近年、中学受験を選択する方はふえてきています。
中学受験の人気が上がれば上がるほど、
中学受験のハードルはたかくなっていきます。
時間的負担・経済的負担・精神的負担が大きく、子どもの様子をみて中学受験をつづけるかどうかを迷われるご家庭も多いです。
せっかくがんばってきて諦めるのも、子どもにとって良いかどうか悩ましいですよね。
※関連記事:中学受験成功への道:親によるスケジュール管理と勉強時間の生み出し方のコツ
そこで今回の記事では、
をお伝えします。
中学受験勉強を継続するかお考え中の方も、
これから中学受験勉強をはじめるか検討中の方も、ぜひ参考にしてください。
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受験をやめようかなと思っても、
どうなればやめたほうがいいか判断基準がわかりにくいと思います。
見極めポイントが3つありますので、1つ1つ紹介します。
1番わかりやすい基準からお伝えします。
「偏差値40以下」であれば、
中学受験をするメリットがとても小さくなります。
下記の調査によれば、中学受験の目的は、
「教育内容や環境」(44.5%)が1番多いです。
ですが、一般的に偏差値40以下の中学校だとあまり質の高い授業を提供できません。
・学力をハイレベルに伸ばす
・自主性を育てる
・国際感覚を身につけさせる
など、一般的な学習にプラスの内容を期待します。
ところが、偏差値40以下だと
基本的な学習に費やす時間を長くせざるを得ません。
半年以上勉強して偏差値40以上にならなければ、
ひとまず撤退するほうがいいかもしれません。
受験勉強を継続するのに1番大切なことは何か。
前項で紹介したのと同じ調査では、
「子どものやる気」
を挙げている方が1番多かったです。
「経済力」や「親のサポート」を挙げる方も1割ほどいらっしゃいますが、主役である子ども自身にやる気がないとやはり続かないでしょう。
「やる気があるかどうか」の判断は、
自分から勉強しようという姿勢がみられるかどうかです。
こういう様子が1か月以上つづいていたら、
これ以上つづけてもあまりタメにならないかもしれません。
塾からは「自宅でも復習させてください」と言われる。
でも自宅で子どもは勉強したがらない。
叱りつけて勉強させる毎日に疑問を感じる。
こうなったら、親の精神衛生上良くないですよね。
親が疑問を感じながらしていると、
その気持ちが子どもにも伝わります。
子どもにとって勉強は「やらされ」になりますし、
親にとっても「『勉強しなさい』と言わないといけないもの」になります。
中学受験は選抜試験です。高校受験のように「全員が受けるもの」ではありません。
する・しないは個々の選択です。イヤイヤやる・イヤイヤさせるくらいなら、しないほうがプラスになるでしょう。
5年生や6年生になって受験撤退を考えたとき、
「ここまでがんばってきたのに」
「1度やめてから子どもが『やっぱり受験したい』と言ってきたらどうしよう」
と気になるかもしれません。
では、「中学受験をやめる」ならいつまでに決めれば良いかまとめました。
結論から申し上げると、小6のカリキュラムがはじまる2月までには撤退か継続か決めるようにしましょう。
中学受験をやめる場合、「やめた後どうするか?」を決めておく必要があります。
中学受験をやめると、多くのご家庭は高校受験に向けた準備をはじめます。
2月も中学受験のカリキュラムで勉強するよりも、同じタイミングで高校受験向けの勉強をはじめましょう。
2月も中学受験のカリキュラムで勉強するよりも、同じタイミングで高校受験向けの勉強をはじめましょう。
そのほうが子どもも次に向けた再スタートを切りやすいです。
受験するかどうか子どもの気持ちが揺れ動いていると、小6に上がるタイミングではまだどうしても決められない場合もあると思います。
その場合、遅くとも小6の8月までには撤退か継続か決めておきましょう。
理由は、それ以降だとほかの受験生に影響があるからです。
小6の夏期講習以降、大手塾では受験ムードが非常に高まります。生徒たちも「やるぞ!」と気合が入ってきます。
その状況で「受験やめることになったから塾もやめる」とクラスメイトから言われたら、水を差されたような気持ちになります。
塾での勉強をつづけるのがむずかしくなってきた、でも中学受験をあきらめたくない。
そんな場合の対策をまとめました。
※関連記事:中学受験を5年で辞める人が多い理由:子どもに合う方法で受験をつづけるにはどうすればいいかを紹介
塾に通ってみて上手くいかなければ、通信教育を試してみるのも一つの手です。
移動時間がゼロですし、塾に比べて短時間の1回あたりの勉強が短時間に設計されています。「塾と併用」「通信教育単独」のどちらも選べます。
難関中学、最難関中学(首都圏御三家、灘中学、ラサール中学など)を目指しているならZ会がおすすめです。下記のような特長があります。
※関連記事:Z会中学受験コースだけで難関中学に合格する方法
中学受験対策の通信教育として進研ゼミも多くの受験生に選ばれています。楽しく、自信をつけながら学べるという特徴があります。
※関連記事:進研ゼミ小学講座の特徴と効果的な利用法
算数に苦手意識のある子を「算数好き」にする通信教育としてRISUが注目を集めています。
ゲームのようにステージをクリアすればするほど算数の問題を解けるようにしていくシステムです。
小学校の勉強先取りはもちろん中学受験の問題もたくさんあり、RISUの会員で四谷大塚の全国小学生学力テストやSAPIXの模試で全国1位を取っている子も出ています。
費用のシステムが分かりにくいので、その解説も含めて下記の記事で紹介しています。
今通っている塾のカリキュラムが合わないと感じたら、転塾することも視野に入れてみましょう。
3-4年生くらいならともかく、6年生からの転塾だと心理的ハードルを高く感じるかもしれません。
ですが、6年生で転塾しても特に大きな問題はありません。大手中学受験塾なら、5年生までで中学受験のカリキュラムがほぼ終わっているからです。
転塾後にむしろ成績が上がる子もたくさんいます。
※関連記事:中学受験生が6年生で転塾するのは大丈夫か
「受験をやめよう」と決めたら、何に気をつければいいかお伝えします。
受験をしないと決めるときは、
親だけでなく子どもと相談して決めているご家庭が大半です。
この調査によると、中学受験をやめると決めたのは
・「本人と親の意思」が83.3%
・「親だけの意思」は12.5%
でした。
子どもから「やめたい」と言ってきたり、
子どもの様子をみた親が「やめようか」と子どもに相談したようです。
親と子ども双方の意思が大切ですね。
受験をはじめたのもやめるのも、悪いことではありません。
受験をはじめたのは「子どもにとってそれが良いことだ」と考えたからですし、
受験をやめるのも「子どもにとってそれが良いことだ」と考えたからです。
受験勉強はだれもがするわけではありませんから、子どもに貴重な経験をさせてあげたのはとても素晴らしいことです。
「親が疲れてきたからやめるのは親の勝手なのでは…」
「経済的につづけられなくて子どもに申し訳ない」
と気に病む方もいらっしゃいますが、
その必要は全くないと私は思っています。
中学受験は親子の受験ですから、
親子ともにつづけられる状態でないならつづけないほうがプラスになります。
また、子どもが勉強に前向きになれなかったのは、
子どもにとって今が受験のタイミングではなかったのでしょう。
後ほど説明しますが、
イヤイヤの勉強であっても子どもが得たものは大きいです。
「誰も悪くない」という姿勢を子どもに言葉で伝えてあげましょう。
具体的には、
の2点です。
親の期待どおりにいかなかった場面もあったかもしれませんが、
子どもも親も精一杯の努力をした結果です。
子どもにも親御さん自身にも、
「よくがんばったね」
と伝えてあげましょう。結果は何であれ、努力は今後につながります。
また、努力をすれば意識や行動に何かしらの変化があります。
「受験勉強をはじめる前」と「受験をやめたとき」を比べてみましょう。
項目 | |
意識 | □自分のことは自分でしようとするようになった □できなくても簡単にあきらめなくなった □自分の感情をコントロールしようとするようになった |
行動 | □計算が速くなった □漢字を覚えた □解きなおしをするようになった □1週間の勉強時間が長くなった □テストの目標点数を考えるようになった □解けなくてもすぐに怒らなくなった □勉強のスケジュールを自分で考えるようになった・寝る支度を自分でするようになった □弟や妹のお世話を進んでするようになった |
上記の表は意識や行動の変化の一例を確認できる表です。
勉強をとおして自主性が育った子は、
弟や妹のお世話もするようになったり、
朝や夜の支度を自分でできるようにもなっていきます。
子どもはまだ自分を客観視するのが得意ではありません。
9-10歳くらいから自己客観能力が伸びてきますが、大人に比べるとまだまだです。
気づいた変化をメモするなどして、
子どもに伝えてあげられると良いですね。
受験をやめた後のことも相談して決めておきましょう。
勉強でもスポーツでも芸術でもいいのですが、
「次は〇〇をがんばりたい/できるようになりたい」
というものを決めてからやめるようにしましょう。
受験勉強をやめた後は自由時間が一気に長くなります。
自由時間が長すぎると張り合いがなくなってしまうという研究結果も報告されています。
(朝日小学生新聞2021年11月5日より)
次の目標を決めておけば、
受験勉強で培った努力する習慣をそのまま継続させることができます。
中学受験をやめた後はどうしたのでしょうか。
受験勉強をやめたらそれまでの努力が無駄になるかというと、そうではありません。
よくみられる意見をまとめると、下記のとおりです。
それぞれ説明します。
まず多いのは、「子どもに笑顔が戻った」という意見です。
受験勉強をはじめた当初は勉強に前向きな子が多いです。
ところが友だちと遊んだり、
読書やお絵描きなどのやりたいことを我慢しすぎた結果、
勉強が楽しくなくなって笑顔が少なくなることがあります。
中学受験をやめると、
これまで我慢してきたことをできるようになります。
子どもも楽しくなって笑顔がふえますし、
そういう様子をみると親としてもほっとしますね。
中学受験の勉強を1-2年もつづけると、
知らず知らずのうちに学習習慣が身につきやすくなります。
受験勉強をしている子と受験していない子とでは、日常的な学習時間に大きな差が出ます。
下記のグラフは、中学受験する・しないに関わらず、小学生が平日に何時間自宅で勉強しているかを調査した結果です。
この結果によると、小学校6年生は平日に1時間ほど勉強しているようです。
「中学受験をする小学校6年生」と比べてみましょう。
下記のグラフをご覧ください。
中学受験をする小学校6年生の平日の勉強時間は、
・1番多いのは3~5時間未満
・2番目に多いのは5~7時間未満
でした。2人に1人は平日に5時間前後も勉強しています。
受験しない子は平日1時間ですから、
5倍も勉強しているという結果になります。
イヤイヤの勉強であまり集中できていない時間帯も長かったかもしれませんが、
努力してつづけた結果、毎日長い時間勉強するのが当たり前になるかもしれません。
受験をやめた後にみられる、「自分で学習する習慣がついた」という意見はその現れだったと言えます。
中学受験で勉強した内容や頭の使い方は、そのまま高校受験の勉強に役立ちます。
「記憶力」「記述力」「応用力」「学習習慣」「勉強の仕方」など、
中学受験の勉強をとおして多くの力が身についているのです。
保護者の方や子どもの大きな努力のおかげで、
いつの間にか「学習の当たり前」のレベルがアップしています。
受験機会を中学受験から高校受験に延長したら、
「次はもっと納得のいく受験にしたい」
と思いますよね。
では、高校受験に必要なことは何なのかを確認していきます。
まずすべきことは、中学内容の先取りです。特に英語・数学の勉強に早く着手しましょう。
高校受験でリベンジするには、中学校で良い成績を取る必要があります。中学準備は多くの人がしていますが、準備期間が長いほど中学校入学後に良いスタートを切れます。
高校入試の合否は、
「当日の学力試験」と「内申点」の合計で決まります。
※関連記事:高校入試で必要な内申点とは?内申点の出し方・あげ方を紹介します
内申点はほとんどの地域で中学1年生から3年生までが対象です。
つまり、中学に入って最初の中間テストから高校受験に向けた競争ははじまります。
ということは、早く対策をはじめた子のほうが断然有利なのです。
定期テストを有利にするために押さえておきたいポイントを2つお伝えします。
中学校の勉強を得意にしようと思ったら、
まず押さえておくのはやはり小学校の勉強です。
抜け・もれがまったくない状態にしておきましょう。
特に大事な項目を算数、国語、英語にしぼってお伝えします。
チェック項目 | |
算数 | ・計算を得意にしている (四則計算、分数、小数) ・割合、速さ、比の問題が解ける ・比例・反比例の問題が解ける ・三角形の種類や面積を求める公式を覚えている |
国語 | ・漢字を部首から覚えるようにしている ・主語や動詞などの国文法をひととおりわかっている ・長文を読むのに抵抗がない ・記述問題の解答の仕方がわかっている ・読書感想文などで原稿用紙の使い方をマスターしている |
英語 | ・単語の覚え方をマスターしている ・be動詞と一般動詞の使い分けができる |
これらはすべて、小学生の間にできるようになっておきたい項目です。
すべて中学校の定期テストや高校入試につながります。
もちろん、苦手なことは中学校の3年間で克服すればいいのですが、たくさん苦手があると勉強が追い付かなくなります。
小学生の間に1つでも多く克服しておきたいですね。
※小学校6年生の勉強で気をつけること、おすすめの問題集を紹介しています。
算数で気をつけること ・ 算数の問題集
国語で気をつけること ・ 国語の問題集
※単元ごとに苦手克服のための勉強方法を紹介しています。
【算数】
割合 ・ 比
速さ ・ 図形
【国語】
文章力アップの方法
文章力アップできる問題集
読解力アップの方法
読解力アップできる問題集
読書感想文の書き方(原稿用紙の使い方)
【英語】
英単語の覚え方
be動詞と一般動詞の使い分け方
前述のように、ほとんどの地域では中学校1年生の内申点(≒定期テストの点数)が高校入試の合否にかかわります。
最初の定期テストは「1学期中間テスト/前期中間テスト」です。
このテストで高得点(90点以上)を取るようにしましょう。
中学校の成績表には順位も載っています。
最初に高得点を取り上位に入れば、
上位のままいられるように勉強をがんばろうとします。
最初が肝心ですね。
※関連記事:中学校のはじめての中間テスト:いつから・どうやって対策するか
いかがでしょうか。
中学受験の勉強をはじめてから、
子どものモチベーションをみて受験撤退も検討するときがくるかもしれません。
子どもが自由時間を手に入れて元気を取り戻すだけではなく、同じ学年の子にくらべて学習習慣も身につきやすいというメリットもあります。
中学受験でした努力は次の高校受験に活かせます。
はじめるのも止めるのも子どもとよく相談して、少しでもプラスの方向になるようにしてあげたいですね。
また、これまで塾で対策されてきた方なら、対策する環境を変えれば状況を変えられるかもしれません。
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