中2で習う一次関数には「変域を求めなさい」などの問題が出てきます。
問題の意味が分かりづらいため、「変域」が出てくると何をどうすればいいのか分からなくなる人が多いです。
そこで、中学生向けに一次関数の変域について解説します。変域の求め方や変域のあるグラフのかき方を説明し、変域を求める練習問題や応用問題を用意しました。
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一次関数の変域とは
一次関数はy=ax+bの式で表すことができます。一次関数には「変域」という用語が出てきます。
変域とはxやyが変化する範囲
変域とは、「xやyが変化する範囲」のことです。
xやyは変数と言って、そのときそのときで数字が変わります。その変化の範囲が変域です。
不等号を使って書く
変域は不等号を使って表します。
例えば「xの変域が3以上5以下」の場合、以下のように書きます。
3≦x≦5
不等号には4種類あり、それぞれ以下のように使います。
< x<4…xは4未満
≦ x≦4…xは4以下
> x>4…xは4より大きい
≧ x≧4…xは4以上
<は「小なり」と読み、≦は「小なりイコール」と読みます。
「以上・以下」はその数を含みますが、「未満・より大きい」はその数を含みません。
例えば「xは4未満」といえば、「xは4を含まない(4のほうがxより大きい)」という意味です。
一次関数では普通、≦を使います。
一次関数の変域の求め方
一次関数の変域は一次関数の式を使って計算で求めることができます。手順は3つです。
ここでは、y=3x+2という式を使い、xの変域が2≦x≦4のときの変域の求め方を説明します。
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最小値と最大値を一次関数の式に代入する
まず、y=3x+2にx=2とx=4を代入します。端っこにある数字2つを代入すればOKです。
【x=2を代入した場合】
y=3x+2
y=3×2+2
y=8
【x=4を代入した場合】
y=3x+2
y=3×4+2
y=14
これで、「yは8以上14以下」だと分かりました。
小さい値を左、大きい値を右に書き、真ん中にxかyを書く
次に、「y」「8」「14」の3つを並び替えます。
「8 y 14」のように、小さい値を左端、大きい値を右端、そしてxかyを真ん中に書きます。
不等号で結ぶ
最後に、「8 y 14」を不等号で結びます。
8≦y≦14
これで完成です。「yの変域を求めなさい」と問われていたら、「8≦y≦14」と解答欄に書きます。
変域のあるグラフのかき方
一次関数ではグラフをかきます。変域が指定されている場合のグラフのかき方をy=2+1(-2≦x≦2)の式を使って説明します。
※関連記事:一次関数のグラフのかき方や読み方の解説と練習問題
切片に点をうつ
まず、切片に点をかきます。これは変域指定がない場合のグラフのかき方と同じです。
切片というのはy軸上の点で、y=2x+1の式では「1」です。
xとyの両方が整数になる座標に点をうつ
次に、xとyの両方が整数になる座標を探します。
変化の割合が整数ならx=1を代入し、変化の割合が分数なら分母をxに代入します。
例えばy=1/2x+1という式なら、変化の割合が1/2なので、分母の2をxに代入します。
※関連記事:一次関数の変化の割合の求め方と練習問題
ここでは、y=2x+1の式を使うので、x=1を代入します。すると、yは以下のように求められます。
y=2x+1
y=2×1+1
y=3
(1, 3)という座標を通ることが分かったので、グラフ上の(1, 3)に点を打ちます。
2点を直線で結ぶ
グラフ上の2つの点を直線で結びます。
変域外の線を点線にする
最後に、変域の外にある線を点線にします。xの変域は「-2≦x≦2」なので、x=-2とx=2より外にある線を点線にします。
一次関数の変域の問題(文章問題含む)
変域の求め方が分かったところで、変域を求める問題を解いて練習してみましょう。
応用の文章問題も用意しています。
問題(1)
一次関数y=2x+3について、xの変域が次のときのyの変域を求めてください。
①-2≦x≦4
②2≦x≦6
③-1/2≦x≦0
解答
y=2x+3の式に各問題で指定されているxの値を代入します。
①-1≦y≦11
x=-2とx=4を代入します。
y=2x+3
y=2×-2+3
y=-1
y=2x+3
y=2×4+3
y=11
②7≦y≦15
x=2とx=6を代入します。
y=2x+3
y=2×2+3
y=7
y=2x+3
y=2×6+3
y=15
③2≦y≦3
x=-1/2とx=0を代入します。
y=2x+3
y=2×-1/2+3
y=2
y=2x+3
y=2×0+3
y=3
問題(2)
一次関数y=-2x+3について、yの変域が次のときのxの変域を求めてください。
①0≦y≦4
②-2≦y≦4
③-1/4≦y≦6
解答
y=-2x+3の式に各問題で指定されているyの値を代入します。
①-1/2≦x≦3/2
y=0とy=4を代入します。
y=-2x+3
0=-2x+3
x=3/2
y=-2x+3
4=-2x+3
x=-1/2
②-1/2≦x≦5/2
y=-2とy=4を代入します。
y=-2x+3
-2=-2x+3
x=5/2
y=-2x+3
4=-2x+3
x=-1/2
③-3/2≦x≦13/8
y=-1/4とy=6を代入します。
y=-2x+3
-1/4=-2x+3
x=13/8
y=-2x+3
6=-2x+3
x=-3/2
問題(3)
一次関数y=ax+3の式があります。xやyの変域が次のとき、aの値をすべて求めてください。
①xの変域が-2≦x≦3のとき、yの変域が-3≦y≦12
②xの変域が-4≦x≦4のとき、yの変域が1≦y≦5
解答
y=ax+3の式に各問題で指定されているxとyの変域を代入します。このとき、a(変化の割合)がプラスの場合とマイナスの場合の両方で計算します。
変化の割合がプラスならxが最小値のときyも最小値になり、
変化の割合がマイナスならxが最小値のときyは最大値になります。
①a=3
a>0のとき、
x=-2のときy=-3になります。これをy=ax+3の式に代入します。
-3=-2a+3
a=3
また、x=3のときy=12になります。これをy=ax+3の式に代入します。
12=3a+3
a=3
どちらの組み合わせでもa=3になったので、解として「適している」といえます。
同様にa<0のとき、
x=-2のときy=12になります。これをy=ax+3の式に代入します。
12=-2a+3
a=-9/2
また、x=3のときy=-3になります。これをy=ax+3の式に代入します。
-3=3a+3
a=-2
組み合わせによってaの値が異なるので、解として「適していない」といえます。
「適している」というのは「条件に当てはまっている。答えとして正しい」という意味で、「適していない」とは「条件に合わない。答えとしておかしい、間違っている」という意味です。
xとyの組み合わせを同じ式(y=ax+3)に代入しているので、aの値は同じになります。
②a=1/2、a=-1/2
a>0のとき、
x=-4のときy=1になります。これをy=ax+3の式に代入します。
1=-4a+3
a=1/2
また、x=4のときy=5になります。これをy=ax+3の式に代入します。
5=4a+3
a=1/2
どちらの組み合わせでもa=1/2になったので、適しています。
同様にa<0のとき、
x=-4のときy=5になります。これをy=ax+3の式に代入します。
5=-4a+3
a=-1/2
また、x=4のときy=1になります。これをy=ax+3の式に代入します。
1=4a+3
a=-1/2
どちらの組み合わせでもa=-1/2になったので、適しています。
問題(4)
一次関数y=ax+bの式があります。xやyの変域が次のとき、aとbの値の組をすべて求めてください。
①xの変域が-3≦x≦1のとき、yの変域が-8≦y≦4
②xの変域が-2≦x≦4のとき、yの変域が2≦y≦5
解答
問題(3)と同じく、y=ax+bの式にxとyの組み合わせを代入します。
①(a, b)=(3, 1)、(-3, -5)
a>0のとき、
x=-3のときy=-8になります。これをy=ax+bの式に代入します。
-8=-3a+b
また、x=1のときy=4になります。これをy=ax+bの式に代入します。
4=a+b
さらに-8=-3a+bと4=a+bを連立方程式にして計算します。
a=3、b=1
これは、a>0に適しています。(a>0の場合にaがいくらになるかを求めたので、a=3なら条件に合っています。)
同様にa<0のとき、
x=-3のときy=4になります。これをy=ax+bの式に代入します。
4=-3a+b
また、x=1のときy=-8になります。これをy=ax+bの式に代入します。
-8=a+b
さらに4=-3a+bと-8=a+bを連立方程式にして計算します。
a=-3、b=-5
これは、a<0に適しています。(a<0の場合にaがいくらになるかを求めたので、a=-3なら条件に合っています。)
②(a, b)=(1/2, 3)、(-1/2, 4)
a>0のとき、
x=-2のときy=2になります。これをy=ax+bの式に代入します。
2=-2a+b
また、x=4のときy=5になります。これをy=ax+bの式に代入します。
5=4a+b
さらに2=-2a+bと5=4a+bを連立方程式にして計算します。
a=1/2、b=3
これは、a>0に適しています。
同様にa<0のとき、
x=-2のときy=5になります。これをy=ax+bの式に代入します。
5=-2a+b
また、x=4のときy=2になります。これをy=ax+bの式に代入します。
2=4a+b
さらに5=-2a+bと2=4a+bを連立方程式にして計算します。
a=-1/2、b=4
これは、a<0に適しています。
問題(5)
最大100gまではかることのできる長さ80mmのばねにおもりをつるしたところ、おもり1gごとに2mmのびました。おもりの重さをxg、全体のばねの長さをymmとして以下の問題に答えてください。
①yをxの式で表してください。
②xの変域を表してください。
③おもりが60gのときの全体のばねの長さを求めてください。
解答
①y=2x+80
ばねがおもり1gごとに2mmのびるので、変化の割合は2。
また、おもりをつるしていないとき(x=0のとき)のばねの長さ(y)が80mmなので、
y=2x+80
②0≦x≦100
最大100gまではかれるので、0≦x≦100
③200mm
x=60をy=2x+80に代入します。
y=2×60+80
y=200
問題(6)
80L入る水そうに毎分2Lの水を入れます。x分間水を入れたときの水そうの水の量をyLとして以下の問題に答えてください。
①yをxの式で表してください。
②xの変域を表してください。
③水の量が50Lになったとき、水を何分間入れたことになりますか。
解答
①y=2x
1分間に2Lの水を入れるので、変化の割合は2。
また、水を入れていないとき(x=0)に水の量(y)は0Lなので、
y=2x
②0≦x≦40
80Lまで入れられるので、y=80のときのxの値を求めます。
80=2x
x=40
③25分間
y=2xにy=50を代入します。
50=2x
x=25
中学数学の問題集
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まとめ
いかがでしょうか。
中学生向けに一次関数の変域について解説しました。変域はxやyの変化する値のことで、2≦y≦5のように不等号を使って表します。
変域の求め方はy=ax+bの一次関数の式に最小値と最大値を代入し、不等号で結ぶことです。また、変域のあるグラフは普通の一次関数のグラフのかき方とほぼ同じで、最後に変域外の線を点線にすれば完成です。
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