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【中学受験】理科の計算問題を解くコツとおすすめの理科問題集:苦手克服できる対策方法

「理科は好きだけど、計算問題がなかなか得意にならない」
「志望校合格に向けて理科で取りこぼしをなくしたい」

このような課題を抱えていませんか?

中学入試の理科の計算問題は解き方がユニークなので、苦手になる人もたくさんいます。

ですが、理科を得意にした人は志望校にかなり合格しやすくなります。ぜひ計算問題を得意にしたいですね。

そこで、理科の計算問題の解き方や対策方法をまとめました。志望校合格に向けて、計算のコツをつかみましょう!

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中学入試理科の計算問題の出題傾向

最近の中学入試では理科の問題で計算が多くなっています。

例えば、奈良県の上位校である西大和学園中学校では問題の約半数が計算です。

下記画像のような飽和水蒸気の計算や、振動数の変化の計算、水溶液と金属の計算などが多く出題されています。

西大和学園中学校入試問題より

こうした出題パターンはほかの中学校でもみられます。

いくつかの共通する出題傾向を紹介します。

実験・観察問題でよくでる

まず、前述のように何らかの実験を行い、そこで発生する水蒸気量や濃度などの数字を求める問題が多いです。

グラフや表にある数字を使って解くのが一般的です。

条件を少しずつ変えて小問がつづく

中学入試の理科は、大問数が大体4つくらいです。大学受験の共通テストが6問で、高校入試も6問が多いのと比較すると、中学入試は大問数が少ないです。

全体的な問題数が少ないわけではなく、各大問で(1)(2)のような小問がつづきます。

特に計算問題をある大問では、(1)で計算して出した数字を使って(2)を解き、(2)で計算して出した数字を使って(3)を解き、…といった問題のつながり方をしていることが多いです。

(1)ではコップに入っている水溶液の濃度を求めるだけだったのが、(2)では別のコップの水溶液と混ぜてみたりと、小問ごとに条件が変わっていきます。

例えば下記の画像は東京の青山学院中等部の入試問題です。

青山学院中等部-入試問題より

(1)では物体をすべて水に沈めたときの重さを求め、(2)では物体を一部だけ沈めたときの重さを求めます。(1)と(2)で条件が少しだけ変えられています。

比例・反比例で解く問題が多い

前述の西大和学園中学校では飽和水蒸気量が変化している問題が出ており、青山学院中等部では水に沈めた物体の重さとこぼれた水の体積との関係を表す表が出ています。

このような、比例・反比例の関係になっている問題が多く出題されます。

中学入試理科の計算問題を解くコツ

中学受験に出てくる理科の計算問題を解くにはいくつかのコツがあります。

算数の計算と理科の計算は違う

算数は得意なのに理科の計算はあまり得意ではないという子がいます。

理科の計算問題と算数の計算問題は、下記のように解き方や考え方が異なります。

  • 算数の計算:数字を出すことがゴール
  • 理科の計算:実験結果を分析するために数字を出す

算数は計算方法が明確で、公式の選択と使い方を間違えないようにする必要があります。

一方、理科は実験結果を分析するために「何と何を比べればいいか」を考える必要があります。

こうした違いがあるため、理科の計算問題は勉強の仕方や解き方を算数とは別に工夫します。

問題条件を箇条書きする

まず、理科の計算問題が出てきたら問題文に設定されている条件を1つ1つ箇条書きするか線を整理しましょう。

  • 何を知るために
  • 何を求めればいいか

を明確にすれば計算しやすくなります。

理科の場合、「~を求めなさい」と問題に書かれていても、問題文が長いために何と何を使って計算すればいいかがわかりにくいときがよくあります。

例えば下記の画像をご覧ください。東京の男子校・海城中学校の入試問題です。問題用紙の1番上から1番下まで問題文で埋め尽くされています。

海城中学校・過去の試験問題より

この長さの問題文を初見で読み、設定されている条件を読み取って、なおかつ問題に解答します。

理科の問題は前提条件を明確にして条件をいくつも分岐させるため、問題文が長くなます。特に、最近の中学入試では読解力や思考力も求めるために以前よりさらに長くなってきています。

ちなみに、大学入試の共通テストはどの科目も前掲の問題文と同じかそれ以上の長さの問題がいくつも出てきます。あまりの長さで、「解く」より「読む」のに時間がかかって平均点が下がってしまうという現象もたびたび起きています。

問題文が長いと、その分、設定されている条件の数も多くなっています。文章のまま理解しようとするとややこしくなりますから、条件を1つ1つ箇条書きして比較しやすくしましょう。

場合に応じた解き方を確認する

問題ごとに設定されている条件が多種多様なため、それを求めるための計算方法も多種多様です。

算数にくらべれば公式は少ないですが、それでも数十通りあります。

例えば、てこの問題でも、「回転しようとする力を求める場合」と「水平につりあっているときの計算」では求め方が変わります。

計算する数字は2ケタの整数が多く、計算方法も複雑ではありません。どういう場合にどう計算すればいいか、計算の仕方さえわかれば計算ミスがでにくい問題です。

場合に応じた解き方を確認するようにしましょう。

※関連記事:中学入試の理科でよく出る計算問題の公式一覧とおすすめの計算問題集

基準にする数字を決める

理科の計算問題は条件が分岐していきますから、どれか1つを基準の数字にしてほかの数字と比較するようにすると計算しやすくなります。

例えば下記の画像は東京の豊島岡女子学園中学校の入試で出題された、「二酸化炭素と石灰水」の問題です。

豊島岡女子学園中学校・入学試験問題より

(1)では、二酸化炭素1Lを「どこにも逃げないようにして」「十分な量の石灰水」と反応させるという条件が設定されています。

これだけだと解けませんが、基準にする数字を1つつくると解けるようになります

問題文をみると2つの条件が見当たります。

  • リード文:二酸化炭素2.4Lを十分な量の石灰水と反応させると10gの沈殿ができる
  • 実験1:二酸化炭素の一部が逃げた

(1)の条件に合うのはリード文の内容ですから、リード文に書かれている「二酸化炭素2.4L→沈殿10g」を基準に問題を解きます。

2.4L:10g=1L:□g
□g=10÷2.4
□=4.16…

となります。四捨五入して小数第一位まで求めるので、二酸化炭素1Lで沈殿するのは4.2gだとわかります。

1つ基準を決めておけば、その基準を使って問題を解けます。

比・割合・速さの基本をマスターしておく

前項では比例式をつくって問題を解きました。この問題に限らず、理科の計算問題は比や割合を使って解く問題が多いです。

中学入試では理科も算数も比が最も中心的な役割を果たします。比の使い方に自信がない場合は比の演習をして、必ず「標準レベルまでは解ける」ようにしておきましょう

※関連記事:むずかしい「比」の対策法:苦手克服のコツ

水溶液の濃度を求める計算では割合も出てきます。「10%の食塩水200gに溶けている食塩の量を求める問題」などです。

200g×10÷100=20g

のように計算して求めます。小学校で習う計算方法で解けますから、苦手な人は軽く復習しておきましょう。

※関連記事:割合の問題の解き方:苦手克服のコツ

また、P波やS波が伝わる速さや震源までの距離を求める問題や、雷や花火の音が聞こえるまでの時間から音速や距離を求める問題もよく出てきます。

雷が光ったのをみてから5秒後に雷鳴が聞こえた場合に、雷は何km向こうにあるかを求める問題などです。

これらは速さを求める計算を使いますし、応用問題になると比が重要な役割を果たします。「は・じ・き」を使って解く方法だと応用問題でつまずきやすくなるので、早い段階で「は・じ・き」から卒業するようにしましょう。

※関連記事:速さの解き方のコツを解説:頻出3パターンの解法

表やグラフに慣れておく

ここまで紹介してきた問題のように実験・観察問題の出題が多いため、グラフや表・図がよく出てきます。表やグラフの見方に自信がない受験生もいますが、そういう受験生は「表やグラフを見ずに問題を解こうとしている」ことがよくあります。

入試に出てくる実験結果の多くは、問題で示されている表を見ないとわかりません。事前に暗記して解くものではありません。

(1)の問題だと、表やグラフを見ただけで答えがわかる場合もよくあります。勉強中は表やグラフを毎回見ながら問題を解くようにして、早く慣れるようにしましょう。

単元の知識をつける

理科の計算問題は、その単元の知識を網羅しておかないと解けないものがたくさんあります。

例えば下記の画像をご覧ください。神奈川県の洗足学園中学校の入試問題です。

洗足学園中学校・入試問題より

「青菜に塩」ということわざの意味を知った園子さんが、実際に青菜に塩をかけたらなぜしおれるのかを実験している問題です。

「青菜に塩をかけたらしおれる仕組み」について直接説明している中学入試理科の参考書はほとんどないでしょう。ですが、リード文を読みながら理科の知識を使えば解けます

理科は計算方法だけわかっていても解けない問題が多く、単元知識をきちんとつけるようにしましょう。

特に算数が得意な男子は、理科の勉強をちゃちゃっと終わらせようとする傾向があります。勉強スケジュールを保護者の方が組み立ててあげるなど、理科の知識のインプット・アウトプットの時間を作るようにしましょう。

※関連記事:【中学受験】勉強スケジュールの作成・管理方法

理科の計算問題はいつから対策すればいいか

理科の計算の勉強方法がわかったところで、ではいつから対策をすればいいかお伝えします。

結論から申し上げると、理科の知識のインプットをはじめたときに、計算問題の対策もはじめておきましょう。一問一答をしながら計算問題も対策しておくと、インプットした知識を使う練習も効率よく行えます。

算数の勉強に時間をかなり使わざるを得ませんから、学年や時期ごとの受験勉強にうまく組み込みたいところです。

4年生までは日常生活で理科と「比・割合」に慣れる

志望校によっても異なりますが、多くの受験生は5年生から理科の勉強を本格的に開始します。

理科の受験勉強を本格的にはじめる前に、4年生までは日常生活で理科の現象に親しみ、できれば興味を持つようにしておきましょう。

自宅に温度・湿度計を置いておき、温度と湿度を話題に出すようにします。冬になれば「今朝は湿度が30%しかないよ!」と話しかければメモリを読む練習になります。

加湿器をつければ飽和水蒸気量の話もできます。

あるいは、天気の図鑑や虫の顔のドアップの図鑑を広げれば、大きなインパクトに残るので理科に興味を持つきっかけになります。

※関連記事:【中学受験】理科のおすすめ問題集:3-4年生から最難関入試対策まで

丸暗記だけでは入試理科は解けませんから、3-4年生までに「どうしてこうなるのかな?」と興味を持って考える習慣づくりができれば、その後の勉強で非常に大きな助けになります。

5年生から入試レベルの計算問題集を使う

5年生になれば理科の受験勉強が本格的にはじまります。同時に計算問題の対策も本格化しましょう。

4年生までに勉強した中学受験内容で理科の計算は解けるようになりますが、「公式を当てはめて解くだけ」にならないよう、入試レベルの計算問題にも触れるようにしておきましょう。

条件の分岐の仕方や、それによる計算の仕方の変化に慣れておきます。

難関中学志望者は4年生からはじめる

理科を本格的に勉強するのは「5年生から」とお伝えしましたが、難関中学志望者は4年生からはじめるほうがいいです。

難関中学の理科は思考力問題の難易度がたかく、計算問題の克服にも時間がかかります

対策に数か月程度かかりますから、早めに対策をしておきましょう。

入試直前に最終チェック

入試直前の1-2か月は理科・社会の大幅な得点アップを見込める時期です。集中して取り組めば10-20点くらいのアップを期待できます。

なかなか覚えられない用語などもこの時期に勉強すれば短期記憶のままで入試に突入できますから、勉強量が入試の得点に直結しやすいです。

※関連記事:【中学入試理科】基本問題の一問一答
※関連記事:中学受験の理科で覚えやすい語呂合わせ一覧

計算問題もこのときに総チェックしておきましょう。公式の「もれ・忘れ」が1つ2つは見つかります。

※関連記事:理科の公式

中学入試理科の計算問題対策のおすすめ問題集

理科の計算対策におすすめの問題集を2冊紹介します。Amazonのリンクをつけているので、リンク先でお得に購入いただけます。

『中学受験 すらすら解ける魔法ワザ 理科・計算問題』


中学受験 すらすら解ける魔法ワザ 理科・計算問題

表・グラフの問題集はコチラ↓


中学受験 すらすら解ける魔法ワザ 理科・表とグラフ問題

入試前の実践力アップならコチラ↓


中学受験 すらすら解ける魔法ワザ 理科・合否を分ける40問と超要点整理 (西村則康先生の本)

出版社:実務教育出版
特徴:

本書は、次の3つの方針にしたがって作られています。

①問題を厳選してコンパクトにまとめること
②中堅校から上位校に頻出の問題に限定して、最難関校にたまに出題される、難問や奇問は一切入れないこと
③子どもが読んでわかりやすい解説であること

そして、物理・化学・生物・地学の4分野から、厳選して41項目の問題パターンを取り入れています。
それぞれが、近年の入試によく出題されているものばかりで、また一番点数の差がつきやすいレベルの問題です。
わずか41項目ですから、1項目30分を目処に学習を進めていくと、1日30分、41日で終わらせることができます。

実務教育出版より引用

『合格トレイン 理科 計算問題』


合格トレイン 理科 計算問題 (中学入試 合格トレインシリーズ)

出版社:英俊社
特徴:

①赤本5年分4,912題から良問を厳選しています。
②計算がよく出題される単元だけを集め,同じ解き方の類題を多数収録していますので,この1冊で計算問題を効率よく得点源にするための学習ができます。
③分野ごとに,標準的な問題から発展的な問題へと段階的に配列していますので,無理なく実力アップがはかれます。

英俊社より引用

使い分け方

『魔法ワザ』と『合格トレイン』の2冊を紹介しました。下記の表のように使い分けると、効率よく計算問題を得意にできます。

掲載レベル特徴おすすめの時期おすすめの人
『魔法ワザ』基礎~標準レベルまで計算問題の解き方を順序だてて丁寧に解説。計算問題が苦手な人に向いている。5~6年生:
基本的な知識にインプットが終わってから
・中堅校を志望している人
・上位校を目指す5年生
『合格トレイン』標準~最難関まで過去問から計算問題を大量に抜粋している。とにかく演習量を増やしたい人向け。4~6年生:
上位校志望者は4-5年生、
中堅校志望者は5-6年生
・計算演習を繰り返したい人
・最難関校で取りこぼしをしたくない人

中学入試で計算問題の重要性が増している

中学入試の出題傾向は最近大きく変わってきています。特に理科はその変化が大きいです。

計算問題が増えている

まず、以前にくらべて計算問題が増えています。

かつての中学入試の理科はほぼ「暗記科目」で、暗記すれば高得点を狙えました。

計算問題もありましたが、物理や化学がメインで、生物や地学では9割がた覚えるだけで良かったです。

ところが最近では生物や地学でも計算問題が増え、きちんと勉強しておかないと得点が伸びにくくなっています。

実験など理科の本質理解が問われる

計算問題の多くは実験・観察問題のなかで出てきます。蒸散や水溶液、滑車など出題範囲は非常に広いです。

実験・観察問題は設定される条件が多種多様なため、ただ計算演習をすればいいというわけにいきません。

  • 何を求めるために
  • どの公式をつかえばいいか

の2点を把握しておく必要があります。

理科の本質を理解したうえで数字を扱えるかどうかを問われています。

(1)の計算で間違うと大問1つが全滅する

理科の問題は、(1)で求めた数値を使って(2)以降の問題を解くものが多いです。

例えば、(1)で20℃のときの飽和水蒸気量を求め、その数値をもとにして(2)で10℃にしたら水滴がコップにつくかを答えるなど。

合格を取るには理科で高得点を取っておきたいですから、大問1つが0点になってしまうのは絶対に避けたいです。

求めるものや条件に応じて必要な公式を正しく使って解く力が必要です。

理科の計算問題以外の勉強方法や問題

ほかの科目の勉強方法や問題を下記の記事で案内しています。ぜひ、ご覧ください。

【算数】

「比」の解き方
割合の解き方
速さの解き方
平面図形・空間図形の解き方

【国語】

【中学受験】国語の勉強法と入試出題傾向を解説
【中学受験】国語長文読解を短期間で伸ばす勉強法
記述問題の書き方と勉強方法
おすすめの記述・作文問題集

【理科】

【中学受験】理科を得意にできる勉強方法
【中学受験】理科のおすすめ問題集
中学入試の理科によく出る問題の一問一答
中学入試理科でよく出る問題の語呂合わせ一覧

【社会】

【中学受験】社会で貯金を20点つくる勉強法を紹介
中学入試の社会によく出る問題の一問一答
【中学入試】社会によく出る年号・年代の語呂合わせ
【中学受験】社会のおすすめ問題集

まとめ

中学入試の理科でよく出る計算問題の対策方法とおすすめの問題集をお伝えしました。

計算問題は実験・観察問題で出題されることが多く、公式を覚えるとともに、単元知識を豊富にしておくと解きやすくなります。

また、算数で勉強する「比」「割合」「速さ」も理科の計算問題に不可欠です。

計算問題を得意にして、志望校合格にむけて理科で貯金をつくっておきましょう!

【下記リンクは難関中学受験対策で定番のZ会のHPです。6年生では「複雑な理科の計算対策」など特訓系の講座を受講できます。】

Z会の通信教育 中学受験コース

※Z会の中学受験コースのメリットや活用法を下記の記事で紹介しています。
Z会中学受験コースだけで難関中学に合格する方法

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福地 暁です。 個別指導の塾を経営しています。 これまで3000組以上のご家庭を担当させていただきました。 中学受験、高校受験、大学受験、英検・TOEIC対策、中学生・高校生の定期テスト対策など、さまざまな学習支援をしています。 みなさまの学びにプラスになる情報をお伝えしていきます! よろしくお願いします。 1男1女の父。 どうやら娘には「甘いパパ」と思われているようで、 アイスやジュースをねだるときは必ずパパのところにきます。

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