大学入試の「総合型選抜」は、学力だけでなく個性や意欲、活動経験も評価される入試方式です。
「どんな人が向いているの?」「一般選抜や学校推薦型選抜とは何が違うの?」「準備はいつから始めればいい?」など、高校生にとって疑問が多い入試でもあります。
この記事では、総合型選抜の特徴・選考方法・スケジュール・メリット・デメリット・向いている人まで、実際の受験対策に役立つ情報をすべて網羅。
高校1・2年生からの準備ポイントや、面接・小論文・志望理由書の書き方まで具体的に解説しています。
総合型選抜を目指すなら必読の完全ガイドです。
総合型選抜とは?【旧AO入試との違いも解説】
そもそも「総合型選抜」とはどんな入試?
総合型選抜(そうごうがたせんばつ)とは、大学が求める学生像に合った人物を多面的に評価する入試制度です。
一般入試のように「学力試験の点数」だけで判断するのではなく、
- 高校生活での取り組み(部活動・ボランティア・探究活動など)
- 志望理由書や自己PR
- 面接・小論文・プレゼンテーション
などを通して、学ぶ意欲や人柄、将来の目標を評価します。
この制度は、文部科学省が「多様な人材を受け入れる入試」を目指して2019年度入試から本格導入したもので、従来のAO入試を改めて制度化した形です。(文部科学省「大学入学者選抜改革の動向」)
大学ごとに評価方法が異なり、学力の3要素(知識・技能/思考力・判断力・表現力/主体性・多様性・協働性)をバランスよく見ることが特徴です。
総合型選抜は、「勉強が得意かどうか」よりも、入学者の「適性」に焦点を当てるよう、文科省の指針でも定められています。
入学志願者の能力・適性や学修に対する意欲、目的意識等を総合的に判定する入試方法
文部科学省「大学入学選抜改革に関する資料」より引用
※なお、総合型選抜の志望理由書の書き方について、以下の記事で詳しく解説しています。
総合型選抜で合格する志望理由書の書き方
総合型選抜と旧AO入試の違い
総合型選抜は、もともと存在していたAO入試(アドミッション・オフィス入試)を改良した入試方式です。
名前が変わっただけでなく、制度の中身がより明確化・公正化されたという大きな違いがあります。
| 比較項目 | 旧AO入試 | 総合型選抜 |
|---|---|---|
| 制度の位置づけ | 各大学が独自に実施(自由度が高い) | 文部科学省が制度化(全国統一の基準) |
| 学力の扱い | 学力試験を課さない大学も多かった | 「学力の3要素」を必ず評価(小論文・面接・共通テストなど) |
| 評価の内容 | 人物・意欲・活動実績を重視 | 人物+基礎学力+主体性・協働性など多面的に評価 |
| 出願の流れ | 書類と面接中心(大学により大きく差) | 書類・面接・小論文に加え、共通テスト利用校も増加 |
| 公平性 | 大学ごとの基準にばらつき | 評価基準が明確化され、透明性が向上 |
つまり、旧AO入試は「自由度が高い反面、大学によって評価の基準が曖昧」でしたが、
総合型選抜では「明確な評価基準を設け、学力も含めたバランス重視」に変わりました。
その結果、「誰でも出せるAO」から「計画的に準備すべき総合型選抜」へと位置づけが変わっています。
総合型選抜が重視する「アドミッション・ポリシー」とは?
総合型選抜では、「アドミッション・ポリシー(Admission Policy)」がとても重要です。
これは、大学や学部が掲げる
「どんな学生に入学してほしいか」
という受け入れ方針のことです。
たとえば、
- 教育学部なら「子どもに寄り添える人」
- 理工学部なら「探究心があり、自ら学ぶ意欲がある人」
- 国際系学部なら「異文化を理解し、発信できる人」
といったように、大学ごと・学部ごとに求める学生像が異なります。
総合型選抜では、このアドミッション・ポリシーに沿って、
- 志望理由書
- 面接での発言
- 活動実績(部活・ボランティアなど)
が評価されます。
したがって、出願前には必ず大学の公式サイトでアドミッション・ポリシーを確認し、
自分の経験や将来の目標がその内容と一致しているかを整理しておくことが合格への第一歩です。
まとめ
総合型選抜は、「自分をどれだけ深く理解し、大学とマッチしているか」を伝える入試です。
旧AO入試よりも学力や準備の重要性が高まり、「人間性+学力+将来性」を総合的に評価されるようになりました。
そのため、早めの自己分析と志望校研究が合格のカギになります。
総合型選抜の選考方法と流れ
総合型選抜では、学力試験の点数だけではなく、受験生の人柄・意欲・経験・将来性を多面的に評価します。
ここでは、一般的な選考の流れや大学ごとの違い、共通テストの扱い、出願条件などを詳しく見ていきましょう。
参考:ベネッセ:総合型選抜(旧AO入試)とは?仕組みやメリット、対策を解説
一般的な選考方法(書類・面接・小論文など)
総合型選抜では、大学によって細かい内容は異なりますが、次のような流れが一般的です。
① エントリー(事前登録)
高校3年生の夏ごろから、大学のオープンキャンパスやエントリー制度を通じて、志望校へ意欲を伝える段階です。
エントリー後に大学から課題が出されることもあり、「志望理由書」や「活動報告書」を提出する場合もあります。
② 書類審査
まず、提出書類による一次選考が行われます。代表的な書類は以下の通りです。
- 志望理由書(なぜその大学・学部を志望するのか)
- 調査書(高校での成績・出欠・活動記録)
- 自己推薦書(自分の強みや努力をアピール)
- 活動報告書(ボランティア・部活動・資格など)
書類の内容は、大学のアドミッション・ポリシーと一致しているかが重視されます。
③ 面接・口頭試問
書類選考を通過すると、面接が実施されます。
面接の形態は大学によって異なります。
- 個人面接(1対1または複数の教員と対話)
- グループディスカッション
- プレゼンテーション型(自分の研究テーマや経験を発表)
面接では、主体性・表現力・思考力・将来の目標などが評価されます。
なお、志望理由などの書類内容と面接での回答内容は合わせておく必要があります。書類審査と面接の両方で合格を決めるように設計されているからです。
詳細な書類審査と時間をかけた丁寧な面接等を組み合わせること
文部科学省:大学入学者選抜関連基礎資料集より引用
④ 小論文・課題提出
多くの大学で小論文が課されます。
テーマは「志望学部に関連する社会問題」「将来の展望」「探究活動のまとめ」など。
単なる作文ではなく、論理的思考力・自分の考えを整理して表現する力を見ています。
⑤ 最終合格発表
面接・小論文の総合評価で合格者が決まります。
合格後は「入学意思確認書」を提出し、大学によっては早期に学習課題が出ることもあります。
大学ごとの違い(国立・私立の傾向)
総合型選抜の内容は、国立大学と私立大学で傾向が異なります。
参考:河合塾:拡大する学校推薦型選抜と総合型選抜 | 入試の基礎知識
国立大学の傾向
- 「人物評価」とともに、学力の確認を重視する。
- 大学入学共通テストを課す大学が多い。
- 小論文・面接に加え、レポート課題や探究活動の発表を求める場合もある。
- 地域貢献型・探究活動重視型の入試が多い(例:地域創生系学部など)。
→ 国立は「知識+思考力+主体性」をバランスよく見る傾向。
私立大学の傾向
- 大学独自の選考方式が多く、書類・面接・小論文中心。
- 共通テストを課す大学は少ないが、学力確認テスト(大学独自の筆記試験)を行う場合がある。
- 「志望理由書」や「自己PR」など、熱意や個性を重視する大学が多い。
→ 私立は「大学の理念とマッチするか」を特に重視する傾向。
共通テストが必要なケースもある?
総合型選抜では、大学入学共通テストを課す大学も増えています。
文部科学省が示した「学力の3要素」を評価するため、学力確認を必須とする動きが広がっているためです。
共通テストが必要なケース
- 国立大学ではほぼすべてで共通テストを課す。
- 私立大学でも、上位校(例:早稲田・上智・同志社など)で一部科目の受験を求める場合あり。
- 科目数は大学によって異なり、1〜3教科の範囲で実施されることが多い。
共通テストが不要なケース
- 私立大学の多くでは、共通テストの代わりに高校での成績・面接・小論文で評価する。
- ただし「基礎学力チェックテスト」を独自に実施する大学もある。
共通テストを課すかどうかは大学公式サイトで必ず確認し、「どの段階で学力が評価されるのか」を理解しておくことが大切です。
評価基準と出願条件(評定平均・資格・活動実績など)
総合型選抜では、受験資格や評価の基準が大学ごとに細かく定められています。
以下の要素が、合否に大きく関わります。
1. 評定平均(成績)
多くの大学では「評定平均〇.〇以上」といった基準を設けています。
例:
- 国立大学:評定4.0以上を求めるケースが多い
- 私立大学:3.2〜3.8程度が目安
ただし、評定が満たなくても活動実績や志望理由が優れていれば合格するケースもあります。
2. 資格・検定
大学によっては、次のような資格を評価対象としています。
- 英検・TOEIC・GTECなどの英語検定
- 漢検・数検などの学力検定
- 各種大会・コンクールの成績
資格は「努力の証」として評価され、主体性や継続力のアピールにもつながります。
3. 活動実績
総合型選抜では、学校外での経験や行動も大きな評価ポイントです。
- 部活動(リーダー経験・大会実績など)
- ボランティア・地域活動
- 探究活動・研究発表
- 文化祭や生徒会などのリーダーシップ経験
「どんな経験を通して、何を学び、どう成長したか」を明確に言語化できると強い印象を与えられます。
4. 志望理由書・自己PR
大学が最も重視するのは、志望動機の明確さです。
アドミッション・ポリシーとの一致が重要で、大学の教育理念や学びたい内容をきちんと理解しているかが問われます。
まとめ

総合型選抜は、書類・面接・小論文を中心に、人物・意欲・学力を総合的に評価する入試です。
国立と私立では傾向が異なり、共通テストを課す大学もあります。
また、評定平均・資格・活動実績など、さまざまな角度から評価されるため、早い時期からの準備と自己分析が合格のカギとなります。
総合型選抜のスケジュール【高校1・2年からの準備がカギ】
総合型選抜(旧AO入試)は、「早い準備が合格のカギ」となる入試方式です。
出願は高校3年の秋ごろですが、評価されるのはそれまでの3年間の活動や取り組みです。
つまり、高校1年生からの積み重ねが結果に直結します。
ここでは、総合型選抜のスケジュールを、高1・高2・高3の時期別に詳しく見ていきましょう。
高1・高2でやるべき準備
総合型選抜では「自分はどんな人間で、何を学び、どう成長したいのか」を明確に示す必要があります。
そのため、高1・高2のうちから次の3つの準備を始めておくとスムーズです。
自己分析・志望理由の明確化
まず最初に取り組むべきは、自分自身を深く知ることです。
自己分析では、次のようなポイントを整理してみましょう。
- どんなことに興味があるか
- どんな活動や授業が楽しいと感じたか
- どんな将来像を思い描いているか
この自己分析をもとに、「なぜその大学・学部を志望するのか」を考えるのが志望理由づくりの第一歩です。
☑ ポイント:
志望理由は「なんとなく有名だから」ではなく、
「その大学で何を学び、将来どう活かしたいか」
を具体的に語れるようにしておくことが重要です。
たとえば、
「子どもの成長を支える教育に関心があり、教育学部で心理学的な視点から学びたい」
のように、自分の関心と大学の学びがつながっていると好印象です。
学校外での活動や資格取得
総合型選抜では、学校外での経験や挑戦も評価の対象になります。
高校1・2年のうちに、興味のある分野で積極的に活動しておくと、志望理由書や面接で強いアピールができます。
たとえば:
- 地域のボランティア活動に参加する
- コンテストや大会に出場する
- 学校外のセミナーや探究プログラムに参加する
- 英検・TOEICなどの資格試験に挑戦する
こうした活動は、主体性や探究心、行動力を示す材料になります。
また、資格は「努力の証」としてプラス評価されやすく、特に英検2級以上を目指しておくと有利です。
小論文・面接の練習スタート時期
小論文や面接の力は、短期間では身につきません。
そのため、高2の終わりごろから練習を始めるのがおすすめです。
【小論文の対策】
- 新聞やニュースを読んで、社会問題への意見を考える習慣をつける
- 書く練習を通して、文章構成力・論理的思考力を鍛える
【面接の対策】
- 志望理由を口に出して説明する練習
- 友人や先生に模擬面接をお願いする
- 姿勢・表情・話し方の印象を確認する
☑ 早くから練習することで、「自分の考えを言葉で伝える力」が自然に身につきます。
高3の年間スケジュール(エントリー~合格発表まで)
高校3年になると、総合型選抜は本格的に動き始めます。
一般選抜よりも早く選考が進むため、スケジュール管理がとても重要です。
エントリー開始はいつ?
総合型選抜のエントリーは、6月〜8月ごろに始まります。
エントリーとは、「この大学を受けたい」という意思を大学に伝える段階で、
オープンキャンパスや事前面談が必要な大学もあります。
【例】
- 6月:エントリー受付開始(大学によっては説明会必須)
- 7月:課題提出・書類準備(志望理由書や活動報告書など)
- 8月:一次選考(書類審査)スタート
☑ ポイント:
大学によっては「エントリーしていないと出願できない」「オープンキャンパスに参加が出願条件に入っている」場合もあるため、志望校の公式サイトで早めに確認しましょう。
出願・面接・発表の時期を整理
エントリーの後、いよいよ本出願と選考が始まります。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 9月〜10月 | 出願受付(志望理由書・調査書・活動報告書などを提出) |
| 10月〜11月 | 面接・小論文・課題発表などの選考実施 |
| 11月〜12月 | 合格発表(早い大学では10月中に発表も) |
| 12月以降 | 入学意思確認・共通テスト(国立志望者) |
合格後、大学から「入学前課題」や「事前学習」が出されるケースも多いため、
早めに進学準備を始める必要があります。
注意点:
総合型選抜で合格しても「入学辞退」ができない大学もあるため、他の入試方式(一般選抜・推薦型選抜)との併願計画も事前に考えておきましょう。
まとめ
総合型選抜は、高1・高2の準備が合格を左右する入試です。
- 自己分析で自分を理解し、志望理由を明確にする
- 学校外の活動や資格で実績を積む
- 高2の終盤から小論文・面接対策を始める
そして、高3では夏から秋にかけて出願・面接・発表が集中します。
「早めの情報収集」と「計画的な準備」ができる人こそ、総合型選抜でチャンスをつかめます。
総合型選抜と他の入試方式との違い
総合型選抜は、学力だけでなく人柄や主体性も評価する入試ですが、一般選抜や学校推薦型選抜とは大きく性質が異なります。
ここでは、それぞれの入試方式との違いや併願戦略について詳しく解説します。
一般選抜との違い(学力重視 vs 人物重視)
一般選抜(いわゆるセンター試験・共通テスト+二次試験型)は、学力試験の点数が合否の中心です。
| 比較項目 | 総合型選抜 | 一般選抜 |
|---|---|---|
| 評価の中心 | 人物・意欲・活動実績・学力の3要素 | 学力試験の得点(共通テスト+二次試験) |
| 出願資格 | 高校3年生なら誰でも出願可能(大学により条件あり) | 高校卒業資格または高卒見込み |
| 準備期間 | 高1・高2からの活動が重要 | 高3の受験勉強が中心 |
| 選考方法 | 書類・面接・小論文・プレゼンなど多面的 | 筆記試験中心(数学・英語・国語など) |
| 合格後の特徴 | 学力以外の力も活かせる | 学力重視で評価される |
ポイントは、総合型選抜は「大学で学ぶ意欲や主体性を重視」する点で、学力だけで勝負する一般選抜とは大きく異なることです。
そのため、学力が苦手でも、自分の強みや活動経験をしっかりアピールできれば合格の可能性があるのが総合型選抜の魅力です。

学校推薦型選抜との違い(指定校推薦との関係も)
学校推薦型選抜は、高校が推薦する生徒を大学が選抜する方式です。
総合型選抜との違いを整理すると以下の通りです。

| 比較項目 | 総合型選抜 | 学校推薦型選抜 |
|---|---|---|
| 出願資格 | 高校3年生なら誰でも出願可能(条件あり) | 高校が推薦した生徒のみ |
| 評価の中心 | 人物・意欲・活動実績・学力 | 高校での成績・推薦書・面接 |
| 選考方法 | 書類・面接・小論文・プレゼンなど多面的 | 書類・面接・小論文(大学により差あり) |
| 自由度 | 自己PR・活動内容を自由にアピールできる | 高校が推薦するため活動内容はある程度限定される |
| 指定校推薦との関係 | なし(出願自由) | 指定校推薦は学校に割り当てられた枠内でのみ出願可能 |
【おすすめ記事】▶「学校推薦型選抜とは?特徴と仕組みを徹底解説」
総合型選抜は、高校からの推薦が不要なため、学校推薦型選抜よりも自由に出願できる点が大きな特徴です。
ただし、両方式とも面接や小論文で人物や意欲を評価する部分があるため、準備内容には共通点があります。
学校推薦型選抜については、以下の記事で詳しく解説しています。
高校生必見!「学校推薦」とは?指定校推薦・公募推薦の違いとメリット・もらうためのコツを徹底解説
併願はできる?総合型選抜と他方式の組み合わせ戦略
総合型選抜は、他の入試方式との併願が可能です。
ただし、スケジュールや準備内容を考慮して計画的に組み合わせることが重要です。
併願のポイント
- 総合型選抜と学校推薦型選抜の併願
- 両方とも面接や志望理由書の提出が必要
- 高校の推薦枠を確保した上で総合型選抜にも出願可能
- 総合型選抜と一般選抜の併願
- 学力試験の準備が必要になるため、学習計画を早めに立てる
- 総合型選抜で早期合格を得られると、一般入試は予備プランとして活用できる
- 計画のコツ
- 総合型選抜は早めの準備が必要(高1・高2の活動や志望理由書作成)
- 一般入試は高3で集中して学力対策
- どの入試で早く合格したいかを明確にして戦略を立てる
まとめ
総合型選抜は、「自分の意欲や経験を評価してもらえる自由度の高い入試」です。
一般選抜は学力勝負、学校推薦型選抜は高校推薦枠での合格が中心。
併願戦略をうまく組み立てれば、総合型選抜で早期合格を狙いつつ、一般入試や推薦型で保険をかけることも可能です。
総合型選抜のメリットとデメリット
総合型選抜は、学力だけでなく主体性・意欲・活動経験を評価する入試です。その特徴は、メリットもあればデメリットもあります。
ここでは、初めての高校生向けに分かりやすく整理して解説します。
総合型選抜のメリット

学力以外の努力・個性を評価
総合型選抜では、学校の成績だけでなく、高校生活での活動や個性も評価対象になります。
具体例:
- 部活動でのリーダー経験
- ボランティアや地域活動の実績
- 探究活動や研究発表
- 資格取得やコンクール入賞
「学力は平均的だけど、主体性や行動力がある」
という生徒でも、自分の強みを最大限にアピールできるのが大きなメリットです。
早めに合格を得られる安心感
総合型選抜は、他の入試よりも早い段階で合格が決まることがあります。
- 高3の秋ごろに合格発表
- 早ければ一般入試前に進路が確定
これにより、残りの高校生活を安心して過ごせるだけでなく、
- 入学前課題に集中できる
- 将来の学びや目標を早く明確化できる
というメリットがあります。
大学の学びを深く理解できる
総合型選抜では、志望理由書や面接、小論文で大学の教育内容や学び方について考える機会があります。
- 大学のカリキュラムや学部の教育理念を理解する
- 自分の学びたいことと大学の方針が合致しているかを確認
- 将来の学習や研究計画を具体的に考える
こうした機会を活かすことで入学前から「大学での学び」をイメージでき、入学後のスタートダッシュにもつながります。
総合型選抜のデメリット
準備期間が長い・早期対策が必要
総合型選抜は、高1・高2からの活動や自己分析が評価の対象です。
- 志望理由書や自己PRの準備
- 部活・ボランティア・資格取得の積み重ね
- 小論文・面接対策
「受験直前に準備しても間に合わない」
という点がデメリットです。
早期の計画性と継続的な努力が求められます。
評価基準が明確でない大学もある
総合型選抜では、多面的評価が魅力ですが、大学によって評価基準の公開度に差があります。
- 書類選考・面接・小論文の配点が不明確
- 合格者の傾向や重視ポイントが公開されていない場合もある
そのため、大学研究や過去の合格者情報の収集が必要で、情報不足だと戦略を立てにくいことがあります。
合格後にモチベーション維持が難しいことも
総合型選抜は、早期に合格を得られるメリットがありますが、入学まで時間があるためモチベーション維持が課題となることがあります。
- 入学前に勉強や活動への意欲が落ちる
- 目標設定が甘くなり、学習習慣が崩れる
この問題を防ぐには、合格後も自主学習や探究活動を継続することが重要です。
まとめ
総合型選抜は、学力以外の努力や個性を評価してもらえる自由度の高い入試です。
早期に合格を得られ、大学の学びを深く理解できる点は大きなメリットですが、
- 準備期間が長く早期対策が必要
- 大学によって評価基準が不明確
- 合格後のモチベーション維持が課題
といったデメリットもあります。
したがって、高校1・2年から計画的に自己分析・活動・学習を進めることが、総合型選抜で成功するカギとなります。
総合型選抜の注意点とよくある失敗例
総合型選抜は学力だけでなく人物や意欲も評価される入試ですが、準備や戦略を間違えると不合格につながることもあります。
ここでは、よくある失敗例とその原因、そして対策を解説します。
アドミッション・ポリシーを読み込まず出願する失敗
総合型選抜では、大学ごとのアドミッション・ポリシー(AP)を理解しているかどうかが合否に直結します。
失敗例
- APを読まずに出願してしまい、提出書類や面接で大学の求める人物像とずれた内容をアピール
- 「なんとなく有名だから」「学部名が興味深いから」という浅い理由で出願
対策
- 大学公式サイトでAPを確認し、大学が求める学生像に自分が合致しているか整理する
- 志望理由書や面接の準備の際は、APのキーワードを盛り込み、自分の経験や目標と結びつけて表現する
ポイント:APを無視しての出願は、書類・面接で評価されにくくなるので要注意です。
志望理由が浅くて面接で苦戦
面接では、「なぜその大学で学びたいのか」「将来どう活かすのか」が問われます。
失敗例
- 表面的な志望理由(例:「家から近い」「有名大学だから」)しか言えない
- 自分の興味・将来像と大学の学びを結びつけられない
対策
- 高1・高2のうちから自己分析を行い、自分の興味・関心・経験を整理
- 大学のカリキュラムや学部の特色と、自分の目標を具体的に結びつける
- 面接練習で、自分の志望理由を短くても説得力のある形にまとめる
ポイント:浅い志望理由は面接官に伝わりやすく、合格のチャンスを逃す原因になります。
活動実績をうまくアピールできない
総合型選抜では、部活動・ボランティア・資格・探究活動などの経験が評価されます。
失敗例
- 活動内容を羅列するだけで、学んだことや成長したことを伝えられない
- 「やったことはあるけど深く考えていない」と思われる表現になってしまう
対策
- 活動ごとに、何を目的に行ったか、どのように努力したか、何を学んだかを整理
- 志望理由書・面接で、活動経験を大学での学びや将来につなげて説明
- 「主体性・継続力・思考力」が見える形でアピールする
ポイント:単なる経験の列挙は評価されにくく、自分の成長や意欲を見せることが大切です。
スケジュール管理ミスによる出願遅れ
総合型選抜は、出願・書類提出・面接・課題提出の締め切りが早く、複雑です。
失敗例
- 高3の夏までに志望理由書や活動報告書の準備が間に合わない
- エントリー忘れや提出期限の確認不足で出願できない
- 面接予約を忘れて、チャンスを逃す
対策
- 高3の春・夏に年間スケジュールを作成
- 大学ごとにエントリー開始日・出願締切・面接日・合格発表日を確認
- 提出物や面接練習の進行状況をチェックリストで管理
ポイント:総合型選抜は準備の遅れがそのまま不合格につながるため、スケジュール管理は最重要です。
まとめ
総合型選抜は、学力以外の能力を多面的に評価する魅力的な入試ですが、失敗例も少なくありません。
- アドミッション・ポリシーを読み込まない
- 志望理由が浅い
- 活動実績をうまく伝えられない
- スケジュール管理が甘い
これらは、事前準備と戦略で防ぐことが可能です。
高1・高2のうちから自己分析・活動・情報収集を行い、高3では計画的に出願・面接対策を進めることが、総合型選抜で合格するためのカギとなります。
総合型選抜に向いている人・向いていない人
総合型選抜は、学力だけでなく人物・意欲・活動経験も評価される入試方式です。
そのため、受験生の性格や準備状況によって、向き・不向きがあります。
ここでは、それぞれの特徴を具体例とともに解説します。
総合型選抜に向いている人の特徴
総合型選抜で合格しやすいのは、自分の興味や目標を明確に持ち、行動力や自己表現力がある人です。
自分の興味・関心が明確な人
- 将来や学びたいことがはっきりしている
- 「なぜこの学部・大学で学びたいのか」を具体的に説明できる
- 志望理由書や面接で、経験や活動と大学の学びを結びつけられる
たとえば、
「地域の子ども支援に関心があり、教育学部で心理学の知識を学びたい」
のように、自分の関心と大学の学びを結びつけて説明できる人は総合型選抜に向いています。
行動力・自己表現力のある人
総合型選抜では、自分の考えや経験を伝える力が重要です。
- ボランティア・部活・探究活動など、積極的に挑戦してきた
- 小論文や面接で、自分の経験・学び・意欲をわかりやすく伝えられる
- 自分から情報収集や行動を起こす主体性がある
ポイント:単に活動をしただけでは不十分で、学んだことや成長を言語化して表現できる力が必要です。
総合型選抜に向いていない人の特徴
一方で、総合型選抜は準備期間が長く、自己分析や活動の振り返りが必要な入試です。
そのため、次のような人は注意が必要です。
計画的な準備が苦手な人
- 高1・高2からの活動や情報収集を計画的に行えない
- 高3になってから準備を始める傾向がある
- 提出書類や面接準備を期限内に整えるのが難しい
総合型選抜では、長期的な準備が合否を左右します。
計画的に行動できない場合は、一般選抜や学校推薦型選抜を検討する方が安心です。
志望理由を深めるのが難しい人
- 「何を学びたいか」「将来どう活かしたいか」が曖昧
- 自己分析や活動経験の整理が苦手
- 面接や志望理由書で、自分の考えを具体的に伝えるのが難しい
総合型選抜は、志望理由の深さや論理性が評価ポイントです。
浅い志望理由や準備不足は、合格のチャンスを大きく下げます。
まとめ
総合型選抜は、自分の興味・関心が明確で、行動力や自己表現力がある人に向いている入試方式です。
逆に、計画的な準備が苦手な人や志望理由を深めるのが難しい人は、合格までの道のりが厳しくなります。
総合型選抜に挑戦する場合は、高1・高2の早い段階から自己分析や活動の記録を行い、志望理由を深めることが成功のカギです。
総合型選抜に合格するための対策ポイント
総合型選抜は、学力だけでなく「人間力」や「意欲」を重視する入試方式です。学校の成績だけでなく、あなたの経験や考えを伝えることが合格のポイントになります。
高1・高2からできるおすすめ準備
総合型選抜は早めの準備が重要です。高校1・2年生のうちから、将来の志望大学や学部を意識した行動が差につながります。
学外活動・資格取得で差をつける
クラブ活動やボランティア、インターンシップなど、学校外での経験は評価されやすいポイントです。また、英語検定や情報処理などの資格を取得しておくと、自己PRの材料にもなります。
志望理由書・自己PRの練習法
志望理由書や自己PRは、あなたの考えや経験を文章で伝える練習が必要です。
- 日々の活動をメモにまとめる
- 自分の強みや目標を整理する
- 先生や友人に文章を添削してもらう
面接・小論文対策の基本
面接や小論文では、自分の考えを論理的に伝える力が求められます。ポイントは以下の通りです。
- 面接:質問に対して具体例を交えて答える
- 小論文:結論→理由→具体例→まとめの順で書く
大学調べのコツと情報収集の方法
大学の特色や入試情報を正しく理解することも重要です。
- 大学の公式サイトを確認
- オープンキャンパスに参加
- 先輩や学校の先生に話を聞く
模擬面接・フィードバック活用術
実際に模擬面接を行い、フィードバックをもらうことで、自分の強みや改善点が明確になります。動画で自分の受け答えを確認すると、表情や話し方の改善にもつながります。
まとめ|総合型選抜は「自分を伝える入試」
総合型選抜は、学力だけでなくあなたの「人間力」や「熱意」を評価する入試です。
学力だけでなく「人間力」を評価される入試
志望理由書・面接・小論文を通じて、自分の考えや経験を具体的に伝えることが合格のカギです。
早めの準備が合格のカギ!
高校1・2年生のうちから活動や資格取得、自己分析を始めることで、他の受験生と差をつけられます。
学校推薦型選抜との違いを理解して、自分に合った方式を選ぼう
総合型選抜は学力重視ではなく「人物評価型」の入試です。学校推薦型選抜や一般選抜との違いを理解し、自分に合った入試方式を選ぶことが成功への第一歩です。


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