総合型選抜(旧AO入試)では、学力だけでなく「あなたの個性や志向性」が評価の中心です。その中でも志望理由書は、面接官にあなたの経験・考え・将来の目標を伝える重要なツール。
そこでこの記事では、高校生活の活動を整理する方法から、大学研究のポイント、ストーリー性のある書き方、学部別の差別化表現まで、具体例とチェックリスト付きで解説します。
これを読めば、志望理由書を「ただ書く」から「合格に直結させる」ための設計図として活用でき、高校生でも今日から実践できます。
※なお、総合型選抜については、以下の記事で詳しく解説しています。
総合型選抜とは?一般選抜・推薦型選抜との違い・選考方法とスケジュール・対策を徹底解説
総合型選抜(AO型入試含む)で、志望理由書には単なる「志望動機」以上の意味があります。
大学は志望理由書を通じて、受験生が「入学後にどんな学びをし、どのように貢献するか」を想像できる材料を探しています。
つまり、大学側は「あなたが大学で学ぶ必然性」と「大学・学部が受け入れる価値がある人物か」を知りたがっています。
以下で、具体的にどんな観点で志望理由書が担当官に読まれているかを解説していきます。
※なお、総合型選抜の選考や入試制度の詳細は文部科学省の公式ページでも確認できます。
文部科学省「大学入学者選抜について」
大学が志望理由書から読み取りたい主要な3要素を、具体的に説明します。
公表されている場合、「書類が合格の前提」「面接での深掘りが勝負」などのヒントが得られるので、それに合わせた準備が可能です。たとえば志望理由書の比重が高めに見えるなら、書面のブラッシュアップに重点を置く。
※参考:北海道大学 – フロンティア入試(総合型選抜)の募集要項
総合型選抜と他の入試方式(学校推薦型選抜=指定校推薦等、一般選抜=共通テスト+個別試験)との主な違いを、志望理由書の観点から整理します。
総合型選抜については、以下の記事で詳しく解説しています。
総合型選抜とは?一般選抜・推薦型選抜との違い・選考方法とスケジュール・対策を徹底解説
学校推薦については、以下の記事で詳しく解説しています。
高校生必見!「学校推薦」とは?指定校推薦・公募推薦の違いとメリット・もらうためのコツを徹底解説
総合型選抜では、「自分の考えを言葉で伝える力」が評価されます。その中心となるのが志望理由書。
ここでは、どのように構成すれば「読まれる・伝わる・評価される」志望理由書になるのか、基本の“型”と書き方のポイントを解説します。
合格につながる志望理由書の共通点は、ストーリー性があることです。
単に「〇〇大学に入りたい」「学びたいことがある」と書くだけでは不十分で、
「なぜそう思うようになったのか(過去)」→「どのように興味を深めてきたのか(現在)」→「入学後・将来にどうつなげたいのか(未来)」
という流れでまとめると、説得力がぐっと高まります。
例:「地域医療に関心を持つようになったきっかけ(過去)」→「ボランティアや探究活動を通じて得た学び(現在)」→「将来、医療格差の改善に貢献したい(未来)」
この「過去→現在→未来」のストーリー構成は、どの大学・学部でも使える王道の型です。
志望理由書は、以下の3つのパートを意識して構成しましょう。
この3つを順に展開すると、「なぜこの大学でなければならないのか」が自然に伝わります。
志望理由書は、限られた文字数の中で自分を伝えなければなりません。
そのためには、短くても伝わる「具体的な言葉」を選ぶことが重要です。
このように、数字や固有名詞を入れると信ぴょう性が高まり、読み手の印象にも残ります。
大学ごとに志望理由書の文字数や書式は異なります。
以下は一般的な目安です。
| フォーマット | 文字数の目安 | 書き方のポイント |
|---|---|---|
| A4用紙1枚(手書き) | 約800〜1000字 | ストーリー構成を意識し、段落を3〜4つに分ける |
| Web入力フォーム | 400〜800字 | 要点を簡潔にまとめる。数字・具体例を活用 |
| 400字原稿用紙 | 1〜2枚(400〜800字) | 無駄な表現を削り、主張を明確にする |
大学の指示に沿って書式・字数を守ることは基本的なマナーでもあります。
最初の数行で読み手の興味を引けるかどうかが勝負です。
効果的な書き出しには、次の3パターンがあります。
このように、「なぜこの大学で学びたいのか」を一文で示せる書き出しを考えましょう。
この「型」とコツを押さえることで、あなたの思いが確実に伝わる志望理由書を作ることができます。
志望理由書は、「書く前の準備」こそが合否を左右する最大のポイントです。
いきなり書き始めても、「ありきたり」「抽象的」な内容になりやすく、大学に響きません。
ここでは、書き出す前に必ず行うべき3つの準備、
①自己分析、②大学リサーチ、③第三者レビューの進め方を具体的に解説します。
まず最初にやるべきは、自分の高校生活を振り返る作業(自己分析)です。
これは、志望理由書の「過去・現在」を書くための材料集めになります。
| 分野 | 具体的な活動・経験 | 得られた成果 | 学んだこと・気づき |
|---|---|---|---|
| 授業・探究 | 総合探究で地域活性化をテーマに研究 | 学年代表で発表 | チームで意見をまとめる難しさを学んだ |
| 部活動 | サッカー部で副キャプテン | ベスト8進出 | チームのモチベーション管理の大切さを知った |
| ボランティア | 保育園での読み聞かせ | 継続3ヶ月 | 子どもとの信頼関係を築く喜びを感じた |
| 資格・検定 | 英検準2級 | 合格 | 継続的な努力の成果を実感した |
こうして一覧にまとめることで、自分の「強み」「関心の軸」が見えてきます。
ノートや壁に付箋を使ってエピソードを書き出す方法もおすすめです。
以下のステップで整理しましょう。
→ これを行うと、自分らしさが伝わる“核となるエピソード”が自然に浮かび上がります。
多くの受験生が陥りがちなのが、成果ばかり強調してしまう書き方です。
大学は、結果よりも「過程での成長」「学びの姿勢」を重視します。
| NG例 | 改善例 |
|---|---|
| 「大会で優勝しました」 | 「優勝を目指す中で、チームの課題を分析し、解決策を提案できるようになりました」 |
| 「検定に合格しました」 | 「不合格を経験したことで、苦手を分析し、学習法を改善しました」 |
つまり、「成果=結果」「学び=成長の過程」として両方を明確に書き分けると、大学側はあなたの思考力と伸びしろを評価しやすくなります。
次に必要なのが、志望大学についての具体的なリサーチです。
大学の理念・教育方針・授業内容・研究テーマを調べることで、
「なぜこの大学・学部でなければならないのか」を明確にできます。
| 情報源 | 活用ポイント |
|---|---|
| 大学公式サイト(シラバス・カリキュラム) | 実際の授業内容や評価方法を確認できる。学びたい分野の科目名を具体的に引用可能。 |
| ゼミ・教員紹介ページ | 教員の研究テーマやゼミ活動を調べ、「〇〇教授の〇〇研究に関心がある」と書くと説得力アップ。 |
| 大学のオープンキャンパス・説明会資料 | 学生の声や具体的な学び方が分かる。体験談を引用しても良い。 |
| インターン・地域連携プロジェクト情報 | 実践的な学び(PBL・企業連携など)を志望理由に結びつけやすい。 |
ワンポイント:
「どんな授業があるのか」ではなく、
「その授業を自分がどう活かすか」を考えると、“志望理由書の深さ”が違います。
完成した志望理由書は、必ず第三者の目でチェックしてもらいましょう。
自分では気づかない「伝わりにくさ」や「論理の飛び」を指摘してもらえるからです。
添削相手は、高校の先生・予備校講師・過去の合格者など、受験志望経験のある人が理想です。
また、2〜3人に見てもらうと、多角的な視点から改善点を発見できます。
☑ 志望理由書(〇〇大学〇〇学部・800字以内)
| チェック項目 | 内容 | チェック欄 |
|---|---|---|
| ① 内容が大学に合っているか | 志望理由が大学の教育理念・学部の特色に合致しているか。大学・学部の固有名詞(授業名・教授名など)が入っているか。 | ☐ |
| ② ストーリーに矛盾がないか | 過去→現在→未来の流れが自然で、論理の飛躍がないか。段落ごとのつながりが明確か。 | ☐ |
| ③ 表現が分かりやすいか | 主語・述語が明確で、冗長な表現がないか。読み手に伝わる文章になっているか。 | ☐ |
→ 第2段落の「きっかけ」部分
(具体的なコメント欄)
───────────────────────────────
───────────────────────────────
───────────────────────────────
□ 内容の整合性:________________________
□ ストーリー性:________________________
□ 表現・文体:________________________
□ 改善アドバイス:
───────────────────────────────
───────────────────────────────
─────────────────────────────── 志望理由書の最初の数行で読み手の興味を掴めるかが重要です。ここでは使いやすい3パターンと、それぞれの短い例文・解説を示します。
使いどころ:大学で学ぶことで解決したい具体的な社会課題がある場合。読み手の関心をすぐ引ける。
例文(短):
「人口減少が進む地方で、高齢者が孤立する現状を目の当たりにし、地域包括ケアの仕組みを学び改善したいと考えました。」
解説:
使いどころ:個人的な体験が志望に直結している場合。感情と行動が結びつきやすい。
例文(短):
「高校での地域調査プロジェクトで、住民の声を聞くうちに都市計画に興味を持ちました。その経験を深めるため貴学を志望します。」
解説:
使いどころ:将来の職業目標や社会で果たしたい役割が明確な場合。志望理由全体を先に示す強い導入。
例文(短):
「将来は国際保健の現場で働きたいと考えており、貴学の国際保健プログラムで実践的なスキルを身につけたいです。」
解説:
自分の努力してきたことなどを書いたら、次は「興味を深めた過程」を書いて深掘りしていきます。
このパートでは、「具体的な行動」と「そこから得た学び」を書きましょう。大学側は「行動の裏にある思考」(なぜその行動を取ったのか)を見ています。
書き方の手順(短いテンプレ):
実例(短):
「高校2年の夏、地元NPOと連携して避難所運営マニュアルを作成しました(When/Where)。私はチームリーダーとして住民10名のインタビューを行い(Who/How)、避難経路の改善案をまとめました(What)。目的は迅速な避難誘導を実現するためでした(Why)。」
コツ:5W1Hを1〜2文で端的にまとめ、次に「そこで何を学んだか」を続けると読みやすい。
重要性:成果だけでなく失敗とそこからの改善を書くと、成長可能性(伸びしろ)が伝わります。
構造(短いテンプレ):
実例(短):
「初回の避難訓練では住民説明が不十分で混乱が生じました(失敗)。そこで説明会を追加し、訓練後の理解度が向上、参加者満足度は80%から92%に改善しました(成果)。この経験から『準備と説明の重要性』を学びました(学び)。」
書き方のコツ:
最後は、「大学でやりたいこと」「将来やりたいこと」です。この「未来パート」は志望理由書の“締め”にあたります。
大学での具体的行動と、その先の社会的なつながり(就職・研究・社会貢献)を書きます。
書き方のポイント:授業名や教授名、ゼミやプロジェクト名など固有名詞を入れると有力。
短い例文(複数):
コツ:
可能であれば、将来展望を社会につなげるための表現パターンを3つほど示します。
例文(結び):
「貴学で学んだ手法を自治体と連携した現場で検証し、成功事例を全国展開することで、地域課題の解決に貢献したいと考えています。」
志望理由書全体をスムーズに繋げるには接続表現と章立てが重要です。読みやすい流れ=評価の土台になります。
基本の章立て(短):
接続表現の例(使い分け):
つなぎのコツ:
最終チェックリスト(必ず声に出して読む):
改善アクション(見つかった場合):
総合型選抜(AO入試)の志望理由書では、「学部・学科に合った内容になっているか」が合否を分ける重要なポイントです。
どんなに文章が上手でも、学部で学ぶ内容や育成したい人物像とズレていると評価されません。
ここでは、文系・理系・国際系それぞれの特徴と、効果的な表現例を紹介します。
文系学部の志望理由書では、「社会全体や他者に対する関心」と「思考の深さ」を示すことが重要です。単に「本が好き」「先生に憧れている」では弱く、なぜ関心を持ち、どのように考え、どんな力を伸ばしたいかを明確に書きましょう。
読書好きが高じて文学部を志望したのではなく、作品を通じて「人の感情や社会の価値観がどう表現されてきたか」を学びたいと考えています。特に近代文学における「自己と社会の関係性」の変化を研究したいです。
教育実習で、子どもの発言の裏にある考えを引き出す難しさを感じました。教育心理学を通じて、児童の「考える力」を育てる授業づくりを学びたいです。
私が経済学部を志望する理由は、高校時代に取り組んだ地域の商店街活性化プロジェクトを通して、経済活動が人々の生活や社会に与える影響を実感したことにあります。2年生の時、地域商店街でアンケート調査とヒアリングを行い、集客減少や高齢化が原因で廃業の危機にある店舗があることを知りました。私は同級生とチームを組み、調査結果をもとにイベント企画やPR施策を提案しました。その結果、一部の店舗では売上が15%向上し、来街者数も増加しました。この経験を通して、データ分析の重要性と、実践的な提案力が課題解決に直結することを学びました。また、地域住民と話し合う中で、数字だけでは見えない人々の思いや文化的背景を理解することの大切さにも気づきました。
大学では、経済理論を学ぶだけでなく、実際のデータやケーススタディを用いた分析を通じて、地域経済や企業経営の課題解決方法を深く理解したいと考えています。特に、ゼミやインターンシップを活用し、経済モデルや統計解析を実際の社会課題に応用する経験を積むことで、理論と実践の両面を結びつけた学びを得たいです。将来的には、地域振興や企業戦略の分野で、具体的な提案やプロジェクトを通して社会に貢献できる経済専門家になることを目標としています。
さらに、高校時代に培ったチームでの協働力や課題解決力、データ分析力を大学でさらに発展させることで、現実の経済課題に挑戦し、持続可能な解決策を提案できる力を身につけたいと考えています。経済学部での学びを通じて、理論と実践を融合させ、社会に影響を与えることのできる人材を目指します。(667字)
理系学部では、「探究の過程」と「科学的思考力」が重視されます。
「実験が好き」「ロボットに興味がある」といった感覚的な表現ではなく、どのような技術・原理・研究分野に関心を持っているのかを具体的に示しましょう。
文化祭で制作した自動走行ロボットの開発を通じて、制御工学の面白さに気づきました。大学ではAIとセンサー技術を組み合わせた交通システムの最適化を研究したいです。
部活動中のけがを通じて、整形外科に関心を持ちました。生理学や再生医療の研究に携わり、患者の生活の質を支える医師を目指しています。
私が情報工学部を志望する理由は、高校でのプログラミングやIoT機器の開発経験を通じて、技術を用いて課題を解決する面白さを実感したことにあります。1年生の時、学校のロボットコンテストに参加し、制御プログラムを作成する中でセンサーの精度不足に直面しました。私はプログラムのアルゴリズムを改良し、試行錯誤を繰り返すことで精度を大幅に向上させることができました。この経験から、問題発見・改善・検証のサイクルの重要性を学びました。また、独自に家庭用IoTデバイスを開発し、データ収集や解析を行ったことで、設計・実装・検証まで一連の流れを自ら体験することができました。
高校時代には、プログラミング以外にも電子回路やセンサーの仕組みを自学で学び、論理的思考力や分析力を磨きました。さらに、課題解決の過程で得た成功体験だけでなく、失敗体験も数多く経験し、その都度原因を分析して改善策を実践しました。この一連の経験を通して、技術的課題への挑戦とその解決プロセスを楽しむ姿勢を身につけました。
大学では、人工知能やビッグデータ解析の技術を学び、社会課題や業務効率化に応用したいと考えています。特に、ゼミや研究室でのプロジェクトを通して、理論だけでなく実践的なスキルを深め、将来的には社会インフラや生活支援システムの改善に貢献できるエンジニアを目指します。高校で培った論理的思考力と実践経験を大学でさらに発展させ、技術を社会に役立てる力を確実に身につけたいと考えています。(620字)
国際系や外国語系では、「グローバルな視点」と「言語運用力・文化理解」をアピールすることがポイントです。
英検やTOEICの点数だけでなく、具体的な国際経験・異文化対応力・発信力を示すと説得力が高まります。
ボランティアで外国人観光客を案内した経験から、言語だけでなく文化背景を理解する重要性を実感しました。大学では国際コミュニケーション論を学び、観光業で地域と世界をつなげたいです。
英語スピーチ大会に挑戦する過程で、言葉を通して相手の考えを理解する喜びを感じました。翻訳や通訳を学び、異なる文化の橋渡しをする仕事に就きたいです。
私が国際関係学部を志望する理由は、高校時代に取り組んだ国際交流活動を通じて、異文化理解と課題解決の楽しさを実感したことにあります。1年生の時、学校での海外姉妹校交流プログラムに参加し、オンライン会議を通じて文化や価値観の違いを理解する経験をしました。その中で、議論が平行線に終わり、問題解決が進まない状況に直面しました。しかし、私は事前に相手校の教育や文化について調査し、具体的な質問や意見をまとめることで、議論を前進させることができました。この経験から、事前調査とコミュニケーションの重要性を学びました。
さらに、地域の国際ボランティア活動にも参加し、外国人住民の生活支援や交流イベントを企画運営したことで、課題発見から解決までのプロセスを体験しました。大学ではこれらの経験を活かし、国際政治や多文化共生の研究に取り組みたいと考えています。特にゼミでは、国際NGOの活動事例を分析し、政策提言や地域社会への応用方法を学ぶことを目標としています。
将来的には、外交や国際支援の分野で、地域と世界をつなぐ橋渡しとなれる人材になりたいと考えています。高校時代に培った課題解決力、異文化理解力、実践経験を大学でさらに深め、実社会で役立てることが私の目標です。(522字)
【まとめ】
学部別に見ると、志望理由書で重視される要素は明確に異なります。
志望理由書を作成する際は、「学部で何を学び、どう社会に貢献するのか」を軸に、その学部ならではの表現を意識することが合格への近道です。
総合型選抜では、「志望理由書」「面接」「小論文」が一連の流れとして評価されます。
特に志望理由書は一次書類でありながら、二次試験(面接・小論文)にも直結する「核」となる存在です。
ここでは、各入試形式に合わせた書き方のポイントと、提出後の効果的な準備方法を詳しく解説します。
志望理由書は「読むもの」であると同時に、面接で質問されるベース資料です。
面接官は、書かれている内容をもとに「本当にこの学生は理解しているのか」「自分の言葉で話せるのか」を確認します。
そのため、最初から面接を意識した書き方が欠かせません。
この流れを意識することで、面接でも矛盾のない説明がしやすくなります。
面接では、志望理由書の中の“弱い部分”が必ず質問されます。
たとえば次のような項目は、ほぼ確実に掘り下げられます。
| よく聞かれる質問ポイント | 対策・準備方法 |
|---|---|
| 「なぜその大学・学部を選んだのか」 | パンフレットの言葉を繰り返すのではなく、具体的な授業名・教授・研究テーマと関連づけて答える。 |
| 「大学で何を学びたいのか」 | 学びたい内容を2〜3テーマに絞り、それを通して何を実現したいのかを説明する。 |
| 「将来どんな仕事をしたいのか」 | 職業名よりも、社会にどう貢献したいかを軸に答える。 |
| 「高校時代の経験から何を学んだか」 | 経験→行動→気づき→成長の流れを話す。抽象的な言葉を避ける。 |
チェックリスト 準備のコツ
面接前に、「自分の志望理由書を面接官の視点で読む」練習をしましょう。
自分で質問を10個書き出し、答えを声に出して練習するのが効果的です。
小論文が課される総合型選抜では、志望理由書と小論文が評価軸で連動しています。
どちらも「思考力」「課題意識」「論理性」を見るための材料ですが、次のように役割を分けると効果的です。
| 項目 | 志望理由書 | 小論文 |
|---|---|---|
| 目的 | 志望動機・人物理解 | 思考力・文章構成力 |
| 内容 | 自分の経験・学び・将来 | 社会問題・学問的テーマ |
| 視点 | 主観的・体験的 | 客観的・論理的 |
例:心理学部志望の場合
志望理由書:発達心理学に興味を持ったきっかけと、高校での実践活動を中心に記述
小論文:発達障害支援に関する社会的課題を論理的に分析
このように、志望理由書と小論文が「一貫したテーマ」でつながっていると高評価です。
志望理由書を提出した後が、本当の準備期間です。
提出書類を「終わり」ではなく、「次につなげる資料」として扱いましょう。
【まとめ】
総合型選抜では、「志望理由書→面接→小論文」が一本のストーリーであることが鍵です。
提出した志望理由書を自己PRの設計図として使い、面接や小論文で一貫したメッセージを伝えることが合格への近道です。
総合型選抜(AO入試)では、志望理由書の完成度が合否を大きく左右します。
しかし、多くの受験生は「書き終えたら提出して終わり」と考えがちです。
実際には、提出前の添削(ブラッシュアップ)こそが最重要フェーズ。
文章の構成・内容・表記を体系的に見直すことで、合格率を大幅に上げることができます。
ここでは、最終チェックに使える3つの観点と、第三者に依頼する際の評価テンプレートを紹介します。
志望理由書を読み返すときは、「論理性」「事実性」「熱意(情熱)」の3要素でチェックするのが効果的です。
この3点を意識することで、「内容に一貫性があり、説得力のある文章」に整えられます。
チェックリスト ポイント: 「だから」「そのため」「一方で」などの接続語が効果的に使われているか確認。
☑ ポイント: “抽象的な表現”を“具体的な証拠”で補強すると信頼度が上がります。
(例)「ボランティアを通して学んだ」→「週1回、地域清掃ボランティアを6か月続けた経験から〜」
☑ ポイント: 「〜したい」「〜になりたい」だけでなく、「そのために何をしているか」を加える。
内容が整っていても、表記ミスや体裁の乱れは評価を下げる原因になります。
提出前に、次の項目を丁寧にチェックしましょう。
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 文字数 | 指定文字数(例:600〜800字)を守っているか。多すぎ・少なすぎないか。 |
| 文体統一 | 「です・ます」調に統一されているか。口語表現(〜とか、〜っぽい)が入っていないか。 |
| 誤字脱字 | 人名・大学名・学部名などの固有名詞に誤りがないか。 |
| 段落構成 | 段落ごとにテーマが整理され、1段落に1主張がまとまっているか。 |
| レイアウト | フォント・余白・行間など、大学指定のフォーマットを厳守しているか。 |
☑ 補足: PDF提出の場合は、印刷プレビューで改行や文字化けも確認しましょう。
自分だけでは見えない「読みにくさ」や「説得力の弱さ」は、第三者に添削してもらうのが最も効果的です。
先生・塾講師・先輩などにお願いするときは、以下のような簡易評価フォームを渡すとスムーズです。
【志望理由書 添削依頼フォーム】
| 評価項目 | 評価(◎/○/△) | コメント欄 |
|---|---|---|
| ① 志望動機が明確に伝わるか | ||
| ② 構成(過去→現在→未来)がわかりやすいか | ||
| ③ 内容が大学・学部の特徴と合っているか | ||
| ④ 体験エピソードに具体性があるか | ||
| ⑤ 論理的に展開されているか | ||
| ⑥ 読後に「この人に会いたい」と感じるか | ||
| ⑦ 表記・誤字・語尾・文体の統一 | ||
| ⑧ 全体として熱意が伝わるか | ||
| コメント(全体の印象) |
☑ 使い方のポイント
【まとめ】
志望理由書の「最終チェック」と「第三者添削」を徹底することで、
文章の完成度が上がるだけでなく、面接で自信を持って話せる土台にもなります。
提出前のわずかな手間が、合格率を大きく引き上げます。
この記事内のチェックリストをPDFテンプレート化して印刷・活用するのがおすすめです。
NG例:
「私は人と関わることが好きなので、教育学部を志望しました。」
→ 自分の強みや体験が具体的に書かれておらず、「誰でも言える」内容になっている。大学側に個性や適性が伝わらない典型例。
改善例:
「中学時代に学習ボランティアに参加し、学習につまずく生徒が理解できた瞬間の表情にやりがいを感じました。この経験から、個々の成長を支える教育の専門性を学びたいと考えています。」
→ 体験を根拠にして「なぜ教育を学びたいか」を具体化。自己分析の深さと一貫性が出ている。
NG例:
「この大学では教育に関する幅広いことを学べると思い志望しました。」
→ 「幅広い」など抽象的な言葉に頼り、どんな授業・教員・研究内容に惹かれたのかが不明。リサーチ不足が伝わる。
改善例:
「貴学の教育心理学ゼミでは、児童の学習動機づけを研究しており、現場での支援につなげる姿勢に共感しました。特に◯◯教授の研究に関心があります。」
→ シラバス・教員名など具体情報を入れることで、大学研究の理解度と志望の真剣さを示せる。
NG例:
「高校で文化祭を成功させた経験から、国際問題を解決したいと思いました。」
→ 経験と将来目標のつながりが不自然で、論理の飛躍が大きい。大学側に“こじつけ”の印象を与える。
改善例:
「文化祭の企画運営で多様な意見をまとめる難しさを感じ、異なる価値観を理解する重要性を実感しました。将来は国際関係学を通じて、異文化協働の方法を学びたいです。」
→ 「経験→学び→志望理由」が一貫しており、自然なストーリー展開になっている。
NG例:
「私は医療分野に強い関心があります。」と書いておきながら、面接で「経済学にも興味がある」と回答。→ 志望理由書と面接内容にズレがあり、信頼性を損なう。
改善例:
志望理由書に「医療分野の中でも、経済的な仕組みから支える視点にも興味があり、医療経済を学びたい」と記載。
→ 興味の幅を“関連づけて”説明しておくことで、面接でも一貫した回答ができ、説得力が増す。
地方の公立高校出身。学校行事・地域ボランティアでの活動が志望動機の核。学内での探究活動(地域活性化プロジェクト)を通して「地域と文学・文化の関係」に興味を深め、文系私大の地域文化学科へ出願・合格。
「地元の祭礼で世代間の会話が減っている現状を見て、地域文化の継承に危機感を持ちました。高校2年の探究活動で町の古老10名に聞き取りを行い、発表を通して『伝える場』の重要性を実感しました。貴学の地域文化論で記録・保存の方法を学び、地元での文化継承プロジェクトを実現したいです。」
(約140〜170字)
高校でサッカー部のキャプテンを務める一方、ロボットコンテストにも参加。部活動でのチーム運営とロボット制作の両方を通じて「問題解決力」と「実装力」を培い、工学部(制御工学・ロボティクス系)へ合格。
「部の規律低下を改善するため、部員の練習負荷と出席率をデータ化し、練習メニューを作りなおしました。その結果、出席率が70%→88%に向上しました。またロボット制作ではPID制御を導入し、自動走行の安定性を高めました。貴学で制御アルゴリズムと実装技術を体系的に学び、交通・物流への応用を目指します。」
(約180〜200字)
多文化共生をテーマに学校で「外国人住民との交流プロジェクト」を企画。言語サポートやイベント運営を通じて異文化理解を深め、国際系学部(国際協力・国際関係)に合格。英語・第2言語の学習と地域での実務経験が評価された。
「校内で外国人住民の日本語サポート会を立ち上げ、週1回の学習会を半年間運営しました。参加者の日本語コミュニケーション能力が向上し、相談件数が減少したことから、言語支援が地域の生活安定に直結することを実感しました。貴学で異文化政策と実践的調整手法を学び、国際協力の現場で働きたいと考えています。」
(約160〜190字)
総合型選抜(AO入試)では、志望理由書だけでなく面接での印象が合否に直結します。
大学側は「書類だけでは見えない人物像」を面接で確認するため、志望理由書は面接の導入ツールとも言えます。
ここでは、大学教員・入試担当者の視点から「どのような点を評価しているか」「どんな表現が刺さるか」を具体的に解説します。
入試担当者が志望理由書と面接で特に注目するのは以下のポイントです。
志望理由書で面接官の心に残る表現は、抽象語ではなく具体語を使って「行動・成果・根拠」を示すことです。
【まとめ】
志望理由書の重要性や選考の位置づけに関する詳細は、文部科学省の大学入試制度ページで確認可能です。
回答例:
総合型選抜において、志望理由書は一次選考の中心であり、面接・小論文と連動します。大学によって配点は異なりますが、志望理由書の内容が面接質問のベースとなる場合が多く、「書類の印象=面接の印象」となることが実例からもわかります。
回答例:
志望理由書は最低3回以上の見直しが推奨されます。
ポイント:
回答例:
学校推薦型選抜では、学校生活や成績、部活動での取り組みの「客観的評価」が重視されます。そのため志望理由書では学校での活動をどのように学び・将来につなげたかを具体的に示す必要があります。一方、総合型選抜では自主性・課題解決能力・将来構想が重要です。
☑ ポイント:今日の行動は「書き出すこと」と「情報整理」が中心。完成を目指すよりも、思考を可視化して次の改善につなげることが重要です。
This website uses cookies.