中3公民で習う「直接税」と「間接税」。税金制度そのものが中学生に分かりにくいうえに、さらに直接税と間接税、国税と地方税と分かれており、余計ややこしいですよね。
ですが、違いを理解したうえで暗記できればテストで高得点をねらえる範囲でもあります。
そこで、直接税と間接税、国税と地方税について解説し、それぞれの具体的な税の例を紹介します。
※関連記事:【中学生向け】税の作文の書き方
直接税と間接税の違い
直接税と間接税は税金の納めかたに違いがあります。
税金は、「直接納める場合」と「お店などをつうじて納める場合」に分かれます。直接納める場合が直接税で、お店などをつうじて納める場合(間接的に納める)が間接税です。
間接税の身近な例が消費税です。
スーパーで110円(税込)のお菓子を買ったとします。110円をスーパーに支払いますが、そのうちスーパーの取り分は100円だけで、10円は消費税です。
消費税はいったんスーパーに支払い、スーパーがまとめて国や地方公共団体におさめています。
つまり、以下のように分かれるのです。
- 消費税を負担する人→消費者
- 消費税をおさめる人→スーパー
直接税は国税と地方税に分かれる
直接税はさらに、納める先によって国税と地方税に分かれます。
直接税の例
直接税には以下のような例があります。分類ごとの税の例と説明をセットで覚えておきましょう。
分類 | 税の例 | 税の説明 |
国税 | 所得税 | 給料やお店の収入に対してかけられる税金 |
法人税 | 会社の利益に対してかけられる税金 | |
相続税 | 亡くなった人から受け取る財産に対してかけられる税金 | |
地方税 | 住民税 | その地域に住んでいる人に対してかけられる税金 |
事業税 | 事業を営む人に対してかけられる税金 | |
固定資産税 | 土地や建物といった不動産の価値に応じてかけられる税金 |
累進課税制度が適用されるのは直接税だけ
収入に応じて支払う所得税は、収入が多い人ほど支払う金額も多くなります。これを「累進課税制度」といいます。累進課税制度は直接税にだけ適用されています。
間接税も国税と地方税に分かれる
間接税も国税と地方税に分かれています。
間接税の例
間接税には税には以下のような例があります。分類ごとの税の例と説明をセットで覚えておきましょう。
分類 | 税の例 | 税の説明 |
国税 | 消費税 | 買い物をしたときに、商品の値段に応じてかけられる税金。今は10%。 |
印紙税 | 切手やハガキ、収入印紙にかけられる税金 | |
酒税 | 酒類にかけられる税金 | |
地方税 | たばこ税 | たばこに対してかけられる税金。たばこの製造業者が小売店にたばこを売るときにかけられている。 |
地方消費税 | 消費税のうち、購入された商品が売られている都道府県に入る税金 |
中学生が税のテストで「間違いやすいポイント」とその解説
直接税と間接税の負担者を混同する
- 間違い例: 「消費税を支払っているのはお店だから、直接税だ。」
- 解説: 間接税は、商品やサービスを購入する消費者が最終的に負担します。お店は税金を徴収して政府に納める役割を担っていますが、税を負担するのは消費者です。
税の種類を誤解する
- 間違い例: 「法人税は企業が支払うから間接税だ。」
- 解説: 法人税は、企業の所得(利益)に課される直接税です。企業自体が納税者であり、他者に税金を転嫁するものではありません。
所得税を間接税と考える
- 間違い例: 「所得税は間接税だから、給料から天引きされている。」
- 解説: 所得税は直接税です。天引きされていても、納税者本人が税を負担しているため、直接税に分類されます。
税のテスト対策アドバイス
直接税と間接税の区別
直接税と間接税の区別では、「誰が負担するか」「誰が納めるか」の視点を明確に区別することがポイントです。
直接税と間接税の具体例を覚える
直接税と間接税の具体例(〇〇税)を思い出せるようにしておきましょう。
【中学生向け】直接税と間接税のテストの練習問題(18問)
以下の問いに当てはまる語を答えてください。
(1)税金をおさめる人が直接支払う税を何といいますか。
(2)税金とおさめる人と支払う人が異なる税を何といいますか。
(3)税金のうち、国に対して支払われる税を何といいますか。
(4)税金のうち、地方に対して支払われる税を何といいますか。
(5)給料やお店の収入に対してかけられる税金を何といいますか。
(6)会社の利益に対してかけられる税金を何といいますか。
(7)亡くなった人から受け取る財産に対してかけられる税金を何といいますか。
(8)その地域に住んでいる人に対してかけられる税金を何といいますか。
(9)事業を営む人に対してかけられる税金を何といいますか。
(10)土地や建物といった不動産の価値に応じてかけられる税金を何といいますか。
(11)買い物をしたときに、商品の値段に応じてかけられる税金を何といいますか。
(12)切手やハガキ、収入印紙にかけられる税金を何といいますか。
(13)酒類にかけられる税金を何といいますか。
(14)たばこに対してかけられる税金を何といいますか。
(15)消費税のうち、購入された商品が売られている都道府県に入る税金を何といいますか。
(16)所得税は、収入が多い人ほど支払う金額も多くなる仕組みです。この仕組みを何といいますか。
(17)以下の税のなかから直接税をすべて選んでください。【所得税・消費税・たばこ税・法人税・住民税・固定資産税】
(18)以下の税のなかから間接税をすべて選んでください。
解答
(1)直接税
(2)間接税
(3)国税
(4)地方税
(5)所得税
(6)法人税
(7)相続税
(8)住民税
(9)事業税
(10)固定資産税
(11)消費税
(12)印紙税
(13)酒税
(14)たばこ税
(15)地方消費税
(16)累進課税制度
(17)所得税・法人税・住民税・固定資産税
(18)消費税・たばこ税
【中学生向け】テストによく出る記述式の問題例と解答
記述式問題例 1
問題:
直接税と間接税の違いについて、以下の条件に基づいて説明しなさい。
- 直接税の例を1つ挙げること
- 間接税の例を1つ挙げること
解答例:
直接税は、税金を負担する人(納税者)と実際に税金を支払う人が同じ税です。たとえば「所得税」が直接税にあたります。一方、間接税は、税金を負担する人と税金を支払う人が異なる税です。たとえば「消費税」が間接税にあたります。
記述式問題例 2
問題:
直接税と間接税のメリット・デメリットを1つずつ挙げ、それぞれ簡単に説明しなさい。
解答例:
直接税のメリットは、所得に応じて負担が変わるため公平性が高いことです。一方、デメリットは、税金を支払う意識が高いため反発を招くことがある点です。
間接税のメリットは、買い物をした際に自動的に支払うため徴収が容易である点です。デメリットは、所得に関係なく負担が発生するため、低所得者ほど負担が重くなる点です
中学公民の参考書
最後に、中学公民の勉強におすすめの参考書を紹介します。
『中学校の公民が1冊でしっかりわかる本』
中学の公民をイラストや図で解説してくれている参考書です。著者は大学受験の政経で大人気の蔭山克秀氏です。
教科書に合わせたつくりなので、定期テスト対策にも使えます。世の中の動きも実例として挙げられており、教科書より分かりやすいです。
改訂版 中学校の公民が1冊でしっかりわかる本
出版社:かんき出版
『中学公民が面白いほどわかる本』
中学社会の参考書で定番のシリーズです。分野ごとにかなりくわしい解説が掲載されています。
理解が深まるので、記述問題の対策にもなります。
改訂版 中学公民が面白いほどわかる本
出版社:KADOKAWA
『全国高校入試問題正解 分野別過去問』
前述の2冊は参考書ですが、こちらは問題集です。「理解できた、問題を解いて知識を定着させたい」という人におすすめです。
入試問題を集めたものなので、学校の実力テスト対策、模試対策にもなります。
※関連記事:模試の活用法【中学生向け】:模試の対策法や模試を受けた後の勉強の仕方などを紹介
2025年受験用 全国高校入試問題正解 分野別過去問 1282題 社会 地理・歴史・公民
出版社:旺文社
まとめ
いかがでしょうか。中学生向けに直接税と間接税の違いを解説しました。
税はさらに国税と地方税に分かれています。直接税には所得税や住民税などがあり、間接税には消費税などがあります。
それぞれの違いと具体例をしっかり理解したうえで暗記しておくと、テストで高得点をねらえます。練習問題も用意しているので、チャレンジしてみてください!
【中学生のためのZ会の通信教育】
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