中学受験を乗り切り、これでもう勉強は大丈夫と思っていたら、私立中学の勉強についていけなくなった。どうしよう。。。
こんな心配な状況になってしまった私立中学生や保護者の方は多いのではないでしょうか。
中学入試で遊ぶのをがまんしていた分、受験終了後は「勉強から解放された」という気分にひたってしまう子もいます。
私立中学入学後もコツコツ勉強しているのになかなか結果につながらないという子もいます。
いずれのケースも、私立中学ならではの原因があります。
そこで、私立中学入学後の勉強で苦労している中学生やその保護者の方向けに、私立中学のカリキュラムの特徴に合わせた対策を紹介します。
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私立中学の勉強についていけない場合の対策
中高一貫校に入学したメリットを活かすためにも、中学校の間に勉強で苦労する状態は避けたいものです。
すでに苦労しているなら、少しでも早く中学校の勉強についていけるようにしたいところですね。
ゲームやSNSの時間を制限する
ゲームやSNSにハマってしまっているなら、時間を制限するなどしてスマホから離れている時間を取るようにしましょう。
成績が下がっているのにゲームをやめられないなどの状況がみられれば要注意です(NHK「やめられない怖い依存症」)。
映画をみる、オンライン授業を受ける、親子で散歩をする時間をつくるなど、「ゲーム以外の行動をする時間」を作るのもひとつの手段です。空白の時間があるとゲームやSNSをしたくなるでしょうが、ほかの予定があれば離れやすいです。
授業前に予習する
前述のように、中高一貫校のテストは難易度が高い傾向にあります。授業後の演習以外に、「授業前の予習」も授業内容を理解するのにとても役立ちます。
授業前日に10分ほど教科書を読み、1-2問解くくらいで大丈夫です。
基本的な内容が分かると、新しい単元でも「授業で集中して聞くべきポイント」と「すでに理解できているポイント」に分かれます。
すでに理解できているポイントは軽く聞いておくだけで大丈夫ですから、50分の授業中ずっと集中しておく必要はありません。
そもそも50分間ずっと集中しつづけたり、それを1日に何度も繰り返したりするのは大変です。「集中して聞く時間」と「軽く聞く時間」に分けられると自分の集中状態をコントロールして「本当に理解しないといけないポイント」に集中状態を持っていけます。
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集中のオン・オフの切り替えひとつで学習理解は進みやすくなります。
授業後に問題を解いてアウトプットする
授業内容が理解できたら、忘れないうちに問題を解きましょう。
脳には授業で聞いた内容がいったんしまい込まれています。適切な場面で引き出しやすくするには、問題に繰り返し正解して脳に「正しいアウトプット」を学習させる必要があります。
授業のあった日には問題集で復習しておきましょう。
演習量を増やす
難易度の高い問題は、1-2回解いたくらいではなかなか定着しないことがよくあります。
問題集で問題を解くときには単元名が書かれているので、解き方や知識を思い出しやすいです。ですが、テストでは各設問に単元名の記載がありません。
演習量を増やし、問題を解く順番を変えるなどしてしっかり定着させておきましょう。
人に説明して理解を深める
理解が深いと早く定着し、応用問題も確実に解けるようになります。理解を早く深めるには「人に説明する」のが一番効果的だとされています(キャリア教育ラボ)。
数学の関数や図形の応用問題、英語の英作文の問題、理科の実験問題など複雑なものほど「なぜその解き方をするのか」「なぜその解答になるのか」を説明してみましょう。
学校の行き帰りの電車で英単語を覚える
応用問題とは逆に、英単語の暗記のような単純作業については「すきま時間」を上手く使いたいですね。
学校の行き帰りの電車内で英単語の暗記をがんばっている中高生をよく見かけます。
電車移動はヒマな時間との戦いでもありますよね。英単語を覚える・思い出す時間にしてしまえば一石二鳥です。
1日のなかで勉強する時間を決める
テストの点数を上げるには、やはり勉強時間の確保が欠かせません。宿題以外に「プラスアルファの勉強時間」を1日1時間は取るのがおすすめです。
ただ、「いつでも良いから1日1時間勉強する」と決めても、実践するのは意外とむずかしいものです。
何時から何時までは勉強時間にする、夕ご飯のあとは勉強するなど、勉強する時間やタイミングを決めて毎日続けるようにしましょう。
新しい習慣をつくるのに平均66日かかると言われていますが、勉強するという高度な習慣だと数か月以上かかるのが普通のようです(みんチャレ)。まずは3週間、それができたら3か月がんばりましょう!
定期的に模試を受ける
定期テストの点数を上げるには、定期的に模試を受けるのもおすすめです。
模試と定期テストは違うのでは?と思われるかもしれませんが、模試の結果も重視して勉強するほうが結果的に定期テストで好成績を取りやすくなります。
定期テストに向けた勉強に特化しすぎると、どうしても「暗記」に偏りがちになります。
最近習った内容が中心ですから、あまり分かっていなくても正解できるケースがときどきあります。「理解する必要性」を感じにくくなるため、「テスト勉強=解き方の丸暗記」だと考えるようになってしまいます。
学年が上がっていくにつれて、前の学年で習った解き方や考え方を「応用」して解く問題が増えていきます。
ところが丸暗記に頼った勉強スタイルに慣れていると、「応用」ができません。
定期的に模試を受けると自身の単元理解度をチェックできます。理解していたつもりでも、あやふやな理解だと模試では正答率が下がります。
理解して解いているのか暗記で解いているのかを確認し、その後の勉強に活かしましょう。
市販の問題集を併用する
「学校の定期テストは教科書が中心」と言われますが、私立中だとテストの難易度は教科書を越えていることがよくあります。
問題の難易度が上がると、よく似ている問題でも解き方が少しヒネられています。理科で実験条件が1つ増えている。数学で2乗が3乗になっている。たったそれだけで問題の解き方が変わってしまいます。
テスト時間がたっぷりあるなら解けるかもしれませんが、テスト時間はかなりカツカツです。問題を見てすぐ解法が思い浮かぶようにしておかないと時間が足りません。
市販の問題集を併用して、「良く知っている問題パターンの幅」を広げましょう。
中学課程の問題は「知っていれば解ける」(知らないと解けない)ものが多いです。複数の問題集を使って解きなれてしまえば、テストでもスムーズに正解にたどりつきやすくなります。
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個別指導塾やオンライン家庭教師を活用する
私立中学の勉強は進み方が独特なため、市販教材では不十分な場合もあります。そんなときは個別指導塾がおすすめです。
1:1や1:2の授業を活用すれば「勉強したい範囲」をピンポイントに対策できます。
通信教育を活用する
私立中学は部活が遅くまでありますし、家に帰ればもう夜という人も多いですよね。そこから塾に行くのは時間的にも気持ち的にも大変だという人も多いです。
そんなときは通信教育が便利です。
中学受験でZ会やRISUを受講していた方はご存知でしょうが、通信教育を使いこなせば時間対効果の高い勉強ができます。
中高一貫校のカリキュラムの特徴に合わせた通信教育もあり、塾の充実度など自宅周辺の環境も踏まえて検討されてみてください。
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親子でじっくり相談する
最後に、小学生から中学生になると子どもが親の言うことを聞かなくなっていきます。中学入試のときはテストの直しや復習を子どもに指示したらがんばって勉強していたと思います。
中学生になると、「勉強しなさい」「普段からコツコツやりなさい」と言ってもなかなか勉強に乗り出さず、やきもきされている保護者の方は多いかもしれません。
そんなときこそ、子どもとじっくり相談する機会を設けられるほうが良いです。
「あれしなさい」「これしなさい」と指示するのではなく、子どもがどう感じているのか、なぜ勉強しておくほうが良いのかを「伝える・説明する」ようにします。
決して怒らず、「応援しているというスタンス」で臨みます。
もちろん、話し合いをすればすぐに子どもが勉強しだすというのは滅多にありません。ですが、伝えた内容が部分的にでも子どもの記憶に残ります。
行動するのは子ども自身ですから、無理に動かそうとしても動きません。厳しく叱っても、「叱られたくないから勉強する振りをする」のが関の山です。
この状態では英単語1つ覚えません。何回か作業的に書いて終わりです。何もしないよりはマシですが、ほぼ覚えていないので結局テストの点数はほとんど変わりません。
何より、子どもがもう少し成長してくると「親に叱られても無視すれば良いだけだ」と気づき、そこから長い長い反抗期がはじまります。
そのまま大学入試に突入して、いつまで経っても「親が悪いんだ」という人任せな、他責な姿勢から成長できない子もいます。
「応援する」という姿勢でじっくり待ち、子どもに責任を持たせて自覚を持てせるのもひとつの有効な手段です。
待つ時間が持てないとき(コース落ちしそう、退学勧告されているなど)は個別指導塾やオンライン家庭教師など、「ほかの大人」の力を活用して行動変容のきっかけを増やしましょう。
私立中学のテストで苦労する原因
私立中学の勉強についていくのは簡単なことではありません。定期テストで毎回平均点以下を取る子や、あるいは欠点を取ってしまう子もいます。
同じ入試を受けて合格しているので、入学時点では全員同じくらいの実力だったはずです。数か月もすると大きな差が開いていくのは、私立中学ならではの理由もあります。
テスト問題の難易度が高い(検定外教科書)
まず、私立中学のテストの問題は難易度が高いです。
授業や宿題で使用するテキストの難易度が高く、なかには中学課程では習わないような内容が含まれている教科書もあります(『ニュートレジャー』などの検定外教科書)。
定期テストは教科書から出題されますから、難易度の高い教科書を使っている私立中学では必然的にテストの難易度も高くなります。
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宿題しかしていない
テストの難易度が高いと、理解して解けるようになるには繰り返しの演習が欠かせません。ところが私立中学生のなかには宿題以外に勉強時間をあまり取っていない子もいます。
普段は学校の宿題を1日1時間ほどして、テスト数日前から1日2-3時間勉強するだけ。
これでは、基本問題は解けるようになっても応用問題をなかなか解けるようになりにくいです。
定着が甘い
学校の授業で理解したから自信があったのにテストで問題をみた瞬間、頭が真っ白になった。そんな経験をしたことはありませんか?原因は「定着の甘さ」です。
普段の演習量が少ないと、知識や解法がいまいち定着しません。習ったばかりだと、自分で感じている以上に「解きなれていない状態」です。
定期テストに出てくる問題の多くは、単に公式に数字を当てはめれば解けるような基本問題ではありません。公式や用語の意味などをしっかり覚えているという前提で応用問題がたくさん出てきます。
英文法や公式を思い出すのに手間取ったり、複雑な計算でややこしくなってしまったりしていると、テスト時間が足りなくなります。ミスも発生しやすくなります。
日ごろから「理解できた!」という場合でも2-3周は問題を解くようにしておきましょう。
ゲームやSNSに浸っている
中学生のなかにはゲームやSNSに毎日3-4時間浸ってしまっている子もいます。
ほとんどの人は発信者何か目的があって使っている、発信者側として活動しているわけではないでしょう。スマホがリコメンドしてくれる動画をひたすら眺めるなど、あくまで趣味として楽しむ程度だと思います。
趣味に平日3-4時間はやはり長すぎます。
ベネッセ教育総合研究所では読書時間と学校の成績を比較しています。その結果、小学生から中学2年生までは読書時間の長い子のほうが成績は上位でした。ところが、中3になると1日2時間以上読書をしているグループ内での成績の差はなかったようです。
つまり、1日30分や1時間程度なら読書をしている子のほうが成績上位ですが、2時間以上読書をしている子の間では成績差が見られなくなるのです。
なぜそうなるのかははっきりしていませんが、単純に1つの作業に没頭しすぎて勉強時間を取れていないからではないかと思います。
学習効果が高いと言われる読書でさえそうです。ゲームやSNSといった、直接勉強に関わらない活動だとなおさらです。
中学生の3人に2人は1日3時間以上ネットを利用しており(政府広報オンライン)、1日3時間以上ネット利用すると脳が成長しなくなるという調査結果もありました。
好きなことであっても、ほどほどがちょうど良いのかもしれません。
理解が追い付いていない
問題の難易度が高い割に勉強時間が短いと「知識や解法が定着しづらくなる」、と説明しました。
そう説明すると私立中学生のなかには「十分に定着していなくても理解できているから大丈夫!」という、謎の自信(?)を持つ子もいます。そういう子は問題集を高い正答率で解けますが、テストになるとケアレスミスが頻発します。
「後で解説を聞いたらすぐ思い出した(だから大丈夫!)」と言う子も多いのですが、テストで解けなかった原因が「未定着」だけでなく、「解き方を間違って覚えていた」というケースもかなり多いです。
何回解いても、どの問題を解いても正解できるなら正しく理解できていると言えるでしょう。ですが、ときどき間違う、いきなり解くと間違いやすいといった状況が見られれば、「未定着」と「誤った理解」の両方が発生してしまっているかもしれません。
私立中学の勉強についていけないとどうなるか
私立中学には高校入試がありません。一部の学校には入試がありますが、ほぼ形式的なものであるか、コース選択のひとつの指標になる程度です。高校に上がれなくなることは少ないです(学校によっては毎年20名程度退学する場合もあります)。
だからといって中学生の間に勉強についていけなくなると、後々非常に困ったことになりかねません。
コースダウンする
最初に直面する問題は「コースダウン」かもしれません。
大抵の私立中学は2-4つくらいのコースがあります(コース制)。中学入試の成績や出願で所属するコースが決まりますが、ほぼ毎年(中学3年間で2-3回)コース間の入れ替わりがあります。
コースの入れ替わりの条件は学校によって異なりますが、ほとんどの学校では「定期テストの点数」が一番大きなウェイトを占めます。
コースダウンするとカリキュラムが変わり、大学受験で不利になることがあります。
退学させられる
学校によっては欠点(赤点)がつづいた生徒は年度末に退学させられます。私立中学は義務教育ではありません。
学校の友だちと離れて別の私立や地元の公立に転校しないといけなくなります。
多い学校だと毎年10-20名の退学者が出るところもあります。
補習中心の勉強になる
多くの私立中学では放課後に補習が行われています。定期テストの点数が一定以下だと、強制的に補習を受けさせられます。
定期テストで点数が振るわない状態がつづくと次第に通常の授業内容が理解できなくなっていき(例えば英語の授業で「これは補語になる」と言われても補語が何なのか分からないなど)、補習授業を受けないと通常の授業内容にまったくついていけなくなります。
この状態だと通常の授業は「置いていかれている」という悲しい気持ちを感じながら受けることになり、「ただ座っているだけ」「授業が終わるのを待っているだけ」という誰も得をしない状況になります。
補習を受けて初めて分かる状態ではなく、みんなが受けている授業で自分もちゃんと理解できる・ついていける状態がやはり望ましいです。
塾に通ってイチから復習が必要になる
普段の授業で理解できないことが増えてくると、もはや学校の補習を受けるだけでは追い付かなくなります。塾に通う、オンライン家庭教師を利用するなどの対策をしないと一人ではどうにも解決できなくなります。
※関連記事:中高一貫生はいつから塾に通うべき?
高校生になってから勉強でさらに苦労する
中学の間は比較的基本的な内容から教えてくれていても、高校に上がると急に授業中の説明がむずかしくなることがよくあります。基本的な内容の解説は省いて応用問題を解く解き方などに授業内容がすぐに移ってしまいます。
多くの中高一貫校では大学受験対策を重視しているので、大学入試問題を解けるようになるカリキュラムを考えてくれています。そのため、授業で扱う問題は応用レベルが多くなります。
結果的に基本的な内容の説明にあまり時間をさけなくなります。
こうなると、「授業で解説してもらったら分かる」という子も「授業の説明がそもそも理解できない」「今習っている単元は分かるけれど、以前の単元が分からないから解けない」という状態になっていきます。
学校の授業進度に合わせた勉強だけでなく、同時並行で復習を進めないといけなくなります。高校の勉強だけでも大変なので、さらに復習もするとなると時間的にもかなり大変になります。
思い描いていた大学進学(受験)がむずかしくなる
高校で勉強に苦労すると受験勉強どころではなくなるため、肝心の大学進学に大きく影響します。
復習しないといけない範囲があまりにも広いため、受験勉強に入る前に復習に相当時間を取られます。復習に1-2年以上かかる子が多いです。
現役での志望大学合格はハードルが高くなります。
中高一貫のメリットが小さくなる
中高一貫校のメリットはさまざまですが、多くのご家庭では「大学進学に強い」という点に魅力を感じられているのではないでしょうか。
高校生になって大学受験対策どころではなくなってしまうと、中高一貫校に入学したメリットが小さくなります。
せっかく中学受験で友だちと遊ぶのも習い事もあきらめて勉強をがんばったのに、この状態では本当に残念です。
まとめ
いかがでしょうか。私立中学生やその保護者の方向けに、中学校で勉強についていけなくなったときの対策について説明しました。
定期テストで欠点が続くとコース落ちしたり、退学勧告されることもあります。
授業の進みが速く、問題の難易度も高いというカリキュラムの特徴があるため、勉強の仕方は工夫が必要です。予習・復習のタイミングを変えたり、市販問題集を併用するなどして中学校の間に学校の勉強に追いついておきたいですね。
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