高1終わりには、日本史探求と世界史探求の受講選択をします。
どっちを選べば良いか迷う高校生も多いです。
そこで、日本史と世界史のどちらを選べば良いかを、それぞれの学習内容や特徴と比較しながら説明します。
なお、文理選択について以下の記事でくわしく解説しています。
文理選択どうすればいい?理系文系の選び方、年収の違い、理転・文転するときの注意点を解説
※関連記事:【高校生向け】Z会だけで難関大学に合格する方法
日本史と世界史はどちらを選べば良いか
日本史と世界史のどちらを選べば大学受験で有利になるか、気になると思います。
どちらのほうが良いが考えてみます。
高校での選択時期と選び方
高校での科目選択は、進路に影響を与える重要な決定です。選択は通常、高校1年生の冬(3学期・後期)に行われ、進学先や興味に基づいて科目を選びます。
日本史と世界史の選択で迷う人はおおむね文系学部志望者です。どちらの科目も大学受験で仕えますので、自分の興味や得意分野に合わせて選ぶことがポイントです。
勉強して楽しく感じるほうを選ぼう
結論から申し上げると、勉強をして楽しいと感じるほうを選ぶのがおすすめです。
日本史と世界史は大抵の学校では高1か高2で勉強します(歴史総合)。この時点で「こっちのほうが楽しい」と好みが分かれます。
次の学年では日本史・世界史が選択制になるので(日本史探求か世界史探求)、気に入ったほうの科目を選びましょう。
定期テストの点数と科目の好みが一致しない場合どうすればいいか
結論として、最初にお伝えしたように「日本史・世界史は向いているかどうか(好きかどうか)」での判断が良いでしょう。
では、「定期テストで点が取れるのは日本史だが勉強していて楽しいのは世界史」という場合どうすれば良いでしょうか。こういう高校生もときどきいます。
この場合も、あくまで「好きかどうか」で判断しましょう。
定期テストと大学入試は難易度や問題の切り口が異なっています。定期テストで点が取れるといっても、大学入試となると覚える量も増えてきます。
そんなときにモノを言うのは「好きかどうか」です。模試で結果がともなわないとき、勉強時間が長くなってきたときに、好きな科目のほうががんばりやすいです。
日本史と世界史の違いを徹底比較
参考:高校生新聞オンライン「世界史vs日本史どっちを選択するのがよい? 学ぶと身につく力とメリットは」
勉強方法の違い
- 日本史:日本史は主に暗記型の科目であり、年代や人物、出来事を正確に覚えることが求められます。特に重要な出来事(例:明治維新、大正デモクラシー)を時系列で整理し、関連する背景や影響を理解することがポイントです。教科書や資料集を使い、何度も復習することが効果的です。
- 世界史:世界史も暗記が必要ですが、日本史と違ってヨコの視点が求められます。ヨーロッパでキリスト教が盛んになったころ中国ではどうだったか?など、「同じ時期で他の地域の歴史」も学びます。各国の歴史的背景や文化的背景を並行して覚える必要があり、複数の地域や時代が絡み合うため、より広範囲な学習が必要です。
暗記量の違い
- 日本史:日本史は主に日本国内で起きた出来事を中心に学びます。中学校でも日本史を学んでいるため、新たに覚える内容は比較的絞られます。それでも多くの人物名や出来事、年号が登場します。特に幕末から明治時代、戦後の動向は詳細に覚える必要があります。
- 世界史:世界史はその範囲が広いため、暗記量が圧倒的に多いです。各大陸の歴史、主要な文明(例:ギリシャ、ローマ、インダス文明)、各時代の主要人物や出来事を覚える必要があり、膨大な情報量を整理するために効果的な暗記法(例えば、年表を使って視覚的に整理する方法)が有効です。
難易度の違い
- 日本史:日本史の難易度は比較的高いです。日本というひとつの地域を中心にして学ぶため、「狭く・深く」学習します。時代ごとの出来事の流れや原因と結果(因果関係)を理解することが求められます。とはいえ、細かさや理解は求められる一方で、中学までの知識を使えるため勉強の難易度は高くありません。年号や出来事の名前を正確に覚えたうえで、それらの相互関係を理解すると高得点も期待できます。
- 世界史:世界史はその範囲と多様性ゆえに、覚える内容は多いです。ですが、「広く・浅く」学習するため、暗記さえしっかりできれば問題の難易度は低く感じる傾向があります。ただし、異なる文明や時代背景を同時に扱うため、複数の視点から学習する必要があります。
日本史と世界史での向き不向き
覚える量が多いと聞くと「世界史のほうが大変そう」と感じるかもしれません。ですが、覚える内容が異なるため、暗記量よりも「向き・不向き」といった相性のほうが重要です。
日本史は何を勉強するのか
そもそも日本史では何を勉強するのか、その内容を確認しましょう。
古代~近現代まで、特に古墳時代から第二次世界大戦終結までの内容について重点的に勉強します。歴史上の人名や主要な出来事を年代とともに覚えます。
上記は順番と一緒に覚える必要があります。
※関連記事:日本史で覚えるべき天皇
歴史のタテの流れを深掘りする
特に重要なのが歴史の流れで、時代順に何が起こったのかを勉強します。さらに歴史上の出来事について深堀りします。
「なぜ乙巳の変は起こったのか」
「承久の乱によって天皇・貴族と武家の関係性がどう変わったのか」
上記のように「なぜ?」や「その後の変化」を深く勉強します。
なお、日本史の時代区分や時代別の特徴を以下の記事でくわしく解説しています。
日本史の時代区分と各時代の特徴:入試に出やすい年号や出来事、歴代首相など
日本史のメリット
日本史を勉強するのにはいくつかメリットがあります。
基礎的な内容をすでに学習している
まず、小学校や中学校ですでに基礎的な内容を学習しおえています。
645年乙巳の変(大化の改新)も894年遣唐使廃止も習っています。高校日本史でも改めて出てきますが、すでに覚えている人にとっては「復習」になります。
古文の勉強に役立つ
実は、日本史は古文の勉強にも役立ちます。古文では『土佐日記』(紀貫之)など昔の文章を扱うので、知識問題で作品名とその作品の著者名を問うものが出てきます。
日本史でも文化史で昔の作品とその作者名を習うので、日本史で覚えた知識をそのまま古文の問題にも使えます。
日本史のデメリット
逆に、日本史にいくつかデメリットもあります。
漢字がたくさん出てくる
日本史の大きな特徴として、人名や仏像名などで漢字がたくさん出てきます。
東大寺南大門金剛力士像ぐらいはまだ易しい漢字ばかりですが、釈迦如来像や観音菩薩像などは日常生活であまり書かない漢字も出てきます。
漢字が苦手な人にとっては覚えるのが大変です。
深い知識が求められる
日本史は世界史にくらべて学習範囲が狭い分、深い知識が求められます。
「いつ」「誰が」「何を」したかだけでなく、「なぜそれをしたのか」「その後にどのような影響(変化)があったのか」も勉強します。
深掘りした知識を身に付けるには一定程度の論理的思考力も必要です。
「丸暗記で対応したい」という人には向いていないかもしれません。
世界史は何を勉強するのか
つづいて、世界史の内容を確認します。
世界史も古代~近現代までの内容を勉強します。日本史にくらべると現代もやや丁寧に勉強します。
歴史上の人物や、ヨーロッパ各国や中国の皇帝、王朝名、民族名なども習います。
広く浅く勉強する
日本史がタテの流れを重視するのに対して、世界史はタテとヨコの両方を重視する科目です。
古代ヨーロッパでローマ帝国が一大勢力となったり分裂したりしている頃、中国ではひとつの王朝による単一国家がつづいていました。
このように、ある時期にヨーロッパでは~だった、同じ時期に中国やアメリカ、インドでは…だった。それらの文化が混ざり合って、のちに〇〇になったというような、タテとヨコの両方を勉強します。
世界史のほうが勉強の範囲は広くなり、結果的に日本史よりは浅い内容になります。
世界史のメリット
では世界史にはどのようなメリットがあるでしょうか。
暗記すれば得点を取りやすい
世界史は日本史にくらべて浅く・広い科目です。そのため、思考問題が少なく、より暗記重視です。覚えさえすれば得点を取りやすいです。
入試直前に一気に覚えなおしたときに、大きく得点アップを期待できます。
人名や地名で漢字が少ない
世界史に出てくる人名・地名はカタカナが多いです。カエサル、リンカーンなど。
漢字で覚えるのが苦手な人にとっては感覚的に覚えやすいというメリットがあります。
世界史のデメリット
世界史にもいくつかデメリットがあります。まとめて紹介します。
ひととおり覚えるのに時間がかかる
前述のように世界史のほうが日本史より暗記量はやや多いです。
覚える量が多いので、問題集を1周終えるのにも時間がかかります。
覚える年号が多い
世界史は日本史にくらべて年号をたくさん覚えないといけません。
日本史なら常に日本国内の出来事だけ覚えれば良いですが、世界史は対象が世界中です。同じ年代でも複数の地域での出来事が出てきます。
同時期にあちらこちらでの出来事を覚えるので、日本史よりややこしくなります。
1世2世がややこしい
世界史に出てくる皇帝は「〇世」が付く人が多く、ややこしいです。
例えば「ルイ」と名が付く皇帝は、最低でもルイ13世、ルイ14世、ルイ16世は覚えておかないといけません。
結論:深く学ぶのが好きなら日本史、根気があるなら世界史が向いている
前述のように、日本史は深く学びます。「なぜ」「その後の影響(変化)」を考えながら勉強する科目です。そのため、論理的に考えながら深く学ぶのが好きな人のほうが向いています。
逆に、世界史は浅く広く学びます。「いつ」「どこ」「何」をたくさん覚えます。同時期に別の地域で起こった出来事と合わせて、頭のなかで整理しながら勉強します。かなり広く学ぶため、根気のある人のほうが世界史に向いています。
大学受験で有利なのはどっち?
大学入試で有利な科目は、受験する大学や学部の入試配点によります。
参考:ベネッセ教育情報「高3の科目選択で「迷わない&失敗しない」コツは? 文理別に選び方のポイントを徹底解説!」
共通テストの平均点比較
共通テストの平均点は日本史と世界史でやや差があり、以下の表のように一般的に世界史の方が得点しやすいです。
とはいえ、個々の学力や準備によって異なります。
日本史 | 世界史 | |
2024年度 | 56.27点 | 60.83点 |
2023年度 | 59.75点 | 58.43点 |
2022年度 | 52.81点 | 65.83点 |
2021年度 | 64.26点 | 63.49点 |
日本史と世界史のどちらを選べば良いか分からなくなったら
ここまで日本史と世界史の内容を比較し、選び方をお伝えしてきました。基本的には大差ないので、「興味のあるほう」を選べば大丈夫です。
ですが、「どちらも興味がない」「どちらも興味がある」という場合もあります。
そんなときの対応をお伝えします。
日本史と世界史両方の共通テスト過去問を解いてみる
どちらを選べば良いか分からない!となったら、日本史と世界史の共通テスト過去問を解いてみましょう。
共通テストの出題範囲や出題傾向は、学校の授業に沿ったものです。
例えば歴史探求は「なぜ?」を勉強する科目です。ですから、共通テストでも「なぜ?」をベースに問題がつくられています。「貨幣はなぜこのような変遷をたどったのか」というように。
地歴公民は共通テストの問題を解くと、学校の授業での学習内容をちょっとイメージしやすくなります。
どちらのほうが勉強しやすそうか考える
共通テスト過去問を解いて科目へのイメージがわいたら、「どちらのほうが勉強しやすそうか」を考えてみます。
どちらにも興味がない、どちらにも興味があるとなれば、最後の判断基準は「どっちのほうが勉強しやすいか」です。
覚える量に多少の違いはありますが、総合すると「勉強しやすく感じるかどうか」です。勉強しやすく感じられれば、覚える量が多少多くてもそこまで苦になりません。
まとめ
いかがでしょうか。
高校生向けに、日本史と世界史のどちらを選択すれば良いか迷ったときの選び方をお伝えしました。
日本史は縦に深く覚え、世界史は浅く広い範囲で覚える量はやや多いです。論理的に考えながら覚えるのが好きな人は日本史に向いており、頭のなかを整理しながら覚えるのが好きな人は世界史に向いています。
とはいえ、大学受験での有利不利はほぼないと考えて良いでしょう。より興味あるほうを選択すれば大丈夫です!
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