医学部の小論文試験は、受験生の論理的思考力や表現力、医学的知識を評価する重要な試験です。ですが、英語や数学などの学力試験の対策に加えて小論文対策もするのは時間的な負荷が非常に大きいです。
そこで、本記事では、医学部小論文のテーマ、書き方、参考書を徹底解説し、合格するための対策法を詳しくご紹介します。
重要ポイントを押さえて効率よく医学部入試対策をしましょう!
なお、小論文の書き方をイチから勉強する人には以下の記事もおすすめです。
小論文の書き方とコツを例文付きで解説(高校生向け)
医学部小論文とは?試験の目的と評価基準
医学部小論文の特徴|一般的な小論文との違い
医学部小論文は、一般的な小論文と比べて、医学的な倫理観や社会的責任についての高い意識が求められます。
そのため、一般的な小論文では論理的思考力や文章構成が重視されるのに対し、医学部小論文では、医療倫理や医師としての適性を判断する問題が出題されるという特徴がみられます。
また、医学(主に病気や人体)について専門知識が多少必要となる場合もあり、医学部特有の対策が必要です。
採点基準と評価ポイント
医学部小論文の採点基準は主に以下の3点です。
- 論理的な構成力:序論・本論・結論が明確で、論理的な流れがあるか。
- 医学的知識と倫理観:医療倫理や社会問題について適切な考察ができているか。
- 文章表現力:適切な語彙や文法を用い、分かりやすく伝えられているか。
医学部小論文で重視される能力(論理力・表現力・医学的視点)
医学部小論文では、単なる知識ではなく、それを論理的に整理し、自分の考えとして表現する力が重要です。
- 論理力:根拠を明確にし、一貫性のある主張を展開する。
- 表現力:簡潔で明確な文章を意識し、誤解を生まないように書く。
- 医学的視点:医師としての倫理観を持ち、患者視点や医療制度を考慮する。
まとめ
- 医学部小論文は一般的な小論文と異なり、医学的倫理や社会問題の理解が求められる。
- 採点基準は論理的構成力、医学的知識、文章表現力の3点。
- 論理力・表現力・医学的視点を重視して対策する。
医学部小論文でよく出るテーマ
医学部小論文でよく出るテーマは大きく7つに分かれます。
※関連記事:大学別の医療学部の過去問
最新の医学部小論文テーマ一覧(倫理・医療問題・社会問題)
医学部小論文では、医療倫理や社会問題に関するテーマが頻繁に出題されます。以下は、近年の医学部小論文で出題された主なテーマの例です。
- 生命倫理:安楽死、臓器移植、出生前診断の是非
- AI医療:AIの医療現場への導入、医師の役割の変化
- 地域医療:医療格差、過疎地医療の問題
- 医療制度:国民皆保険制度、医療費負担の問題
医療人としての資質
医師を志す受験生の「医療人としての資質(姿勢)」を問う問題が良く出てきます。
医療現場での倫理観や患者との接し方など、医療課題を題材に幅広く問われます。
島根大学・入試問題などで広く出題されています。
医療への興味
さまざまな医療情報も小論文のテーマとして使われています。
医療に広く興味があるか、医療に関して「自分ごと」として深く考えているかなどが問われます。
例えば、琉球大学では「生物の遺伝情報の符号化方法と遺伝情報解読の現状」や「ゲノム編集に関するある事件」など、毎年幅広い範囲で医療情報が題材として扱われています。
よく出るテーマ例|生命倫理・AI医療・地域医療
生命倫理やAI医療に関するテーマは特に頻出です。
- 生命倫理:医療技術の進歩と倫理的問題のバランスをどう取るか。
- AI医療:医師の役割はAIによってどう変わるのか。
- 地域医療:医師不足を解消するための施策。
AIの医療現場への活用
AI(人工知能)の医療現場での活用は近年の大きなテーマです。
診断にどう活かすか、AIが誤診をしたらどうなるのかなどの問題が話題になっています。
鹿児島大学で臨床診断や治療方針にAIが関わる場合の医師の責任や役割を考えさせる問題が出るほか、秋田大学などではAI、VRなどが毎年のように出題されています。
社会における医療の役割
医療は社会の一部であり、社会の維持や発展にも深くかかわっています。
医療人として「命」への向き合い方だけでなく、「人生(ライフスタイル)」との向き合い方にも関心を求められています。
富山大学などでそのような問題が過去に出題されています。
感染症対策/地域医療
新型コロナウイルス感染症の流行以降、感染症対策に関する問題が多くなりました。感染症対策としてのオンライン診療、外出を控える高齢者の健康問題など。
特に、人口減で過疎化が進むなか、どのように感染症対策を行えば良いかといった、「地域医療」と関連させながら出題されるケースもあります。
福井大学でパンデミックを題材に出題されたり、群馬大学で遠隔医療が題材になるなど、多くの大学での出題が目立ちます。
患者の権利
医療現場における「患者の権利」も頻出テーマのひとつです。
治療の方針決定に患者の意志をどれだけ反映させるのが医師として適切か。患者の希望どおりすると医療人として納得のいく医療行為ができないときもあります。逆に、医師が患者の意志に反した治療方針を決めて良いのかなど、線引きがむずかしい問題です。
医療人を志す者としての姿勢が問われるテーマです。
群馬大学など多くの大学で出題されています。
遺伝子診断・出生前診断
将来の病気発症の可能性を調べる遺伝子診断もよく出題されます。
医療現場ではセンシティブな問題のひとつで、出生前診断のメリット・デメリットや、医療費抑制とのバランス感覚が問われます。
テーマごとの解答の方向性とポイント
- 生命倫理系のテーマ:患者の人権、医療従事者の倫理観、社会の受容度を考慮する。
- 技術系のテーマ(AI医療など):医師とAIの共存、倫理的リスクの管理。
- 社会問題系のテーマ(地域医療など):政策や実例を交えながら議論する。
まとめ
- 医学部小論文では、生命倫理、AI医療、地域医療などが頻出テーマ。
- それぞれのテーマについて、医療の現場と社会全体の視点を考慮する。
- 実例や政策を交えた論理的な主張が求められる。
医学部入試で小論文を課す理由
医学部入試では数学や理科などの学力試験以外に小論文もひんぱんに課されます。
その理由を知っておけば、対策にも活かせます。
医師としての資質をみるため
まず、医師としての資質をみるためというのが大きな理由です。
医師は患者に接し、命にかかわる仕事です。
他者に対しての共感性や医療への関心の強さを見られています。
論理性や科学的思考力があるかをみるため
つづいて、医師という仕事に必要な論理性や科学的思考力の高さをみるという理由もあります。
検査結果や問診から診断をしたり、今後の治療方針を決めるのに論理性や科学的思考力が求められます。
大学入学後にそれらの力をベースにして多くの知識や考え方を適切に身につけられるかどうかを試されています。
文章や資料の内容・意図を正確に把握する力をみるため
医学部小論文は課題文や資料を読み取って解答を書く問題がよく出てきます。
これは、文章の読解力や図表の内容を適切に読み取る力を把握するためです。
医学部小論文の対策の仕方
医学部小論文を書けるようにするにはどうすればいいのか、その方法を簡単にお伝えします。
※関連記事:小論文の書き方とコツを例文付きで解説(高校生向け)
小論文の書き方・構成を知る
まず、小論文の構成を把握しましょう。以下のような3部構成で書くと書きやすいです。
序論→本論→結論
序論・本論・結論の分量比
それぞれのパートは以下のような分量で書くと書きやすく、読み手にとっても読みやすい文章になります。
序論の書き方
序論では、設問で問われている課題について自分の意見を書きます。
ただYea/Noを書くだけでなく、本論に書く内容も含めて2-3行で簡潔に書くのがポイントです。
書き手も書きやすくなりますし、読み手も頭の準備ができるので読みやすくなります。
本論の書き方
序論で書いた意見を裏付ける理由や根拠を2つ、本論に書きます。
設問で指定された字数が200字以内(程度)であれば、理由や根拠は1つだけ書きます。
結論の書き方
最後に、もう1度自分の意見を主張します。小論文をしっかり締めます。
構成に沿って書く
小論文の構成に沿って、一度小論文を書いてみましょう。
志望大学の過去問を使って書いてみると、その難易度や対策にどれくらい時間がかかりそうかも把握しやすいです。
文章を添削してもう一度書く
書いた文章を、模範解答をみながら添削しましょう。模範解答とまったく同じ解答でなくて大丈夫です。
以下のような観点で添削してみましょう。
医療情報を収集する
医学部小論文は医療情報を題材にした問題が多いです。
医学部を志したら、学年に関係なくすぐに医療情報の収集につとめましょう。
医学部小論文のおすすめ参考書
医学部の小論文は他学部にくらべて英語力、医療への関心、科学的思考力が問われる問題が出ます。
医学部専用の対策ができるおすすめの参考書を9冊紹介します。
※関連記事:課題文型小論文の参考書
『医学部の小論文 (河合塾シリーズ)』
2部構成になっており、第1部では小論文の書き方など基本的な知識から解説してくれています。
第2部では、それらの解説をもとにして実践演習を積めます。
演習問題は10題あり、医学部の小論文入試で頻出のテーマばかりです。ほとんどの医系大学で出ている英文読解問題も含まれています。

医学部の小論文 (河合塾シリーズ)
出版社:河合出版
『小論文の完全ネタ本改訂版 医歯薬系/看護・医療系編』
つづいて紹介するのは、小論文対策の定番である「ネタ本」シリーズです。
人文系など全学部系統を網羅しているシリーズで、医療系編ももちろんあります。
医学部の小論文は医療系のネタがほぼ必ず出てきます。
「医療人としてこの課題をどう解決すれば良いか、自身の考えを書きなさい」などの出題も多いです。
知識がないと「医療人としての視点」が分からず、多くの受験生を悩ませているタイプの問題です。
こちらの本には医療学部の小論文でよく出てくるテーマ44が収録されており、1-2周読んでおくだけでかなり小論文を書きやすくなります。

小論文の完全ネタ本改訂版 医歯薬系/看護・医療系編
出版社:文英堂
『改訂版 世界一わかりやすい 医学部小論文・面接の特別講座』
こちらの参考書は、医学部専門予備校の講師が著者です。
多くの医学部受験生に小論文を指導されてきたそのノウハウが詰め込まれています。
医学部小論文で求められる書き方からくわしく解説してくれており、「攻めの答案より守りの答案を書こう」などと実践的な解答作成方法も教えてくれます。
面接対策の仕方も解説されていますが、小論文対策としておすすめです。

改訂版 世界一わかりやすい 医学部小論文・面接の特別講座
出版社:KADOKAWA
『医学部・難関理系大学入試 小論文実践演習~要約問題対策・論証テクニック編~』
「素晴らしい答案」ではなく「合格点を越える答案」を書くことを目指している参考書です。小論文の書き方やコツ、注意点を「非常に分かりやすく」解説してくれています。

医学部・難関理系大学入試 小論文実践演習~要約問題対策・論証テクニック編~ (YELL books)
出版社:エール出版社
『医学部の実戦小論文[3訂版]』
こちらは、「小論文の書き方はもう分かっている」という受験生に非常におすすめです。
とにかく多量の演習を積めます。14のテーマと39題の練習問題です。
大量の演習をとおして、「自分の得意な書き方・パターン」を確立できます。

医学部の実戦小論文[3訂版] (赤本メディカルシリーズ[2022年改訂版])
出版社:教学社
『改訂第2版 書き方のコツがよくわかる 医系小論文 頻出テーマ20』
こちらの参考書も医学部小論文の演習をたくさんしたい受験生向けです。
「どのような医師になりたいか」という問題以外に、最近よく問われる「AIの活用と倫理的課題のバランス」など医療現場にいる医師の視点を問う問題も多数掲載されています。

改訂第2版 書き方のコツがよくわかる 医系小論文 頻出テーマ20
出版社:KADOKAWA
『私立大学医学部小論文入試問題模範文例集』
医学部受験生のなかでも、私立医の対策を重点的に行いたい受験生におすすめです。
過去10年の医学部小論文の過去問を、模範解答と一緒に掲載してくれています。
志望大学の過去問だけでなく、よく似た出題傾向の大学過去問も使って練習できます。
ちょっと高いのが難点です。毎年出版されているので、値段がどうしても気になる人は1年前のものでも良いでしょう。

私立大学医学部小論文入試問題模範文例集 (2024年度)
出版社:ミスズ
医学部小論文はいつから対策すれば良いか
医学部入試では小論文がよく出題されます。ですが、英語や数学など、学力試験対策だけでもかなり忙しいです。
小論文対策はいつから始めれば良いのかを紹介します。
文章が書ければ入試3か月前からで間に合う
まず、高3の春までに一度小論文の問題を解いてみましょう。過去問を使い、医学部小論文でよく出てくる「課題文読み取り型」の問題を解いてみます。
文章の構成含め、ある程度書けているならあわてて対策をはじめなくても大丈夫です。入試3か月前辺りから対策をはじめましょう。
文章を書くのに苦労するなら入試6か月前から対策を開始する
小論文を書いてみてかなり不安の残る状態なら、小論文の書き方の練習→医学部小論文の練習の順に対策する必要があります。
入試の6か月前には対策をはじめておきましょう。
医療情報の収集は今からはじめよう
小論文は、書き方自体はそれほどむずかしくありません。ただ、医学部の場合は医学ネタの情報収集に時間がかかります。
入試3か月前、6か月前と言わず、情報収集は今からでもすぐにはじめておきましょう。
まとめ
いかがでしょうか。
医学部志望の高校生・浪人生向けに、医学部小論文でよく出るテーマをまとめ、対策の仕方や参考書を紹介しました。
医師としての資質や医療情報に関する出題が多く、論理性・客観性のほかに共感力のある人柄かどうかも見られています。
医学部入試で小論文を課す理由も3つ紹介しているので、今後の小論文対策にぜひ活かしてください。
コメント