毎年中学生に課される人権作文。何を書けば良いか分からず、なかなか進まないですよね。
そこで、中学生向けに、人権作文の書き方や構成の取り方を分かりやすく解説します。
800字の例文(作文)もつけているので、ぜひ参考にしてみてください。
※関連記事:税の作文の書き方
人権作文の書き方
人権作文は以下のように書くと書きやすいです。
3部構成で書く
まず、作文全体を3部構成にしましょう。
- 書き出し・テーマ
- 体験談と自分の考え
- 今後
以下、各構成の書き方のテンプレを載せています。
【「書き出し」のテンプレ】
「人の命は大切だ/人はみな平等だ/人権は大切だ」と言われる。だが、誰もがそう思っているわけではないのかもしれないと感じることがある。
【「体験談と自分の考え」のテンプレ】
(事実)ということがあった/を聞いた/を見た。これを知って、私は(意見・感情)だと感じた。なぜなら(理由)だからだ。
【「今後」のテンプレ】
この経験から、私は(今後)しようと考えている。
書き始める前にメモを作成する
前述の構成に合うように、作文内容の「メモ」を作成しましょう。
作文の途中で字数が大幅に足りなくなったり、書いているうちに内容がずれてきたりします。そうならないように、書きはじめる前にメモをつくっておき、そのメモを見ながら文章を書きます。
体験内容を箇条書きする
人権作文で重要なパートは「体験内容」の記述箇所です。このパートでは細かく丁寧に書くと読み手に状況が伝わりやすく、必要な字数も満たせます。
以下の項目を箇条書きします。
- 「いつ」…今年の大型連休(GW)
- 「何」…目の見えない人に出会った
- 「どこ」…駅のホーム
- 「なぜ」…出かける途中
- 「どうだった」…ホームは混雑していて、目の見えない人は歩きにくそうにしていた
「自分の考えが変わった瞬間」を入れる
人権作文では、人権についての自分の考えがどう変わったのかを書き入れましょう。
「人権について深く考えたことはなかった」
↓
「人権について深く考えるようになった」
上記のような「変化」を入れます。すると、作文全体が「テーマ感」のあるまとまった文章になります。何を書けば良いかも分かりやすくなり、結果的に書きやすくなります。
最後にタイトルを考える
「体験内容」や「考えの変わった瞬間」を決めたら、最後に作文のタイトルを考えます。
タイトルは10字前後以内で、体験内容を少し連想させるようなものがおすすめです。
何を書けば良いか分からないときのコツ
作文のなかでも人権作文は、「何を書けば良いか分からない」という点にむずかしさがあります。書く内容に困らないコツを紹介します。
人権の作文の目的を確認する
人権作文は、「人権作文の目的」を意識すると書きやすくなります。
人権の作文は、「人を大切に想う気持ちに気づくこと」が目的です。これに沿って作文する内容を考えると、内容が思い浮かびやすくなります。
他人の作文を読む
目的が分かれば、次に他人の描いた作文を読んでみましょう。ほかの人はどのように書いているのか分かると、自分の作文も非常に書きやすくなります。
法務省「全国中学生人権作文コンテスト」では、入賞作品を閲覧できます。実際の作文を読んでみると、書き方をイメージしやすくなります。
書き出し方や構成は人によって多少異なります。いくつか読んでみて自分のなかでしっくりくるものを参考にしてみても良いです。
人権の具体的な内容から書きやすそうなテーマを選ぶ
人権作文の完成図をイメージできたら、いざ「何を書くか」を考えましょう。「人権」とひとくちに言っても、内容は多岐にわたります。
人権や人権侵害が問題になる場面を以下に紹介します。
身の回りの人権侵害
身近な例でいうと、生徒どうしや大人どうし、大人から子どもへの人権侵害があります。いじめ、身体的暴力、言葉の暴力、無視、DV、虐待などが当てはまります。
SNSでの人権侵害
最近ではSNS上での人権侵害も非常に多いです。誹謗中傷(有名人、スポーツ選手)、個人情報の無断公開(顔画像、氏名、住所、学校名、テスト結果など)など。
障がい者差別
障がい者差別も根強く残っています。バリアフリー、ユニバーサルデザインといった概念を社会に取り入れる動きもありますが、時間がかかっています。
障がい者差別がなくならない理由として、特に以下の4つの障壁があると言われています。
障がい者を取り巻く四つの障壁
このように、人権作文に書ける内容は多々あります。これらのなかから「自分が書きやすいと感じるテーマ・体験」を探しましょう。
人権作文の例
それでは、720字ほどで書いた人権作文を例として紹介します。オリジナルの作文で、内容は架空のものです。
私はこれまで、「目が不自由で困っている人がいたら声をかけましょう」と言われてきたが、自分から実際に声をかけたことはなかった。今年の大型連休の、友だちと電車に乗って出かけたときのことだ。駅はとても混んでいて、他の人と肩がぶつかるほどだった。そんな中、カツカツという、地面を何かがたたく音が聞こえてきた。その音のするほうを見ると、黒いサングラスをかけ、白いつえで地面を軽くたたきながら歩いている男性がいた。私はすぐに「目の見えない人だ」と思った。
その男性は、私たちと同じ電車から降りてきたようで、どこかに向かう途中のようだった。しかし駅の混雑は激しく、目の見える私でさえ歩きにくい状況だった。目の見えないその男性ならさらに歩きにくいに違いないと私は思い、その男性が転んだりせず進めるか気になった。しかし、知らない人に声をかけるのは少し勇気がいり、結局何も言えなかった。
するとそのとき、一人の女性がその男性に近づいて声をかけ、男性の腕を取って一緒に歩き出した。その様子を見て、私はホッとした。声をかけなかったことを後悔したが、それ以上に、その女性が声をかけてくれたことに安心した。きっと、その女性も私と同じように、男性が歩きにくそうだと感じて声をかけたのだと思う。
私たちはみな、同じ社会で生活していて、みんなが安全に過ごせるように助け合いたいという気持ちを持っているのだと感じた。「困っている人がいたら声をかけましょう」という言葉は、ただ単に声をかけることを言っているだけじゃなくて、お互いが安心して過ごせるように助け合おうという意味なのだと改めて思った。これからは、気になったときには、もっと勇気を出して積極的に声をかけようと気持ちを新たにした。
まとめ
いかがでしょうか。
中学生向けに人権作文の書き方やコツを紹介し、オリジナルの作文例を載せました。
「書き出し」「体験」「今後したいこと」の3部構成にし、「人権について考えが変わった瞬間」を入れると、人権作文を書きやすくなります。
人権の例も紹介しているので、書きやすそうなテーマを選んで実際に書いてみましょう!
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