英語の文法における受動態は、主語が「〜される」「〜された」という意味で、他の誰かによって動作を受けることを表している形です。受動態と完了形を組み合わせると、「ある時点までに完了した動作が主語に対して行われたこと」を表現できます。
英語の受動態の完了形は、テストや大学入試でもよく出題される重要な文法項目です。
そこでこの記事では、受動態の完了形の作り方を例文とともに解説し、よくある間違いを防ぐポイントも紹介します。
最後に練習問題も用意しているので、ぜひチャレンジしてみてください!
Z会受動態の基本的なつくりかた
受動態の基本形は「be動詞 + 過去分詞」です。受動態では、動作を受ける側(能動態で目的語だったもの)が主語になります。
受動態の基本構造
受動態の基本的な形は以下のとおりです。
「主語 + be動詞 + 過去分詞 + (by + 動作主)」
受動態の例文
受動態は以下のようにつくります。
【例文】
能動態: They build the house.(彼らは家を建てます。)
↓
受動態: The house is built by them.(家は彼らによって建てられます。)
上記のように、能動態(よくある普通の文)で目的語(例文では「the house」)を受動態では主語にします。また、主語の後に「be動詞+過去分詞形」を書きます。
※関連記事:英語の受動態とは?意味・用法から実際の使い方まで例文つきで徹底解説!無料練習問題付き
完了形の基本形
完了形は、ある動作が過去から現在までに完了したことや、過去のある時点までに完了していたことを表します。
完了形の基本の構造
完了形の基本的な形は以下のとおりです。現在完了、過去完了、未来完了の3つに分けて説明します。
現在完了形の構造と例文
現在完了形は「今までに/すでに~している」という意味をとり、以下のようにつくります。
「have/has + 過去分詞」
現在完了では主語の後に「have/has」がきて、動詞の過去分詞形を置きます。現在までその状態がつづいていたことを表します。
【例文】
The train has already left.
(電車はすでに出発しています。)
過去完了形の構造と例文
過去完了形は「その時までに~していた」という意味で、過去のある時点までその状態がつづいていたことを表します。以下のようにつくります。
「had + 過去分詞」
【例文】
The train had already left when I arrived at the station.
(駅に着いたとき、電車はすでに出発していた。)
例文のように、1つの文のなかに「過去を表す箇所」と「過去よりさらに過去を表す箇所」の2つの時制が入っていることが多いです。
未来完了形の構造と例文
未来完了は「~までに…されているだろう」という意味で、未来のある時点ですでにある動作が完了している予定を表しています。
以下のようなつくりかたです。
「will have + 過去分詞」
【例文】
The train will have left when I arrive at the station.
(私が駅に到着するときには、電車は出発してしまっているだろう。)
上記の例文のように、1つの文のなかに「未来を表す内容」と「その未来より以前にある動作が行われた内容」の2つの内容が入っていることが多いです。
受動態の完了形の作り方
受動態に完了形を加える場合、「have/has/had been + 過去分詞」 の形を使います。受動態の形と完了形を組み合わせます。
受動態:be動詞+過去分詞
完了形:have/has/had+過去分詞
↓
受動態の完了形:have/has/had been + 過去分詞
現在完了、過去完了、未来完了の3種類の時制それぞれでくわしく説明します。
現在完了形の受動態のつくりかた
現在完了形の受動態では、「have/has been + 過去分詞」の形になります。これは、過去のある時点から現在までに「〜されている」という意味を表します。
「主語 + have/has been + 過去分詞 + (by + 動作主)」
例文
現在完了形の受動態の例文は以下のとおりです。
【例文】
能動態: They have repaired the car until then.(そのときまでに、彼らは車を修理しました。)
↓
受動態: The car has been repaired by them until then.(そのときまでに、車は彼らによって修理されました。)
上記のように、能動態の目的語を文頭におき、「has/have been+過去分詞(repaired)」の順に書きます。
過去完了形の受動態のつくりかた
過去完了形の受動態では、「had been + 過去分詞」の形を使います。これは、過去のある時点までに「〜されていた」という意味を表します。
「主語 + had been + 過去分詞 + (by + 動作主)」
例文
現在完了形の受動態の例文は以下のとおりです。
【例文】
能動態: They had finished the project before the deadline.(彼らは締め切り前にプロジェクトを終えました。)
↓
受動態: The project had been finished before the deadline.(プロジェクトは締め切り前に終わっていました。)
上記のように、能動態の目的語を文頭に置き、「had been+過去分詞(finished)」の順に書きます。
現在完了の受動態と形が似ていますが、現在完了が「have/has」を使うのに対して、過去完了は「had」を使います。
未来完了形の受動態のつくりかた
未来完了形の受動態では、「will have been + 過去分詞」の形を使います。これは、未来のある時点までに「〜されているだろう」という意味を表します。
以下のようなつくりかたです。
「主語 + will have been + 過去分詞 + (by + 動作主)」
例文
未来完了形の受動態の例文は以下のとおりです。
【例文】
能動態: They will have completed the task by tomorrow.(彼らは明日までにその作業を完了しているでしょう。)
↓
受動態: The task will have been completed by tomorrow.(その作業は明日までに完了しているでしょう。)
上記のように、能動態の目的語を文頭に置き、「will have been+過去分詞(completed)」の順に書きます。
現在完了の受動態と形が似ていますが、未来完了では「will have」になります。「will has」にはならない点に注意しましょう。
受動態の完了形の例文まとめ
現在完了形:
The report has been submitted (by the student).
(レポートはその学生によって提出されました。)
過去完了形:
The letter had been sent before I called.
(私が電話する前に、その手紙は送られていました。)
未来完了形:
The project will have been completed by next week.
(そのプロジェクトは来週までに完了しているでしょう。)
受動態の完了形のポイント
ここまで解説してきた受動態の完了形のつくりかたについて、ポイントをまとめます。
「have/has/had been」を使う
完了形の受動態では、be動詞が「been」に変わり、その後に過去分詞が続きます。
時制の一致に注意
完了形を使う際は、現在完了形・過去完了形・未来完了形など、文全体の時制に注意しましょう。
「by+動作主」を書くかどうか
受動態では、動作主(誰がその動作をしたか)を「by + 動作主」で表すことができますが、動作主が明らかである場合や重要でない場合は省略されることもあります。
【例文】
能動態:In the country, they have spoken English since the occupation.(その国では、占領されて以降は英語を話している。)
↓
受動態:In the country, English has been spoken since the occupation.
上記の能動態の文では主語が「they」ですが、「その国の人たち」という一般的な内容を表しています。そのため、受動態では「by them」のようにわざわざ動作主を明示する必要がありません。
高校生が間違いやすいポイント(定期テスト、大学入試)
受動態の完了形は複雑な構造を持つため、高校生が間違いやすいポイントがいくつかあります。
以下に、特に混乱しやすい点を取り上げ、解説とともに具体的な間違い例を紹介します。
「been」を忘れる
受動態の完了形では、必ず「been」が必要です。しかし、「been」を入れ忘れてしまう間違いがよく見られます。
間違いの例文
「宿題はその学生によって終えられました。」の文の場合、以下のようになります。
×: The homework has finished by the student.
〇: The homework has been finished by the student.
「has finished」では能動態の意味になり、主語が動作を行うことになります。受動態にするためには、「been」を入れて「has been finished」という形にし、主語が動作を受ける側であることを示します。
時制の不一致
完了形の受動態では、時制の一致に気をつける必要があります。特に、現在完了形や過去完了形での時制の使い分けが厄介です。
間違いの例文
「そのプロジェクトは締め切り前に終えられていました。」の文の場合、以下のようになります。
×: The project was finished before the deadline.
〇: The project had been finished before the deadline.
「was finished」は単なる過去形の受動態です。締め切り前のある時点までにすでに完了していたことを表すためには、過去完了形の「had been finished」を使います。
日本語ではこの違いが分かりにくいため、「並び替え問題」で「had」や「been」が語群に含まれていると混乱しがちです。
動作主の省略に関する混乱
受動態の文では、動作主を「by + 動作主」で表すことができますが、省略してもよい場面と省略すべきでない場面を混同することがあります。
間違いの例文
「その手紙はすでに送られています。」を書く場合に、以下のような間違いをすることがあります。
×: The letter has been already sent by someone.
〇: The letter has been already sent.
上記の「×」の例文では「by someone(誰かによって)」という表現を入れています。動作主が特定されていない、もしくは重要でない場合は、動作主を省略するのが一般的です。
この場合、「The letter has been sent」で十分です。
未来完了形の受動態の間違い
未来完了形の受動態の形は「will have been + 過去分詞」ですが、未来形や完了形の使い分けが難しく、誤用されることが多いです。
間違いの例文
「その家は来年までに建てられているでしょう。」を書くと、以下のようになります。
×: The house will be built by next year.
〇: The house will have been built by next year.
「will be built」は未来のある時点に家が建てられるということを表しますが、未来完了形では「その時点までにすでに建てられている」ことを示します。したがって、「will have been built」が正しい形です。
「その家は来年までに建てられるでしょう。」と、単に予定を表しており、完了を強調していない文では、上記の「×」の例文のように書きます。
受動態と能動態の混同
受動態と能動態を混同し、動作を行う側(能動態)と動作を受ける側(受動態)の区別を間違えることがあります。
間違いの例文
「宿題は彼によって終えられました。」を文にすると、以下のようになります。
×: The homework has done by him.
〇: The homework has been done by him.
「has done」は能動態の表現で、主語が動作を行っている形です。受動態では「has been done」とし、主語が動作を受けることを示す必要があります。
「×」の例文だと、「宿題が何かを終えた…彼によって」という、やや支離滅裂な意味になります。
過去分詞形の誤用
動詞の過去分詞形を正しく使えないケースもよく見られます。特に不規則動詞の場合、過去形と過去分詞を混同しがちです。
間違いの例文
「車は父によって運転されました。」を英文にすると、以下のようになります。
×: The car has been drove by my father.
〇: The car has been driven by my father.
「drive」の過去形は「drove」ですが、過去分詞は「driven」です。受動態の完了形では過去分詞が必要です。
受動態の疑問文の間違い
受動態の疑問文の形を間違えることもよくあります。疑問文を作る際には、be動詞や助動詞を正しい位置に置く必要があります。
間違いの例文
「そのレポートはあなたによって書かれましたか?」を英文にすると、以下のようになります。
×: Has the report been written by you?
〇: Has the report been written by you?
疑問文では助動詞「has」を文頭に置き、その後に「been + 過去分詞」の形を続ける必要があります。ここでは「been」を正しい位置に置き、受動態の完了形を構成します。
間違いやすいポイントまとめ
高校生が間違いやすいポイントを理解しておくことで、受動態の完了形を正確に使うことができます。
特に注意するべき点は以下の通りです。
受動態の完了形の練習問題
ここまで解説してきた内容をふまえて、問題を解いてみましょう。
問題
次の文を受動態の完了形に書きかえてください。
(1)They have cleaned the room.
(2)He had written the letter before the meeting.
(3)We will have finished the task by tomorrow.
(4)She has already prepared the meal.
(5)The company had built the bridge before the storm.
解答
(1)The room has been cleaned (by them).
(2)The letter had been written before the meeting (by him).
(3)The task will have been finished by tomorrow (by us).
(4)The meal has already been prepared (by her).
(5)The bridge had been built before the storm (by the company).
解説
(1)(4)現在完了形の受動態では、「has/have been + 過去分詞」の形を使います。
(2)(5)過去完了形の受動態では、「had been + 過去分詞」を使い、過去のある時点までに完了していたことを表現します。
(3)未来完了形の受動態では、「will have been + 過去分詞」を使い、未来のある時点までに完了する動作を表します。
まとめ
高校生向けに受動態の完了形の作り方や注意ポイントを解説しました。
受動態の完了形は、「have/has/had + been + 過去分詞」で表現します。完了形の時制に合わせて使い分けることが重要です。
また、受動態において「been」を忘れがちなので注意しましょう。しっかりと理解しておくことで、テストや大学入試での点数アップにつなげましょう。
例文や練習問題で反復練習することが成功のカギです!
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