中学受験を検討する保護者の皆さんにとって、子どもが6年生に進学するタイミングでの転塾は一つの選択肢となります。
しかし、そのメリットやデメリット、転塾前に勉強した内容の活かし方、そして最終的に志望校に合格するためのポイントなど、検討すべき重要な要素が多く存在します。
この記事では、中学受験生が6年生で転塾する際のポイントを詳しく解説します。
転塾後の6年生夏や秋に勉強すべき内容も紹介していますので、転塾をお考えの方はぜひご参考ください。
※関連記事:転塾先の塾の選び方
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中学受験生は誰でも成績が伸び悩む時期があります。
実際、転塾経験者対象の調査でも、転塾理由の6割以上が「成績不振」「指導に不満」「カリキュラムへの不安」だったそうです(リセマム)。
受験が近づいてくると「このままで大丈夫かな…」と不安になりますよね。
現状を打破するための選択肢の1つとして「転塾」はよく検討されています。
では中学受験で転塾するとどのようなメリットがあるのかまとめました。
第一志望校が決まっている人が転塾を検討する際には、志望校に向けて今の塾では不安を感じていることがよくあります。
塾によって強みは異なります。転塾すると第一志望校の合格により近づけるカリキュラムで勉強できる可能性があります。
新しい塾に転塾すると、塾のカリキュラムだけでなくクラスメートも変わります。
同じ志望校を目指す仲間との出会いもあります。
共通の目標を持った仲間がいることで、情報交換が促進されます。
中学受験に向けて新たな環境で学ぶことは、子どものモチベーションアップにつながります。
成績や学習環境に不満があるなど理由があって転塾するわけですから、新たな塾での学習の仕切り直しをするのは非常に新鮮でポジティブに感じられます。
特に6年生からの転塾だと「ラストスパート」をかけやすく、モチベーションが高まった状態のまま入試に突入しやすくなります。
誰でも苦手単元のひとつやふたつはあります。
苦手になる原因はさまざまですが、苦手単元を克服しやすくなります。塾を変えると問題への取り組み方や単元の捉え方が変わるからです。
これまでのアプローチだとしっくりこなかったのが、別のアプローチを教わって理解が進んだというケースもたびたびあります。
6年生での転塾で、受験に向けて子ども自身の覚悟が固まります。
一般的に受験が近づいているのに塾を変えて大丈夫なのか、不安になります。
それでも転塾を考えるのはもちろんそれだけの理由があるわけですが、子どもにもやはり思い切りが必要です。
そのしゅん巡を乗り越えて転塾すると、自分のなかで「できない理由探し」もなくなり、合格に向けてひたむきに勉強に取りくみやすくなります。
転塾にはメリットだけでなく、当然デメリット(リスク)もあります。
以下はその例です。
※関連記事:中学受験をやめたいと思ったら?:保護者ができる対処法と勉強嫌いにならないようにする上手なサポート方法
転塾は新しいクラスメートや塾の環境への順応が必要です。
保護者にも子どもにもストレスが大きいですし、順応しきれないまま入試を迎える可能性もあります。
教える講師が変わると、おすすめの解答テクニックも変わる可能性があります。
算数の問題は「考えて解くのか/解答手順を暗記して解くのか」、
国語の長文は「読むのか/問題の前後だけ見て答えを探すのか」など。
以前教わっていた講師と違う価値観での教わると、子どもが混乱する可能性があります。
転塾先の塾では入会金や教材費が必要になりますし、個別指導での補習を受けないといけない場合もあります。
新たに費用がかかり、家計にも負担がかかります。
ここまでお伝えしたメリット・デメリットを踏まえて、転塾する際の注意点(塾選びの方法)を紹介します。
転塾を考える際には、目標を明確にしましょう。
この2点を明確にし、目標に合った塾を選ぶことが成功の鍵です。
新しい塾の口コミや評判を確認して、その塾の実力や雰囲気を把握しておきましょう。
特に責任者の人柄について実際に通っている子の保護者から評判を聞けると良いですね。
転塾の決定には必ず子どもの意向を尊重しましょう。
親が「転塾するほうがいい」と思っていても、子どもが「今の塾をやめたくない」と思っている間は転塾しないほうが良いでしょう。
ただし、子どもがイヤがったら転塾をあきらめるわけではありません。
親から見て転塾するほうが良いと感じるには必ず理由があるはずです。その理由をじっくり子どもに説明して子どもが納得してから転塾するようにしましょう。
転塾を検討する場合は、体験授業を受けてみましょう。
上記の3点を確認しておけば、納得のいく塾を選びやすくなります。
中学受験の転塾にはメリットとデメリットが存在しますが、目標を明確にし、子供の意向を尊重しながら検討することが重要です。
転塾が子どもの成長や学習にプラスになるようにするためには、慎重な選択と適切なサポートが不可欠です。
中学受験塾を選ぶ際には、慎重な検討が必要です。特に転塾は「今の塾」と「次の塾」との違いに注意しましょう。
以下は、中学受験で転塾先の塾を選ぶ際の注意点です。
転塾を検討している先の塾の指導内容や方針を確認し、第一志望校の受験に特化した指導が行われているかを確認しましょう。
講師陣の経験や性格を確認しておきましょう。
中学受験に関する知識と経験があるのはもちろん、講師の性格も極めて重要です。
集団塾では講師を変えることはできません。万が一、子どもに合わないタイプの人が講師だとまた転塾を検討しないといけなくなります。
塾の合格実績を責任者に確認し、可能なら通塾している生徒から塾の評判を聞いておきましょう。
合格実績があるかどうかや、保護者や生徒からの評価を確認することで信頼性が分かります。
塾のカリキュラムや使用するテキストが子供に合っているかを確認します。
問題がむずかしすぎても簡単すぎても子どもはモチベーションは下がってしまうかもしれません。
子どもの学習スタイルや学習進度に合っているかどうか、実際に教材を見て確認しましょう。
塾の学習環境は必ず見ておきましょう。
特に下記の4つは確認必須事項です。
整理整頓ができていない塾は学習指導や生徒対応でも齟齬(そご)が多い可能性が高いです。
塾のなかにはいまだに「ゲンコツ指導」をしているところもありますし、先生が志望校や成績をほかの生徒に軽々しく言っている塾もあります。
特に、ニオイは要チェックです。
1Fにトイレのにおいが充満している、講師が口を開けて説明するたびにニコチンのにおいが広がるという塾だと、子どもが体調をくずしたり勉強に集中できないといった悪影響が強くでます。
残念ながらそういう塾はいまだにあります。
検討中の塾への通学が子どもや保護者の方に負担にならないかを確認します。
通学の利便性やアクセスが良いかどうかも考慮のポイントです。
受講料や退会条件などはしっかり確認しておきましょう。
ときどきあるのが、「季節講習」が高額なうえに受講必須であるケースです。
現在通っている塾では季節講習がオプション扱いだと、「ほかの塾も同じだろう」とつい思い込んでしまいます。
転塾の場合、ここに落とし穴がひそんでいます。
「受験生はみんな受講している」と塾から言われて季節講習を断るのはとても勇気がいりますし、塾によっては「子どもの勉強を最大限サポートするのが親の役目。だからオプション授業はすべて受けるのが当たり前」と、子どもを人質にして契約をせまってくるところもあります。
最初に受講料や契約条件を十分に聞いておき、オプション授業についても確認しておきましょう。
成績が上がらない場合に塾として一般的にどのようにサポートしてくれるのか、保護者への説明をしたり保護者からの相談を随時受け付けているのかも確認しましょう。
現在通っている塾で得られるサポートが次の塾でも得られるとは限りません。
逆に、現在通っている塾では得られないサポートが次の塾では当たり前に得られる場合もあります。
6年生での転塾のメリット・デメリットをお伝えしました。
転塾には一定のリスクもありますが、一般論として、6年生で転塾しても大丈夫です。メリットのほうが大きくなります。
その一番大きな理由は、受験に必要な勉強は5年生まででほぼ習い終えているからです。
新たに習う内容がないので、転塾後は「自分に必要な勉強」に特化しましょう。
6年生での転塾は気をつかって新たな環境になじもうとするでしょうが、それは転塾を受け入れる塾側も同様です。
合格してほしいので早く塾の環境になれてもらいたいものです。
転塾生は毎日補習に呼んで対応したり、頻繁に声かけをするなどしてくれるのが一般的です。
中学受験での転塾の適切なタイミングは一概に言えません。
適切な時期は個々の子どもの学力や性格、学習状況によって異なります。
一般的には以下のタイミングをおすすめしています。
転塾後の環境への適応期間を考えると、「移るなら早いほうがいい」です。
ただ、塾のカリキュラムの進捗を考えると「新学年がはじまる2月」がベストです。
一般的に中学受験塾のカリキュラムは2月から翌1月までがひとセットです。新たなセットがはじまる2月からだとクラスメートとの学習進捗に差異が出にくく、なじみやすいでしょう。
学年途中での転塾も早いほうがいいですが、6年生で転塾するなら「夏」をリミットと考えるほうがいいでしょう。
多くの塾では6年生の夏に入試実践対策を行います。
6年生の夏に勉強する内容はそのまま秋のカリキュラムにつながっています。
夏→秋と学習を連動させていくには夏期講習スタートのタイミングが転塾のラストチャンスと言えます。
転塾するのにもエネルギーも時間も使うでしょうが、大切なのは「転塾後の勉強の仕方」です。
転塾して受験を成功させる方法を紹介します。
※関連記事:中学受験をする共働き家庭が抱える課題と中学受験を乗り切る方法
多くの受験生は転塾前の塾で模試を受けていると思いますが、転塾後の塾の模試過去問を解くなどして現在の学力を再評価しましょう。
特に下記の基礎力を確認するのがおすすめです。
「基礎力は十分ある」と思っていたのに、これまでと出題方式のことなるテストを受けると、途端に解けなくなる受験生もたくさんいます。
新たな模試を受けて基礎力を確認し、転塾先での学習に生かすことが大切です。
転塾を受験成功につなげるには、新たな塾の先生に子どもの学習状況や性格を早く知ってもらうのも大切です。
これまでの模試の結果やノートを見せるなどして、子どものことを早くつかんでもらいましょう。
前述のように、6年生で転塾しても新たな内容はあまり出てきません。
そこで、「すでに知っている内容で正答率を上げる勉強スタイル」がおすすめです。
夏→秋→入試直前期に分けておすすめの勉強法を紹介します。
※関連記事:中学受験成功への道:親によるスケジュール管理と勉強時間の生み出し方のコツ
前述の「転塾のメリット」でもお伝えしたように、転塾は苦手単元を克服するチャンスです。
夏はこれまで点数を下げる原因だった苦手単元に取り組んで特に変えていくようにしましょう。
得意意識を持つ単元が増えても、急に点数アップになる子は少数派です。
新たに解き方がわかった問題はまだまだ定着が甘いですからテストで「ケアレスミス」をしがちです。
解き方が分かっていたのに間違えてしまった問題は繰り返し解いて、早く定着させましょう。
この勉強の積み重ねで入試直前の冬に大きく点数アップを見込めます。
6年生の12月途中から1月までの2ヵ月弱は理科、社会の勉強時間を意識的に増やしましょう。
大抵の受験生は算数の勉強に時間を取られて、理科社会で覚えきれていない内容がまだまだあるはずです。
それを覚えきるだけでも確実に点数アップを見込めます。
特に理科の計算問題を苦手にしている子は、公式を覚えて集中的に練習するとコツをつかんで10-20点アップするときもあります。
※関連記事:中学受験理科でよく出る問題の一問一答
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6年生で転塾する子は「自分の勉強時間」を持つようにしましょう。
中学受験塾に通う子の多くが「塾の勉強中心」です。
前述のように、6年生で新たに習う内容は少ないです。「塾の勉強中心」のスタイルのまま勉強しても得るものは多くなりでしょう。
塾の宿題やテスト勉強に追われるよりも、自分の苦手単元に集中するなり、覚えきれていない範囲を覚えるのに時間を使うほうが点数アップをしやすいです。
入試を控える6年生におすすめの問題集を紹介します。
解答テニックを網羅しているものを中心に紹介します。すでに知っているテクニックもあるでしょうが、「こっちのほうが解きやすい!」というものが1つでも2つでも見つかれば、点数アップを見込めます。
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難関中学を志望していて、算数の勉強がかなり進んでいる子には「塾技」がおすすめです。入試で間違いやすい問題の実践的な解法を学べます。
長期休みに短期集中で取り組むのも良いですね。
難関中学・最難関中学の志望者は「必ず」取り組んでおかれるほうが良い問題集です。
つづいては、中学入試で絶対に落としたくない「一行問題」の対策に特化した問題集です。
過去の入試問題から一行問題をたくさんピックアップして掲載してくれています。問題と解説が対になっていて見やすく、「確実に得点アップしたい人」や「算数が苦手だけど逆転合格したい人」に特におすすめです。
「偏差値55」と「偏差値63」の2種類に分かれています。「偏差値55」でも後半はハイレベルな問題がつづいており、下記のようなレベルの子におすすめです。
「偏差値55」と「偏差値63」の2種類に分かれています。
「偏差値55」でも後半はハイレベルな問題がつづいており、難関中学志望者にも「偏差値55」がかなり役立ちます。
「偏差値63」だと、難関中学志望者で算数のやや得意な子、最難関中学志望者で算数の苦手な子にちょうどいいレベルです。
偏差値55↓
偏差値63↓
つづいて国語です。
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難関中学を目指す人には定番の「塾技」シリーズです。
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転塾を検討されるときには、家庭学習のみで中学受験をする方法を検討される方も少なからずいます。
中学受験は塾なしでも可能ですが、十分な計画と子ども自身の学習意欲が必要です。
以下は、塾に通っている子どもが塾なしでの中学受験に切り替えるための一般的な方法・注意点です。
※関連記事:塾なしで中学受験を成功させる方法
自分の志望校の入試内容や入試科目を確認し、学習計画を立てましょう。
通塾生なら塾が考えてくれますが、家庭学習に切り替える場合は入試日から逆算して計画を立てる必要があります。
※関連記事:親によるスケジュール管理と勉強時間の生み出し方のコツ
中学受験対策用の教材はたくさんあります。
志望校の入試傾向や子どもの現在の学力に合う問題集や参考書を選ぶようにしましょう。
※関連記事:中学受験算数のおすすめ問題集
※関連記事:中学受験国語のおすすめ問題集
※関連記事:中学受験理科のおすすめ参考書・問題集と図鑑
※関連記事:中学受験社会のおすすめ問題集
勉強をしばらくつづけたら、塾などの模試を定期的に受けましょう。
勉強の達成状況を自己評価して、理解が十分になった箇所や不十分な箇所を見つけます。
苦手箇所は参考書を読み、問題集の解説を読んで理解を深めましょう。
受験する友だちや友だちと保護者どうしでのコミュニケーションを持つ機会を設けておきましょう。
受験情報の交換や励ましあいなどの協力を行います。
家庭学習中心になると、どうしても学習の孤独化が起こりやすいです。同じ塾に通っていた友人とその後もつながっておくとお互いに良い影響を与えられます。
家庭学習に限りませんが、中学受験で家族のサポートは非常に重要です。
むずかしい問題は一緒に解き方を考える、勉強に疲れてきたときは一緒にリフレッシュするなど、家族で協力すれば乗り越えやすくなります。
塾に通わない子は週末などの休日を柔軟に使えます。
復習に時間を集中させるも良し、リフレッシュするために家族や友だちと遊びに行くのも良し。
塾のカリキュラムにしばられないからこそ、「今必要なこと」に柔軟に対応できます。
いかがでしょうか。
転塾を考えている中学受験生とその保護者向けに、6年生での転塾の是非について説明しました。
6年生での転塾にはメリットがたくさんあります。夏や秋の過ごし方次第で逆転での志望校合格も可能です。転塾するなら6年生夏までがリミットと言えるでしょう。
ただ、転塾すると学習環境が大きく変わるため、慎重に検討しましょう。
今の塾に通ったまま個別塾を併用するという方法もあります。その方法を検討してみたい方は下記の記事をご覧ください。
※関連記事:中学受験で塾掛け持ちのメリットとは?
【以下のリンクは難関中学受験対策に強いZ会のHPです。リンク先で資料請求ができます。】
Z会 中学受験コースの案内
※関連記事:Z会中学受験コースだけで難関中学に合格する方法
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