中学生の夏休みの宿題に出てくる「税の作文」。どのように書けば良いのか、何を書けば良いのか分からず、後回しにされがちです。
ですが、「書かないと終わらない」のが作文です。
そこで、税の作文の書き方を説明します。作文に使えそうな税の基礎知識や作文例も紹介するので、参考にしてみてください。
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税の作文の書き方
夏になると税の作文が出されます。書きやすくなるように、「税の作文の書き方」を説明します。
税の作文の目的を意識する
税の作文について書こう」と言われると、漠然としていて書きづらいです。こういう曖昧なテーマのものは、「目的」を考えると書きやすくなります。
税の作文の目的は、「『税は大切だ』『社会はみんなで支え合って成り立っている』と中学生に感じてもらうこと」です。
なので、作文の内容もこの2点に沿って書くようにしましょう。もちろん、ほかの内容でも大丈夫です。
税について知る
税の作文の目的が分かれば、それを意識しながら税についての基本的な知識を身に付けておきましょう。
学校の授業で習うような体系的な知識までは必要ありません。「何に使われているのか?」が分かれば十分です。
同じ記事内に税の使い道をまとめているので、そちらも参考にしてみてください。
作文の構成を考える
税について大まかに把握できたら、作文の構成を組み立てましょう。
4部構成
(税に限らず、)作文は以下の3~4部の構成にすると書きやすいです。
作文では、最初に自分の意見やテーマを書きます。ただし、先に「体験談」から決めます。
「税についての自分の考え」「税金の使われ方」について作文を書くわけですが、このままだと漠然としています。そこで、「税が使われている例」をひとつ決めておきます。これが「体験談」です。
体験談が決まれば、その体験から自分がどう感じたかを考えます。
そして作文の締めとして、「今後どうしたいか」を書きます。
最後にタイトルを決める
作文の構成が決まれば、最後にタイトルを決めましょう。
タイトルは10文字前後で、体験談の内容をちょっとだけ入れたものにします。タイトルだけ読んでも分からないけれど、「どういうことかな?」と興味を持つようなものにします。
作文の流れのまとめ
ここまでお伝えした流れをまとめると以下のようになります。
体験談を決める(税金が使われている身近な例を取り上げる)
↓
その体験から感じたことを決める
↓
だから今後自分がどうしたいのかを締めにする
↓
体験談や結論につながるような書き出しを考える
↓
体験談の内容を連想させるタイトルにする
作文の中心は「体験談」です。どの体験について書くか、その体験で何を感じたかが決まれば、それに合わせて書き出しや締め、さらにタイトルも決まります。
具体的な数字(金額など)を入れるとさらに良い
税の作文で大切なのは、「具体的な金額」です。「お金がたくさん使われている」といったあいまいな書き方ではなく、「何に何円使われているのか」を書くといかにも税の作文らしくなります。
字数稼ぎをせずに作文を書くコツ
書く内容が浮かばないと、「字数稼ぎをして原稿用紙を埋める作戦」に出る人も多いですよね。
実はそんなことをしなくても作文を書けるコツがあります。
書き始める前にメモをつくる
作文を書きはじめるまえにメモを作成しましょう。箇条書きで良いので、「何を書くか」をメモしておきます。
メモさえできれば、あとはメモをみながら言葉を整えて書くと作文ができあがります。
税に関する身近な例(体験談)を決める
作文に書く内容を決めるには、「体験談」から考えます。
税の作文では、身近な体験から感じたこと・考えたことを書きます。税に関する体験談をまず探しましょう。
とはいえ、「税に関する体験」をいくら考えても、パッと思い浮かぶ人のほうが少ないのではないでしょうか。
国や公共団体が行っている活動には税金が使われています。「税金が使われている活動は何か」から考えてみると浮かびやすいです。
【参考】税金の使い道
税金は、例えば以下のようなことに使われています。
ほかにもありますが、上記のように「日常生活で当たり前だと思っていること」に税が使われているケースが多いです。
これらのなかから「書きやすそうなもの」を選びます。
「当たり前に思っていた〇〇は、実は税金のおかげだったんだ」というパターンで考えてみると、選びやすくなります。
体験談から意見と根拠を決める
体験談が決まれば、その内容から自身の意見(感じたこと)やその根拠(理由)を考えます。
例えば以下のような内容です。
体験談:大きな台風がきて、水道の水が泥水になった。翌日には元にもどった。
感じたこと:泥水のときはハミガキもできず、嫌な思いをした。蛇口をひねればキレイな水が出るのはありがたい。
※架空の話です
ここまでは、これぐらいザックリした書き方で大丈夫です。
体験談を丁寧に書く
意見やその理由が決まれば、その意見につながるように体験談を具体的に、丁寧に書きましょう。
「いつ」「何」「どこ」「なぜ」「どうだった」を書く
体験について「いつ」「何」「どこ」「なぜ」「どうだった」を書くと、読みやすくて字数稼ぎにならない内容になります。
例えば、以下のようになります。
体験談:大きな台風がきて、水道の水が泥水になった。翌日には元にもどった。
いつ:去年の9月
何:大きな台風がきた。水道管に亀裂が入り、蛇口から出る水が泥水になった。ハミガキ、お風呂、皿洗いができなくなった。近くのスーパーやコンビニで水を買った。
どこ:自分の家
なぜ:水道局の人が水道管修理をしてくれた
どうだった:翌日には復旧してキレイな水が出るようになった。
「税に関する自分の考えが変わった瞬間」を書く
税の作文で必要なのは「考えが変わった瞬間」です。体験談を下記の流れで書くと「考えが変わった瞬間」が自然に入ります。
①税についてよく知らなかった
↓
②当たり前にできることはありがたいと感じた
↓
③当たり前のことを当たり前にしつづけるのに税金が使われていると知った
↓
④税はみんなにとって大切なものなのだと気づいた
上記の流れでいうと、③が「考えが変わった瞬間」です。この内容を入れると話の展開が増えるので、字数稼ぎをしようとしなくても自然と字数はついてきます。
税金についての基礎知識
税金についてちょっと知っておくと、税の作文に書く内容を考えやすくなります。
国税庁のHPの内容をもとに、税の使われ方を紹介します。
税金は社会の会費
まず、税金は「社会に住むみんなの会費」のようなものです。
税金は社会を住みやすいものにするために使われます。みんなが住む社会なので、そのためのお金をみんなで出しあっています。
税の具体例
具体的には、消費税が身近な税です。コンビニやスーパーなどで何か買ったら10%余分についてくるお金が消費税です。
消費税は、商品を買った人がいったんお店に払います。その後、お店から国にまとめて渡します。
国や地方自治体が使い道を決める
国に集められた税金は、毎年約70兆円になります。これに借金を足して100兆円以上を日本の社会や日本に住む人のために使います。
税金の使い道①:公共施設
税金の使い道のひとつが「公共施設の建設や整備」です。
道路、橋、図書館などの建設に使います。一度建てられてから古くなってきたり、台風や地震で破損したりすれば、その修理もします。
税金の使い道②:学校
学校にも使います。校舎や体育館の建設はもちろん、教科書や理科などの実験用具代、部活の活動にも使われます。
税金の使い道③:医療
医療にも税が使われています。
風邪などの病気やケガで病院に行ったら診察・検査を受けて、治療を受け、薬をもらいます。
このときに必要なお金をすべて自腹で払っているわけではなく、大部分は税金から出ています。
中学生なら3割が自腹分で、残り7割が税金です。
税金の使い道④:災害復興
台風や地震などの災害のときにも税金が使われています。家や道路が破損したときの修理、支援物資の発送や受け取り、被災者への分配などにかかる費用も税金でまかなっています。
税金の使い道⑤:研究施設やNPOなどの補助
税金はガンなどの研究補助や、NPO・ボランティア団体など支援団体の援助にも使われています。
支援団体の最たる例のひとつは「国境なき医師団」です。災害、紛争などで十分な医療を受けられない地域に医療チームを派遣し、無償で医療行為を行います。ほぼ寄付だけで活動費をまかなっており、1999年にはノーベル平和賞も受賞しています。
国が直接税金を出しているわけではありませんが、国境なき医師団に寄付をした人の税(所得税、法人税、相続税、住民税)を優遇する形で支援しています。
税の作文の例文
ここまでお伝えしたコツをもとに、税の作文例を紹介します。
介護を題材にした作文例
家族の笑顔を増やした税金
私は、税金についてあまり知らなかった。だが最近、大切な祖父の健康を通じてその重要性を理解した。一緒に暮らす私の祖父は76歳で、私たちはとても仲良しだ。私はいつまでも祖父が元気でいてほしいと願っていた。しかし、祖父は1年前にコロナに感染してから体調をくずし、寝たり起きたりの生活を送るようになった。元気ではなくなった祖父は以前のように人と会う機会が減り、笑顔も少なくなってしまった。その姿を見て私は悲しくてさびしい気持ちになった。
そんな中、父と母が相談し、祖父が介護を受けられるように手配してくれた。すると、明るく元気な介護士さんが自宅に来てくれるようになった。そのおかげで祖父の顔には再び笑顔が戻り、私もとても嬉しかった。喜ぶ祖父や私の様子をみて、父も母もほっとした様子だった。しかし、祖父も両親もお金持ちではないのに、この介護の費用をどのように払っているのだろうと不安に感じた。そこで父に聞いてみたところ、「介護に必要なお金を毎月税金として、みんなで少しずつ出しあっているんだよ」と教えてくれた。
この話を聞いて、私は税金の重要性を改めて実感した。みんなが少しずつ出しあう税金のおかげで、私の大切な祖父が元気になるための介護を受けることができたのだ。祖父だけでなく家族みんなが笑顔になれた。税金は単なる負担ではなく、社会全体を支えるための仕組みであることがわかった。私も大人になったら一生懸命働いて、税金を払うことで誰かの助けになるような存在になりたいと思った。この経験を通じて、私は税金の使い道について考え、社会に貢献する大切さを学んだ。税金は私たちの生活をより良くし、困った時に支えとなる重要なものであることを忘れずに、今後も意識していきたいと思う。
災害復興を題材にした作文例
みんなの「まさか」を救う税
中学生の私は、税金についてあまり考えたことがありませんでした。ある日、テレビで大地震のニュースを見て、その被害の大きさに驚かされました。テレビ画面に映る家々は壊れ、道路は割れていました。その光景は、私の心に深く刻まれました。1月に寸断された道路は見るも無残な状態で、これがいつ直るのだろうと心配になりました。しかし、驚くべきことに、3月にはその道路が修復され、車が走っている姿を見かけました。この迅速な修復作業に驚き、修理費用はどこから出たのだろうと疑問に思いました。
そこで、母にその疑問をぶつけてみました。母は私に対し、「この修理費用は、日本に住むみんなが払っている税金から出ているんだよ」と説明してくれました。私たちが日常的に支払っている消費税などの税金が、こうした緊急時に道路や橋の修復作業や被災者の支援活動に使われていると知り、私はとても驚きました。税金は単にお金を集めるためのものではなく、社会全体を支えるための重要な仕組みであることを実感しました。特に、予期せぬ「まさか」の時に、税金がどれほど役立つかを目の当たりにし、税金の存在意義を見なおしました。
私自身も日々の買い物で消費税を支払っています。財布から減っていく小銭をみて「消費税を払うの嫌だな」と思っていました。でもこのお金が、自分や誰かの「まさか」の時に救いとなる大切なお金になるのだと考えると、税金を支払うことに対する見方が大きく変わりました。税金は、自分たちの生活をより安全で豊かにするための制度であり、社会全体の支えとなるものです。今後も税金の使い道に関心を持ち、自分が社会の一員として果たすべき役割について考えつづけていきたいと思います。この経験を通じて、私は税金の大切さを深く理解するようになりました。
まとめ
いかがでしょうか。
中学生向けに税の作文の書き方を解説しました。
税金がの使われ方の例から自身の身近な体験を考え、その体験談のメモを作成します。いつ・何があったか・なぜそうなったか・自分がどう感じたかを書くと、字数稼ぎに走らず作文を書けます。
また、「税に関して自分の考えが変わった瞬間」も書くようにしましょう。
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