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税の作文の書き方:作文のコツや構成、税金の使い道の具体例を解説(例文つき)

中学や高校の夏休みの宿題に出てくる「税の作文」。どのように書けば良いのか、何を書けば良いのか分からず、後回しにされがちです。

ですが、「書かないと終わらない」のが作文です。

そこで、税の作文の書き方を説明します。作文に使えそうな税の基礎知識や作文例も紹介するので、参考にしてみてください。

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税金とは何か?中学生向けのやさしい解説

税金は、「社会に住むみんなの会費」のようなものです。社会を住みやすいものにするために使われます。

みんなが住む社会なので、そのためのお金をみんなで出しあっています。

例えば、私たちが消費する物やサービスに課される「消費税」や、家族の収入から差し引かれる「所得税」があります。

集められた税金は、道路の整備や学校の運営、病院の医療サービスなど、私たちの生活を支えるために使われています。税金は社会全体の利益のために使われ、みんなが快適に生活できる環境づくりに欠かせません。

税の歴史と現代社会への影響

税金は古代から存在し、国の運営に不可欠な財源として活用されてきました。

  • 古代からの歴史:古代エジプトやローマ時代には、国を維持するための税金がすでに課せられていました。物や作物で納めることも多く、国の軍事や公共事業に使われていました。
  • 日本の税の発展:日本でも、昔は米や布で税を納めることがありましたが、明治時代にお金による税制が整備され、現在のような税制度が形成されました。
  • 現代社会での重要性:現在では、税金は学校、病院、道路などの公共サービスのために使われています。私たちが安心して生活するための重要な仕組みの一つです。税金がなければ、こうしたサービスが不足し、社会全体の安全や福祉が低下してしまいます。

自分の生活における税の影響

税金は家庭にも影響を及ぼします。たとえば、住民税が増えると家計の支出も増え、生活費に影響が出ることもあります。また、税金で支えられている学校教育や公共施設が整備されているため、税金の重要性を実感できます。

税金の種類や使い道:公共サービスと私たちの生活

税金についてちょっと知っておくと、税の作文に書く内容を考えやすくなります。

国税庁のHPの内容をもとに、税の使われ方を紹介します。

税金の種類

税金にはさまざまな種類があり、大きく分けて「直接税」と「間接税」があります。

  • 直接税:個人が直接支払う税金で、たとえば「所得税」や「住民税」が含まれます。所得税は、働いて得た収入に応じて支払う税金で、稼ぎが多いほど多く納める仕組みです。住民税は、住んでいる市町村に支払う税金で、地域のサービスの財源になります。
  • 間接税:商品やサービスを購入するときに間接的に支払う税金です。代表的なものに「消費税」や「酒税」があります。消費税は、商品やサービスを買うたびにかかる税金で、たとえば500円のジュースを買うと、消費税も含めて支払います。
  • その他の税金:他にも、自動車を持つ人が支払う「自動車税」や、資産を持つ人に課せられる「固定資産税」など、特定の条件に応じて支払う税金もあります。

税金の使い道

税金がどのように使われているかを考えると、教育、医療、道路の整備、防災対策など、私たちの生活に密接に関わるものに使われていることがわかります。

では、税がどのように使われているか、具体的に見てみましょう。

医療費の補助

日本では、病院での診察費用や治療費が安くなる仕組みが整っています。

例えば、風邪で病院に行くと通常3,000円かかるところ、実際に払うのは1,000円程度です。この差額は、税金を使って国が負担してくれているためです。

このように国民健康保険制度のおかげで、多くの人が負担を軽減しつつ医療を受けることができるのです。

また、一部の自治体では、中学生以下の医療費が無料になるなど、子どもたちが安心して治療を受けられるようなサポートも行われています。

教育費

学校に通うための費用も税金でまかなわれています。校舎の建築費や机や椅子、教科書といった設備に多くの税金が使われています。

また、小学校から高校卒業までの9年間で、一人の生徒に約900万円分の税金が使われている計算になります。

このように、税金があることで、みんなが平等に教育を受けられる環境が整えられているのです。

社会保障(年金・福祉)

税金は、高齢者が引退後も安心して暮らせるようにする「年金」や、困っている人を支える「福祉」などにも使われます。

例えば、65歳以上の高齢者には、毎月生活費として年金が支給されます。また、障害を持つ人や生活が苦しい人をサポートする制度にも税金が使われています。

国の借金返済(国債)

少子高齢化の影響で、税金を納める人が減少し、高齢者の医療や年金にかかる費用が増えています。そのため、日本では借金をしてその分を補い、返済には税金が充てられることも多いです。

災害復興

台風や地震などの災害のときにも税金が使われています。家や道路が破損したときの修理、支援物資の発送や受け取り、被災者への分配などにかかる費用も税金でまかなっています。

研究施設やNPOなどの補助

税金はガンなどの研究補助や、NPO・ボランティア団体など支援団体の援助にも使われています。

支援団体の最たる例のひとつは「国境なき医師団」です。災害、紛争などで十分な医療を受けられない地域に医療チームを派遣し、無償で医療行為を行います。ほぼ寄付だけで活動費をまかなっており、1999年にはノーベル平和賞も受賞しています。

国が直接税金を出しているわけではありませんが、国境なき医師団に寄付をした人の税(所得税、法人税、相続税、住民税)を優遇する形で支援しています。

税金の使い道まとめ

税金の使い道をまとめると、以下のようになります。

  • 道路や橋の修理
  • 上下水道の整備(蛇口をひねればキレイな水が出る)
  • 介護(お年寄り、障がい者)
  • 産前・産後のケア
  • 学校(教科書、タブレット、机、イス、体育館、運動場などの設備の準備)
  • 災害復興
  • 公園の整備
  • 救急車の出動
  • 医療費(病院代の7割は税金)

ほかにもありますが、上記のように「日常生活で当たり前だと思っていること」に税が使われているケースが多いです。

これらのなかから「書きやすそうなもの」を選びます。

「当たり前に思っていた〇〇は、実は税金のおかげだったんだ」というパターンで考えてみると、選びやすくなります。

税に関する作文の書き方:構成と具体例

税の作文は3部構成で書きます。

序論

本論

結論

具体的に解説します。

序論:税金の基本的な役割

作文の始まりとして、「税金とは何か」や「税金がなぜ必要なのか」といった基本的な説明を入れます。たとえば「税金は、私たちの社会が安心して成り立つために必要なものです。教育や医療、防災など、生活に欠かせないサービスを支えるための財源です」といった導入が考えられます。

作文例

「税金は、私たちが日々の生活を安心して送るために重要な仕組みです。税金があることで、教育や医療、道路の整備など、生活に欠かせないサービスが提供されています。」

本論:税金がもたらす具体的な影響

本論では、税金がどのように使われているか、具体的な例を挙げて説明します。たとえば、「税金のおかげで、私たちは病気や怪我をしたときに医療サービスを受けられ、災害が起きたときには防災対策が取られています」と述べ、税金の重要性を具体的に表します。

作文例

「たとえば、病気になったときに受ける医療サービスも税金で支えられています。また、毎日通学する際の道路や公共交通も、税金で整備されているため、安全に利用することができます。さらに、災害が起きたときの防災対策も、税金のおかげで私たちが安心して避難できる環境が整っています。」

結論:税への理解が必要な理由

最後に、税金の理解がなぜ大切かを締めくくります。「税金をきちんと納めることは、私たち全員が安心して生活するために欠かせません。今後も税金の役割を理解し、社会に貢献する気持ちを持ちたいです」と述べることで、作文全体をまとめることができます。

作文例

「このように、税金は私たちの生活に深く関わっていることがわかります。税金への理解を深め、将来は社会に貢献する大人になりたいと思います。」

最後にタイトルを決める

作文の構成が決まれば、最後にタイトルを決めましょう。

タイトルは10文字前後で、体験談の内容をちょっとだけ入れたものにします。タイトルだけ読んでも分からないけれど、「どういうことかな?」と興味を持つようなものにします。

作文の流れのまとめ

ここまでお伝えした流れをまとめると以下のようになります。

体験談を決める(税金が使われている身近な例を取り上げる)

その体験から感じたことを決める

だから今後自分がどうしたいのかを締めにする

体験談や結論につながるような書き出しを考える

体験談の内容を連想させるタイトルにする

作文の中心は「体験談」です。どの体験について書くか、その体験で何を感じたかが決まれば、それに合わせて書き出しや締め、さらにタイトルも決まります。

具体的な数字(金額など)を入れるとさらに良い

税の作文で大切なのは、「具体的な金額」です。「お金がたくさん使われている」といったあいまいな書き方ではなく、「何に何円使われているのか」を書くといかにも税の作文らしくなります。

税の作文を書きやすくするコツ

書く内容が浮かばないと、「字数稼ぎをして原稿用紙を埋める作戦」に出る人も多いですよね。実はそんなことをしなくても作文を書きやすくするコツがあります。

書き始める前にメモをつくる

作文を書きはじめるまえにメモを作成しましょう。箇条書きで良いので、「何を書くか」をメモしておきます。

メモさえできれば、あとはメモをみながら言葉を整えて書くと作文ができあがります。

税に関する身近な例(体験談)を決める

作文に書く内容を決めるには、「体験談」から考えます。

税の作文では、身近な体験から感じたこと・考えたことを書きます。税に関する体験談をまず探しましょう。

とはいえ、「税に関する体験」をいくら考えても、パッと思い浮かぶ人のほうが少ないのではないでしょうか。

国や公共団体が行っている活動には税金が使われています。「税金が使われている活動は何か」から考えてみると浮かびやすいです。

体験談から意見と根拠を決める

体験談が決まれば、その内容から自身の意見(感じたこと)やその根拠(理由)を考えます。

例えば以下のような内容です。

体験談:大きな台風がきて、水道の水が泥水になった。翌日には元にもどった。
感じたこと:泥水のときはハミガキもできず、嫌な思いをした。蛇口をひねればキレイな水が出るのはありがたい。
※架空の話です

ここまでは、これぐらいザックリした書き方で大丈夫です。

体験談を丁寧に書く

意見やその理由が決まれば、その意見につながるように体験談を具体的に、丁寧に書きましょう。

「いつ」「何」「どこ」「なぜ」「どうだった」を書く

体験について「いつ」「何」「どこ」「なぜ」「どうだった」を書くと、読みやすくて字数稼ぎにならない内容になります。

例えば、以下のようになります。

体験談:大きな台風がきて、水道の水が泥水になった。翌日には元にもどった。
いつ:去年の9月
何:大きな台風がきた。水道管に亀裂が入り、蛇口から出る水が泥水になった。ハミガキ、お風呂、皿洗いができなくなった。近くのスーパーやコンビニで水を買った。
どこ:自分の家
なぜ:水道局の人が水道管修理をしてくれた
どうだった:翌日には復旧してキレイな水が出るようになった。

「税に関する自分の考えが変わった瞬間」を書く

税の作文で必要なのは「考えが変わった瞬間」です。体験談を下記の流れで書くと「考えが変わった瞬間」が自然に入ります。

①税についてよく知らなかった

②当たり前にできることはありがたいと感じた

③当たり前のことを当たり前にしつづけるのに税金が使われていると知った

④税はみんなにとって大切なものなのだと気づいた

上記の流れでいうと、③が「考えが変わった瞬間」です。この内容を入れると話の展開が増えるので、字数稼ぎをしようとしなくても自然と字数はついてきます。

税の作文の例文

ここまでお伝えしたコツをもとに、税の作文例を紹介します。

介護を題材にした作文例

家族の笑顔を増やした税金

私は、税金についてあまり知らなかった。だが最近、大切な祖父の健康を通じてその重要性を理解した。一緒に暮らす私の祖父は76歳で、私たちはとても仲良しだ。私はいつまでも祖父が元気でいてほしいと願っていた。しかし、祖父は1年前にコロナに感染してから体調をくずし、寝たり起きたりの生活を送るようになった。元気ではなくなった祖父は以前のように人と会う機会が減り、笑顔も少なくなってしまった。その姿を見て私は悲しくてさびしい気持ちになった。

そんな中、父と母が相談し、祖父が介護を受けられるように手配してくれた。すると、明るく元気な介護士さんが自宅に来てくれるようになった。そのおかげで祖父の顔には再び笑顔が戻り、私もとても嬉しかった。喜ぶ祖父や私の様子をみて、父も母もほっとした様子だった。しかし、祖父も両親もお金持ちではないのに、この介護の費用をどのように払っているのだろうと不安に感じた。そこで父に聞いてみたところ、「介護に必要なお金を毎月税金として、みんなで少しずつ出しあっているんだよ」と教えてくれた。

この話を聞いて、私は税金の重要性を改めて実感した。みんなが少しずつ出しあう税金のおかげで、私の大切な祖父が元気になるための介護を受けることができたのだ。祖父だけでなく家族みんなが笑顔になれた。税金は単なる負担ではなく、社会全体を支えるための仕組みであることがわかった。私も大人になったら一生懸命働いて、税金を払うことで誰かの助けになるような存在になりたいと思った。この経験を通じて、私は税金の使い道について考え、社会に貢献する大切さを学んだ。税金は私たちの生活をより良くし、困った時に支えとなる重要なものであることを忘れずに、今後も意識していきたいと思う。

災害復興を題材にした作文例

みんなの「まさか」を救う税

中学生の私は、税金についてあまり考えたことがありませんでした。ある日、テレビで大地震のニュースを見て、その被害の大きさに驚かされました。テレビ画面に映る家々は壊れ、道路は割れていました。その光景は、私の心に深く刻まれました。1月に寸断された道路は見るも無残な状態で、これがいつ直るのだろうと心配になりました。しかし、驚くべきことに、3月にはその道路が修復され、車が走っている姿を見かけました。この迅速な修復作業に驚き、修理費用はどこから出たのだろうと疑問に思いました。

そこで、母にその疑問をぶつけてみました。母は私に対し、「この修理費用は、日本に住むみんなが払っている税金から出ているんだよ」と説明してくれました。私たちが日常的に支払っている消費税などの税金が、こうした緊急時に道路や橋の修復作業や被災者の支援活動に使われていると知り、私はとても驚きました。税金は単にお金を集めるためのものではなく、社会全体を支えるための重要な仕組みであることを実感しました。特に、予期せぬ「まさか」の時に、税金がどれほど役立つかを目の当たりにし、税金の存在意義を見なおしました。

私自身も日々の買い物で消費税を支払っています。財布から減っていく小銭をみて「消費税を払うの嫌だな」と思っていました。でもこのお金が、自分や誰かの「まさか」の時に救いとなる大切なお金になるのだと考えると、税金を支払うことに対する見方が大きく変わりました。税金は、自分たちの生活をより安全で豊かにするための制度であり、社会全体の支えとなるものです。今後も税金の使い道に関心を持ち、自分が社会の一員として果たすべき役割について考えつづけていきたいと思います。この経験を通じて、私は税金の大切さを深く理解するようになりました。

まとめ

いかがでしょうか。

中学生向けに税の作文の書き方を解説しました。

税金がの使われ方の例から自身の身近な体験を考え、その体験談のメモを作成します。いつ・何があったか・なぜそうなったか・自分がどう感じたかを書くと、字数稼ぎに走らず作文を書けます。

また、「税に関して自分の考えが変わった瞬間」も書くようにしましょう。

satoru

福地 暁です。 個別指導の塾を経営しています。 これまで3000組以上のご家庭を担当させていただきました。 中学受験、高校受験、大学受験、英検・TOEIC対策、中学生・高校生の定期テスト対策など、さまざまな学習支援をしています。 みなさまの学びにプラスになる情報をお伝えしていきます! よろしくお願いします。 1男1女の父。 どうやら娘には「甘いパパ」と思われているようで、 アイスやジュースをねだるときは必ずパパのところにきます。

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