中学受験は、子どもと親の共同作業が必要な大きなプロジェクトです。
いつから始めるか・どういう子が受験に有利になるかは、親として気になるポイントでしょう。
そこでこの記事では、中学受験生に求められる「学習習慣・好奇心・主体性・集中力」といったキーワードを踏まえ、中学受験に向けた準備のポイントを探っていきます。
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中学受験準備はいつから始めると良いか
中学受験の準備を始めるタイミングは重要です。早すぎることはありませんが、どのような特性を伸ばす準備をするかがとても大切です。
小学校入学前から少しずつ準備する
一般的には、小学校入学前から少しずつ準備しておくことが多いです。
準備内容は多岐にわたります。
これらの内容は、「しておかないといけない」というより、「しておくと後々有利になる」というものです。
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小学校低学年からでも間に合う
未就学時点から中学準備を意識した子どもとの接し方をしている家庭は多いです。そうした様子を見ると、焦って勉強に猛烈に力を入れたくなりますが、小学校入学後から準備をはじめても十分間に合います。
準備内容は未就学時点と同様で、「好奇心を育てる」「算数・国語の先取りをする」といった内容が一般的です。
また、中学受験では語彙力の高さも必要なため、漢字や語彙の勉強を先にはじめるご家庭も多いです。
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5年生から受験対策をはじめる子もいる
一般的には3年生で塾に通いはじめるなどの「本格的な受験対策」に入るご家庭が多いです。ですが、5年生や6年生になってから受験に興味がわいて、受験勉強をはじめる子もいます。
そうした場合、大手の受験専門塾よりも中堅の受験塾や個人塾、個別指導塾で対策を行う方が多いです。
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時期別の中学受験準備内容
全ての子どもに当てはまる絶対的な時期はありません。子どもの個性や性格、興味を考慮して、柔軟なアプローチが必要です。
以下は、時期別に押さえておくべき一般的な準備内容の目安です。
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小学校低学年(1〜3年生): 学ぶ楽しさを知り学習習慣の基礎を築く時期
1〜3年生では、学びの楽しさを知ることが重要です。好奇心を刺激し、自ら学びたいという気持ちを大切にしましょう。
図鑑や科学実験のイベント、外遊びをつうじて植物・虫や天気への興味などを引き出したい時期です。
また、算数や国語の基礎をしっかりと身につけさせましょう。学びの基礎を築くことが、後のステップに繋がります。
1~3年生での重要ポイント
この段階ではむずかしい問題の正解・不正解をそれほど気にする必要はありません。
それよりも、下記の3点を意識してみてください。
- 興味を持って色々な分野に取り組めているか
- 習慣的に学習できているか
- 算数の計算、国語の漢字が得意か
小学校中学年(3~4年生): 興味を深め、学習習慣を定着させる時期
勉強に本格的に取り組み始める時期です。問題集を解いたり暗記をしたりして、「問題の正解」を重視する姿勢を養いましょう。
少しずつ模試を受験させ、受験の雰囲気や緊張感に慣れさせるのも効果的です。
また、算数や国語はむずかしい問題にもチャレンジさせて、「じっくり考える姿勢」を持てるようにしていきたい時期です。
※関連記事:3年生におすすめの算数のドリル・問題集
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3~4年生での重要ポイント
小学校の算数の先取りをはじめておきましょう。
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成績アップの3つの秘密:効果で選ぶなら、RISU算数また、この頃から進学塾に入る子が増えてきます。入塾テストの対策が必要な場合もありますから、志望校の難易度に合わせた問題集を使うようにしましょう。
小学校高学年(5〜6年生): 志望校の出題傾向を知り、計画的な学習をする時期
この時期には第一志望校を確定させましょう。
子どもの特性や将来の大学進学先を考え、具体的な志望校を選びます。
入試問題の出題傾向は中学によってさまざまです。志望校の過去問を見たり塾などの専門家に聞いたりして学習計画を立てて勉強しましょう。
※関連記事:塾なしで中学受験を成功させる方法
中学受験ではどういう子が有利になるか
中学受験には学習習慣だけでなく、好奇心、主体性、そして集中力といった特性が求められます。これらの特性を備えた子が中学受験に有利と言えます。
以下に、それぞれのポイントを詳しく解説しています。
学習習慣がついている
中学受験の勉強は長期戦です。子どもが毎日一定の時間を学習に割く習慣をつけることが大切です。
特に、「一貫性のある学習」で基礎力を強化できます。
塾や学校からの宿題に加えて、自主的に予習・復習を行う習慣を身につけさせるようにしましょう。
学習習慣をつけるコツ
学習習慣はすぐには身につきません。以下にコツを紹介します。
- 週4日以上する
- 毎日決まったタイミングか同じ時間に勉強する
- 小さな目標を設定して達成のよろこびを感じる
- 最初は10分程度の短い学習時間からはじめる
- 習慣化できるまで半年以上は見込む
「習慣」というぐらいですから、「毎日のように繰り返す」のが一番大切です。
子どもの場合に、その繰り返しに「楽しい・うれしい」といった感情をともなう瞬間を作ってあげると続けやすくなります。
1問まちがい以内で解く・5分以内で解く、などの小さな目標を立てるとがんばりやすくなります。
子どもの性格にもよりますが、5勝1敗くらいで達成できるようなハードルの低い目標がおすすめです。
好奇心が旺盛
勉強以外にも様々な経験を通じて広い分野の知識を持つと好奇心が育ちやすくなります。
中学受験をするからと言って低学年のうちから勉強ばかりになると、問題の難易度が上がってきたときに勉強に対して後ろ向きになりがちです。
歴史が好きだから社会をがんばる、パズルが好きだから算数のむずかしい図形問題にも取り組んでみる、といった姿勢につながります。
※関連記事:中学受験をする小学生におすすめの図鑑(理科、社会、国語、算数)
主体性がある
中学受験は出題範囲がとても広いうえに、問題の難易度が高いです。与えられた勉強をこなすのは大切ですが、それだけだと勉強が追い付かなくなります。
自ら取り組む姿勢のある子は勉強量が増えてきたとき、問題の難易度が上がってきたときに対処できます。
学習スケジュールを自分でつくらせてみる、週末の予定を立てさせてみるなど、子どもに少しずつ判断を任せて自己管理をさせてみましょう。
学習の進捗や課題を自ら管理し、計画的に進める主体性が養われます。
集中力が高い
いくら長時間勉強してもダラダラと勉強していてはあまり成果が出ません。「集中して勉強している時間の長さ」が学習の成果に直結します。
まだ勉強を本格的にはじめる前から集中力をつける取り組みをするのがおすすめです。
集中力をつける方法
子どもは好きなものには一生懸命になります。
本はもちろん、パズルや図鑑でも良いので子どもが「好き」で「夢中になれるもの」に集中しているときにはそっとしておきましょう。
集中して何かに取り組むとドーパミンが分泌され、一生懸命に取り組んだことが「快刺激」として記憶されます。そのために、また同じような状況になったときにその「快刺激」を求めて一生懸命取り組むようになります。
この一連の繰り返し(快刺激の記憶→快刺激を求める行動)で集中力が養われます。
それでも、集中がつづく時間は「年齢+1分」とされていますから(新聞科学研究所)、過剰な期待は禁物と言えそうです。
※関連記事:勉強の集中力を高める方法とおすすめアイテム
中学受験で有利になるために幼児や小学校低学年がしておくと良いこと
最後に、中学受験で成功しやすい特性を身につけさせるために幼児や小学校低学年のうちにしておくと良い行動をいくつか紹介します。
基本的な学習習慣の養成
まずはやはり学習習慣をつけることです。
毎日5-10分でも良いので勉強か勉強につながる行動を取るようにしましょう。
読み聞かせ
勉強時間をつくるとなるとちょっとハードルが高いかもしれません。
その場合、読み聞かせであれば親子で取り組みやすく、すぐできます。
読み聞かせを毎日短時間でも実施していると豊かな語彙や理解力を育めると言われています。読み聞かせで身につけた情感力は国語の物語文を読むときにも役立ちます。
基礎学力の育成
中学受験の問題はむずかしいものも多いですが、解けるようになるかどうかは「基礎力」がカギになります。
算数の計算力
たし算、ひき算、かけ算、わり算の基本的な計算力を身につけましょう。5分で良いので毎日計算問題を解くと力がつきやすいです。
漢字の読み書き
長い文章を読むには漢字力と語い力が欠かせません。
国語に限らず、中学入試の問題はどの科目も長文化してきています。文章理解力の土台である漢字の知識を日々の学習で養いましょう。
好奇心を育む環境の充実化
好奇心は「驚き」や「感動」から生まれます(All About)。
- 知識がたくさん集まっている博物館や図書館
- たくさんの驚きを得られる科学実験やアート体験
- 「発見」や「感動」、「夢中」のプラットフォームである外遊び
これらの環境を日常的に得ている子どもは好奇心旺盛で、何にでも興味を持ちやすくなります。
自己表現力の向上
私立・公立中高一貫のどちらでも、「表現力」が求められます。
入試では言語的な表現力の高低が評価対象になりますが、言語だけでなくさまざまな面での表現力を磨くと、その子の持つ表現力全体を伸ばしやすくなります。
絵や工作
創造力を伸ばし、自分の考えを表現する手段として、絵や工作などのアート活動を楽しませましょう。自宅で遊びの延長で行うだけでも十分ですし、絵画教室・工作教室などに通うのも世界を拡げられます。
感想文や簡単な日記を書く
考えや感じたことを文章に表現する力を育むために、簡単な感想文や日記を書かせると良いです。
「楽しかった」「うれしかった」という感想なら、「何が楽しかったのか・なぜうれしかったのか」を聞いてみると表現力を伸ばすきっかけにもなります。
自己管理と時間管理の練習
前述のように、中学受験には「主体性」が欠かせません。主体性は日々の自己管理や時間管理をとおして身につけられます。
遊んだ後の片付けや自分の物の整理
遊んだ後や寝る前などにはおもちゃや本、物を整理して片付ける習慣を身につけさせましょう。「自分のものは自分で片付ける」という責任感を持つようになり、自己管理力を高めます。
時計をみる習慣をつける
朝起きる時間、夜寝る時間、外出するときに準備をはじめる時間など、日常生活で時計をみる習慣をつけてみましょう。
自分のことを親任せにしている子は「自分が何時に・何をしているか」を把握できていないことがよくあります。
「家から学校まで何分かかっているか?」を聞いてもきょとんとしている子もよくいます。毎日学校に通っているわけですから、知っていてしかるべきでしょう。
主体性を身につけるにはまず現状を知るのがスタートです。
日ごろから時計をみて「何時に何をしているか」「〇〇をするのにどれくらい時間がかかるか」という現状をまず子ども自身が知りましょう。
予定を立てる練習をする
現状を把握できれば、「〇〇をするのに△分かかるから、何時・何分から準備をはじめるほうがいい」と考えられるようになります。
日常的な行動について子ども自身に予定を考えさせる練習をしてみましょう。
食事の時間、宿題をする時間、お着がえをする時間、お風呂の時間など、日常生活で時計をみて予定を立てる練習をする機会はたくさんあります。
こうしたちょっとした行動の積み重ねが勉強にも活きてきます。
まとめ
いかがでしょうか。
中学受験の成功には、学習習慣の確立が欠かせませんが、それだけではなく、好奇心旺盛な子ども、自己管理ができる子ども、主体的に行動できる子ども、そして集中力がある子どもが有利になります。
親としては、子供の個性を尊重し、それに合わせたサポートや励ましを行いながら、一歩ずつ着実な準備を進めていくことが重要です。
小学校入学前後からは親子で協力して受験準備をはじめ、未来へのステップを踏み出すために必要な力を共に育んでいきましょう。
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