小学校4、5年生になると、塾では理科の勉強にもかなり力を入れるようになります。
ですが、中学受験生で理科を得意にしている人は意外と少数派です。
「用語を覚えてもなかなか問題を解けるようにならない…」
「実験・観察問題が苦手でいつも点数を下げてしまう…」
という声をよく聞きます。
理科や社会は志望校の合否を左右しかねない重要な教科です。
配点が小さいからと、対策を後回しにされがちな教科ですが、
理科を得点源にできれば、入試をかなり有利にもっていけます。
そこで今回は、理科を得点源にするための勉強法をお伝えします。
※関連記事:中学入試理科でよく出る問題の語呂合わせ一覧
ほかの科目の勉強方法は下記の記事で紹介しています。
※関連記事:社会のおすすめ問題集(3年生から難関入試対策まで)
※関連記事:社会の分野別勉強方法
※関連記事:国語の偏差値を短期間で15~30アップさせる方法
※関連記事:比の解き方
※関連記事:割合の解き方
※関連記事:速さの解き方
※関連記事:平面図形・空間図形の解き方
※Z会の中学受験コースのメリットや活用法を下記の記事で紹介しています。
Z会中学受験コースだけで難関中学に合格する方法
中学受験理科は「覚えたら点を取れる」と言われますが、丸暗記だけでは高得点をねらえません。
理科の勉強法をまとめて紹介します。
※関連記事:中学入試理科でよく出る問題の語呂合わせ一覧
まず、単元内容の全体的な理解を深めます。
どの問題集も単元ごとに解説ページと問題ページにわけています。
この解説ページをひとまとまりごとに解説できるようにしましょう。
たとえば、「植物」の単元なら、
「根・茎・葉」の解説部分や「光合成」の解説部分などが載っています。
その箇所に目を通し、問題集を見ずに下記のように内容を自分で説明してみます。
「根・茎・葉には道管と篩管があって~」
「光合成とは葉が光を受けてデンプンをつくる働きで~」
こうした説明を自分でできるようになるまで繰り返し覚えましょう。
単元のポイントを把握できたら、用語や性質を覚えましょう。
一問一答形式で覚えると覚えやすく、あとで復習もしやすいです。
ひととおり覚えられたら、1ページごとに確認テストをしましょう。
※関連記事:中学受験の理科でよく出る問題の一問一答
用語を覚えられたら、その用語を説明できるようにしましょう。
たとえば、下記のような感じです。
この演習を繰り返します。
サっと答えられるようになるまでアウトプットを繰り返しましょう。
もちろん入試では「~は何?」という単純な一問一答は出題されません。光合成をするのには葉緑体が必要だと知っている前提で、その応用問題が出てきます。
ですが、応用問題を解くにはこれらの基礎知識を「考えなくても思い出せる状態」でないと、応用できません。
「光合成は知っているけど葉緑体については知らなかった」となると、問題演習が進みにくくなります。
用語の暗記の仕方次第で、その後の勉強のしやすさが大きく変わります。
※関連記事:【中学入試理科】基本問題の一問一答
※関連記事:中学入試理科でよく出る問題の語呂合わせ一覧
用語の暗記ができたら、演習問題に移ります。
用語を意味も含めて暗記しておくと、
問題集にある標準レベルの問題を5割は正解できるようになります。
応用問題での正解率を上げるには、参考書や図鑑が便利です。イラストや写真をみながら問題を解くと印象に残りやすく、理解が進みます。
特に下記の図鑑や参考書はおすすめです。
理解を深めるには、誰かに説明・解説してみるのがおすすめです。
「この実験では二酸化炭素を発生させていて、二酸化炭素の性質は~だから」
のように出題者になったつもりで解説してみましょう。
理科の入試問題は、出題者が何らかの情報(二酸化炭素は空気より軽い、など)を隠して問題を作成します。
受験生が出題者の意図に気づけるかどうかを試しているのです。
単元内容を理解して解説しながら解くようにすると、出題者の意図に気づきやすくなります。
オーガニックの出産祝い【Haruulala】問題を解いて答え合わせをした後、間違った問題の解説を読みっぱなしにしていませんか?
解説を読んだら必ず解きなおしをしましょう。
インプット→アウトプットの繰り返しで実力が伸びていきます。解説を読んで納得しただけだと、まだインプットの段階です。
解説の内容を思い出しながら問題を解いてみましょう。
国語の長文読解のような解き方ですが、問題文に線を引きながら読みましょう。
理科の応用問題は設問のリード文が長いです。10行以上になることもしばしばです。
しかも設問の設定条件をコンパクトに無駄なく詰め込んでいます。
リード文で設定されている条件や状況に線を引きましょう。
ポイントが分かると問題の意図も分かりやすくなり、解きやすくなります。
中学入試の理科では、図表を見て考えて解答させる問題が増えてきています。
例えば2022年度の巣鴨中入試では、
羽田空港の着陸経路に関する国土交通省のデータを見ながら考える問題が出されました。
大学入試の共通テストでも「情報Ⅰ」が必須科目になり、データ分析が入試でも重視されてきていることが影響していると思われます。
中学入試でハイレベルなデータ分析が求められることはないでしょうが、図表を見て状況を判断する練習をしておくほうがいいでしょう。
理科には、物理・化学・生物・地学の4つの分野があります。ここからは分野別の勉強方法をお伝えします。
まず、物理の勉強法を紹介します。
物理は光・音・力やてこなど、苦手にしている子が多い分野です。
物理は用語などの知識よりも、問題演習が大切です。
問題をたくさん解くなかで、解き方を覚えられるようになります。
勉強に時間がかかってはかどらないという場合は、問題のパターンを覚えるようにしましょう。
細かい数字や設定条件は違っていますが、
パターンが同じなら解き方も同じです。
得意な問題パターンをいくつか知っていると、よく似た問題が出てきたときに「どこをどう変えて問題をつくっているか」を見抜けるようになります。
大体のポイントは同じですから、「条件の違い」に気づけば「解き方の違い」もわかるようになります。
を意識しながら問題演習ができると、効率よく問題の解き方を身につけられます。
物理は演習量がモノを言います。
理屈が分かっても、いざ問題を解くときにすぐに活用はしづらいです。
たくさん問題を解いて、解き方に慣れましょう。
つづいて、化学の勉強方法を紹介します。
化学は7割が暗記です。
気体の性質、直列回路・並列回路の電気抵抗の大きさなど、覚えておかないといけない知識がたくさんあります。
単元ごとに基礎知識をしっかり覚えておきましょう。
※関連記事:【中学入試理科】基本問題の一問一答
化学はたいてい、実験問題です。
実験はすべて目的があり、手順が明確に決められています。
実験ごとの目的や手順をノートに整理すると覚えやすいです。
なお、低学年のうちに科学実験を親子でしておくと、6年生の応用問題も解きやすくなります。
下記の図鑑に載っている科学実験は家でできるものがほとんどです。週末に親子で一緒に楽しみながら実験してみてください。
水溶液や酸化と還元など、化学では計算問題も多く出てきます。
パターンが限られているので、何度も解いて早く慣れるようにしましょう。
※関連記事:中学入試の理科でよく出る計算問題の公式一覧
※関連記事:【中学入試】理科の計算問題の対策方法
生物は集中的に暗記すれば短期間で大きくレベルアップできる分野です。
よく出題されるのは、
などです。
生物の勉強法のコツを紹介します。
化学と同じで、生物も暗記が大半です。まず基礎知識をしっかり覚えておきましょう。
理科では図がよく出てきます。
植物の細胞など、見ているだけだと違いが分かりづらいものもたくさんあります。
参考書や問題集に載っている図は、フリーハンドで(ちょっと雑でもいいので)描いてみましょう。
図を描いてみると内臓の位置やニワトリのたまごのつくり、メダカの受精卵の様子など、特徴をかなりイメージしやすくなります。
生物分野にはさまざまな分類が出てきます。
分類を覚えるときは、例外を先に覚えるのがおすすめです。例外のほうが少ないので覚えやすいですし、そもそも入試で出題されるのは例外のものが多いからです。
例えば下記のようなものです。
最後に、地学の勉強法を紹介します。
地学は理科のなかでも特に「暗記」で解決できる分野です。
前述のように、中学入試では「~は何か?」のような一問一答はほぼ出てきません。
知識どうしの関係性から覚えておきましょう。
例えば、泥岩、砂岩、れき岩について。
【共通】
すべて堆積岩である。
【違い】
粒の大きさが違う。
粒が大きい順に、
れき岩>砂岩>泥岩。
【堆積の仕方】
粒が小さいものほど波に乗って沖合に行く。
つまり海岸から近い順に下記のようになる。
れき岩→砂岩→泥岩。
このように覚えると、応用問題になっても活用できます。
地学は覚えることが大半ですが、天体の範囲に困る子は多いです。
季節ごとに星の見える方角が変わります。
夜空を見上げても星はあまり見えませんから、図鑑や星座早見盤を使って覚えるようにしましょう。
天体の位置関係をイメージするには月食や日食がおすすめです。
月食・日食のスケジュールを共有しておきますので、ぜひご自宅やネットなどでお子様とご覧ください。
2023年10月29日 | 部分月食 | 日本の一部で見える(月入帯食) |
2024年09月18日 | 部分月食 | 日本で見えない |
2025年03月14日 | 皆既月食 | 日本の一部で部分月食が見える(月出帯食) |
2025年09月08日 | 皆既月食 | 日本で見える |
2026年03月03日 | 皆既月食 | 日本で見える |
2026年08月28日 | 部分月食 | 日本で見えない |
2028年01月12日 | 部分月食 | 日本で見えない |
2028年07月07日 | 部分月食 | 日本で見える(月入帯食) |
2029年01月01日 | 皆既月食 | 日本で見える |
2029年06月26日 | 皆既月食 | 日本で見えない |
2029年12月21日 | 皆既月食 | 日本で見える(月入帯食) |
2030年06月16日 | 部分月食 | 日本で見える(月入帯食) |
2023年04月20日 | 金環皆既日食 | (中心食)インド洋、アジア、オセアニア |
2023年10月15日 | 金環日食 | (中心食)北米、南米など |
2024年04月09日 | 皆既日食 | (中心食)北米、太平洋など |
2024年10月03日 | 金環日食 | (中心食)南米南部、南太平洋など |
2025年03月29日 | 部分日食 | (部分日食)北大西洋、ヨーロッパ北部など |
2025年09月22日 | 部分日食 | (部分日食)南極、ニュージーランドなど |
2026年02月17日 | 金環日食 | (中心食)南極 |
2026年08月13日 | 皆既日食 | (中心食)北極付近、ヨーロッパ西部など |
2027年02月07日 | 金環日食 | (中心食)南太平洋、南米、南大西洋など |
2027年08月02日 | 皆既日食 | (中心食)アフリカ北部、インド洋など |
2028年01月27日 | 金環日食 | (中心食)南米北部、大西洋など |
2028年07月22日 | 皆既日食 | (中心食)インド洋、オーストラリア、ニュージーランドなど |
2029年01月15日 | 部分日食 | (部分日食)北米など |
2029年06月12日 | 部分日食 | (部分日食)北極付近、ヨーロッパ北部など |
2029年07月12日 | 部分日食 | (部分日食)南米南部など |
2029年12月06日 | 部分日食 | (部分日食)南極など |
2030年06月01日 | 金環日食 | (中心食)日本、ユーラシア大陸北部など |
2030年11月25日 | 皆既日食 | (中心食)アフリカ南部、南インド洋、オーストラリアなど |
2035年9月2日 | 皆既日食 | (中心食)日本、中国など |
対策をするにはまず出題傾向を把握しておくほうが効率よく勉強を進められます。
中学入試の出題傾向は年々変化してきているので、昔ながらの方法だけで対策するとなかなか点数が伸びづいときもあります。
最近の出題傾向を4つお伝えします。
理科は「暗記科目」と言われるくらい、暗記する範囲が広く、量も多いです。
言いかえれば、「覚えれば点を取れる範囲が多い」のです。この点は今も昔も同じです。
4つの分野にわかれていますが、そのうち3つの分野は暗記がメインです。
理科の試験範囲を確認します。
分野 | 単元名 |
物理 | 音、光、電気、熱、てんびん、ばね、輪軸 |
化学 | 体積、結晶、金属、pH、濃度、気体 |
生物 | 植物、動物、人体 |
地学 | 天体、天気、地層 |
合計 | 26単元 |
この表にあるように、理科は4つの分野にわかれています。
物理・化学・生物・地学
です。
このうち、生物・地学の3つの分野は暗記の勉強がベースになります。
暗記範囲は勉強量と成績の上昇が比例しているので、学習スケジュールをとても立てやすいです。
理科を得意にするときは、まずこの2分野に力を入れましょう。
理科の苦手な子の多くは、「計算問題が難しい」と言います。計算問題は物理・化学で多く、台車や滑車の問題、水溶液の濃度の問題などです。
これらの出題パターンは決まっており、解き方や考え方も一定です。難易度の高い問題も出てきますが、最上位校でない限り、解けなくても合否にあまり影響がありません。
最近の中学入試の傾向として、問題文が長かったり会話になっていたりします。
問題文を読んで条件を把握するのに時間がかかりますから、読解力が求められます。
また、以前なら理科の問題文は読まなくても解答に差し支えなかったため、時間短縮のために問題文を読まずに解かせる塾が今もあります。
今ではこのやり方はマイナスのほうがかなり大きいので、必ず問題文を読んで解くようにしましょう。
また、もう1つ最近の中学入試の傾向として、記述問題が増えてきています。
「固体を燃焼させる実験で、試験管を下向きにする理由を書きなさい。(答え:実験で発生した液体が逆流して試験管が破裂するのを防ぐため。)」
「スチールウールの燃え方を説明しなさい。(答え:赤くなりながらちりちり燃える。)」
のように、「理由」や「説明」を書かせる問題がメインです。
単なる丸暗記では点数が取りづらく、記述対策をしておく必要があります。
※関連記事:中学受験の理科でよく出る記述問題
中学入試理科の勉強には「分かりやすい参考書」が非常に役立ちます。
おすすめの参考書を紹介します。
1冊目は「なぜ?」という疑問を解決してくれる参考書です。
イラストや図・写真が豊富に掲載されているので、文字に偏りがちな中学受験対策問題集をビジュアルから補充してくれます。
「なぜ」を知ったり考えたりする習慣を身につけておけば、思考力問題の対策にもつながります。
出版社:学研プラス
特徴:
【人気の小学参考書に問題が加わり,パワーアップ!】
Amazonより引用
小学生が調べやすいように工夫された、
メダカからAI(人工知能)までなんでものってる
ビジュアルたっぷりの用語集。
「確かめ問題」がダウンロードできる!
2冊目は図鑑としても参考書としても使える人気シリーズです。中学入試を意識した内容なので、問題集を解いていて理解しづらい範囲を確認するのにも有効です。
出版社:旺文社
特徴:
「くらべる」ことで理科の重要事項が理解できる図鑑です。
Amazonより引用
イラストや図版を豊富に掲載しており、中学入試や家庭学習でおさえておくべきちがいが理解しやすくなっています。
たとえば、「両性花(例:アサガオ)と単性花(例:ヘチマ)」、「豆電球の直列つなぎと並列つなぎ」のちがいなど、どこに注目して「くらべる」とちがいが理解できるのか分かるようになっています。
塾に通ってみても上手くいかなければ、通信教育を試してみるのも一つの手です。
移動時間がゼロですし、塾に比べて短時間の1回あたりの勉強が短時間に設計されています。「塾と併用」「通信教育単独」のどちらも選べます。
難関中学、最難関中学(首都圏御三家、灘中学、ラサール中学など)を目指しているならZ会がおすすめです。下記のような特長があります。理科や社会だけ受講することもできます。
※関連記事:Z会中学受験コースだけで難関中学に合格する方法
Z会の通信教育 中学受験コース中学受験対策の通信教育として進研ゼミも多くの受験生に選ばれています。楽しく、自信をつけながら学べるという特徴があります。
※関連記事:進研ゼミ小学講座の特徴と効果的な利用法
いかがでしょうか。
中学受験の理科は正確な知識と深い単元理解にくわえて、
理科ならではの文章の書き方に慣れておく必要があります。
誰かに説明できるほど単元理解を深めたうえで、用語を完璧に覚えるようにしましょう。
※関連記事:中学入試理科の語呂合わせ一覧
※関連記事:【中学入試理科】基本問題の一問一答
※関連記事:中学入試の理科でよく出る記述問題とその対策の仕方
また、国語の得意な子は理科のややこしい応用問題も読み解く力が十分にあります。
国語とは読み方がちがいますので、箇条書きにして状況を整理してから解くようにしましょう。
ほかの科目の勉強方法は下記の記事で紹介しています。
※関連記事:【中学入試】社会によく出る年号・年代の語呂合わせ
※関連記事:社会のおすすめ問題集(3年生から難関入試対策まで)
※関連記事:社会の分野別勉強方法
※関連記事:国語の偏差値を短期間で15~30アップさせる方法
※関連記事:比の解き方
※関連記事:割合の解き方
※関連記事:速さの解き方
※関連記事:平面図形・空間図形の解き方
※Z会の中学受験コースのメリットや活用法を下記の記事で紹介しています。
Z会中学受験コースだけで難関中学に合格する方法
This website uses cookies.