【中学受験】塾掛け持ちの効果:集団塾と個別塾併用のメリットを解説(課金ゲームを避けるために)

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個別指導塾が一般的になり、中学受験でも集団指導塾と個別指導塾の併用が多くなってきています。

一方で、個別塾のメリットを理解しないまま活用すると、ただただお金が飛んでいく「課金ゲーム」になってしまっている例もたくさんあります。

成績が伸びるならまだしも、

時間もお金もただ消費しただけ…

というのは、絶対に避けたいですね。

中学受験は、「良い学習ループ」をつくって長期的に成績を伸ばしつづけられる子が勝ちます。

個別指導塾を併用するとそのループをつくりやすくなるのです。

そこで、今回の記事では下記の3点をお伝えします。

  • 個別指導塾併用のメリット
  • ダブルスクールのおすすめの方法
  • 個別指導塾併用の注意点

時間を有効活用して、志望校合格を勝ち取りましょう!

※関連記事:【中学受験】個別指導塾だけで大丈夫!?塾の特性を活かした新しい対策方法とは?

集団塾と個別指導塾の併用の状況

2000年代以前は、塾といえば「集団指導塾」でした。
今ではその状況は一変しています。

下記のグラフをご覧ください。集団指導塾と個別指導塾の生徒数を比較したグラフです。

総務省統計局2019 年経済構造実態調査報告書より作成

小学生は集団指導塾が多いですが、中学生になるとその差が縮まり、高校生では個別指導塾のほうが多くなります。

注目は「高校生の2/3が個別指導塾を選んでいること」です。

高校生が塾・予備校に通うのは「大学受験のため」が大半です。受験勉強を効率的にしようと思うと、個別指導塾を選ぶ子が多くなっているのです。

受験対策で個別指導塾を選ぶ

個別指導塾といえば、「学校の勉強についていくために行く」というイメージを持っている方がまだいらっしゃるかもしれません。

実は、個別指導塾に通う目的の多くは「受験対策」になってきています。

下記のグラフは、個別指導塾最大手の明光義塾が実施した調査の結果です。

塾に通う目的で多いのは、

  • 1番は「受験対策」
  • 2番は「成績向上」
  • 3番は「苦手科目の克服」

という結果でした。

Mパックより

苦手克服という目的も3番目にランクインしていますが、受験対策が1番多い目的になっているのです。

個別指導塾併用のメリット

では、個別指導塾に通うメリットは何でしょうか。

中学受験目的で考えると、下記の6つあります。

  1. 1科目から受講できる
  2. 苦手分野を克服できる
  3. 得意科目をさらに伸ばせる
  4. 授業内容や教材を選べる
  5. 時間に融通がきく
  6. 先生を変えてもらえる

1つ1つ説明します。

1科目から受講できる

個別指導塾は算数だけ、国語だけといった受講パターンが可能です。

授業形態に関係なく、そもそも塾で授業を受けるのは
授業を受けるほうが早く勉強が進むから」です。

授業を受けなくても勉強がはかどる場合は、授業を受ける必要はありません。

例えば、「社会は好きだから家庭学習だけで大丈夫」という子も多いです。

そういう子は授業を受けるほうが勉強の進捗が遅くなるケースもあります。

中学受験は勉強量が多くて忙しくなりますから、必要なものだけ選べるというのは大きいですね。

苦手分野を克服できる

1科目から受講できるので、苦手科目苦手分野に絞った対策をできます。

算数の「割合と比」が苦手、国語の記述問題が苦手、社会の歴史が苦手など、苦手科目・分野は子どもによってさまざまです。

状況にあわせて「必要なところに必要なだけ」対策を投下しましょう。

※関連記事:算数の分野別の苦手を克服する勉強方法を下記の記事で紹介しています。
「割合」の勉強方法「比」の勉強方法
「速さ」の勉強方法
「平面図形・空間図形」の勉強方法
※関連記事:国語の対策方法を下記の記事で紹介しています。
国語の偏差値を短期間で伸ばす勉強方法
記述問題の勉強方法
※関連記事:理科、社会の分野別の対策方法を下記の記事で紹介しています。
【中学受験】理科を得意にできる勉強方法
【中学受験】社会の分野別勉強方法

得意科目をさらに伸ばせる

合格ラインを越えるには、

  • 苦手を小さくする
  • 得意をさらに伸ばす

の2つの方法があります。

どちらも大切ですが、「早く・大きく」点数をあげられるのは「得意をさらに伸ばす方法」です。

入試頻出問題の対策を早めに行ったり、応用レベルの問題ばかり授業で扱うようにすれば、得意科目を「絶対的に貯金をつくれる科目」にまで引き上げることも可能です。

授業内容や教材を選べる

中学受験を予定していても、学習進度は人によってさまざまです。

「どこから」「どのレベル」を学びたいのかによって下記のようにわかれます。

【どこから】

・小学校内容から
・受験内容から

【どのレベルか】

・基本レベル中心
・応用レベル中心

科目ごとでこの状況が変わりますから、それに合わせて授業内容や授業教材を変えるほうが効率的です。

算数は苦手だけど国語は得意という子なら、
算数は基本レベル~標準レベルを学習できる教材にして、
国語は応用レベルや受験テクニックを学ぶほうが早く・的確に学力を上げられます。

中学受験は合格戦略が重要です。

科目ごとに的確に学習を進められれば、大きなメリットになります。

時間に融通がきく

受験で個別指導塾を掛け持ちする場合、「時間の融通」は非常に重要です。

集団指導塾の授業日程は固定されていますから、都合をつけられる日時に受講できるという個別指導塾の特徴はとても便利です。

先生を変えてもらえる

個別指導塾は先生を変えてもらえるという特徴があります。

「時間の融通がきく」というのと同様に、集団指導塾にはないメリットです。

先生の説明の仕方がわかりづらかったり、性格的な相性が合わないという場合もあります。

そういうときに先生を変えてもらえると、子どもも安心して勉強に集中できます。

このメリットは、個別指導塾の良い面を利用できるだけでなく、「悪い面」を回避できるという点でも重要です。

個別指導塾のなかには、大学生主体で授業をしている塾もあります。

大学生はどうしても指導経験が不足していますから、「自身の大学受験勉強の経験」を主体に授業をします。

それが生徒にたまたま合う場合は良いのですが、合わない場合もあります。

どの先生が授業を担当しても授業料は同じですから、
「成績をあげられる良い先生」に出会うまで先生をチェンジするようにしましょう。

ダブルスクールで負担を減らせる

中学受験の特徴として「親の負担が大きい」ということが挙げられます。

  • 子どもに解きなおしを促す
  • 丁寧に書くよう諭す
  • 途中式をなぜ書かないといけないか説明する
  • 復習する範囲を伝える
  • 早く宿題しなさいと口酸っぱく言う

こうした行動を毎日のようにしなくてはいけず、しかも子どもにイヤそうな顔をされることもしばしばです。

この負担がとても大きく、本当に子どもにとって中学受験がプラスになるのか不安になる保護者の方もいます。

※関連記事:中学受験やめようかなと思ったら:やめどき、判断基準を3つ紹介します!

保護者の方が抱えているこの負担を減らしてしかも成績を上げるのが、「個別指導塾併用の本来の目的」なのです。

おすすめの個別指導塾掛け持ち方法

保護者の方の負担を減らして、志望校合格に着実に近づけるためにはどうすればいいか。

それは、「良い学習ループ」をつくることです。

学習の良いループをつくる

勉強が順調に行っている子は、下記のような「良い学習ループ」ができています。

個別指導塾併用のメリットは、「良いループをつくること」にあります。

これが可能になるような、塾の掛け持ち方法を3つお伝えします。

3つとも実践されると効果的です。

集団指導塾の教材をメインに使う

多くの個別指導塾では、解答さえあればどの教材でも使用可能です。

個別指導塾の授業では、お通いの集団指導塾の教材を使うようにしましょう。

塾を併用する場合、集団指導塾の授業を受けて不安や不足のある箇所を個別指導塾で補うケースがほとんどです。

同じ内容を扱ってあげるほうが、子どもにとってわかりやすい授業になります。

ただし、「集団指導塾の教材では物足りない」という場合は別の教材を使って対策するほうがいいです。

ちなみに、集団指導塾の教材が少し簡単かなと感じる場合、お子様や志望校のレベルに合う塾がほかにあるかもしれません。

※関連記事:【中学受験】転塾はいつまで?成績があがる塾を選ぶおすすめのポイントを3つ紹介!

集団指導塾の宿題・テストの直しをする

塾掛け持ちの鉄則は、「メインの塾の勉強がうまくいくようにすること」です。

個別指導塾の授業では、集団指導塾の宿題で解き方のわからない問題やテストのやり直しをしましょう。

通塾生の1番の優先課題は「塾の宿題」です。宿題で出た問題を一人で解けるようになれば、塾の授業も理解度がさらに進みやすくなります。

塾のテストで点数アップする

塾の宿題が解けるようになれば、塾のテストも解けるようになります。

塾のテストで点数があがれば、子どものモチベーションアップにもつながります。

良いループをつくるには、ここが「」です。

塾のテストで点数をあげるようにがんばりましょう!

個別指導塾併用時の注意点

個別指導塾を併用すると、成績アップのための「良い学習ループ」をつくることができます。

ですが、逆に「悪い学習ループ」ができあがってしまう場合もあります。

そんなことにならないように、注意点を4つお伝えします。

苦手分野を明確にしておく

1つ目の注意点は、「苦手分野の明確化」です。

前述のように、個別指導塾のメリットの1つは「苦手分野の克服」です。

  • 苦手分野が何かを明確にしてから対策をはじめる
  • 対策しながら苦手分野をみつけてつぶしていく

上記のどちらかの手段を取る必要があります。

苦手分野を明確にしないまま授業を進めると、集団指導塾の授業を個別指導塾が後追いするだけになりかねません。

個別指導塾は集団指導塾より授業料が高いです。授業を受ければ受けるほど「課金ゲーム」に陥ります。

苦手分野を明確にしてピンポイントに対策をする(少なくともそういう方針にしている)個別指導塾を探すようにしましょう。

集団指導塾のカリキュラムに合わせる

2つ目の注意点は、「集団指導塾のカリキュラムに合わせること」です。

集団指導塾で学習ループをすでにつくっています。

授業→宿題→やり直し→テスト

というループです。

このループをより良いものにするために個別指導塾を掛け持ちするわけですから、集団指導塾のカリキュラムに合わせた授業を受けるようにしましょう。

解説を聞いて終わりにしない

3つ目の注意点は、「授業で解説を聞いて納得して終わりにしないこと」です。

「解説聞いてわかったからもう大丈夫!」と、解きなおしをしないのはとても危険です。

説明を受けたときは理解したつもりでも、1人で解こうとすると「あれ?どうやって解くんだっけ?」となります。

「わかる」は「できる」のほんの一歩目です。1人で解いてみて、「できる」かどうかを確認するようにしましょう。

「先生を推す塾」は避ける

4つ目の注意点は、個別指導塾や家庭教師の派遣センターにいたからこそ言えるのですが、

「うちの〇〇先生はとても人気ですよ!」「何人も合格させていますよ!」

とアピールしてくる個別指導塾(と家庭教師センター)は避けるほうがいいです。

「先生」といっても大学生です。自身の大学受験の経験でしか授業はできません。
18歳のときの自身の受験経験をもとに12歳に受験指導をしても、うまくいきません。

18歳と12歳では、学習者側の自己管理能力に雲泥の差があります。

18歳は「わかった」ら自分で解きなおしをしますが、
12歳は「わかった」ら安心して次の問題に移ってしまいます。

18歳は自分で苦手分野の復習をしますが、
12歳は1度正解したら安心して復習をしようとしません。

授業経験の浅い大学生がこの点を理解して授業をするのは簡単ではありません。

そこのフォローする役割が個別指導塾の責任者(家庭教師センターの担当社員)にあります。

責任をもって講師を指導している人なら「先生」ではなく、

「うちはこういう指導方針・指導内容です」

授業の中身を推してきます。

先生を推すということは、大学生に授業を丸投げしている可能性がかなり高いです。

ただし、プロの講師・家庭教師の場合の「先生推し」は乗っかるほうがいいです。

本当に指導力の高い(=合格させる能力の高い)講師を推薦してくれています。

※関連記事:プロ家庭教師の派遣センターってどれがオススメ?大手5社を徹底比較します!
※関連記事:【中学受験】小学生の家庭教師はいつからがいい?学年ごとのおすすめの利用目的を解説します!

中学受験は時間の使い方がポイント

中学受験の問題は量が多いうえに難易度が高いです。時間の使い方がとても重要なポイントになります。

4年生から勉強時間が長くなる

3年生までは、中学受験勉強はそれほど長時間になりません。

ところが4年生以降、急激に勉強時間が伸びます。

下記のグラフは、中学受験生を対象に学年別の勉強時間を調査した結果です。

  • 3年生は1時間未満の子が6割以上
  • 4年生は1時間未満の子が4割近く
  • 5年生は1-3時間の子が6割以上
  • 6年生夏以降は4時間以上勉強する子が3割前後

と、勉強時間が長くなっていくのがわかります。

Z会をもとに作成

4年生から特殊算など本格的な受験勉強に入っていきます。
宿題をしていて1人で解けない問題が増えてきて、勉強に時間をとられるようになります。

塾の授業回数も増え、それに比例して宿題の回数も増えていきます。

勉強時間が長くなっていくのも当然です。

受験しない子は1日25分勉強

勉強時間の長さは、中学受験をする子としない子でかなりの差があります。

下記のグラフをご覧ください。中学受験する・しないに関係なく、小学生全般に1週間の学習時間を調査した結果です。

小学校6年生の1週間の平均学習時間は3時間。つまり、1日あたり25分ほどです。

学研教育総合研究所「小学生の日常生活・学習に関する調査」より

受験をしない友だちは毎日20-30分の勉強なのに、自分は家で勉強ばかり。

勉強に前向きに取り組めてるときは気にならないでしょうが、「勉強イヤだな」と後ろ向きになっているときは、友だちがうらやましくなり、さらに勉強に対して気持ちがなえていきます。

悪い学習ループに入り込んでいってしまいます。

時間の使い方を変えて悪いループを断ち切る

悪い学習ループに入ると、勉強時間がさらに長時間化していきます。

「解けなくて苦しい」

「解説を読んでも理解できない」

「だから余計ダラダラ勉強になる」

というものです。これは誰にでも訪れます。

この悪いループを断ち切るには、
「解けずに苦しむ時間」や「解説を理解できない時間」
「解説を聞いて理解できる時間」や「理解できた問題を1人で解いてみる時間」
に変えてしまうことです。

問題が解けないなら、解ける人に教わる。
解説が理解できないなら、理解できる説明をしてくれる人に解説してもらう。

中学受験勉強はどんどん忙しくなっていきます。うまくいかない時間にただ耐えているだけだと、もったいないです。

悪いループを良いループに早く変えられるようにしましょう。

まとめ

いかがでしょうか。

中学受験は長期戦です。勉強がうまくいかない時期は誰にでも訪れます。

やみくもに個別指導塾を併用しても、メリットは小さく、課金ゲームになってしまう恐れもあります。

悪い流れを良い流れにつくりかえるために個別指導塾を掛け持ちするようにしましょう。

また、近所に良い個別指導塾がなかったり、塾への移動時間を減らしたい場合にはオンライン指導もおすすめです。

※関連記事:中学受験にオンライン授業は必要?親子の負担を減らして効果をあげるその方法とは!

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