中学の公民では衆議院と参議院について習います。衆議院と参議院ではいくつか違いがあり、テストでもよく問われます。
そこで、衆議院と参議院の違いについてまとめました。練習問題も用意しているので、ぜひ練習してみてください。
衆議院と参議院の違い
国会には衆議院と参議院があります。定員数など、いくつかの点で違いがあります。
なお、衆議院や参議院の範囲のテストによく出る問題を以下の記事で紹介しています。
※関連記事:【中3公民の一問一答問題】内閣と行政のしくみ:内閣不信任決議の後の流れ、大きな政府と小さな政府など
定数の違い
衆議院は議員定数が465人で、参議院は248人です。
※2024年時点です。最新の情報は衆議院HPなどでご確認ください。
衆議院のほうが定数が多く、それだけ「多様な人材」が政治家になれるようにしています。
任期の違い
衆議院は任期が4年で、参議院は6年です。任期というのは政治家として活動できる期間のことです。
参議院のほうが任期が長く、必要な政治活動にじっくり取り組めるようになっています。
ただし、参議院は3年に1度半数ずつ選挙をして入れ替えが行われます。
解散があるかどうかの違い
衆議院には解散がありますが、参議院は解散がありません。
解散というのは、政治家としての仕事を全員やめることです。もう1度選挙をして政治家になることを目指す人もいれば、政治家を引退する人もいます。
衆議院は3年に1度くらいの割合で解散されており、その都度、最新の国民の意思が反映されるようになっています。
立候補できる年齢の違い(被選挙権)
衆議院と参議院では立候補できる年齢にも違いがあります。衆議院は25歳以上で立候補できますが、参議院は30歳以上です。
参議院のほうが任期が長いうえに解散がないので、より成熟した人(しっかりした人)が議員になるようにしているのです。
なお、選挙権(投票する権利)はどちらも18歳以上です。
衆議院と参議院の違いまとめ
衆議院 | 参議院 | |
議員定数 | 465人 | 248人 |
任期 | 4年 | 6年(3年ごとに半数改選) |
解散 | あり | なし |
選挙権 | 18歳以上 | 18歳以上 |
被選挙権 | 25歳以上 | 30歳以上 |
選挙区ごとの定数 | 小選挙区289人 比例代表176人 | 選挙区148人 比例代表100人 |
衆議院の優越とは
衆議院の議決は参議院より優先します。これを「衆議院の優越」と呼びます。
優越されている内容を以下にまとめています。
予算の先議
今後1年間、国のお金を何に使うかをあらかじめ決めたものを予算案といいます。内閣が提出した予算案の議決は、衆議院で先に行われます(憲法60条)。
これを予算の先議といいます。先に議決するから「先議」です。
予算の議決
衆議院で可決された予算案が参議院で30日以内に議決されなかった場合、その予算案が最終決定になります(憲法60条2項)。
参議院で意見がまとまらないままだと国の政策が何も実行できないので、衆議院で決めた予算案でいきましょうというわけです。
内閣総理大臣の指名
内閣総理大臣になれるのは1名だけですが、衆議院と参議院の両方から1名ずつ指名されます。
大抵は両院から同じ人物が指名されますが、衆議院と参議院で別々の人物が指名されることもあります。そういうとき、衆議院側が指名する人物を変更しない限り、衆議院で指名された人物が内閣総理大臣になります(憲法67条2項)。
法律案の再議決
国会に法案が提出されると、まず衆議院で議決されます。衆議院で可決された法案は、つづいて参議院でも議決されます。参議院で否決されても、これで終わりではありません。一度、衆議院に戻されます。
再度衆議院で審議されて議決が行われ、3分の2以上の賛成を得られるとこの法案は可決されます(憲法59条2項)。
参議院で否決されても衆議院で再度議決し、法律を成立させられるのです。これを法律案の再議決といいます。
条約の承認
内閣総理大臣が外国の首脳と話し合って、新たに条約を結ぶことがあります。日本と外国の「国どうしの約束」です。
この約束を果たすためには、日本の国会で承認する必要があります。内閣が結んだ約束を国会が認めるという作業です。これを条約の承認といいます。
条約の承認についても、法律案と同様、衆議院と参議院で意見がまとまらないときは衆議院の意見が最終決定になります(憲法61条)。
内閣不信任決議権
内閣の仕事ぶりに不満が高まると、国会は内閣に対して不信任決議をすることがあります。これ以上内閣総理大臣を任せられないからほかの人に代わってください、という申し出です。これを内閣不信任決議といいます。
内閣不信任決議を出す権利を持っているのは衆議院だけです(憲法69条)。
不信任決議が可決されると、内閣は10日以内に総辞職するか衆議院を解散して総選挙を実施する必要があります。
衆議院の優越とは?その理由と重要性
衆議院の優越の意味
日本の国会は、衆議院と参議院の二院制を採用しています。これは、二つの議院が互いにチェックし合う仕組みで、より健全な政治を実現するためのものです。
しかし、衆議院は、参議院よりも優越した権限を持つことが定められています。これを「衆議院の優越」といいます。
衆議院の優越とは、いくつかの重要な政策決定において、衆議院の決定が参議院よりも強い力を持つことを指します。
例えば、予算案の審議や法律案の成立などで、衆議院が決定を先に下した場合、その決定が最終的に反映される場合があります。
衆議院がなぜ重要か、参議院との違い
衆議院は、以下の点で参議院よりも重要な役割を持っています。
選挙の頻度
衆議院の議員は4年ごとに選挙が行われますが、参議院の議員は6年ごとに選挙があります。このため、衆議院の方がより国民の意向を反映しやすく、より政治の現実を反映することが求められます。
議員数の差
衆議院の議員数は465人、参議院は248人と、衆議院の方が多くの議員が選ばれます。これにより、衆議院はより代表性が高いと考えられています。
解散制度
衆議院は解散されることがありますが、参議院は解散されません。衆議院のほうが「国民の声」がより反映された選挙結果になります。
衆議院の解散は、新たな選挙によって国民の意志を再確認するため、より柔軟に対応することができます。
これらの理由により、衆議院は参議院よりも強い権限を持つことが一般的であり、その決定が優先されることが多いのです。
衆議院の優越が発揮される場面
衆議院の優越は、いくつかの重要な政治的な場面で発揮されます。主に以下の3つの場面で、衆議院の意見が最終的に決定権を持つことが定められています。
予算案の審議
日本の政府が次年度の予算案を提出する際、予算案は衆議院で先に審議され、最終的に衆議院で決定されます。参議院も予算案を審議しますが、もし参議院が予算案を修正したり、拒否した場合でも、衆議院が再度予算案を可決すれば、それが最終的に通ることになります。
これは、予算案が国の運営に直接関わる重要な問題であり、迅速に対応する必要があるため、衆議院が優先されます。
法律案の成立
法律案の審議でも、衆議院の優越が発揮されます。基本的に、法律案は両院で審議されますが、もし参議院が法律案を否決したり、修正案を出した場合、衆議院で再び審議されることになります。最終的には衆議院の意見が反映され、法律が成立します。
これにより、法律案の成立が遅れることを防ぎ、国の運営を迅速に行えるようにしています。
内閣の信任
内閣は衆議院の信任を受けて成立します。もし衆議院で内閣不信任案が可決されると、その内閣は辞任しなければなりません。
参議院が内閣不信任案を可決しても、衆議院の判断が最終的に影響を与えます。このため、内閣は衆議院の意向に大きく依存しており、衆議院の判断が国の政治を左右することになります。
これらの場面からもわかるように、衆議院は日本の政治において非常に重要な役割を果たしており、その優越性は政治の安定性や迅速な決定を確保するために必要不可欠です。
衆議院に優越が認められている理由
前述のように、衆議院には6つの点で参議院に優越しています。これは国の政治がストップしないようにするためです。
国の予算や内閣総理大臣の指名、他国との条約承認などは、国全体の動きに関わる非常に重要なことがらです。衆議院と参議院で議決が異なるからといってどうするか決定しないままではいけません。
そこで、意見が分かれたときは「解散」があり、国民の意見をより反映している衆議院の結論が採用されることになっています。
参議院が「良識の府」と呼ばれる理由
衆議院に優越がみとめられているのに対して、参議院は「良識の府」と呼ばれます。
これは、参議院に解散制度がなく、国民の意思に忖度(そんたく)することなく本当に必要な政策を決められるからです。そのため、参議院は被選挙権も30歳以上と、衆議院よりも5歳上に定められています。
衆議院の優越のまとめ
衆議院の優越は、予算案や法律案の審議、内閣の信任など、国の重要な政策決定において発揮されます。衆議院がなぜ参議院より優越した権限を持つのか、その理由は議員の選挙頻度や議員数、解散制度に関連しています。
衆議院は国民の意向を反映しやすく、政治の流れに迅速に対応できるため、重要な役割を果たしているのです。このように、衆議院は日本の政治において中心的な存在となっています。
衆議院と参議院の違いがテストにどう影響するか
衆議院と参議院の違いは、公民の試験でよく問われる重要なポイントです。特に、日本の政治制度や国会の仕組みを理解するために、この2つの議院の役割や特徴を区別できることが求められます。
テストでは、両者の違いやそれが政治にどう影響するかを理解しているかどうかを確認するために、比較形式の問題や説明問題として出題されることが多いです。
よく出るポイントと試験対策
衆議院と参議院の特徴の違い
- 議員数の違い: 衆議院は465名、参議院は248名です。これらの数字を覚えておくことが重要です。
- 任期の違い: 衆議院の議員の任期は4年、参議院の議員の任期は6年です。これもよく問われます。
- 解散の有無: 衆議院は解散がありますが、参議院には解散制度はありません。この点も両院の違いを問う際に出題されやすいです。
- 選挙制度の違い: 衆議院は小選挙区制と比例代表制の複合制で選出されますが、参議院は都道府県ごとの選挙区制(選挙区ごとに定数が異なる)と比例代表制を採用しています。この違いも理解しておくと良いです。
これらの特徴や違いは、試験でしばしば問われるので、各項目についてしっかりと押さえておきましょう。
衆議院の優越
衆議院が参議院よりも優越される場面(予算案や法律案の決定、内閣信任など)の理解も重要です。特に、試験で「衆議院の優越」がどのように発揮されるかを問われることがあります。
テストによく出る問題例
(1)衆議院の議決は参議院より優先します。これを何と呼びますか。
(2)衆議院が参議院に優越する事項は、「予算の先議」「条約の承認」「法案の議決」「内閣不信任案の決議」のほか2つあります。何と何ですか。
(3)予算の議決、条約の承認、内閣総理大臣の指名について衆議院と参議院で異なった場合に開かれる両院の代表者会議を何といいますか。
(4)予算の議決や条約の承認について衆議院が可決した議案を受け取ったあと、参議院は何日以内に議決をしないといけませんか。
(5)内閣総理大臣について、衆議院が指名後に参議院は何日以内に議決をしないといけませんか。
(6)衆議院が可決した法律案を参議院が否決した場合、再度衆議院で審議・採決が行われます。この2度目の採決では、出席議員のどれくらいの賛成があればこの法律案は可決されますか。
解答
(1)衆議院の優越
(2)予算の議決、内閣総理大臣の指名
(3)両院協議会
(4)30日以内
(5)10日以内
(6)3分の2以上
テストに向けた覚え方のコツ(語呂合わせ)
試験では「覚えるべき内容」をしっかりと覚えることが求められます。年号や任期、議員数、特徴などを覚えるために、以下のコツを活用しましょう。
衆議院と参議院の任期の語呂合わせ
- 衆議院の任期(4年):
- 「シ(4)ギ(議)イン(院)」と覚える。衆議院の任期4年に合わせた語呂合わせです。
- 参議院の任期(6年):
- 「サ(参)ギ(議)イン(院)ロク(6)」と覚える。参議院の任期6年に合わせた語呂合わせです。
衆議院と参議院の議員数の語呂合わせ
参考:まなびでおさん
- 衆議院(465名):
- 「週4(4)、むご(65)」と覚える。語呂合わせで、4、6、5の数字を覚えやすくします。
- 参議院(248名):
- 「札に(2)シワ(48)」と覚える。2、4、8という数字を覚えやすくする語呂合わせです。
解散の有無の覚え方
衆議院に解散があります。
「週(衆議院)4で解散」
衆議院の優越6つの覚え方(語呂合わせ)
- 「優越」の重要性を覚える:
- 「予算、法律、内閣」で覚えましょう。衆議院が優越する場面は、予算案、法律案、内閣信任においてです。
条約の承認→内閣総理大臣の指名→予算の先議→予算の議決→法律案の議決→内閣不信任決議の順です。
「冗談じゃないよ、先生。葉酸を買う法律、不信任だよ。」これらの語呂合わせや覚え方を活用することで、試験の際に覚えておくべき内容を効率よく記憶することができます。
Q&A: 衆議院と参議院の違いと衆議院の優越について
Q1: 衆議院と参議院の最も大きな違いは何ですか?
A1:
衆議院と参議院の最も大きな違いは、任期と議員数です。
- 衆議院の議員数は475人、任期は4年で、解散があるため選挙が頻繁に行われます。
- 参議院の議員数は248人、任期は6年で、解散はありません。参議院は選挙を定期的に実施しますが、議員の半数が改選される仕組みです。
Q2: 衆議院の優越とは何ですか?
A2:
衆議院の優越とは、衆議院が参議院よりも重要な決定を下す場合があるという仕組みです。例えば、予算案の審議や内閣の信任決定、重要な法律案の通過において、衆議院の決定が最優先されます。もし衆議院で可決された案が参議院で否決されても、衆議院が再可決すればその案は成立します。
Q3: 衆議院の優越が発揮されるのはどんな場面ですか?
A3:
衆議院の優越が発揮される場面は以下の通りです:
- 予算案:衆議院で可決された予算案が参議院で否決されても、衆議院が再可決すれば成立します。
- 法律案:重要な法律案で衆議院の決定が優先され、参議院が反対しても再可決されることがあります。
- 内閣信任:衆議院で内閣に対する信任が決定され、信任を得られない場合は内閣は辞任しなければならないため、衆議院の意思が重視されます。
Q4: 衆議院と参議院の違いが試験で出題される場合、どんな形式がありますか?
A4:
試験では、衆議院と参議院の違いに関する問題がよく出題されます。例えば、任期や議員数、選挙制度に関する質問や、衆議院の優越が発揮される場面について説明させる問題が典型的です。また、衆議院の優越について「どの場面で発揮されるか」「なぜ衆議院の優越が必要か」を問う問題もよく見られます。
Q5: どうやって衆議院と参議院の違いを覚えればいいですか?
A5:
衆議院と参議院の違いを覚えるためには、語呂合わせを使うと効果的です。例えば:
- 衆議院(475人)→「シ(4)ョウ(7)ギ(5)ン」
- 参議院(248人)→「サ(2)ン(4)ギ(8)ン」 また、衆議院の解散制度と参議院の解散なしを「シ(衆)ウ(解散あり)」と「サ(参)ナ(解散なし)」のように覚えると便利です。
Q6: 衆議院と参議院の違いが試験で出題される際、覚えておくべき重要なポイントは何ですか?
A6:
試験で出題される際、以下のポイントを覚えておくと役立ちます:
- 衆議院の任期は4年、参議院は6年であること
- 衆議院は解散があり、参議院は解散がないこと
- 衆議院の優越が発揮される場面(予算案、法律案、内閣信任など)
- 衆議院と参議院の議員数(衆議院:475人、参議院:248人)や選挙制度の違い
これらの基本情報を押さえておくと、試験で出題された際に素早く解答できるようになります。
Q7: 衆議院の優越に関する具体的な試験問題例はありますか?
A7:
具体的な試験問題例として、以下のようなものが挙げられます:
- 「衆議院と参議院の主な違いを説明せよ。」
- 「衆議院の優越が発揮される場面を挙げ、それが重要な理由を説明せよ。」
- 「衆議院の優越が実際にどのように影響を与えるか、具体例を交えて述べよ。」
まとめ
中学生向けに、衆議院と参議院の違いを説明しました。
議員定数や被選挙権の年齢の違い、解散のあり・なしのほか、「衆議院の優越6つ」「(参議院は)良識の府」を覚えておきましょう。
予算の先議と予算の議決は言葉が似ているので、気を付けましょう。
練習問題ものせているので、ぜひ解いてみてください!
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