子どもの「語彙力」が将来の学力や人間関係、自己表現力を大きく左右することをご存じですか? 特に小学生の時期は、言葉を吸収しやすく、家庭での関わりが語彙力の伸びを左右する大切なタイミングです。
本記事では、親子で楽しみながらできる語彙力アップの方法を7つ厳選してご紹介。絵本の読み聞かせを「対話型」にしたり、日常の会話にちょっとした問いかけを加えるだけで、子どもの言葉の世界はどんどん広がります。
「国語が苦手で心配…」「何をすれば語彙力が伸びるの?」という保護者の方にこそ読んでいただきたい、今日からできる具体的なアイデアが満載です!
※なお、語彙力とは何か、どうすれば伸びるかのかを以下の記事でくわしく解説しています。
語彙力とは?小・中・高校生別にわかる重要性と伸ばし方|親子で学べる語彙力アップ完全ガイド
語彙力は小学生の「一生の学力」を支える土台

小学生のうちに身につけた語彙力(言葉を知って、使える力)は、単なる国語の点数にとどまらず、「考える力」「伝える力」「学び取る力」など、一生にわたって使う学力の基礎になります。
言葉を知らなければ、教科書の説明が理解できず、問題文の意味も正しくつかめません。逆に語彙が豊かになれば、読む力・書く力・聞く力・話す力が同時に伸びていくのです。
語彙力が伸びるとどうなる? 国語だけでなく全教科に効果あり
語彙力は国語の成績だけでなく、算数・理科・社会・英語といった他の教科にも大きく影響します。
■ 国語での影響
- 読解力が上がるため、物語文・説明文の理解が深まる
- 自分の意見を的確に表現できるようになる
■ 算数・理科・社会での影響
- 問題文の意味や指示を素早く正確に理解できる
- 記述問題で理由や考えを自分の言葉で説明できる
■ 英語への応用力
- 日本語での「意味の広がり」がわかっていると、英単語のニュアンスも掴みやすい
つまり、語彙力を高めることはすべての学習の理解度と定着度を底上げすることにつながります。
保護者が知っておきたい「語彙力低下」のリスクとは
現代の小学生には、「語彙力の低下」が問題視されています。特に次のようなケースが増えています。
■ 語彙力が不足している子の特徴
- 文章を読むのに時間がかかる
- 質問に対する答えがあいまい
- 自分の気持ちや考えをうまく言えない
- わからない言葉に出会っても調べない
これらの状態が続くと、学力全体の伸び悩みや、自己表現が苦手になるといった影響が出てしまいます。
また、「YouTubeやSNS中心の短文的コミュニケーション」が習慣化すると、複雑な表現や抽象語に触れる機会が減り、語彙の幅が広がらなくなります。
文部科学省でも、語彙力不足によって国語だけでなくほかの科目での学習にもマイナスの影響が出ていると認識されています。
当専門家会議の議論の中で文章を書く上で、または他教科の授業を進めていく上でも必要な語彙が不足しているとの指摘が出ている。またこうしたなかで学校によっては習得すべき語彙を一覧表にして指導しているとの声もある。国語教科書において基礎となる語彙、他教科で必要とする語彙などを体系的に習得させるための教材、学習活動が必要である。
文部科学省より
つまり、「言葉の力を育てること=子どもの未来を守ること」にもつながります。
今注目されている「家庭での語彙力育成」とは?
最近は、学校だけでなく「家庭での語彙力育成」に注目が集まっています。なぜなら、日常生活の中でこそ、子どもは自然に語彙を身につけていくからです。
■ 家庭で語彙が育つ理由
- 親子の会話には、子どもが安心して質問できる環境がある
- 子どもの興味や体験に直結した「生きた言葉」が登場する
- 同じ言葉を繰り返し使うことで、自然と定着しやすい
さらに、保護者が「ことばの見本」「聞き役」「問いかけ役」になることで、子どもは語彙を増やすだけでなく、言葉を自分のものとして使いこなす力を育てていけます。
こうした日常的な取り組みが、結果的に子どもの国語力・学習意欲・思考力の向上へとつながるのです。
※なお、語彙力アップに便利なドリルを以下の記事で紹介しています。
小学生におすすめの語彙力ドリル12選|国語力を伸ばす家庭学習の決定版!
親子でできる!家庭で楽しく語彙力を伸ばす7つの方法
語彙力を伸ばすには、机に向かっての勉強だけでなく、親子のふれあいの中で自然に言葉に触れることが大切です。
ここでは、毎日ちょっとした工夫でできる「楽しくて続けやすい」語彙力アップの方法を7つ紹介します。
① 絵本の読み聞かせを「対話型」に変える
絵本は語彙を豊かにする最高の教材です。ですが、ただ読み聞かせるだけでなく、「子どもと対話しながら読む」ことで、語彙の理解と応用力が飛躍的にアップします。
親が感情を込めて読んだあと、子どもの反応を引き出すことで、言葉が記憶に残りやすくなります。
おすすめの問いかけ例:「どんな気持ち?」「他の言い方は?」
- 「このとき、○○ちゃんだったらどう思う?」
- 「“びっくり”って、他にどんな言い方がある?」
- 「“悲しい”と“さみしい”って、どう違うかな?」
このような問いかけで、語彙の意味の理解・感情表現の幅・言葉の使い分けが育ちます。
② ことば遊び・しりとり・類義語ゲームで遊ぶ
「遊び」は語彙を育てる自然なトレーニングの場。楽しみながら語彙がどんどん増えるので、学習というより“ことばで遊ぶ時間”と考えましょう。
語彙力を自然に広げる遊びの具体例
- しりとり:制限時間をつけたり、テーマを決めてレベルアップ
- 類義語・反対語ゲーム:「大きい」の言い換え、「寒い」の反対語を探す
- 感情表現カード:表情イラストを見て気持ちを言葉にする
こうした活動を通じて、単語数が増えるだけでなく、言葉の使い方も上手になります。
③ 親子で「今日の言葉」交換日記をつける
日記形式でお互いに「今日覚えた言葉」を1つずつ書いて交換する方法です。親子で言葉を共有する楽しさがあり、継続しやすく、記録としても役立ちます。
おすすめテンプレート付き
- 【今日の言葉】:________
- 【意味】:________
- 【使ってみた文】:________
- 【どこで聞いた?】:学校/テレビ/絵本/買い物中 など
毎日2〜3分でできるので、習慣化しやすく、学びの喜びを親子で感じられます。
④ 家の中に「言葉の掲示板」を作ろう
家庭内に「言葉コーナー」を設けると、視覚的な刺激で語彙が自然に定着します。
冷蔵庫・リビングを活用した学習環境の工夫
- 冷蔵庫に「今日の言葉」をマグネットで貼る
- リビングの壁に「今週のテーマ語」コーナーを設置
- 週末には「使った言葉しらべ」や「家族の一番使った言葉」発表タイムを設ける
「家庭の中に言葉がある」環境が、子どもにとって語彙が身近で楽しいものになります。
⑤ 毎日のニュースや天気予報で語彙を学ぶ
テレビやスマホで何気なく見ているニュースや天気予報も、語彙学習のチャンスに変えることができます。
「難しい言葉をかみ砕いて話す」トレーニング
- ニュースを見ながら「今の言葉、どういう意味だと思う?」と聞いてみる
- 「予想される被害」→「どんなことが起きそう?」
- 天気の「上空の寒気」→「空の高いところがすごく寒いってことだよ」など
親がやさしい言葉に言い換える力を見せることで、子どもも真似をして語彙を広げていきます。
⑥ 料理や買い物など生活の中で「説明する力」を伸ばす
日常の活動も、ちょっとした声かけで言葉の力を鍛える学びの時間になります。
親が「問いかけ役」になって会話を誘導
- 「これ何に使うの?」→包丁、ピーマン、調味料などの名前を引き出す
- 「どんな味だった?」→「おいしい」以外の表現を引き出す(例:「甘みがある」「ちょっと苦いけどシャキッとしてる」)
語彙の「引き出し」をたくさん持てる子どもは、表現力も豊かになります。
⑦ 家族で「言い換え選手権」ゲームをしよう
「言葉の置き換え力」は語彙力の中でも応用力の要。ゲーム感覚で楽しくトレーニングできます。
例:「うれしい」→「楽しい」「幸せ」「心が弾む」
- お題の言葉を3つ以上に言い換えたらポイントゲット!
- 難しさを上げて「かっこいい」「困る」「おもしろい」など抽象語にも挑戦
- 審査員役は家族交代制で、笑ってOKな「ゆるゲーム」に
言い換えの力は作文・会話・読解すべてに活きるスキルなので、家族みんなで楽しむのが成功のコツです。
小学生の語彙力を伸ばすための「親の関わり方」Q&A
「忙しくて会話の時間がとれません。どうすれば?」
短時間でも「質のよい対話」を心がけることが大切です。
たとえば:
- 移動中やお風呂の時間に「今日の一番おもしろかったことは?」と質問する。
- ご飯を食べながら、「この料理、どんな味がする?」と語彙を引き出す。
時間の長さよりも、子どもが考えて言葉にする機会を作ることが語彙力向上には効果的です。
「子どもがすぐに答えを知りたがります…いい対処法は?」
「すぐに教える」のではなく、「考える時間」を与えましょう。
子どもが「これどういう意味?」と聞いてきたときは、
- 「どういう意味だと思う?」と逆質問してみる。
- 「どこで見たの?」「どんな場面だった?」と背景を聞くことで文脈を考える力も育ちます。
すぐ答えを与えず、一緒に調べる・考える習慣が語彙力と理解力の両方を伸ばします。
「親が言葉に自信がありません…問題ありますか?」
大丈夫です。大切なのは「一緒に楽しむ姿勢」です。
語彙が豊富な必要はありません。「知らない言葉があったら、一緒に調べよう」という姿勢が、
- 子どもにとっての言葉への好奇心
- 「親も学んでいる」という安心感
につながります。むしろ、一緒に成長していく姿勢が家庭での語彙育成には最も効果的です。
まとめ|今日からできる!親子で楽しむ語彙力アップの第一歩
無理なく続ける「家庭での言葉の習慣化」がカギ
語彙力を伸ばすには、「家庭での日常の中に自然に言葉を取り入れる」ことが最も重要です。
たとえば、
- 絵本を読む→「どんな気持ちだった?」
- 会話をするとき→「他の言い方あるかな?」
というように、“考えて言葉にする”きっかけを毎日少しずつつくることが、語彙を自然に身につける第一歩です。
「週1回10分」でもいいので、続けられる工夫を見つけていきましょう。
語彙は「対話」の中で自然と身につく!
語彙力はドリルや暗記だけで身につくものではありません。
「人とのやりとり」の中で、初めてその意味や使い方が定着します。
- 子どもの発言に対して、「それってどういうこと?」「他に似た言葉はある?」と返す
- ニュースやテレビの内容に「どんな意味かな?」と一緒に考える
こうしたやりとりの中で、子どもは語彙だけでなく、表現力・思考力・読解力も身につけていきます。
※なお、以下の記事で語彙力をアップできるおすすめのドリルや、無料で使える国語辞典アプリをくわしく紹介しています。
小学生におすすめの語彙力ドリル12選|国語力を伸ばす家庭学習の決定版!
小学生におすすめの無料国語辞典アプリ7選:普段使いから中学受験の語彙力アップまで
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