政経の大学入試対策におすすめの参考書や問題集を紹介します。
中堅大対策、短期間での得点アップ、共通テスト対策、難関大対策(記述対策など)といった目的によって政経の勉強に必要な参考書や問題集は異なります。「本当に必要なものだけ」を7冊厳選しています。
なお、倫理・政経の一問一答問題を以下の記事で紹介しています。
※関連記事:倫理・政経の一問一答問題
政治経済の参考書を選ぶポイント
まず、政経の参考書を選ぶためのポイントを解説します。
基本レベルか応用レベルかを確認する
政治経済の参考書には、基礎から丁寧に解説している基本レベルと、難関大学を目指す人向けの応用レベルが掲載されているものがあります。
基本レベルの参考書は、高校の授業で初めて政治経済を学ぶ生徒に適しています。これらは専門用語をわかりやすく説明し、図解や具体例を多く含むのが特徴です。一方、応用レベルの参考書は、基本的な知識があることを前提としており、共通テストや論述試験に対応するための高度な知識や論理的思考を要求します。
自分の現在のレベルを正しく把握し、無理なく理解できるものから始めることが、効率的な学習の第一歩です。
時事問題の解説が豊富なものを選ぶ
政経の入試には時事ネタが良く出てきます。時事ネタの解説が豊富なものを選びましょう。
政経の2大参考書である『畠山』や『蔭山』も頻繁に改訂され、新しい版では必ず時事問題の解説がリニューアルされています。最新版を選ぶようにしましょう。
自分の志望校のレベルに合ったものを選ぶ
参考書を選ぶ際は、志望校の難易度や試験形式に合ったものを選ぶことが重要です。例えば、共通テストや一般的な私立大学を目指す場合は、基本的な知識と問題演習が中心の参考書を選びましょう。
一方で、難関国公立大学や上位私立大学では、記述式問題や論述問題が多く出題されるため、政治や経済の背景知識や、時事問題を論理的に解説できる力が求められます。
そのため、論述問題に特化した参考書や、時事問題を扱う教材が役立ちます。志望校の入試過去問を調べ、どのレベルの知識が必要かを把握しておくことが、参考書選びを成功させるポイントです。
インプット型とアウトプット型の両方を選ぶ
政治経済の学習では、インプット型とアウトプット型の参考書をバランスよく使うことが効果的です。
インプット型の参考書は、基本的な知識や理論を体系的に学ぶのに適しています。例えば、政治制度や経済理論、国際情勢について詳しく解説されているものがこれに当たります。
一方、アウトプット型の参考書は、演習問題や過去問を解くことで、学んだ知識を実践的に活用する力を鍛えます。特に、共通テストや大学入試では、知識を単に覚えるだけでなく、それを応用して問題を解く力が求められます。
インプットとアウトプットを交互に行うことで、知識が定着し、実際の試験でスムーズに解答できるようになります。
【高校生向け】政治経済の分かりやすい参考書
政治経済の勉強をするのに、「教科書なし」でも理解できる分かりやすい参考書を3冊紹介します。
【初級編】基礎からわかる参考書
『畠山のスパっとわかる政治経済爽快講義』
政経をイチから学ぶ人でも分かるように、「なぜこの制度ができたのか?」「背景は何なのか」といった「そもそも論」から解説してくれています。
時事問題についての解説も豊富で、最新の世界情勢について、なぜそうした問題が起こったのか、どのようないきさつがこれまであったのかなど、「これから」を生きる高校生に人生の先輩として伝えたいことをまとめています。大人が読んでも面白く、「入試対策」だけでなく政経が面白くなる内容ばかりです。
情報量がダントツなので、時間に余裕がある人に向いています。
『畠山のスパっとわかる政治・経済爽快問題集』とセットで勉強をすすめるのがおすすめです。
畠山のスパっとわかる 政治・経済 爽快講義 改訂第7版
畠山のスパっととける 政治・経済 爽快問題集 改訂第5版
出版社:Z会
『よくわかる政治・経済問題集』
政経の基礎知識をできるだけ短時間でマスターしたい人に向いています。
英語や数学、理科などの勉強でほとんどの受験生は政経まで手が回りません。それでも受験が近づいてきたらノー勉、過去問のみで受けるわけにいかないです。
そんなときに「とにかく早く点数をアップさせる」のみ役立ちます。
選択問題の誤文にも、「なぜ間違っているのか」を解説してくれており、短時間で入試に必要な実践知識をつけられます。
よくわかる政治・経済 問題集-【新旧両課程対応版】 (マイベスト問題集)
出版社:学研プラス
【中級編】定期テスト&共通テスト対策向け
『蔭山の共通テスト政治・経済』
解説のための図やイラストが多めで、学校で毎週授業を受けなくてもこれ1冊をしっかり読み込めば政経をイチから理解できます。
対話形式で書かれており、「解説書」が苦手な人にも読みやすいです。
共通テスト8割、中堅大学(偏差値55くらいまで)合格くらいまでのレベルを網羅しています。
蔭山の共通テスト政治・経済 改訂版 (大学受験Nシリーズ)
出版社:Gakken
『政治経済一問一答 【完全版】』
こちらの一問一答は掲載問題数が1800問もあり、圧倒的な網羅性です。これ1冊で定期テストはもちろん、国公立大、難関私大に対応できる知識をつけられます。
レベルが3段階に分かれており、今の知識レベルや志望校の難易度に応じて覚えるべき範囲を選べます。
政治・経済一問一答【完全版】4th edition (東進ブックス 一問一答)
出版社:ナガセ
『私大攻略の政治・経済 要点整理と問題演習』
共通テストを受けない人向けに、私大対策をレベル別にできる問題集です。
以下のようにレベルが3段階に分かれています。
レベル1と2で基礎知識をかなり固められます。参考書と併用してまずレベル1と2を解けるようにし、時間に余裕があればレベル3を勉強しましょう。時間効率良く受験対策ができます。
私大攻略の政治・経済: 要点整理と問題演習 (河合塾シリーズ)
出版社:河合出版
【上級編】難関大学対策におすすめ
『大学入試 蔭山克秀の 政治・経済が面白いほどわかる本』
難関大(偏差値60以上)を目指している人向けの参考書です。政経のかなり深い内容まで解説されています。
語り口調で書かれているので、「解説書」が苦手な人にも読みやすいです。
また、練習問題や一問一答も載っているので、解説箇所を読みつつ少し練習問題を解いて暗記確認もできます。
ただし、基本的なポイントは簡潔にまとめられているので、イチから勉強したい人には「畠山」か「蔭山の共通テスト」のほうがおすすめです。
改訂第5版 大学入試 蔭山克秀の 政治・経済が面白いほどわかる本
出版社:Gakken
『政治経済標準問題精講』
国公立二次や難関私大志望者向けの問題集です。基本的な知識はすでにあり、共通テストでも8割程度取れる人に向いています。
入試で合否の分かれ目になるような良問が80題ピックアップして掲載されており、くわしい解説で知識を整理してインプットできます。
また、記述問題・思考力問題も充実しており、繰り返し解くことで理解が深まり、考えるポイントをつかめるようになります。
政治・経済 標準問題精講 四訂版
出版社:旺文社
政経の参考書は畠山と蔭山のどちらが良いか
この記事では政経の参考書として『畠山のスパっとわかる政治経済爽快講義』と『蔭山シリーズ』を紹介しています。どちらも政経の参考書として定番なので、どちらを選べば良いか迷う人も多いです。
高3春時点で政経の勉強をはじめる人なら、『畠山』がおすすめです。情報量が多いので、時間をかけてじっくり理解を深められます。
高3夏以降から政経の勉強をはじめて共通テストで7-8割をねらいたいなら、『蔭山の共通テスト』がおすすめです。『畠山』より分量がコンパクトなので、政経の勉強を比較的短時間でできます。
また、難関大志望者が政経を得点源にするなら、共通テスト後に『蔭山の面白いほどわかる本』を使うのがおすすめです。基本事項はサラっと触れるぐらいで、より高度な内容の解説を多量にインプットできます。
政治経済の参考書を使った効果的な勉強法
政経の参考書を使った効果的な勉強法をまとめました。
なお、政経の一問一答問題を以下の記事に載せています。
倫理・政経(公共・政経)の一問一答問題:西洋思想、青年期など定期テストと大学入試向け
参考書を使う前に教科書で基礎固めをする
政治経済の学習では、まず教科書で基礎知識をしっかり固めることが大切です。
教科書は、文部科学省の学習指導要領に基づいて作られており、試験で問われる重要なポイントが網羅されています。特に、政治制度や経済理論など、基本的な用語や仕組みを理解していないと、参考書に書かれた応用的な内容を理解するのが難しくなります。
「何のために学ぶのか」という各教科等を学ぶ意義を共有しながら,授業の創意工夫や教科書等の教
文部科学省「高等学校学習指導要領 公民編」より引用
材の改善を引き出していくことができるよう,全ての教科等の目標及び内容が,「知識及び技能」,「思考力,判断力,表現力等」,「学びに向かう力,人間性等」の三つの柱で再整理された。
教科書を一通り読んで内容を把握したら、重要な箇所をノートにまとめたり、用語を暗記する時間を確保しましょう。教科書で基礎固めをした上で参考書を活用することで、よりスムーズに応用力を高めることができます。
章ごとに問題演習を行い、知識を定着させる
参考書を使って学習する際は、各章ごとに問題演習を行うことで知識を定着させることが重要です。
政治経済は、ただ読むだけでは内容が定着しにくいため、学んだ内容をアウトプットすることで理解が深まります。
例えば、1つの章を学習した後、その章に対応する問題を解くと、どの部分を理解できていて、どこが弱点なのかを把握できます。問題演習の際には、解いた問題の解説をしっかり読み、間違えた理由を分析することが大切です。
また、似たような問題が繰り返し出題されることも多いため、演習を通じて出題傾向を掴むことで、効率的な学習が可能になります。
記述問題は自分で解答を作り、解説と比較する
記述問題に取り組む際は、自分で解答を作成し、参考書の解説と比較することが効果的です。
政治経済の記述問題は、単なる暗記ではなく、知識を論理的に組み立てて説明する力が求められます。
まず、問題に対して自分なりの解答を書いてみましょう。その後、参考書や模範解答と見比べて、自分の解答に足りない点や、改善すべきポイントを確認します。
特に、採点基準を意識しながら、具体例や専門用語を的確に盛り込むことが重要です。
最初は時間がかかるかもしれませんが、何度も繰り返すことで、論理的に文章を書くスキルが向上し、試験本番でも高得点を狙えるようになります。
政経の勉強はいつすれば良いか
現役生の受験勉強の大きな悩みのひとつは「勉強時間」ではないでしょうか。英語や数学、歴史など勉強に時間のかかる科目が多く、政経の勉強に回す時間がなかなか取りづらいです。
そこで、おすすめの政経の勉強計画を紹介します。
高3になってから政経の勉強をはじめる
まず、政経の勉強は高3になってからはじめましょう。用意周到な性格の人ほど高2から政経の勉強に手を出そうとしますが、まだ必要ありません。
一度覚えても時間が経つと忘れてしまってまた勉強しなおさないといけなくなります。
それより、高2では英語や数学のような積み重ねの科目に勉強時間を回し、高3になってから急いで政経の勉強をしましょう。
高3の春休み・夏休みに参考書をみながら一問一答を1周する
高3になる春休み・夏休みには参考書(『畠山』や『蔭山』など)をみながら一問一答で知識をサラっとインプットしておきましょう。
夏休みの時点で「目標点数マイナス2-3割」まで到達できれば十分です。
高3の12月から1月に本格的に勉強する
本格的な政経の勉強は、「公募推薦」が終わる12月からはじめましょう。
共通テストや私大入試に向けて、『東進 一問一答』や『私大攻略の政治・経済』で合格に必要なレベルまで知識を入れなおします。
どうしても時間がない人は『よくわかる政治・経済問題集』だけでもやっておきましょう。
難関大志望者は記述対策をする
共通テストが終われば、国公立大や早稲田大などの難関大志望者は記述対策用の問題集で得点力をアップさせましょう。
このときには『政治経済標準問題精講』や過去問がおすすめです。
Q&A形式:政治経済の参考書の選び方と勉強法
Q1: 政治経済の参考書は、基本レベルと応用レベルでどのように違うのですか?
A1: 基本レベルの参考書は、用語や基本的な概念をわかりやすく解説しており、主に教科書の補足として使用できます。一方、応用レベルの参考書は、記述問題や応用的なテーマに対応するための詳しい解説や多くの問題演習が含まれており、難関大学や模試対策に役立ちます。
Q2: 自分に合った参考書はどうやって選べばいいですか?
A2: 参考書を選ぶときは、まず自分の現在の学力と志望校のレベルを確認しましょう。政経が苦手なら基礎固めができるもの、すでに定期テストで上位の得点を取れているなら応用力を養えるものを選びます。また、1冊をしっかりと使いこなすことが重要です。最初はレビューや周囲の意見を参考にしつつ、試し読みをして自分に合うものを見つけましょう。
Q3: 参考書は何冊くらい使うべきですか?
A3: 基本的には、1冊を完璧に使いこなすのが理想です。複数の参考書を中途半端に使うよりも、1冊を何度も繰り返し読み、問題を解くことで知識を深めることができます。必要に応じて、2冊目として問題集や過去問を追加するのが良いでしょう。
Q4: 参考書を使った効果的な勉強法を教えてください。
A4: まず、教科書で基本を理解した後、参考書で知識を補強するのが効果的です。その後、各章ごとに問題演習を行い、間違えた箇所を重点的に復習します。また、記述問題は自分で解答を作成し、参考書の解説と比較することで、回答力を鍛えることができます。
Q5: 政治経済の参考書で偏差値を上げるには、どれくらいの勉強時間が必要ですか?
A5: 個人差はありますが、毎日1〜2時間を継続して学習することが効果的です。まずは1冊を2〜3カ月かけて繰り返し学習し、その後、問題演習や模試で実力を試すと良いでしょう。重要なのは、反復学習と継続的な復習です。
Q6: 記述問題が苦手ですが、どう対策すればいいですか?
A6: 記述問題対策には、定期的に自分で答案を書く練習をすることが大切です。参考書の解説を読んで、なぜその解答になるのかを理解し、次に同じ問題が出たときにスムーズに答えられるようにします。また、模範解答を参考にして、自分の解答と比較して改善点を見つけることも効果的です。
まとめ
いかがでしょうか。
政治経済の参考書や問題集を紹介しました。
中堅大志望、短期間での得点アップ、共通テスト対策、難関大対策(記述対策など)といった目的によって政経の勉強に必要な参考書や問題集は異なります。「本当に必要なものだけ」を7冊厳選しています。
畠山と蔭山のどちらが良いか、一問一答や問題集をいつから使えば良いかも解説しています。
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