反発します。
何も言わずスルーするか、親の反応をじっとうかがってくるようなら、「そう…」「さあ…」とyesともnoとも取れないよく分からない反応で済ましておきましょう。
こういう場合、さ行ではじまる言葉「そうか」「さあ」「それで」で返すと良いです。
たとえ全落ちしても、中学受験の勉強や受験経験で得られるものもたくさんあります。
受験校すべて不合格になったという結果は残念ですが、
毎日長時間の受験勉強を当たり前にこなしたことで、同学年の子にくらべてハイレベルな学習習慣が身についています。
下記のグラフをご覧ください。
中学受験をした家庭を対象に、小学校6年生が平日に何時間勉強していたかを調査した結果です。
この調査結果によれば、平日に3-5時間勉強する小学校6年生が1番多いです。
毎日のように塾の自習室で勉強したり、家庭学習したりしているのです。
当然ですが、受験しない小学生はこれほど長い時間勉強しません。
対象を中学受験生に限らず調査した別のものでは、
6年生は平日に平均1時間勉強しているという結果が出ていました。
中学受験生は受験しない子より毎日3-4倍も勉強しているのです。
これだけ毎日勉強していれば、
「勉強するのが当たり前」という感覚になります。
毎日勉強することが当たり前になるだけではありません。
といった「勉強の仕方」も身についています。
そして何より、学力が上がっています。
毎日3時間の勉強を1年間した子は、まったくしていなかった子にくらべて1,000時間多く勉強しているのです。
小学校で習うレベルの問題はスラスラ解けるようになっていますし、もっとむずかしい問題も解き方をある程度マスターしています。
中学受験で身につけた学力があれば、高校受験は地域トップを目指すこともむずかしくはありません。
中学受験で偏差値50の学校に届かなかったとしても、
高校受験では偏差値60以上の学校を目指せます。
行きたかった中学よりも、もっと子どもにあう教育環境の学校を高校から選べるかもしれません。
結果は残念であっても、その努力は次の受験期にもっと大きく報われるケースもよくあるのです。
ここまでお伝えしたように、全落ちしても子どもは立ち直りますし、中学受験のメリットもたくさんあります。
ですが、やはり合格を取りたいものです。
そこで、全落ちしやすい子の特徴を知って、事前にできる対策を考えたいと思います。
全落ちする子のなかには、受験校を1つにしぼっている子も多数見られます。
いくら中学受験がきびしい受験だと言っても、受けるからには合格がほしいと思うのが人情です。
親に限らず、塾の先生からしても、「合格実績を出す」という社内事情以上に教え子に「合格の喜び」を味わってほしいと思うものです。
全落ちを避けるため、
受験校の選択にはセオリーがあります。
難易度別に下記の3種類の中学を受験するというものです。
①チャレンジ校:本人の実力より上の学校
※たいてい、第一志望校より上位校
②本命校:本人の実力で受かりそうな学校
※たいてい、第一志望校
③安全校:本人の実力なら確実に合格しそうな学校
※たいてい、本人の偏差値より10-15ポイント下
※関連記事:【中学受験】志望校の決め方:いつまでに・どうやって?
「本命校」で合格をねらいに行きますが、
おしくも届かなかった場合でも「安全校」で合格を取っていれば全落ちを回避できます。
ところが、「〇〇中学以外は興味ない!」という子もいます。
その希望自体の良し悪しはともかく、受験を1校にしぼるやり方は全落ちのリスクが高くなります。
受験望校選択以外の理由としては、計算間違いの多さもよく見られます。
問題に間違えても「計算の仕方は分かっていたから大丈夫!」「答えを見たらわかったから大丈夫!」と言って、計算間違いを重要視しない子も多いです。
入試当日は普段以上にミスをしやすい心理状態です。普段、100点満点で10点ミスってしまう子なら、入試では20点をミスしてしまうかもしれません。
特定の好きな教科ばかり勉強したがる子も全落ちするリスクが高いです。
入試は合計得点で合否を決めます。算数が好きだから、社会が好きだからという理由で特定の科目ばかり勉強しているとほかの科目が伸びません。
結果、好きな科目は高得点を取れてもそれ以外の科目が足を引っ張ってしまいます。
苦手単元を克服しようとしない
誰でも苦手単元があるものですが、克服するために復習しようとしたがらない子も全落ちしやすいです。
など、どの科目にも苦手になりやすい単元や分野があります。しかも、そうした単元ほど入試には頻出です。
よほど出題頻度の低い単元でない限り、苦手克服にきちんと時間を使いましょう。
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では、合格を1校でも取るにはどうすればいいでしょうか。その方法は3つあります。
まず1つ目は、「安全校の受験」です。
前述のように、「チャレンジ校」や「本命校」だけ受験するのはリスクがあります。
もちろん、その安全校を受けないのには理由があるでしょうが、「子どもが自信を失うリスク」を避けるにはやはり安全校の受験が手堅い手段です。
複数校を受けるなら、基本~標準問題をしっかり正解できれば、全落ちする可能性をかなり下げられます。
これらを実践するだけでミスによる減点を少なくできます。
標準レベルの問題の対策と同様に、知識問題の対策も重要です。
思考力問題や記述問題は時間がかかる割に入試までの実力がつくかどうか見通しにくいです。
それより、受験まで残り期間が1-2ヵ月以内なら理科や社会の知識問題に焦点を当てて対策しましょう。
10-20点アップは十分に可能です。
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ただし、難関中学合格をねらうなら思考力問題や記述問題は絶対に避けられません。
苦手意識が強くても、必ず対策しておきましょう。
※関連記事:【中学受験】国語記述問題を解くコツと勉強方法
※関連記事:中学受験の理科でよく出る記述問題
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今の学習状況に不安を感じているなら、受験勉強の方法を変えてみましょう。
6年生の後半になってから塾をストップして自宅学習に切り替える人もたまにいます。
受験に必要な内容は習い終わっているので、後は復習あるのみです。復習のための時間を確保するなら自宅学習のほうが断然有利です。
ただし、自宅学習だと集中できないという子には向いていないのでご注意ください。
塾に通ってみて上手くいかなければ、通信教育を試してみるのも一つの手です。
移動時間がゼロですし、塾に比べて短時間の1回あたりの勉強が短時間に設計されています。「塾と併用」「通信教育単独」のどちらも選べます。
難関中学、最難関中学(首都圏御三家、灘中学、ラサール中学など)を目指しているならZ会がおすすめです。下記のような特長があります。
※関連記事:Z会中学受験コースだけで難関中学に合格する方法
中学受験対策の通信教育として進研ゼミも多くの受験生に選ばれています。楽しく、自信をつけながら学べるという特徴があります。
※関連記事:進研ゼミ小学講座の特徴と効果的な利用法
算数に苦手意識のある子を「算数好き」にする通信教育としてRISUが注目を集めています。
ゲームのようにステージをクリアすればするほど算数の問題を解けるようにしていくシステムです。
小学校の勉強先取りはもちろん中学受験の問題もたくさんあり、RISUの会員で四谷大塚の全国小学生学力テストやSAPIXの模試で全国1位を取っている子も出ています。
費用のシステムが分かりにくいので、その解説も含めて下記の記事で紹介しています。
最終手段は「中学受験からの撤退」です。極端な手段のように思われるかもしれませんが、こうした判断をされるご家庭は多いです。
中学受験はお子様と保護者、双方のためです。双方にとってプラスにならない(マイナスになるリスクが大きい)と判断すれば、受験回避は決してマイナスな判断ではありません。
中学受験を回避するというのは、言いかえれば「高校受験にシフトすること」です。中学受験で身につけた学力や学習方法は高校受験でも大きく役立ちます。
※関連記事:中学受験やめようかなと思ったら:やめどき・判断基準3つと、やめた後にすること
中学受験は高校受験や大学受験とくらべてハードルがたかいです。
高校受験や大学受験が進学先を選ぶ受験なのに対して、中学受験は選抜試験だからです。
選抜試験なので一部の子どもしか受けませんし、学校で習わない内容も入試に出して「ふるい」にかけます。
下記の表は2022年度に首都圏で行われた全中学入試の入試データです。募集人数と受験者数のちがいをご覧ください。
募集人数 | 応募者数 | 受験者数 | |
首都圏私立中入試 | 41,699 | 327,470 | 244,739 |
首都圏国立中入試 | 976 | 4,847 | 3,633 |
首都圏公立中入試 | 4,080 | 18,782 | 18,106 |
合計 | 46,755 | 351,099 | 266,478 |
募集人数46,755人に対して、受験者数は266,478人です。
単純計算でのべ219,723人が不合格になります。
もちろん多くの中学では募集人数以上に合格者を出しますが、それでも不合格人数はのべ17-18万人になります。
合格人数を7-8万人としても、合格をもらえる回数より不合格になる回数のほうが2倍以上も多いのです。中学受験で6人に1人は全落ちすると言われています。
こうしたきびしい関門が設けられていますから、高校受験のように受験すればとりあえずどこか受かるというわけにはいきません。
結果的に志望校に届かなかった場合、
新たな目標ができます。
高校受験でのリベンジです。
本人に悔しさが残っている間に、
次の受験に向けて勉強に取り組むほうがいいでしょう。
これらの選択肢があります。
塾で高校受験コースに入りなおす場合、
あらかじめ保護者の方が塾のホームページなどから情報収集されておくほうがいいです。
本人の様子をみて、
「じゃあ、次に向けて再スタートしよう!」
と伝えて資料を一緒にみるようにすると、本人の気持ちも前向きになりやすいです。
※関連記事:中学生で最初のテスト:中間・期末テスト勉強はいつから・どうやって
中学受験は必須の受験ではありません。
だからこそ、受験する目的によって受験校を選びます。
目的によっては
「地元の公立中学に進学すること」も大きな選択肢になります。
予想外の不合格だったとしても、受験勉強で得た学習習慣と学力を活かして、次の高校受験でもっと大きく飛躍しちゃいましょう!
【まとめ】
①全落ちという「結果」は残念でも、勉強の「過程」で得られるものは大きい
②受験勉強で得た学習習慣と学力を使って、高校受験でもっと可能性を広げられる
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