私立中学に入学すると、毎年いくらの学費がかかるのでしょうか。学校の授業料だけでなく、入学金や部活費、交通費、スマホ代も必要です。
こうした、入学後に必要になる学費を文部科学省の調査結果をもとにして紹介します。
また、最近では私立中学の授業料無償化や授業料補助もはじまっています。東京では年10万円補助が出ますし、愛知では入学金と授業料が無償化されています。
なお、中学受験をするのに必要な塾の費用の詳細を以下の記事でくわしく解説しています。
※関連記事：中学受験の塾費用はいくらかかる？
私立中学の学費
私立中学に通うと、学費がいくらかかるのでしょうか。
年間約143万円
文部科学省の「令和3年度 子どもの学習費調査」によると、私立中学に入ると1年間で平均143万6,353円かかります。
ただし、この金額は学校外の活動費（塾など）も含まれています。
また、この調査は令和3年度（2021年度）に行われたものですが、平成30年度（2018年度）の調査に比べると約3万円増加しています。
私立中学の学費の内訳
項目ごとの学費を表にまとめました。また、2018年度の調査時点との変化もまとめています。
| 項目 | 金額 | 2018年度との比較 |
| 授業料 | 476,159円 | +47,585円 |
| 学校納付金（入学金含む） | 285,601円 | -19,529円 |
| 通学費 | 152,487円 | +11,722円 |
| 図書・学用品・実習材料費など | 68,578円 | +18,380円 |
| 教科外活動費（部活など） | 37,172円 | -18,624円 |
| 修学旅行 | 30,988円 | -51,590円 |
| 給食費 | 7,227円 | +3,496円 |
| その他 | 10,365円 | +1,968円 |
| 中学校で必要な費用の合計 | 1,068,577円 | -6,592円 |
| 学校外活動費（主に塾代） | 367,776円 | +36,512円 |
| 3年間の合計費用 | 1,436,353円 | +29,920円 |
私立中学の学費の変化
2018年度と2021年度の調査結果を比べると、金額が大きく変化している項目があるのが分かります。
【学費の増えた項目】
・授業料（+47,585円）
・通学費（+11,722円）
・図書・学用品・実習材料費（+18,380円）
・塾代など学校外活動費（+36,512円）
【学費の減った項目】
・入学金など学校納付金（-19,529円）
・部活など教科外活動費（-18,624円）
・修学旅行（-51,590円）
授業料や授業に必要な材料費と塾代が増え、部活費用や修学旅行費が減っています。つまり、「教科学習にかける費用」が増えて、「教科学習以外の費用」が減っているようです。
私立中学無償化の状況
円安や物価高、教育への意識向上などで全国的に私立中学の授業料支援が進んできています。
私立中学の学費支援については以下の記事でくわしく解説しています。
私立中学や私立高校の学費無償化：授業料支援額や所得制限を解説
東京の私立中学授業料補助
東京では、私立中学校に通う子ども１人当たり年10万円の授業料支援が行われています。かつては支援に所得制限が設けられていましたが、2024年度撤廃されています。
東京の私立中学の学費
東京の私立中学は他府県よりも学費が高い傾向にあります。
年間50万円前後の中学校（足立学園中、北豊島中、武蔵野中など）もありますが、多くの私立中は70万円前後以上します。
さらに初年度納付金としてさらに平均30万円ほど（※入学金と施設費の合計）納める必要があります（東京都「都内私立中学校の学費の状況」より）。
授業料支援をもらっても、3年間合計で200万円以上かかります。
大阪の私立無償化
大阪では、私立高校の授業料無償化ははじまっていますが（2024年度の高3から）、私立中学の無償化はまだ実施されていません。
大阪の私立中学の学費
大阪の私立中学校の学費は、全国平均より高い傾向にあります。
建国中学のように40万円を切っている中学もありますが、70万円台の学校が多いです。
さらに初年度納付金としてさらに20万円～30万円ほど納入する必要があります。通常の学費と合わせて3年間で230万円ほど必要です。
愛知の私立無償化
愛知県では2020年より、年収720万円未満の世帯向けに入学金と授業料無償化が実施されています（愛知父母懇談会）。
愛知の私立中学の学費
愛知県の私立中学の学費は学校による差が比較的小さく、3年間で合計190-210万円ほどです。このうち入学金と授業料が無償化されているので、実質50万円ほどで通えます。
授業料無償化は増えてきている
ここまでお伝えしたように、2020年以降、授業料無償化や授業料補助を開始する自治体が出てきています。開始当初は世帯年収などの条件を設けられていても、数年後には年収条件が撤廃されるなど拡充化される方向です。
現在お住いの地域で無償化や補助がなくても、1-2年後に制度がはじまる場合もあります。
自治体からのニュースにアンテナを張って、良いニュースを逃さないようにしたいですね！
中学校の学費以外に必要なお金
私立中学校に入学すると、学費以外にもかかるお金がいくつかあります。
交通費（電車、バス、駐輪場）
私立中学に入学すると大抵の場合、交通費が発生します。電車やバスの定期代、スクールバスでもスクールバス代が必要です（距離にもよりますが、月1万円を超える場合も）。
さらに自宅から最寄り駅まで自転車で行く場合は、自転車をとめるための駐輪場代（3000～5000円ほど）もかかります。
スマホ代
中学生になると、スマホを新たに持たせるご家庭も多いです。
特に私立中学だと自宅からやや距離があるため、GPS目的でスマホを持たせるケースもよくあります。
ただし、スマホは安いプランや機種を選んで月3000円未満におさえているご家庭も増えているようです（モバイル社会研究所より）。
塾代
前述の文部科学省の調査結果でも大きな金額を占めていたのが、塾代などの学外学習費です。
平均して年間37万円ほどかかります。
「私立に行かせれば塾は不要」と言われていたのは昔のことで、今は私立でも塾は「当たり前」になっています（「令和3年度 子どもの学習費調査」より）。
中学校の学費プラス50万円ほどかかる
私立中学校の学費は年平均70万円ほど必要です。さらに交通費やスマホ代、塾代で年間50万円ほどかかります。
子どもが2人とも私立中に行くと2倍の240万円です。
中学受験をするかどうか迷われている方は、中学入学後に必要になるこの費用も検討材料に入れておくほうが良さそうです。
私立中学の学費の支払い方法
学費の支払い方法はさまざまです。大抵は一年か半年の一括払いですが、それ以外の支払方法について解説します。
延納・分納・減額が可能
私立中学では、学費を一括で支払うのが一般的ですが、家庭の経済的な事情で支払いが困難な場合、学校と相談して学費の延納や分納を受けることができる場合があります。
学校側が柔軟に対応してくれることもあり、支払期限を延ばしたり、分割払いにしたりすることが可能です。
また、一定の条件を満たせば学費の減額を申し出ることもできる場合があります。例えば、家庭の収入が一定額を下回る場合などです。
このような措置を活用するためには、早めに学校と相談し、支払い方法について詳細を確認することが大切です。
奨学金制度を使う
私立中学では、家庭の経済状況に応じて奨学金を提供している学校もあります。
奨学金制度は、学費の一部または全額を支援するもので、申請を通じて受けられます。多くの学校では、経済的に困難な家庭のために給付型の奨学金を提供しており、返済の必要がないことが特徴です。
奨学金を受けるためには、所得証明書や家庭状況を記載した書類を提出する必要があるため、事前に学校の奨学金制度について詳しく調べておくことが大切です。
教育ローンを使う
学費の支払いが難しい場合、教育ローンを活用する方法もあります。
教育ローンは、銀行や信用金庫、地方自治体などから提供されているもので、低金利で学費を借りることができます。多くの教育ローンでは、返済が卒業後に開始されるため、学生本人が負担を感じにくい仕組みとなっています。
返済期間や金利の条件はローンを提供する機関によって異なるため、複数のローンを比較して最適なものを選ぶことが重要です。
いったん休学する
学費の支払いが厳しい場合、休学を考慮する家庭もあります。
私立中学では、学費の支払いを一時的に停止したり、学年を延期したりすることで、経済的な負担を軽減する方法もあります。休学制度は学校によって異なりますが、一定期間学校を休むことにより、学費を軽減または分納することが可能になる場合があります。
しかし、休学後に再開する際には再入学金や特別な手続きが必要となる場合があるため、事前に学校に相談して理解を深めておくことが重要です。
母子父子寡婦福祉資金貸付金を使う
母子家庭や父子家庭、寡婦家庭など、特定の家庭には「母子父子寡婦福祉資金貸付金」が支給されることがあります。この制度は、生活が困難な家庭に対して無利子または低利で学費を貸し付けるもので、返済条件や期間は家庭の状況に応じて柔軟に設定されることが多いです。
学費の支払いが厳しい家庭は、このような福祉資金を利用することで、学業を続けるための支援を受けることができます。
福祉資金を申請するためには、所定の手続きが必要であるため、各自治体の福祉課に相談して詳細を確認することが大切です。
学費をクレジットカード払いする
学費のクレジットカード払いは、学校が対応していれば可能な支払い方法の一つです。クレジットカードを使うことで、分割払いやリボ払いを選択でき、支払い負担を軽減することができます。
手続きは、学校から提供された支払いページにアクセスし、クレジットカード情報を入力するだけで完了します。
注意点として、クレジットカードの利用限度額や手数料がかかる場合があるので、事前に確認しておくことが重要です。
まとめ
いかがでしょうか。
子どもを持つ保護者の方向けに、私立中学の学費を紹介しました。
年間70万円の学費に加えて、交通費、スマホ、塾で年間120万円ほど必要になります。
受験するのにも多額の費用が必要ですが、入学後にそなえて長期的な家計プランを作成しておくと良いかもしれません。
また、お住いの地域によっては授業料無償化や授業料補助もあります。自治体の広報にも目を配っておくといざというときに役立つかもしれません。
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