難関大学の合格を目指す高校生や中高一貫校の中学生、そして保護者の方にとって、「どの大学が難関なのか」「どれくらい勉強すれば合格できるのか」は、最大の関心事です。
そこで本記事では、国公立大学・私立大学の最難関校を一覧で整理し、文系・理系別の必要勉強時間や学年別勉強スケジュール、効率的な勉強法まで徹底解説します。
この記事を読めば、受験勉強の全体像を把握し、最短ルートで難関大学合格を目指すための具体的な戦略を立てることができます。
難関大学とは?国公立・私立の最難関校を徹底整理
「難関大学」という言葉は、受験生や保護者の間でよく使われますが、具体的な定義は曖昧です。一般的には入試の難易度が高く、偏差値が高い大学を指すことが多いですが、それだけでは大学の魅力や価値を正確に示すことはできません。
ここでは、偏差値だけでなく、入試の競争率や学問のレベル、将来の就職・進学実績なども含めて、「難関大学」を整理していきます。
「難関大学」の定義とは?偏差値だけではない選び方
多くの受験生が「偏差値」で難関大学を判断しがちですが、偏差値だけで大学を選ぶのは不十分です。以下のポイントを総合的に判断することが重要です。
- 偏差値
- 目安として、国公立大学は65以上、私立大学は60以上の学部が「難関」とされます。
- ただし、学部によって偏差値は大きく異なるため、学部ごとの情報を確認することが大切です。
- 入試の競争率
- 志望者数や倍率も難関度を測る重要な指標です。倍率が高いほど、合格には戦略的な勉強が必要になります。
- 学問・研究のレベル
- 単に偏差値が高いだけでなく、研究環境や教育内容が充実しているかも判断材料になります。
- 進路実績や将来性
- 難関大学は就職率や大学院進学率が高く、将来のキャリアにも大きな影響を与えます。
最難関大学は偏差値70以上の大学
難関大学のなかでも偏差値70以上の大学は「最難関大学」と呼ばれます。東大・京大、早慶上智などごく一部の大学です。
これらの大学は偏差値だけでなく「入試問題の難易度」も高く、受験対策に時間がかかります。
国公立難関大学の一覧
どの大学が難関大学に入るのか、北から順に一覧にしました。偏差値は河合塾の偏差値表をもとに、「前期入試で偏差値60以上」の大学をピックアップしています。ただし、医学部だけ偏差値60を越えている大学は除外しました。
大学名 | 偏差値 |
北海道大学 | 50~62.5 |
東北大学 | 52.5~67.5 |
東京大学 | 67.5~72.5 |
名古屋大 | 55~62.5 |
京都大学 | 60~72.5 |
大阪大学 | 57.5~70 |
九州大学 | 55~67.5 |
国際教養大学 | 67.5 |
一橋大学 | 65~67.5 |
筑波大学 | 55~65 |
千葉大学 | 50~67.5 |
お茶の水女子大学 | 57.5~62.5 |
東京外国語大学 | 60~65.0 |
東京農芸大学 | 47.5~62.5 |
東京理工大学 | 52.5~62.5 |
横浜国立大学 | 55~62.5 |
名古屋市立大学 | 50~65 |
京都府立大学 | 52.5~62.5 |
大阪公立大学 | 50~65 |
神戸大学 | 55~67.5 |
広島大学 | 50~65 |
ご覧のように全国の国公立大学217校のうち、旧帝大含めて21校しかありません。
その21校もすべての学部が偏差値60以上というわけではありません。ほとんどの学部で60を越えているのは東京大学・一橋大学・京都大学・大阪大学と限られています。
中でも、偏差値70以上の最難関大学は東大・京大・阪大の3校にしぼられます。
私立難関大学の一覧
つづいて、偏差値60以上の難関私立大学の一覧を紹介します。
大学名 | 偏差値 |
慶應義塾大学 | 60~72.5 |
早稲田大学 | 62.5~70 |
上智大学 | 55~70 |
東京理科大学 | 55~62.5 |
明治大学 | 57.5~62.5 |
青山学院大学 | 55~65 |
立教大学 | 55~65 |
中央大学 | 55~62.5 |
法政大学 | 52.5~62.5 |
武蔵大学 | 52.5~60 |
同志社大学 | 57.5~62.5 |
関西学院大学 | 50~60 |
立命館大学 | 52.5.~60 |
関西大学 | 52.5.~60 |
こちらも偏差値60以上の大学は限られています。
早慶上理、MARCH、関関同立に武蔵野大学を加えても14校しかありません。私立大学は全国に600校以上ありますから、偏差値60以上はほんの一握りの大学だけなのです。
なかでも、偏差値70以上の大学は早稲田・慶應・上智の3大学だけです。
難関大学合格に必要な勉強時間はどれくらい?
難関大学合格には、単に長時間勉強するだけではなく、効率的な学習計画と科目ごとの戦略が重要です。
ここでは、文系・理系別に国公立・私立の大学合格に必要な勉強時間の目安をベネッセの調査をもとに整理します。
国公立大学の合格に必要な勉強時間(文系・理系別)
国公立大学の入試は学力試験(共通テスト+二次試験)が中心で、科目ごとの理解度が問われます。学力の差を縮めるためには、高い学力を維持するための長時間勉強が必要です。
文系:4,000〜6,600時間
- 文系国公立大学(東京大学法学部、一橋大学経済学部など)では、高校1年〜3年の総勉強時間の目安は4,000〜6,600時間。
- 学年別の目安:
- 高1:1,000〜1,200時間(基礎固め)
- 高2:1,200〜1,800時間(応用力養成)
- 高3:1,600〜2,600時間(過去問・模試演習)
- 科目配分例(高3):国語30%、数学20%、英語30%、社会20%
理系:5,300〜9,000時間
- 理系国公立大学(東京大学理学部、京都大学工学部など)では、文系よりも勉強時間が長く、5,300〜9,000時間が目安。
- 理系科目は理解と演習に時間がかかるため、数学・理科の比率が高い。
- 科目配分例(高3):数学40%、理科40%、英語15%、国語5%
私立大学の合格に必要な勉強時間(文系・理系別)
私立大学は入試科目が学部ごとに異なりますが、国公立に比べて総勉強時間の目安はやや少なめです。
文系:2,200〜3,600時間
- 早慶、MARCHなど文系私立大学では、2,200〜3,600時間程度。
- 英語・国語・小論文・面接対策が中心。
- 高3では過去問演習や志望校対策に重点を置く。
理系:2,600〜5,100時間
- 東京理科大学や早慶理工系など理系私立大学は、2,600〜5,100時間が目安。
- 理系科目(数学・物理・化学)の演習量が多く、基礎理解だけでなく応用問題にも対応する必要あり。
最難関大学(東京大学・京都大学・早慶など)の合格に必要な勉強時間
- 最難関大学は偏差値・競争率ともに高く、平均よりも1.5〜2倍の勉強時間が必要になることが多いです。
- 目安として、東京大学理系で8,000〜9,000時間、文系で6,000〜7,000時間程度。
- 早慶文系・理系でも、基礎学力+小論文・面接対策を含めて3,500〜5,000時間が必要。
- 勉強のポイント:
- 高校1年から段階的に学習量を増やす
- 科目ごとに学力ギャップを把握して重点的に補強
- 模試・過去問演習を繰り返し、出題傾向に慣れる
☑まとめ
勉強時間の多さだけでなく、「質の高い勉強」と「計画的な学習」が合格への近道です。特に難関大学の場合、早い段階での基礎固めと高校3年での過去問集中が成功のカギになります。
難関大学合格のための学年別勉強スケジュール

難関大学合格には、学年ごとに計画的に勉強時間を積み上げることが重要です。早い段階で基礎固めを行い、応用力・実践力を高めることが、最終的な合格につながります。
ここでは、高校1年生から3年生までの学年別勉強スケジュールと勉強時間の目安を紹介します。
高校1年生から始めるべき準備と勉強時間
- 勉強時間の目安:平日1.5〜2時間、休日3〜4時間程度
- 目的:基礎学力の定着、苦手科目の克服、学習習慣の確立
ポイント:
- 基礎の徹底
- 英語:単語・文法の基礎固め
- 数学:公式・計算力の習得
- 国語:読解力・漢字力の強化
- 苦手科目の早期克服
- 高1で苦手を放置すると、後の学習量が増えるため早期対策が必須
- 学習習慣の確立
- 毎日の勉強時間を確保し、計画的に進める習慣を身につける
高校1年生の1日勉強時間割例
文系
平日(合計:約2時間)
時間 | 科目 | 内容 |
---|---|---|
18:00〜18:30 | 英語 | 単語・文法の復習 |
18:30〜19:00 | 国語 | 古文・漢字練習 |
19:00〜19:30 | 社会 | 世界史・日本史の用語暗記 |
19:30〜20:00 | 数学 | 基礎問題の演習 |
休日(合計:約4時間)
時間 | 科目 | 内容 |
---|---|---|
9:00〜10:00 | 英語 | 長文読解・英文法演習 |
10:00〜11:00 | 数学 | 基礎+応用問題 |
13:00〜14:00 | 国語 | 現代文の読解演習 |
14:00〜15:00 | 社会 | 年表・資料整理 |
理系
平日(合計:約2.5時間)
時間 | 科目 | 内容 |
---|---|---|
18:00〜18:45 | 数学 | 基礎・演習問題 |
18:45〜19:30 | 英語 | 単語・長文読解 |
19:30〜20:15 | 理科 | 物理・化学基礎演習 |
休日(合計:約5時間)
時間 | 科目 | 内容 |
---|---|---|
9:00〜10:00 | 数学 | 応用問題演習 |
10:00〜11:00 | 理科 | 物理・化学の問題演習 |
13:00〜14:00 | 英語 | 英作文・リスニング |
14:00〜15:00 | 国語 | 現代文・古文演習 |
15:00〜16:00 | 数学 | 苦手単元の復習 |
高校2年生での勉強時間と科目別対策
- 勉強時間の目安:平日2〜3時間、休日4〜6時間
- 目的:応用力の養成、定期テスト・模試での成績向上
科目別ポイント:
- 英語
- 長文読解・リスニング強化
- 英作文・文法問題で応用力を高める
- 数学
- 二次関数、微積分、ベクトルなど応用問題に取り組む
- 過去問演習で出題傾向を把握
- 理科・社会
- 理科:重要公式・原理の理解
- 社会:資料読解・時事問題の理解
- 模試活用
- 全国模試で偏差値や弱点を把握
- 重点科目に勉強時間を配分
高校2年生の1日勉強時間割例
文系(平日:約3時間、休日:約5時間)
- 平日は応用力強化の時間を確保
- 休日は模試や過去問演習も取り入れる
理系(平日:約3.5時間、休日:約6時間)
- 数学・理科の演習時間を増やし、弱点単元を重点的に
高校3年生の勉強時間と受験直前のポイント
- 勉強時間の目安:平日4〜6時間、休日6〜10時間
- 目的:過去問演習・弱点補強・試験慣れ
ポイント:
- 過去問演習
- 志望校の過去問を徹底分析
- 時間配分や解答パターンを体に覚えさせる
- 弱点補強
- 模試や過去問で間違えた箇所を集中的に復習
- 直前期の勉強法
- 試験範囲の総復習
- 科目ごとの勉強時間バランスを調整
- 生活管理
- 睡眠・食事・休憩を適切に取り、集中力を維持
- 緊張や不安をコントロールするメンタル管理も重要
高校3年生の1日勉強時間割例(受験直前期)
文系(平日:4〜6時間、休日:6〜8時間)
時間 | 科目 | 内容 |
---|---|---|
6:30〜7:00 | 英語 | 朝の単語・英文法復習 |
7:00〜8:00 | 国語 | 現代文・古文演習 |
16:00〜17:00 | 社会 | 年表・資料整理・暗記 |
17:00〜18:00 | 英語 | 長文読解・英文解釈 |
18:30〜19:30 | 国語 | 読解・小論文練習 |
20:00〜21:00 | 過去問 | 模試形式で時間を計って解く |
理系(平日:5〜6時間、休日:7〜9時間)
- 数学・理科中心に過去問演習
- 英語・国語も短時間集中で総合力維持
☑ポイント
- 勉強時間は「短時間集中+休憩」を基本に設定
- 苦手科目は朝や集中できる時間帯に配置
- 過去問・模試演習は休日にブロックで行う
☑まとめ
学年ごとの勉強スケジュールは、基礎→応用→実践の流れで構成するのが理想です。特に難関大学合格を目指す場合は、高校1年生からの計画的な学習と、3年生での過去問集中が成功のカギになります。
効率的な勉強法と勉強時間の使い方
単に長時間勉強するだけでは、難関大学合格は難しいです。効率よく学習する方法と、時間の使い方を工夫することが重要です。
科目別の勉強法と時間配分
科目ごとに勉強法を工夫することで、時間当たりの学習効果を高められます。
- 英語
- 単語・文法は朝や短時間に集中して覚える
- 長文読解は時間を計って解くことで読解力とスピードを養う
- リスニングは通学時間やスキマ時間を活用
- 数学
- 基礎問題を確実に解けるようにする
- 応用問題は理解と演習を繰り返し、問題パターンを体に覚えさせる
- 弱点単元は重点的に時間配分
- 国語
- 古文・漢文は毎日少しずつ読解・文法を確認
- 現代文は論理的読解力を鍛える問題を中心に
- 理科・社会
- 理科は公式・原理理解+演習
- 社会は資料読解や時事問題も含めて反復
☑時間配分の目安
- 平日:1科目30〜60分を集中して行う
- 休日:2〜3科目をブロックでまとめて学習
※なお、科目ごとの勉強法を以下の記事で詳しく解説しています。
大学受験英語の勉強法
高校国語の勉強法
大学受験日本史の勉強法
模試・過去問・予備校の活用法
- 模試
- 現状の学力を把握し、弱点科目の優先順位を決める
- 成績表を分析して、苦手分野に勉強時間を集中
- 過去問
- 出題傾向を理解し、試験形式に慣れる
- 制限時間内で解く練習を繰り返すことで時間管理力も向上
- 予備校・オンライン講座
- 自宅で理解できない箇所の補強
- 効率よく学ぶための指導や戦略を得る
休憩と睡眠の重要性:勉強時間の質を高めるために
- 短時間の休憩
- 50分勉強→10分休憩のサイクルで集中力を維持
- 十分な睡眠
- 7〜8時間の睡眠で記憶の定着を促進
- 質の高い勉強時間
- 集中力の高い時間帯(朝・午前中)に重要科目を配置
- ダラダラ勉強よりも短時間集中が効率的
参考:私たちはなぜ眠るのか?健やかな睡眠の意義を考える(秋田大学)
保護者向け:子どもの勉強時間とサポートのポイント
難関大学を目指す子どもには、家庭でのサポートも重要です。保護者ができる具体的な支援を整理します。
高校生の勉強時間の目安と家庭でできるサポート
- 目安時間
- 高1:平日1.5〜2時間、休日3〜4時間
- 高2:平日2〜3時間、休日4〜6時間
- 高3:平日4〜6時間、休日6〜10時間
- 家庭でのサポート
- 学習環境を整える(静かな場所・集中できる机・照明)
- 勉強時間の計画作りを一緒に考える
- 無理な詰め込みを避け、休憩やリフレッシュを促す
モチベーション維持のための声かけと環境づくり
- 声かけの工夫
- 努力を認める言葉をかける
- 結果だけでなく、過程を褒める
- 環境づくり
- 勉強専用スペースの確保
- 家庭内の騒音やスマホ使用の管理
- 目標の可視化
- カレンダーやチェックリストで達成感を感じさせる
※なお、高校生向けに勉強に集中する方法を以下の記事で詳しく解説しています。
【高校生向け】家で集中して勉強する方法|おすすめグッズと学習習慣の付け方も紹介
進路選択の際のアドバイスと情報提供
- 進路選択の支援
- 志望大学の情報収集(偏差値・科目・入試形式)
- 模試やオープンキャンパスの活用を促す
- 将来のキャリアを意識させる
- 学部・学科の学びが将来にどうつながるか話す
- 大学の就職実績や大学院進学率も参考にする
☑まとめ
効率的な勉強法と家庭でのサポートを組み合わせることで、子どもは勉強時間を最大限に活かし、集中力を維持しながら難関大学合格に近づくことができます。
※なお、日本史と世界史のどちらを選択するほうが有利か、以下の記事で詳しく解説しています。
日本史と世界史の向き不向き:大学受験でどちらを選ぶべきか?向き不向きと有利な選択を徹底解説
難関大学に合格するためのメソッドを解説している本
ここまで紹介してきて方法をさらにくわしく知りたい方向けに、難関大学合格の方法を解説している本を紹介します。
『勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法』
1冊目は保護者向けに「勉強嫌いなわが子を難関大学に入れる方法」を紹介している本です。
推薦対策や英語の対策などを紹介しています。
『プランブロック式 ゼロから理系難関大学に合格できる 戦略的学習計画法』
2冊目は高校生向けの本です。
「いつ」「何を」「どれくらい」勉強すればいいかの学習計画を細かく、細かく紹介してくれています。これが実践できれば予備校はいらないと言い切れるほど具体的です。
『偏差値30台からの難関大学合格の手順』
3冊目は難関大学に合格したいけれどなかなか自信を持って踏みだせない受験生や保護者の方向けに書かれた本です。
参考書の選び方、進路の考え方などを、励ましながらそっと後押しするように優しく解説してくれています。
まとめ
この記事では、難関大学合格を目指す高校生のために、国公立・私立別の合格最短ルートと、学年・科目ごとの具体的な勉強時間割例、さらに効率的な勉強法のポイントを徹底解説しました。
ポイントは次の通りです。
- 志望校に合わせた戦略が必須
- 国公立大学はセンター試験・二次試験対策、私立大学は独自入試や科目の傾向を踏まえて計画を立てることが重要です。
- 毎日の勉強時間の目安を具体化
- 学年別・科目別の時間割例を参考にすることで、効率的かつ無理のない学習スケジュールを組むことができます。
- 短期間で成果を出す勉強法
- 過去問分析・暗記法・参考書選びのコツなど、成果につながるメソッドを紹介しました。
- 実行力と継続力がカギ
- 計画を立てるだけでなく、毎日の習慣として確実に実行することが合格への最短ルートです。
このガイドを参考に、自分のペースや志望校に合わせた学習計画を立て、効率的に取り組むことで、難関大学合格にぐっと近づくことができます。
コメント