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大学入試では推薦や一般入試後期などで小論文が良く出てきます。なかでも課題文型小論文は出題頻度が高いです。
そこで、課題文型小論文を書けるようになる参考書を紹介します。
※関連記事:課題文型小論文の答案の書き方やコツの説明(練習できる問題と解答例付き)
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課題文型小論文とは?大学入試の傾向と対策
課題文型小論文(課題型小論文/ 課題文読み取り型小論文)とは、大学入試で出題される小論文の形式の一つで、与えられた課題(テーマや資料)について論じることを求められる問題です。
単なる知識の記述ではなく、自分の考えを論理的に展開し、説得力のある文章を書く力が試されます。
一般的に、大学入試で出題される小論文には以下の4種類があります。
- 課題文型小論文:課題文を基に、自分の意見を論じる形式
- 資料読み取り型小論文:データ・グラフなどを基に、自分の意見を論じる形式
- テーマ型小論文:特定のテーマについて、自分で問題提起し、論じる形式
- 教科型小論文:英語や数学、物理、化学、生物といった特定教科の記述問題に加えて、受験生自身の意見を論じる形式
このうち、課題文型小論文は与えられた情報を文章から的確に読み取り、論理的に考察する力が求められます。小論文のタイプとしては、最も多くの大学で採用されています。
課題文型小論文の基本構造と評価ポイント
課題文型小論文は、以下の基本構造に沿って書くのが一般的です。
※なお、以下の記事では課題文型小論文の書き方をくわしく解説しています。
課題文型小論文の対策法:課題文の読み方、答案の書き方やコツの説明(練習できる問題と解答例付き)
序論(導入)
- 問題の背景を説明し、テーマを明確にする。
- 与えられた課題文や資料を要約し、どのような問題が提示されているかを整理する。
- 例:「現代社会では環境問題が深刻化しており、持続可能な社会の実現が求められている。本稿では、環境対策の必要性とその影響について論じる。」
本論(展開)
- 具体例やデータを用いて、論点を掘り下げる。
- 賛成・反対の立場を明確にし、論理的に論じる。
- 反論や対立意見にも触れることで、説得力を高める。
- 例:「近年、脱炭素化が進められているが、経済成長への影響を懸念する声もある。しかし、環境技術の発展は新たな雇用を生み出す可能性が高く、経済と環境保護は両立可能である。」
結論(まとめ)
- 自分の主張を再確認し、論点を整理する。
- 課題解決に向けた提案や今後の展望を述べる。
- 例:「環境問題に対処するためには、技術革新を促進し、持続可能な経済成長を目指すことが重要である。」
大学入試の評価ポイント
大学入試では、以下の観点で評価されます。
評価基準 | 内容 |
論理性 | 主張が一貫しており、説得力があるか |
読解力 | 課題文や資料の要点を適切に理解しているか |
構成力 | 序論・本論・結論が明確に分かれているか |
表現力 | 適切な語彙や文章表現が使われているか ※文学的表現は不要 |
独自性(明確さ) | 自分の考えが明確に示されているか |
課題文型小論文のおすすめ参考書
課題文型小論文を書けるようになるのにおすすめの参考書を紹介します。
『改訂版 何を書けばいいかわからない人のための 小論文のオキテ55』
こちらは小論文の書き方をイチから解説してくれている参考書です。
小論文と作文の違いなど、小論文を書くにあたって知っておくべき内容にはじまり、「資料型小論文」では資料のどこを見れば小論文を書けるかといった「入試で役立つコツ」をたくさん紹介しています。
練習問題は少ないので、最初に読んだら別問題集で練習をし、ときどき「これってどうだったかな?」と気になったときに戻るようにしましょう。

改訂版 何を書けばいいかわからない人のための 小論文のオキテ55
出版社:KADOKAWA
『樋口裕一の小論文トレーニング 新装版』
つづいては、小論文問題集の定番です。小論文の書き方のイロハを学べます。
「小論文の種類ごと」に書き方を説明してくれています。
小論文の種類は、「課題文型」「テーマ型」「資料型」「教科型」といくつか分かれています。受験する大学によって異なるため、複数の大学を受験する場合、何パターンかの小論文を書きなれておく必要があります。
この問題集で早めにタイプ別の書き方を知っておけば対策がしやすくなります。
ただし、演習はあまりないので次に紹介する問題集を使って練習を重ねると良いです。

樋口裕一の小論文トレーニング
出版社:ブックマン社
『2025年受験対策 全国大学小論文入試 出題内容5か年ダイジェスト』
こちらの問題集は全国の小論文過去問を集めており、「大量に」小論文の練習ができます。全国の一般入試小論文を中心に5年分掲載されています。
10回~15回ほど書けばかなり慣れてきてコツがつかめてきます。

2025年受験対策全国大学小論文入試出題内容5ヵ年ダイジェスト
出版社:旺文社
『7日間で合格する小論文-読み方&書き方を完全マスター!』
入試まで日にちがなく、「書き方をパッっと知って、ササっと書く練習がしたい!」という人におすすめの参考書です。
小論文の書き方の解説と演習問題が数問あります。
残り1か月未満でなんとかしたい場合に役立ちます。

7日間で合格する小論文-読み方&書き方を完全マスター!
出版社:学研プラス
『小論文の完全ネタ本』
最後に紹介するのは小論文を書くときに欠かせない「背景知識」を手に入れるための参考書です。
小論文入試では、専攻学部・学科の専門内容を題材にした問題がよく出ます。
教育学部なら学校のクラス運営について問われますし、医療系なら「あなたが医療人ならこの場合どうしますか?」なども問われます。
専門知識はそれほど必要ありませんが、「受験生自身の興味・関心」「その専門分野についての受験生の意見」を聞かれます。過去数年間で報道されていた内容を知らないと書けないようなものが中心です。
ところが、入試直前にネットニュースや新聞を数年分読み返すわけにもいきません。
そんなときに活躍するのがこの「完全ネタ本」シリーズです。
ここ数年分の「重要トピック」と「そのトピックの概要」を分かりやすく解説してくれています。
小論文入試を受ける人には必須と言える参考書です。
専門分野ごとにシリーズが分かれているので、受験する学部に合うものを読んでおきましょう。
人文・教育系↓(文学部・教育学部全般)

小論文の完全ネタ本改訂版 人文・教育系編
社会科学系↓(社会学部、法学部、経済・経営、情報、国際)

小論文の完全ネタ本改訂版 社会科学系編
医歯薬系↓

小論文の完全ネタ本改訂版 医歯薬系/看護・医療系編
自然科学系↓(工学部、理学部、農学部、文理融合)

小論文の完全ネタ本改訂版 自然科学系編
『採点者の心をつかむ 合格する小論文 改訂版』
こちらの参考書は「採点者目線」での答案作成のポイントを紹介しています。
小論文では「このテーマにおける問題点は何か」がスタートです。問題点を洗い出し、それを採点者と共有するという視点での答案作成を提唱しています。
ほかの参考書とは視点が異なっており、小論文に苦手意識のある人やもっと得意にしたい人に向いています。
説明中心のものと、実践演習中心のものに分かれています。
説明中心↓

改訂版 採点者の心をつかむ合格する小論文
実践中心↓

採点者の心をつかむ 合格する小論文の書き方 まるで添削されているかのように小論文をブラッシュアップ!
出版社:かんき出版
『小論文を学ぶ―知の構築のために』(ハイレベル)
小論文の書き方は分かっている、大体書けるようになってきた、入試でハイレベルな小論文問題が出る。
こうした人におすすめの参考書です。
いかに学ぶか、いかに活用するか、いかに書くかという根本からレベルアップを図っています。
慶應など一部のハイレベルな小論文が必要な人向けです。

小論文を学ぶ―知の構築のために
出版社:山川出版社
『現代文読解力/解答力の開発講座 新装版』
課題文型小論文では長文読解力や解答作成能力を高度に求められます。
この参考書は現代文の読解演習対策用で、長い文章を読むポイントや100-200字の記述問題の解答作成のポイントを演習できます。
ハイレベルな小論文に対応したい人向けです。

現代文読解力の開発講座<新装版> (駿台受験シリーズ)

現代文解答力の開発講座 (駿台受験シリーズ)
出版社:駿台文庫
課題文型小論文の参考書の選び方
課題文型小論文の参考書の選び方を紹介します。
レベルに合うものを選ぶ
小論文の参考書は入試のレベル、自分の今のレベルによって選びましょう。
多くの大学では「書き方」から解説している基本的なレベルの参考書で間に合いますが、慶應など一部の大学ではハイレベルな参考書が必要です。
また、入試でハイレベルな小論文が必要だからと言って、今の自分の実力より高すぎるものを選ぶと勉強しづらいです。
「入試のレベル」と」「今の自分のレベル」の両方に合うものを選びましょう。
目的を明確にする
小論文を書けるようにするには、「小論文の書き方の知識」と「小論文を書く練習」の両方が必要です。課題文型小論文ではさらに「長文読解力」をきたえる必要もあります。
自分に必要なのはそのいずれなのかをまず明確にしましょう。
学校などで「小論文の書き方の知識」を教わっている人も多く、そういう人には練習問題がたくさんある参考書のほうが役立ちます。
志望大学の出題傾向を調べる
小論文にはいくつかの種類があります。志望大学によってどの種類が出ているのか、過去問を見るなどして確認しておきましょう。
なお、小論文の種類は大きく以下の4つに分かれています。
課題文読み取り型 | 文章を読んでその内容について小論文を書く問題 | 最も多い出題タイプ |
テーマ型 | 「あなたが気になる科学のニュースについて説明してください」など、1-2行程度で指示が出て小論文を書く問題 | 難易度の高い大学や体育学部に多いタイプ |
資料読み取り型 | 複数の図表を見て、その図表についての小論文を書く問題 | 経済学部や医療系学部に多いタイプ |
教科型 | 英語や物理など、教科知識をベースに小論文や用語説明を記述する問題 | 理系学部に多いタイプ |
※関連記事:教育学部の小論文過去問一覧
※関連記事:医療系小論文の過去問一覧
※関連記事:【最新版】看護の小論文過去問
入試までの期間で選ぶ
小論文入試の多くは推薦入試です。8月末以降に「急に小論文が必要になった」という受験生も多いです。
小論文参考書もじっくり読むものもあれば、短期速成を目指すものもあります。
入試までの期間の長さによって選びましょう。
課題文型小論文で必要な力
課題文型小論文を解くのに、いくつかの力が必要です。
長文読解力
まず、長文読解力が必要です。
課題文型小論文は「課題文(長文)を読む」という特徴があります。1000-2000字ほどの長さになり、通常の入試現代文と同程度の長さ・難易度の文章です。
長文を読んで筆者の主張を把握できるだけの読解力が必要です。
論理的思考力
長文読解力に加えて、論理的思考力も問われます。
読んだ内容をもとに、自身の意見を論述します。初めてみるテーマであっても、その場で考えて自分の意見をしぼりだす必要があります。
そのためには本文中に出てきたキーワードやテーマのメリット・デメリットをもとに、論理的に考え、その内容を論理的に(=読み手に分かりやすく)書く必要があります。
専攻分野の知識
小論文では専攻分野についての論述もよく出ます。「オンライン診療のメリット・デメリットについて」など。
医療系学部なら医療分野、教育学部なら学校教育、経済学部なら経済活性化、法学部なら法律や社会の動きについて問われます。
それぞれの専攻分野での知識も日ごろから仕入れるようにしましょう。
まとめ
いかがでしょうか。
高校生向けに、大学入試でよく出る課題文型小論文を書けるようになる参考書を紹介しました。
「小論文とは何か」という「書き方の説明」をしているもの、読解力を鍛えるもの、ハイレベルな小論文対策ができるものを選んでいます。
自分のレベルや志望校のレベルに合う参考書を選ぶと効率よく受験対策ができます。
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