「小論文の結論は序論と同じで良いの?」
「結論に何を書けば減点されない?」
このような疑問を持っている高校生は多いのではないでしょうか。
小論文は大学入試でよく出てきます。書き方に戸惑う受験生も多いですが、書きなれてしまえば高得点を見込める入試形態です。
そこで、この記事では小論文の結論の書き方を例文つきで解説します。
※関連記事:序論の書き出し方
小論文の結論とは?重要性を理解しよう
なぜ小論文の結論が重要なのか?
結論は、小論文全体の要点をまとめ、主張を明確に伝える役割を果たします。
入試採点者は結論を読んで、受験生が意見や考え方を整理して記述できているかを評価します。論理の一貫性を示し、主張を強調するために、結論の質は極めて重要です。
結論が合否に与える影響
小論文では「論理的思考力」「構成力」「表現力」が評価の基準となります。結論が不明瞭あるいは、本論と合っていないと全体の構成が曖昧になり、評価が下がる可能性があります。
一方、簡潔かつ明確な結論を書くと、回答全体に論理的なまとまりが生まれ、論旨が伝わりやすくなります。
特に大学入試の小論文では、結論をしっかり書くことが高評価につながります。
小論文の結論の書き方
小論文は3部構成が基本の形です。序論・本論・結論に分かれています。
そのなかで結論の書き方について説明します。
参考:総合型選抜専門塾AOI – 小論文の結論の書き方は?結論を書く際の4つの注意点と例文
3部構成の最後を締めくくる
序論・本論・結論のなかで、結論は最後にくるパートです。
序論→本論で主張すべきことはすべて主張しており、結論は意見(主張)の締めになります。
主張を再度明確に書く
最後にもう一度自身の主張を明確に述べましょう。
賛成/反対、課題への対策の仕方、資料から読み取れる傾向とその理由など、自分の意見や立場をはっきりさせます。
序論でも明確に述べていますが、最後にもう一度明確化しておくと論が引き締まります。
簡潔に書く(50~100字程度)
結論は最後の締めなので、長々と書く必要はありません。50~100字程度で簡潔に書きましょう。100字を越えても全く問題ありませんが、たくさん書くと全体の論旨展開があいまいになりかねません。
200字以内、400字以内などの短い小論文なら結論は省略しても大丈夫です。
結論の書き出しは定型で良い
結論の書き出しは定型にしておきましょう。以下のようなものが決まり文句です。
「以上より~と考える。」
「よって~と考える。」
オリジナルの表現でも問題ありませんが、定型文で書くほうが良いです。早く小論文を書き慣れますし、採点官も見慣れた形式なので違和感がありません。
小論文は減点方式ですから、「素晴らしい答案」より「減点されない答案」を書くようにしましょう。
序論と結論の違い
序論と結論ではどちらも自身の意見や立場を書きます。ですが、全く同じではなく、以下のような違いがあります。
小論文の結論で高得点を取れるコツ

結論は小論文全体の論旨を明確にするため、小論文入試で高得点につながりやすくなります。以下のポイントを意識すると、高得点を取れる結論を書きやすくなります。
結論に含めるべき要素
- 主張の再確認
- 小論文の本論で述べた主張を改めて簡潔にまとめる。
- 理由や根拠の要約
- 本論で述べた根拠のうち、最も重要なポイントを補足する。
- 読み手(採点官)に伝えたいメッセージ
- 今後の展望や問題解決の方向性などを示すと、説得力が増す。
シンプルで分かりやすい結論の作り方
- 冗長な表現を避ける
- 例:「〜であると考えられると思う」→「〜であると考える」
- 主張を簡潔に再提示する
- 例:「AIの発展は社会に多くの影響を与えるが、規制と活用のバランスを取ることが重要である」
- 新たな情報を入れない
- 結論では、新しい論点を提示せず、すでに述べた内容を要約する。
大学入試で高得点を得る結論のポイント
- 明確な立場を示す
- 結論で意見を曖昧にせず、明確に述べる。
- 論理の一貫性を保つ
- 本論の内容と矛盾しないように注意する。
- 具体的な提案を含める
- 「今後の課題は〜であり、〜のような対策が求められる」など、未来の展望を加えると評価が高くなる。
小論文の結論を書く際の構成上の注意点(例文付き)
前述のように小論文は3部構成の最後のパートです。
「最後だからこその注意点」を3つお伝えします。
字数稼ぎの書き方はNG(例文)
まず、字数稼ぎの書き方はやめておきましょう。
【例文】
「以上のように、企業における定年の上限年齢引き上げには賛成である。現在、多くの企業は定年を満65歳としているが、本論でも述べたように、70歳になっても就業意欲の高い高齢者は増えていることが資料から読み取れる。」
上記の例文では、「賛成」の立場を明確にしていますが、賛成の根拠として本論で主張した内容を再度書いています。
結論では、本論の内容をくり返す必要はありません。
本論と異なる内容はNG(例文)
本論と異なる内容や理由を結論で述べるのもよくありません。
【例文】
「以上のように、企業における定年の上限年齢引き上げには賛成である。先ほど述べた経済的観点からの理由以外にも、定年引上げによって高齢者の健康増進につながると考えられる。」
上記の例文では、本論で書いた内容とは別の観点からの主張を追加しています。
結論はあくまで序論→本論の「締め」なので、新たな内容を追加してはいけません。
設問で聞かれていない結論はNG(例文)
小論文はあくまで設問で聞かれた内容に対する主張を書きます。そのため、問われていない内容を書くのもよくありません。
【例文】
「以上のように、企業における定年の上限年齢引き上げには賛成である。そもそも、定年制度を設ける必要がないと考える。労働意欲があり身体が健康なら、いつまでも働きたいと考える人もいるのだ。」
上記の例文では、「定年の上限年齢の引き上げに賛成か反対か」を聞かれています。ですが、結論では「定年制度そのものに反対だ」と答えています。設問と解答がずれています。
このような「問いと解答の整合性」は、小論文で特に大きなポイントです。
小論文の結論の例文【良い例・悪い例】
高得点を得られる結論の例文
AIの発展で社会の利便性が高まる一方で、雇用や倫理の問題も引き起こされる。従って、AI技術の導入には慎重な議論が必要であり、適切な規制を整える必要がある。今後、人間とAIが共存する社会を築くために、技術の発展と社会制度の調整を両立させることが重要である。
ポイント
- 主張を明確に再提示
- 論理的なまとまりがある
- 社会的な視点を含めて発展性を持たせている
NG例と改善ポイント
AIは社会に大きな影響を与える。だからこそ、慎重に活用するべきである。これからの社会でAIがどのように発展するか注目したい。
改善点
- 主張が曖昧 → 「慎重に活用するべき」ではなく、具体的な方向性を示す。
- 根拠が不十分 → どのような点に慎重さが求められるのか明記する。
- 漠然とした結び → 「注目したい」という表現は、論文の結論として弱い。
改善後の例
AIの発展には多くの可能性があるが、倫理や雇用の問題にも配慮が必要である。そのため、政府や企業はAIの適正利用に向けたルールを整備し、社会全体でバランスを取ることが求められる。
小論文の結論を書く練習問題
それでは、ここまでお伝えした内容を踏まえて、小論文の結論を書く練習をしてみましょう。
例題①
【設問】
「小学校の宿題を禁止することで家庭での学習環境の不平等を改善しようとするフランスの試みについて、メリットとデメリットを提示しながら自身の考えを書きなさい。」
回答例
「以上のように、小学校の宿題禁止にはメリットもデメリットも存在する。地域社会との連携によってデメリットに対応すべきと考える。」
例題②
「「課題をどんどん先送りにしてしまうリスク」について、筆者の考えへの賛成・反対の立場を明確にしつつ、自身の考えを具体例を示しながら記述しなさい。)
回答例
「以上のように、課題の先送りはさらに悪い結果につながりかねないため、反対である。」
例題③
「地方の人口減少にともなう問題とその対策を論じなさい。」
回答例
「以上のように、地方の人口減少は地域インフラの崩壊につながりかねないため、計画的な集住を行うべきである。」
大学入試小論文のおすすめ参考書
大学入試小論文の勉強に役立つ参考書を紹介します。
書き方を丁寧に解説しているものから、多量に練習できるものまで選んでいます。
『改訂版 何を書けばいいかわからない人のための 小論文のオキテ55』
こちらは小論文の書き方をイチから解説してくれている参考書です。
小論文と作文の違いなど、小論文を書くにあたって知っておくべき内容にはじまり、「資料型小論文」では資料のどこを見れば小論文を書けるかといった「入試で役立つコツ」をたくさん紹介しています。
練習問題は少ないので、最初に読んだら別問題集で練習をし、ときどき「これってどうだったかな?」と気になったときに戻るようにしましょう。

改訂版 何を書けばいいかわからない人のための 小論文のオキテ55
出版社:KADOKAWA
『樋口裕一の小論文トレーニング 新装版』
つづいては、小論文問題集の定番です。小論文の書き方のイロハを学べます。
「小論文の種類ごと」に書き方を説明してくれています。
小論文の種類は、「課題文型」「テーマ型」「資料型」「教科型」といくつか分かれています。受験する大学によって異なるため、複数の大学を受験する場合、何パターンかの小論文を書きなれておく必要があります。
この問題集で早めにタイプ別の書き方を知っておけば対策がしやすくなります。
ただし、演習はあまりないので次に紹介する問題集を使って練習を重ねると良いです。

樋口裕一の小論文トレーニング
出版社:ブックマン社
『2025年受験対策 全国大学小論文入試 出題内容5か年ダイジェスト』
こちらの問題集は全国の小論文過去問を集めており、「大量に」小論文の練習ができます。全国の一般入試小論文を中心に5年分掲載されています。
10回~15回ほど書けばかなり慣れてきてコツがつかめてきます。

2025年受験対策全国大学小論文入試出題内容5ヵ年ダイジェスト
出版社:旺文社
『7日間で合格する小論文-読み方&書き方を完全マスター!』
入試まで日にちがなく、「書き方をパッっと知って、ササっと書く練習がしたい!」という人におすすめの参考書です。
小論文の書き方の解説と演習問題が数問あります。
残り1か月未満でなんとかしたい場合に役立ちます。

7日間で合格する小論文-読み方&書き方を完全マスター!
出版社:学研プラス
『小論文の完全ネタ本』
最後に紹介するのは小論文を書くときに欠かせない「背景知識」を手に入れるための参考書です。
小論文入試では、専攻学部・学科の専門内容を題材にした問題がよく出ます。
教育学部なら学校のクラス運営について問われますし、医療系なら「あなたが医療人ならこの場合どうしますか?」なども問われます。
専門知識はそれほど必要ありませんが、「受験生自身の興味・関心」「その専門分野についての受験生の意見」を聞かれます。過去数年間で報道されていた内容を知らないと書けないようなものが中心です。
ところが、入試直前にネットニュースや新聞を数年分読み返すわけにもいきません。
そんなときに活躍するのがこの「完全ネタ本」シリーズです。
ここ数年分の「重要トピック」と「そのトピックの概要」を分かりやすく解説してくれています。
小論文入試を受ける人には必須と言える参考書です。
専門分野ごとにシリーズが分かれているので、受験する学部に合うものを読んでおきましょう。
人文・教育系↓(文学部・教育学部全般)

小論文の完全ネタ本改訂版 人文・教育系編
社会科学系↓(社会学部、法学部、経済・経営、情報、国際)

小論文の完全ネタ本改訂版 社会科学系編
医歯薬系↓

小論文の完全ネタ本改訂版 医歯薬系/看護・医療系編
自然科学系↓(工学部、理学部、農学部、文理融合)

小論文の完全ネタ本改訂版 自然科学系編
まとめ
いかがでしょうか。
高校生向けに、小論文の結論の書き方を説明しました。
小論文は序論・本論・結論の3部構成です。結論では序論・本論で述べた内容のまとめを書きましょう。
設問とずれた解答を書かない、字数稼ぎをしないなどの注意点を守ると、高得点を取れる小論文を書きやすくなります。
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