中高一貫校に通う中学生にとって勉強の困りごとのひとつは、「ちょうどいい数学の問題集が手に入らない…」ということではないでしょうか。
市販の問題集はほとんどが公立中学生向けで、進度や難易度も異なります。どれを使えばいいかよく分かりにくいですよね。
中学生の間に数学が苦手になってしまうと、苦手なまま高校生になってしまいがちです。大学受験で数学が足を引っ張ってしまうと厄介ですから早めに数学の対策をしておきたいですね。
そこで、中高一貫校の中学生におすすめの数学問題集を紹介します。中学課程・高校課程に分けているので、学校の進度に合わせてお選びください。
また、中高一貫の数学の勉強のコツもお伝えします。
※関連記事:中高一貫生におすすめの社会の問題集
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私立中高一貫の中1-2におすすめの数学問題集9選(中学課程)
まず、私立中高一貫の中1・中2におすすめの数学問題集を紹介します。
ここで紹介するのは「中学課程用」です。多くの私立中高一貫校では中2までで中学課程を終えるので、目安として中2までの方はこちらの問題集がおすすめです。
※関連記事:私立中学の勉強についていけない場合の対策
『中高一貫教育をサポートする チャート式体系数学』
1冊目はチャート式です。学校で使用している人も多いでしょう。(学校で使っている場合はこの後におすすめしている問題集を検討ください。)
チャート式の良いところは何といっても「中高一貫の中学生向けに作られている」という点です。公立中学ではあまり出てこないようなハイレベルな問題も多数掲載されており、私立中高一貫の定期テスト対策に非常に使いやすいです。
学校の問題集と並行して進めるか、テスト数日前から最終チェックとレベルアップのために使うのがおすすめです。
代数1↓
幾何1↓
代数2↓
幾何2↓
出版社:数研出版
『実力をつける,実力をのばす体系数学 パーフェクトガイド』
つづいても体系数学です。教科書傍用の参考書で、問題の解説が載っています。
テストの成績をあげる一番の近道は「教科書内容の理解」です。学校の授業で解説してもらったらすぐに問題を解いてみて、解き方が分からないものがあればこの「パーフェクトガイド」で確認しておきましょう。
学校で体系数学の教科書を使っていて、平均点以上を目指す人に特におすすめです。学校の授業範囲に合わせて代数1・幾何1、代数2・幾何2をそろえておくと便利です。
代数1↓
幾何1↓
代数2↓
幾何2↓
出版社:数研出版
『新Aクラス 数学問題集』
こちらの問題集も、体系数学ほどではありませんが私立中学でよく使われています。中高一貫の先生たちで作成された問題集で、公立中学では習わない内容も含まれています。
私立中学の難易度やカリキュラムに合った問題構成です。学校では問題演習量を補うための副教材として使われることもよくあります。
難しい問題も多く掲載されていますが、決して難問ばかりではありません。標準レベルからステップアップしていけるように幅広い難易度の問題がちりばめられています。
代数↓
幾何↓
出版社:昇龍堂出版
『数BEKI』
3冊目に紹介するのは「数BEKI」です。こちらも新Aクラスや体系数学同様に私立中学でよく使われています。
こちらの問題集は応用レベルの問題中心です。問題量が多く、解説がシンプルなので、「応用レベルの問題を大量に解きたい人(応用問題を得意にしたい人)」に向いています。
数学が苦手な人は体系数学や新Aクラス、あるいはこの後に紹介している「新中学問題集」のほうが解説がくわしいので使いやすいです。
幾何Ⅰ↓
幾何Ⅱ↓
代数Ⅰ↓
代数Ⅱ↓
出版社:教育開発出版
『中学 自由自在 数学』
つづいては「自由自在」です。
中学受験で使用された方もいらっしゃるのではないでしょうか。標準レベルから難関レベルまでカバーしている定番シリーズです。
このシリーズの良いところは「問題量や解説が圧倒的に多い」という点です。中学生用は参考書と問題集あわせて900ページ近くもあります。問題のレベルも広く、基礎レベルから応用レベル、思考力問題まであります。
どのレベルにも対応できる幅広さも人気の理由のひとつです。
学校の問題集を解いた後に同じ範囲を自由自在で解く、学校の問題集で分かりづらかった範囲だけ自由自在を参考にする。などの使い方がおすすめです。
参考書↓
問題集↓
出版社:増進堂・受験研究社
特徴:
≪最新の教科書改訂版に対応≫
Amazonより引用
この1冊で、中学3年間の数学を完成
~定期テスト対策から入試直前まで使える問題集~
中学3年間の学習内容を全てカバー、
3つのステップで基礎から難関レベルまで段階的に実力アップ。
この1冊で、中学の数学が完成できます。
≪力がつく3つのステップ≫
STEP 1:しっかり基礎を確認、空所補充問題の「まとめノート」
STEP 2:基礎~標準の入試問題レベルの「実力問題」
STEP 3:標準~難関の入試問題レベルの「発展問題」
『最高水準問題集』
つづいては、「最高水準問題集」シリーズです。こちらも難関校受験の定番です。
公立中学生向けの内容ですが、私立難関高を目指す人向けで高校内容も一部含まれています。思考力問題が多いのも特徴です。
中1~中3まで学年別に分かれており、学校の定期テスト範囲に合わせて学校の問題集と並行して進めやすいです。
なお、「最高水準問題集」と「最高水準問題集 特進」に分かれており、「特進」のほうがハイレベルです。最難関高校の入試レベルに合わせています。
「新中学問題集」を使っている学校なら「最高水準問題集」、
「体系数学」を使っている学校なら「特進」のほうがおすすめです。
中1↓(幾何:空間図形の面積・体積まで、代数:資料の整理まで※1次関数含まない)
中1ハイレベル↓
中2↓(幾何:合同まで、代数:確率まで※一次関数含む)
中2ハイレベル↓
中3↓(幾何:円・三平方の定理まで、代数:2次関数まで)
中3ハイレベル↓
出版社:文英堂
特徴:
■実力をのばす2段階構成
Amazonより引用
各単元とも入試レベルの「標準問題」に加えて難しい「最高水準問題」の2段階構成になっており、確かな力を身につけることができます。
■豊富な発展的内容
良問を厳選し、重要問題には「重要」マークを、とくに難しい問題には「難」マークをつけていますので、問題を解きながら出題の傾向とレベルをつかむことができます。
■解答に役立つ情報を多数掲載
「標準問題」には学習内容の要点をまとめた「ガイド」を、「最高水準問題」には問題を解く糸口となる「解答の方針」を示しました。わからない問題に出合ったときも、自分で考えて解けるようにしています。
■□ 解答・解説は、別冊(64ページ)になっています。□■
『チャート式 難関校受験対策 ハイレベル中学数学問題集』
難関国公立・私立高校入試対策用の問題集です。全30回分のテストが掲載されています。
定期テストなら解けるのにテスト範囲が広い実力テストになると点数が下がる、という人は多いです。限定された範囲が出題される定期テストにくらべて、実力テストは広い範囲で高い定着度が求められます。
この問題集は問題の配列がランダムで問題の掲載範囲も広いため、中2の夏・冬休み明けの実力テスト対策に便利です。
問題冊子より解説冊子のほうが分厚く、一人でハイレベルまで勉強できます。
出版社:数研出版
特徴:
難関高校を受験する人に最適な、入試本番を見据えた実戦的な問題集。
Amazonより引用
問題はランダム配列で、1回5問の実戦テスト形式です。目安時間もあるため、本番を意識した実戦的な勉強ができます。問題のレベルによって「標準」「発展」「難関」の3段階のコースに分かれており、実力に応じた演習が可能です。標準は15回分の公立高校入試レベル、発展は15回分の中堅私立高校入試レベル、応用は20回分の難関国公立・私立高校入試レベルの問題を掲載しています。別冊解答編には、問題の答のほか問題の考え方や詳しい解説を掲載しています。解法の過程を確実に押さえることで、難問に対するアプローチの仕方が身につきます。本冊112ページ、解答編152ページ。
『数学 難関徹底攻略700選』
こちらも難関校の入試対策用の問題集で、実力テスト対策に向いています。
公立中1・2の範囲の章と入試対策の章に分かれています。多くの私立中高一貫校では公立中より進度が早いので、中2夏休み明けの実力テスト対策から活用できます。
入試対策の章は秀逸で、しっかり考えないと解けないような発展問題・思考力問題の良問がそろっています。
良問を数多く解くと、数学的思考力が伸びていきます。私立難関高校の入試だと高校課程の範囲も一部含むため、中高一貫校中学生の数学の実力を上げるのに役立ちます。
出版社:東京学参
特徴:
中1・中2の確認から入試までこの1冊で! ! 難関校の数学・最新入試問題を700問厳選。 問題の2倍以上の充実した解説を収録しているため、家庭でもじっくり取り組めます。 高度な思考力と応用力が必要となる難関数学を攻略するための一冊です。最後の章は全範囲からの模擬テストです。学習の成果を確かめることができます。
Amazonより引用
【書籍の特長】
●難関校の数学・最新入試問題を700問厳選
・難関校の過去の入試問題、また難関校に匹敵する高度な内容も取り入れています。
●数学が苦手な人にもおすすめ
・解答では基本的な考え方から説明し、問題によっては2、3通りの解法も紹介。
・得意ではない人でも十分に理解できるよう、図説も多く取り入れています。
●模擬テストを収録
・最後の章は、問題集で学んだ全範囲からの模擬テストです。
・時間内でより高い点が取れるよう、繰り返し挑戦しましょう。
『新中学問題集 数学』
9冊目は「新中学問題集」です。
個別指導塾で中学受験をされた方は、『新小学問題集 ステージⅠ/Ⅱ/Ⅲ』か『中学入試の攻略』という問題集をおそらく使われていると思います。
それと同じシリーズの中学生版です。
難関高を志望する公立中学生向けで、公立中の定期テストのレベルを越えた問題も多数出てきます。教科書に載っていない内容も一部掲載されています。
さらにこの問題集の良いところは、記述問題や思考力問題が豊富にあるという点です。
私立中高一貫校や個別指導塾でも、「体系数学」と並んで中高一貫校の中学生によく使われる問題集です。「体系数学」よりやや易しいです。
最難関中学の生徒には「発展編」のほうがおすすめです。「体系数学」と同等くらいの難易度です。
中1↓
(幾何:空間図形の面積・体積まで、代数:資料の整理まで※1次関数含まない)
中1発展編↓(「体系数学」と同等くらいのレベルです)
中2↓
(幾何:合同まで、代数:確率まで※一次関数含む)
中2発展編↓
中3↓
(幾何:円・三平方の定理まで、代数:2次関数まで)
中3発展編↓
出版社:教育開発出版
体系数学、数BEKI、新Aクラスの比較
中高一貫でよく使う体系数学、数BEKI、新Aクラスの難易度や問題量を比較します。
体系数学の難易度、問題量
この3種類のなかでは体系数学が最も難易度が低いです。問題量も少なめで、定期テスト対策としてはやや物足りないくらいです。
メイン教材として使うよりも学校の問題集と併用するほうが使いやすいでしょう。基本・発展に分かれているので、自身の実力に合わせて選べます。
数BEKIの難易度、問題量
数BEKIは体系数学よりも難易度が高く、問題量もやや多いです。ただし、難易度が高めの問題にやや偏っているのと、解説がそれほど丁寧ではない(基本的な内容は省略されている)ので、数学が苦手な人には向いていません。
定期テスト対策用としては、数学が得意な人のメイン教材としてサブ教材としても便利です。
新Aクラスの難易度、問題量
新Aクラスの難易度は、体系数学~数BEKIくらいです。問題量が多く、標準レベルから難問まで掲載されています。そのため、数学があまり得意ではない人も得意な人も、問題のレベルを選択して使えます。
定期テスト対策のメイン教材としては非常に便利です。
中高一貫校舎の中3におすすめの数学問題集4選(高校課程)
一部の私立中高一貫校では高校課程に入ります。(中3で中学課程を習っている学校も多いので、その場合は前述の中1・中2用問題集からお選びください。)
高校課程に入った私立中3におすすめの数学問題集を紹介します。
『黄/青チャートⅠA』
最初に紹介するのは「黄チャート」です。「体系数学」の高校課程版で、黄色と青色がよく使われます。
最大のおすすめポイントは「解説がくわしいこと」です。問題ページが500ページほどあるのですが、その半分ほどは例題の解説に割かれています。しかもpracticeやexerciseなどの問題解説ページが別に300ページほどあります。
解説を読みながら予習に使えるくらい解説がくわしく、一人で数学の勉強を進められます。
なお、黄チャートと青チャートは問題の難易度が極端に変わるわけではありませんが、黄チャートのほうが標準レベルの問題が多めです。
また、例題→practice(類題)でレベルの変化の仕方が異なります。黄チャートのpracticeは例題とあまり変わりませんが、青チャートのpracticeは例題にひとひねり加えられています。
青チャートのほうが国公立二次試験のレベルに近いので、東大・京大と医学部の一部大学(慶應、単科大学など)以外のほとんどの難関大学二次試験レベルまでほぼ対応しています。
中学課程の「体系数学」の「演習問題」でちょっと苦戦した人には黄チャート、サクサク解けた人には青チャートがおすすめです。
黄チャートⅠA↓
青チャートⅠA↓
出版社:数研出版
特徴:
2022年度実施 新学習指導要領対応】入試本番で実力を発揮する参考書
■入試本番で役立つ問題の解き方と自ら考える意識が身につく
本書では2種類の問題アプローチ方法を示すことにより、入試本番で役立つ技能と考え方を習得することができます。問題の重点や急所はどこか、問題を解くための方針を何に着目してどのように立てるか、問題を解くためのポイントとなる式が何かを詳しく説明しています。これらの内容は本書のCHART & SOLUTION、CHART & THINKINGで示しています。この2つがチャート式の真価を最も発揮しているところです。受験科目に数学を選択し、中堅・難関大学合格を目指す人は本書での学習が目安となります。■コンパクトに学ぶことができる網羅型
教科書レベルの日常学習から大学入試標準レベルまで幅広く対応した網羅型の参考書です。同タイプの問題を学習効果が高くなるように配列しています。教科書や受験勉強などで解き方がわからない問題がある場合は、同タイプの問題を探して解法を確認することができます。辞書的に使えることも本書の特徴です。
本書では目的に合わせて問題数を絞って効率よく学習を進めることができます。
●スタンダード
●パーフェクト
●大学入学共通テスト準備・対策
上記3つのコースから選択することができ、限られた時間の中で勉強する受験生におすすめです。■解説動画が志望校合格への突破口
Amazonより引用
参考書をご購入頂くことですべての例題の解説動画をお手持ちのスマートフォンで見ることができます。数学講師による講義形式の解説で、理解できなかった疑問点を解消することができます。自分の都合に合わせて、いつでも、どこでも、なんどでも、無料で授業が受けられます。志望校合格を絶対に諦めない受験生をサポートします。
『Focus Gold ⅠA』
つづいて紹介するのは「Focus Gold」です。問題量が膨大で、1冊完ぺきにやり切った人が少ないことで有名です。
基本レベルから国公立二次試験レベルまで、幅広く掲載されています。前述の青チャートのレベルと同じかやや超えるくらいまで含まれます。
解説が極めてくわしく書かれており、問題冊子より解説冊子のほうが分厚いくらいです。
すべての問題を解くよりも、学校の問題集で「ちょっと苦手かな」と感じる範囲だけfocus goldの問題を解くのがおすすめです。
なお、学校でFocus Goldを使う場合は前述の黄チャート・青チャートの併用がおすすめです。
出版社:新興出版社啓林館
特徴:
数学の本質を理解し,確実な学力を身につける
Amazonより引用
基礎から応用まで、学習の流れを意識した6段階構成
ていねいな解答・解説で、数学の考え方が身につく「マスター編」
入試問題をていねいに解説した「チャレンジ編」
3種類の充実したコラムで、理解を徹底サポート
下記の2点が付属します。
・詳しい解答を掲載した別冊解答編
・公式集
『高校数学Ⅰ/Aをひとつひとつわかりやすく。』
最後に紹介するのは「ひとつひとつわかりやすく」シリーズです。
基礎の基礎から丁寧に、はじめてこの範囲を勉強する人にもわかるようにイラストも交えながら解説してくれています。解説している範囲も基本的なところまでなので、学校の授業を受ける前に予習用に使っている人も多いです。
なお、一応問題集ですが問題数は少ないです。教科書やほかの問題集と併用するようにしてください。
数Ⅰ↓
数A↓
出版社:学研プラス
特徴:
【★ご確認ください★こちらの商品は2022年度以降にご入学された方が対象の商品です。2021年度以前にご入学の方は2022年度1月以前に発売している旧版商品をお買い求めください。】「数学のテストでなんだか点が上がらない」「高校に入ってから数学がわからない…」
そんな声にこたえた高校生のための個人授業「ひとつひとつわかりやすく。」シリーズ。高校数学を超基礎レベルからやさしく解説。少しずつ、効率よく学べるようにわかりやすい解説(左ページ)+書き込み式の練習問題(右ページ)が見開きで勉強できる。参考書としても問題集としても使える。高校生の予習・復習はもちろん、社会人の学び直しにも大活躍。
Amazonより引用
『細野真宏の数学嫌いでも「数学的思考力」が飛躍的に身に付く本!』
最後に紹介するのは「数学的思考力」を身につけるためのヒントを教えてくれる本です。数学的思考力とは何か、どう考えるようにすればいいのかがくわしく書かれています。
タイトルだけ見れば「読むだけで数学的思考力が身につく」ように思えます。その点は個人差があるかもしれません。
数学が苦手な人はぜひ読んでみて、「数学的ってどういうことか?」を知っておくとその後の数学の勉強での理解度が変わってきます。
出版社:小学館
特徴:
少しの努力で飛躍的に頭が良くなれる“究極的な秘密”が「数学的思考力」
だった!!
650万部突破の、数学、経済、投資など、数々の分野で大ベストセラーを
生み出したカリスマ受験講師が、初めて明かした「最強の思考法」と
「最強の勉強法」!!「どうすれば数学が得意になれるの?」
「どうすれば経済のニュースが簡単に分かるの?」
「どうすれば自分の考えを分かりやすく話せるの?」
「どうすれば文章をうまく書けるようになるの?」
・・・それらの答えは「数学的思考力」を身に付けることだった!
数学、経済だけでなく、
Amazonより引用
ビジネス、日常会話など、あらゆる分野に応用できる「数学的思考力」を、
どんな数学嫌いな人にでも分かるように解説!
この一冊で、あなたも驚くほど飛躍的に思考力が磨かれる!!
中高一貫の数学の特徴
私立中高一貫の数学のテストはそれぞれの学校・学年の先生が作成します。その先生のイロがある程度反映されますが、それでもいくつか共通してみられる特徴があります。
その特徴を知っておけば対策の仕方も取りやすくなります。
計算問題が少ない
まず1つ目の特徴は「計算問題の少なさ」です。
公立中なら1学期の定期テストで問題の5割くらいが計算です。難関私立中になるほど計算問題は少なくなり、全20問のうち計算は4問だけというのもよくあります。
計算問題を取りこぼしてはいけないのはもちろんですが、そもそも「計算問題は正確に解けて当然」という性質のテストであると言えます。
応用問題中心の問題構成
計算問題が少ない代わりに、文章題や関数・図形の応用問題の割合が高いです。
文章題や図形でも小問が多いと、問題の誘導に乗って解答しやすくなります。(1)で出した解答を使って(2)を解くなど、1つの小問が次の小問のヒントになっています。
ところが私立中の問題は小問が少なく、解き方を最初から最後まで自分で見つける必要があります。
図形は比を使って解く問題が多い
中学入試の算数もそうですが、図形の応用問題は「比」を使って解くものが多いです。
辺の長さの比を使って面積の比を求める問題や、箱に沈めた鉄球の体積を水の深さと比を使って求める問題などが多いです。
比に苦手意識を持っている人にとっては悪夢のような問題かもしれません。
思考力問題も出る(問題集に載っていない問題も出る)
「定期テストは教科書から出るから、教科書をしっかり解いていれば大丈夫」とよく言われます。
ほとんどの公立中や、私立中でも勉強以外に力を入れているコースならこの勉強法は有効です。ですが、難関大学を目指すコースでは教科書に載っていない問題もよく出されます。
問題の性質をみきわめ、いくつかの応用問題の解き方を利用して考えて解く必要があります。
そうした問題では解法を暗記しただけだと解けません。解き方を誰かに説明できるほど正確に理解できるまで勉強しておくようにしましょう。
定期テストで高得点を取るための勉強法とスケジュール
定期テスト2週間前から始める数学勉強計画
中高一貫校の数学は、公立中に比べて進度が速く、内容も難しくなりがちです。定期テストで安定して得点するには、「段階的な勉強計画」が欠かせません。以下のように、2週間前から逆算して取り組むことが理想です。
STEP1:教科書・配布プリントの復習(1週前)
対象期間:テスト2週間前〜1週間前
- 学校で配られたプリントや授業ノートを見直し、出題範囲を正確に把握。
- 「先生の板書」や「口頭でのヒント」はテストに出やすいため、重点的にチェック。
- 教科書の例題をもう一度解き直すことで、基礎の抜け漏れを防げます。
☑ポイント:この時期は「インプット重視」。解けなかった問題は印をつけておき、次の段階で重点的に復習します。
STEP2:問題集で演習(5日前〜3日前)
対象期間:テスト5日前〜3日前
- 市販問題集や学校指定の問題集を使って、実戦演習に入ります。
- 出題されやすい単元(例:関数のグラフ、方程式の応用、証明問題など)を中心に解きましょう。
- 1日ごとに「関数の日」「図形の日」など、テーマを決めて取り組むと効率的です。
☑ポイント:「解きっぱなし」にしないこと。間違えた問題はノートにまとめて次のSTEPで活用。
STEP3:苦手単元の集中特訓(直前2日)
対象期間:テスト前日・前々日
- これまでに印をつけた「苦手問題」「間違えた問題」だけに集中。
- 同じミスを繰り返さないように、解法の流れや考え方を声に出して確認。
- 必要に応じて、講師や友達に質問し、疑問を解消しましょう。
☑ポイント:焦って新しい問題に手を出すより、「自分が間違えた問題の理解」に専念するほうが得点に直結します。
間違えた問題はどう復習する?ノートの使い方
「解き直しノート」は数学力アップのカギです。
- 間違えた問題をそのまま貼り、どこでミスしたかを言語化(式ミス・公式忘れ・問題の読み違いなど)。
- 正しい解法を書き直し、一言メモ(気をつけるポイント)を添える。
- 同じタイプの問題を1つ付け加えて「もう一度自力で解く練習」にするのが理想です。
時間がないときの優先順位と対策方法
部活や他教科で忙しい中高一貫生にとって、効率的な優先順位の判断は重要です。
時間がないときの優先順位
- 授業プリントやノートの復習(先生の出題傾向に対応)
- 定期テスト用問題集の基本〜標準レベル
- 苦手単元の演習と見直し
- 応用問題・難問(時間に余裕があれば)
短時間で効果を出す工夫
- 10〜15分で1テーマを終わらせる「集中タイマー勉強法」
- 通学中やスキマ時間に解法パターンをスマホで確認
- 過去のミスノートを見返す「アウトプット学習」
中高一貫生がつまずきやすい数学単元とその克服法
方程式・関数・図形・文章題のつまずきポイント
単元 | よくあるつまずき方 | 克服のポイント |
---|---|---|
方程式 | 計算ミス・移項のミス | 暗算せず1行ずつ丁寧に書く |
関数 | グラフの意味が分からない、式の立て方が曖昧 | 「変化の割合=傾き」「切片=初期値」を視覚化して整理 |
図形 | 証明問題で何を書けばよいか分からない | 型(仮定→理由→結論)で練習する |
文章題 | 日本語の意味を数式に置き換えられない | 「キーワード→式」の変換訓練を重ねる |
「文章題が苦手」な生徒への具体的アドバイス
文章題が苦手な生徒は、「何を求めるのかがわからない」「式が立てられない」という共通の悩みを持っています。
アドバイス1:登場人物・数量を線でつなぐ
「AさんはBさんより5歳年上」など、関係性を図にして視覚化すると式が作りやすくなります。
アドバイス2:問いに注目する
問題文の最後の1文(例:「Xの値を求めよ」)から逆算して式を考えると混乱しにくいです。
アドバイス3:日本語→式変換の訓練を毎日5分だけでも継続
例:「速さ×時間=距離」「代金=単価×個数」など、よく出るパターンの暗記→練習で自然と慣れます。
プロ講師が教える「点数につながる考え方」とは?
塾講師として多くの生徒を指導してきた経験から、以下のような「考え方のクセ」を身につけることがテストでの得点に直結します。
「なぜその解き方になるのか?」を常に意識
公式やパターンを丸暗記ではなく、「成り立ち」や「意味」から理解する習慣が大切。
計算を一気にやらない
途中式を省略しないことが、ミスを防ぐ最大のコツ。「途中式を書いたほうが速い」と教えています。
問題の「意図」を読む
難しい問題ほど、「どこでつまずくか」を出題者が想定しています。ひねりのある設問は先に全体像を読むことで、冷静に取り組めます。
【保護者向け】中高一貫の数学に不安を感じたときのサポート法
家庭での声かけ例とNGワード
中高一貫校の数学は進度も速く難易度も高いため、お子さんが「つまずいた」ときの保護者の対応が大切です。安心感を与え、前向きに取り組めるような言葉をかけましょう。
効果的な声かけ例
- 「一緒に振り返ってみようか。どこが分からなかった?」
- 「失敗するのは自然なことだよ。むしろ早く気づけてよかったね」
- 「前よりできるようになってきたね。頑張ってるの、見てるよ」
こうした声かけは、努力そのものを認めるスタンスがポイントです。
NGワード(避けるべき声かけ)
- 「なんでこんな簡単な問題ができないの?」
- 「他の子はもっとできてるのに」
- 「また同じミスしてるじゃない」
- 「こんなことで高校大丈夫?」
これらは、お子さんの自信を奪い、学習意欲を低下させる原因になります。特に思春期の中学生には逆効果になることが多いです。
塾に通うべき?問題集だけで足りる?
◆問題集だけで対応できるケース
- 自主的に学習習慣があり、復習をきちんとできる生徒
- 学校の授業と宿題、問題集を使って十分に理解できている場合
→ このような生徒は、定期テスト対策用の問題集だけでも高得点を狙えます。
◆塾を検討すべきケース
- 「分からない」をそのままにしてしまいがち
- 苦手意識が強く、勉強に対するモチベーションが低い
- 先取り学習についていけない、または理解が浅いと感じる
→ 塾では、分からないポイントをプロ講師が見抜き、的確な解説や復習の指導をしてくれます。また、勉強習慣の定着や学習意欲の向上にも効果的です。
☑アドバイス:まずは学校の授業・宿題・問題集の使い方を見直し、「それでも不安なら塾」というスタンスで十分です。
中高一貫校生専用の個別指導・オンライン教材の活用法
中高一貫校特有のカリキュラムに合わせた学習ができるかどうかは、一般的な塾や教材では対応が難しい場合があります。以下のような中高一貫生向けサービスが効果的です。
個別指導の活用(中高一貫対応)
- 中高一貫校対応の教材・指導ノウハウのある塾を選ぶ
- 自分の学校の進度・レベルに合わせてカスタマイズできる
- 集団授業が苦手な子、内申対策をしたい子におすすめ
オンライン教材の活用
- スタディサプリ中高一貫コース:1回15分の動画授業+確認テストで理解度チェック
- すらら/atama+/アオイゼミなど:AIや動画での個別最適学習が可能
- 学校帰りや部活後でも、自分のペースで学習できるのが強み
☑ポイント:特に部活や習い事で忙しい中高一貫生にとって、オンライン教材は時間の有効活用と学力維持の両立に役立ちます。
まとめ|中高一貫生の数学対策は「教材選び+勉強法」で差がつく
自分に合った問題集選びでテスト対策を効率化しよう
定期テストで結果を出すには、「なんとなく解いている」状態から、「目的をもって教材を使い分ける」学習への転換が重要です。
教材選びのポイント
- 自校の進度に合っているか(体系数学対応か、公立中準拠か)
- 解説が詳しく、解法が身につく構成になっているか
- 基礎→標準→応用と段階的にレベルアップできる設計か
☑アドバイス:1冊をやり切ることを意識し、「わかったつもり」で終わらせない仕組みづくりが大切です。
学年を先取りしている中高一貫校こそ、日々の積み重ねが重要
中高一貫校では、中3までに高校内容を先取りすることが多くあります。つまり、1つ1つの単元を「深く理解したまま進む」ことが最終的な得点力に直結します。
日々の積み重ねのコツ
- 授業の復習を当日中に5〜10分で確認
- 間違えた問題をそのままにしない
- 「理解→定着→活用」のサイクルを意識する
☑メッセージ:数学が苦手になる原因の多くは、「分からないまま先に進んでしまうこと」。中高一貫生こそ、「つまずきは小さいうちに対処」する姿勢がカギです。
※なお、中高一貫生におすすめの英語や社会の問題集を、以下の記事で紹介しています。
中高一貫校の社会のおすすめ問題集
私立中高一貫生におすすめの英語の問題集
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