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大学入試では小論文を使うケースがたくさんあります。
学校推薦型選抜や総合型選抜はもちろん、私立大学や国公立大学の一般入試でも小論文をよく使います。
小論文は答案を書くのも大変ですが、添削がさらに大変です。
そこで、高校生向けに添削の仕方やポイントを紹介します。
※関連記事:小論文の参考書
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小論文の添削のポイント
小論文を書いたら添削が必要です。その添削の仕方を説明します。
入試問題を1題解いてみる
入試で小論文が必要になったら、まず志望大学・学部の過去問をみて小論文を書いてみましょう。
いくら時間をかけていいので、字数を必ず守るようにします。
例えば「800字以内で書いてください」と指定されていたら、「720字以上」で書きます。
※関連記事:800字の小論文の書き方
目的は以下の3つです。
これらを把握したうえで小論文の勉強に乗り出すと時間効率の高い対策ができます。
解答例と見比べる
小論文を書けたら、解答例と自分の解答を見比べてみましょう。
「何を言いたいか分かりやすいかどうか」の視点で比べます。
書き方と内容の2つを添削する
小論文では「書き方」と「内容」の2点を添削します。
以上のポイントを把握したところで、具体的な添削内容を紹介します。
小論文の書き方や表記ルールの添削内容
まず、小論文の書き方や表記のルールの添削内容を紹介します。
主語・述語の整合性
主語と述語の整合性をチェックしましょう。
「明日することは犬の散歩をすることだ」のように、主語と述語が合っていない文がないか確認します。
誤字・脱字
誤字・脱字のチェックもしておきましょう。
例えば、「テキカクな表現」のときのテキカクは「的確」で、「テキカク性がない」(資質・資格がない)というときは「適格」です。
「だ・である」調
小論文は「だ・である」で書きます。「です・ます」では書きません。
「本を読みます⇒本を読む」です。
同じ表現の繰り返し
1つの文、1つの段落で同じ表現を繰り返し使っていないかチェックしましょう。
例えば「重要なことは、何が重要なのかを考えることだ」のように同じ言葉を2回以上使っていないか確認しましょう。
ただし、「話す」「読む」のように日常でよく使う動詞は繰り返し使っても大丈夫です。
同じ意味の接続詞の繰り返し
接続詞にも注意しましょう。
「しかし・だが・それでも」のように、同じ意味の接続詞を繰り返し使っていると読みづらい文章になります。
また、「そして」「それで」「それから」のように、「そ」で始まる接続詞を連続させるのも、印象があまりよくありません。
「~と思う」
「~と思う」という書き方は小論文ではよくありません。
「あなたの意見を書きなさい」と指示されているので、「~と考えている」と書きます。
ただし、「~と考えている」と繰り返し書くのもNGです。「~だ」と言い切りましょう。
話し言葉
「話し言葉」で書いてしまっていないかチェックしましょう。小論文では「書き言葉」で書きます。
よくある間違い例を以下に紹介します。
話し言葉 | 書き言葉 |
だから | それゆえ |
だって | なぜなら |
お父さん・お母さん お兄ちゃん・お姉ちゃん おじいちゃん・おばあちゃん | 父・母 兄・姉 祖父・祖母 |
やっぱり | やはり |
たぶん | おそらく |
とても | 非常に |
もっと | さらに |
いつも | 常に |
ちゃんと | きちんと |
AとかB | AやB |
スマホ | スマートフォン |
小論文の構成・内容の添削
つづいて、小論文の構成や内容の添削ポイントを紹介します。
序論・本論・結論の3部構成になっているか確認する
小論文は序論・本論・結論の3部構成が基本です。この構成に沿って書いていると採点者が読みやすい文章になります。
まず、序論・本論・結論の3部構成で書けているかチェックしましょう。
各パートの目的に沿っているか確認する
序論・本論・結論のパートごとに「目的」があります。自身の答案が以下のような目的に合っているか確認しましょう。
例えば、序論では問われているテーマについて自身の主張や立場を明確にします。
「移民受け入れに対して賛成か反対か」を問われている問題で、「移民の方々はとても困っている」という意見を序論に書くと、違和感があります。
「賛成/反対」を問われているので、序論では「賛成」か「反対」かを必ず書きます。
このように、各パートの目的に合った内容を書いているかチェックします。
※関連記事:小論文の対策法を解説:構成や書き出し方の例文
※関連記事:小論文の結論の書き方:注意点を例文をまじえて解説
問題文で聞かれている内容を分析する
問題文をよく読んで「何について、どの点を答えるべきか」を分析できているか確認しましょう。
「ほとんどの小論文入試では、問題点の分析と対策法が求められています。
「移民受け入れに対して賛成か反対か」を問う問題なら、移民受け入れに伴う問題(多文化共生、日本語教育、日本人の失業率など)について論じないといけません。
そのテーマに関する問題点を洗い出せているか、その問題点への対策法を論述できているかを答案でチェックしましょう。
問題文の分析方法
「~についてあなたはどう考えるか」のように、テーマを与えられて論述する問題では、原因分析から行いましょう。
分析例
例えば、「観光客の誘致と環境美化のバランスについてあなたはどう考えるか」という問題について考えてみます。
これはよく出てくるテーマで、「地元の経済発展のためには大勢の観光客を呼びよせるほうが良いが、人が大勢来るとゴミが増え自然が破壊されるなどの問題も生じる」という内容です。
「原因⇒影響⇒対策」の順に考えると論述の答案をつくりやすくなります。
このとき、「原因」への「回答」を考えたら、その「回答」の「原因」をさらに考えます。すると、「影響」や「対策」がするすると出てきます。
下記のような流れです。
原因①:なぜ人がたくさん来ると環境が悪化するのか?
回答①:ゴミが増えるから
↓
原因②:人が増えるとなぜゴミが増えるのか?
回答②:ゴミが自然のなかや道端に捨てられるから
↓
影響:環境が悪化すると誰にどのような影響が発生するか?
回答:観光資源である自然環境や町の美観が失われ、観光客が減少する
↓
対策:ゴミの廃棄など観光客の行動にガイドラインを設ける
答案から変える・加えるほうがいい内容を探す
内容に関する添削は大きく2種類に分かれます。
書き方を変えたり、別の内容や文言を加えると良い答案になるか検討してみましょう。
答案から削るほうがいい内容を探す
変える・加えるのではなく、削るのも添削のひとつの手段です。
「書かなくても良い文言や内容」を削ると、読みやすい文章になります。
例えば、「私は~と考える。」の「私は」の部分はなくても良い場合が多いです。「あなたの意見を書きなさい」と問う問題がほとんどなので、「私は」と書かなくても誰の考えなのか分かります。
答案が論理的かどうかをチェックする
答案を読み直して、論理的かどうかもチェックしましょう。
論理的かどうかは以下の2点でチェックできます。
例えば、「選挙権が与えられる年齢を引き上げるべきか」という問いに対して反対の立場で論述するとします。
①引き上げるべきという意見に反対だ
↓
②若年者の政治への関心がうすれるからだ
↓
③若年者の投票率が低かったが、投票権の付与が18歳に引き下げられてから10代20代の政治への関心が上がった(架空の内容です)
↓
④引き上げるべきでない
①→②→③→④の順に論を展開すれば、「引き上げに反対という立場」であり、「反対している理由」も分かります。
この順番が入れ替わると、とたんに分かりづらくなります。
③若年者の投票率が低かったが、投票権の付与が18歳に引き下げられてから10代20代の政治への関心が上がった(架空の内容です)
↓
②若年者の政治への関心がうすい
↓
追加:政治に関心を持つのは国民の義務ではないか
↓
①④引き上げるべきという意見に反対だ
このように「引き上げに賛成か反対か」が最後まで読まないと分かりません。しかも、投票率がどうだこうだという話が最初に来ていますが、なぜその話を持ち出しているのかが分かりづらいです。
また、「追加:政治に関心を持つのは国民の義務ではないか」のように個人的な思いを書かれても、読む側にはあまり響きません。不要な内容と言えます。
課題文を要約するとチェックしやすい
答案内容のチェックは簡単ではありません。何が正解なのか分かりづらいからです。
課題文型小論文なら、課題文を要約してみると「何を問われているか」が分かりやすくなります。
小論文の添削例
前述のポイントを踏まえて添削した例を紹介します。
【設問】
「移民受け入れについてのあなたの意見を書きなさい。」
【解答例(賛成の立場)】
「移民を受け入れると、いろんな文化が混ざり合って社会が豊かになる。国内のお金の動きもよくなる。また、高齢化問題も解消に向かう。そして、いろんな人が集まることで、日本人と外国人のお互いの理解が進むようになり、国と国の関係もよくなる。」
この解答例を書きなおすと以下のようになります。
「移民受け入れは文化の多様性や経済の活性化につながり、労働力不足や高齢化社会に対処する手段となる。また、異なる背景や経験を持つ人々が交流することで、相互理解や国際関係の強化につながる。」
上記は内容をそのままに、書き方を変えています。
「いろんな」は話し言葉なのでNG、「社会が豊かになる」の意味があいまいなので「文化の多様性」に書きかえています。
小論文の添削の目的
そもそも小論文で添削するのには目的があります。
今の自分に何が足りないかを把握する
一番大きな目的は「今の自分に何が足りていないか」を把握するためです。
合格できる小論文を書くにはいくつかの力が必要です。
小論文の基本的な書き方の知識
まず必要なのは小論文の基本的な書き方の知識です。
前述のように、3部構成・書き言葉などは必須知識です。
自分の意見を書くための材料(情報)
つづいて、答案をさっと書くには専攻分野の知識が必要です。
書き方が分かっていても、知識が乏しいと何を書けばよいか思い浮かびません。
長文の読解力
課題文型小論文では、1000-2000字の長文を読む必要があります。この長文内容にもとづいて論述するため、長文読解力も求められます。
※関連記事:課題文型小論文の対策法:課題文の読み方、答案の書き方
問題分析力
さらに、「何を問われているのか」を正確に分析する力も必要です。
小論文では何かしら問題点が議論されているテーマで出題されます。AI、SDGs、部活、学校教育、人口減少、雇用問題など。
これらの問題点が問題文で提示されている場合もあれば、具体的に書かれていない場合もあります。書かれていなくても、出題者はそのテーマの「何」について論じてほしいのかを受験生側が分析しないといけません。
特に、テーマ型小論文は問題文が短くヒントが少ない場合があり、難易度が高いです。
※関連記事:テーマ型小論文の書き方を例文付きで解説:答案作成のポイント
足りない力を補う
書き方や知識、分析力など、自分に何が足りていないか分かれば、それを補えるように勉強します。
小論文の添削を誰かにしてもらうほうがいい場合はどのようなときか
ここまで、一人で添削する方法を紹介しました。
ある程度までは一人で添削して合格を勝ち取れますが、誰かに添削してもらうほうが良い場合もあります。
答案の内容分析に不安があるとき
答案の内容チェックができているか不安があれば、他人に添削をしてもらいましょう。
自分の書き方で読み手に意図が伝わっているのかチェックしてもらいます。
課題文の読み取り方が分からないとき
課題文型小論文では、課題文を読んで著者の主張を把握する必要があります。
長文読み取りが苦手なままだといくら小論文の書き方を練習しても、合格点を取れる小論文を安定して書けるようになりづらいです。
こういう場合には長文の読み取り方をレクチャーしてもらったり、課題文の内容を個別授業で質疑応答して理解を深められるような対策を受けるようにしましょう。
3か月以内の短期で対策したいとき
入試まで残り3か月以内で小論文対策が必要になるケースもよくあります。
上記のいずれかが決定的に苦手というわけでなくても、添削指導を受けるほうがいいでしょう。
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小論文の添削は学校の先生に頼んで大丈夫か
小論文の授業を数回程度実施している高校も多いです。そうした高校では「小論文の書き方」を一斉授業で教えていることがよくあります。
では、「答案の添削」は学校の先生に頼んで大丈夫でしょうか?
※関連記事:小論文の参考書
ほとんどの学校の先生は小論文の専門外
結論から言うと、「学校の先生に答案の添削をしてもらうのはむずかしい」です。なぜなら、ほとんどの学校の先生にとって小論文は専門外だからです。
高校の先生は特定の教科を教えるスペシャリストです。その教科についてはくわしいですが、別の教科になると経験がありません。
国語の先生が小論文の授業を担当するケースも多いですが、国語と小論文は似て非なる科目です。特に「答案の添削」となると、経験がないとむずかしいです。
誤字・脱字のチェックは学校の先生に頼める
とはいえ、誤字・脱字のチェックは学校の先生に頼むほうが良いでしょう。
自分では「正しい」と思って書いているので、間違いを発見しづらいです。
第三者が見るとすぐ発見できます。
添削指導に慣れている国語の先生がいれば依頼する
ほとんどの高校では小論文の書き方指導にとどまりますが、答案の添削も受け付けてくれる先生もいます。
一斉指導だけでなく、たくさんの添削指導を個別にしてきた先生なら答案添削をしてもらいましょう。
同じ学校の先輩たちの答案を数多くご覧になられているので、「ちょうど書きやすい難易度の答案」を提案してくれるかもしれません。
自分で添削をしやすい小論文の参考書
最後に、ひとりで小論文を書いて添削しないといけない人向けに、添削がしやすい参考書を紹介します。
解答例が豊富、書き方の解説が丁寧なものを選んでいます。
『改訂版 答案添削例から学ぶ 合格できる小論文 できない小論文』
答案添削の基準や、やってはいけない書き方を種類別に紹介してくれています。
それを見ながら自身の答案をみれば、どこを添削すると良いか、どの書き方だと良くないかが分かります。
特に「どの書き方が良くないのか」を知っておくと「減点されない答案」を書きやすくなります。
改訂版 答案添削例から学ぶ 合格できる小論文 できない小論文
出版社:KADOKAWA
『型と手順で攻略する 合格のための小論文教室―添削実例付』
小論文を基礎からじっくり解説してくれています。
作文と小論文の違い、小論文の型など。
型と手順で攻略する 合格のための小論文教室―添削実例付―
出版社:小径社
『学校推薦型選抜・総合型選抜 だれでも上手に書ける 小論文合格ノート』
学校推薦型選抜や総合型選抜の小論文対策に便利なドリルです。
書き込み式で、イチから学べます。
比較的易しめの小論文入試の対応がしたい人に向いています。
学校推薦型選抜・総合型選抜 だれでも上手に書ける 小論文合格ノート
出版社:KADOKAWA
『改訂版 何を書けばいいかわからない人のための 小論文のオキテ55』
こちらは小論文の書き方をイチから解説してくれている参考書です。
小論文と作文の違いなど、小論文を書くにあたって知っておくべき内容にはじまり、「資料型小論文」では資料のどこを見れば小論文を書けるかといった「入試で役立つコツ」をたくさん紹介しています。
練習問題は少ないので、最初に読んだら別問題集で練習をし、ときどき「これってどうだったかな?」と気になったときに戻るようにしましょう。
改訂版 何を書けばいいかわからない人のための 小論文のオキテ55
出版社:KADOKAWA
まとめ
いかがでしょうか。
高校生向けに、大学入試小論文の答案添削の仕方を説明しました。
ひとりで添削する際には「表記」→「内容」の順に添削すると良いです。答案内容の添削には、「問題文で示されている課題」を分析するところからはじめるのがポイントです。
また、入試まで3か月以内で小論文対策をはじめる場合は誰かに添削を頼むほうが無難です。
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