幼児や小学生の子どものいる親にとって「中学受験するかどうか」を決めるのは大きな関心ごとの一つです。
中学受験は、子供の進学や将来において大きな分岐点であり、慎重に検討すべき重要な選択です。
そこでこの記事では、中学受験について検討中の親が考えるべき基準や決断するタイミングについて解説します。
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中学受験するかどうかを決める判断基準
中学受験するかどうか迷ったときには、以下の基準を考慮してみてください。
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子どもの学習スタイルと興味
中学受験を判断する最初のステップは、子どもの学習スタイルや興味を把握することです。
子どもが自発的に学び、好奇心旺盛であるなら、中学受験が適しているかもしれません。
小学校の勉強より明らかに量が多く、むずかしい問題ばかりです。無理に学習を進めると苦痛になってしまいそうな場合は、高校受験を検討するほうがいいかもしれません。
志望校のカリキュラムと家庭の教育方針が合うか
中学校にはそれぞれ特徴があります。
進学校は学力向上を重視する一方で、地元の公立中学校は地域社会とのつながりが強く同世代のさまざまなタイプの子とコミュニケーションを取れる環境があります。
親として子どもにどのような力や特性を身につけてほしいのか、その目標に対してどの学校が適しているかを考えましょう。
家庭のサポート体制と時間管理
受験するときはまだ12歳、本格的な受験勉強をはじめるときは9-10歳くらいです。
中学受験は子どもだけではむずかしく、家庭全体での取り組みが求められます。
親がどれだけサポートできるか、家庭内での時間管理がどれだけ可能かも検討ポイントです。
家庭でのサポートが難しい場合、学習塾との連携や通信教育の活用が必要になるかもしれません。
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集中できる学習環境の整備
学習環境は中学受験の成功に大いに影響します。
勉強に適した静かな環境があり、勉強に集中できる状況が整っているかどうかを確認しましょう。
スマホやタブレットをずっとさわっている、机の上に問題集やノートを置くスペースがない。
中学受験の勉強が本格化していくと、こうした環境や習慣が学習成果に大いに影響してきます。
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将来の進路や夢の具体的なイメージを持っているか
将来の進路や夢も子どもが中学受験をするかどうかに関係してきます。
子どもが将来なりたい職業や大学進学をイメージし、それに向けて中学受験が有利なのか、他の進学方法が適しているのかを明確にしましょう。
将来の目標は途中でコロコロと変わってしまっても全く問題ありません。
目標がある
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目標に向けてがんばる
この努力の仕方ができるかどうかがポイントです。
目標があっても、目標に向けて努力するのが苦手な子(「~できるようになりたい!でも面倒だからやらない」)は、中学受験も途中で挫折しがちです。
あるいは「親に怒られたくないから、仕方なく・イヤイヤ勉強する」という受け身の受験スタイルになります。
受け身スタイルではその子が本来持っている実力が出し切れませんから、その状態で中学受験させるのはもったいないかもしれません。
親子でじっくり話し合ってみよう
中学受験するかどうか判断に迷っているときは、親子でしっかりコミュニケーションを取ってみましょう。
「親としてあなたにこうなってほしいと思っている。だから受験を考えている。あなたはどう思う?(してみたい?)」
こんな相談を子どもとしてみると、子どもなりに考えて判断します。
よく分からないけれど親が喜ぶなら受験してみてもいいと考える子も多いですが、最初はそれで十分です。
勉強や志望校選びが進むにしたがって子どものなかでの判断材料も増えてきます。
子どもの気持ちを確認する
「今、受験についてどう思ってる?」と、ときどき相談してみてみてください。あれだけ嫌がっていたのに急に「受験してみたい!」と目を輝かせて言うときもありますし、「受験勉強をちょっとお休みしたい」と言ってくるときもあります。
相談してみて子どもの意向や考え、不安や期待を共有し、一緒に進学に向けての道を歩んでいくことが大切です(ベネッセ教育情報)。
子どもが主体的に受験を望んでいる場合はその願いを尊重し、一緒に目標を達成していくことが大切です。
中学受験は子どもの将来を左右する重要な決断です。慎重な検討と親子のコミュニケーションを通じて、最良の選択を見つけ出すことが大切です。
親が子どもの個性や夢を理解し、その上で進学方法を検討することで、子どもは充実した学びと成長を得られるでしょう。
中学受験が向いている子の特徴
中学受験が適しているかどうかは子どもの個性や学習状況によりますが、一般的に以下のような特徴を持つ小学生は、中学受験に向いていると言えます。
学習意欲が高い
中学受験は勉強量が多く難易度も高いため、「高い学習意欲」が子どもに求められます。
小学生のころから「学ぶこと」に対する好奇心や意欲が旺盛である子どもは、中学受験に向いていると言えます。
「どうして?」と良く聞いてきたり、身の回りの動植物や天気、ニュース、歴史など中学受験につながる分野で好きなものがあれば「学習意欲が高い」と判断できます。
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高い基礎学力
中学入試の問題は難易度が高いです。
- 高い思考力
- 高い表現力
- 多くの知識
この3つすべて要求されます。
これらの下支えになるのが算数の計算力・国語の漢字力や語いといった「基礎学力」です。
基礎学力は普段の学習習慣で養えます。今は算数の計算が苦手な子も、毎日少しずつ練習すれば得意になれます。
中学受験をお考えのご家庭では、早い段階から基礎学力をしっかりと身につけさせておきましょう。
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主体性が高い(自己管理能力が高い)
自分で判断して自ら行動できる子は中学受験の勉強でも非常に有利です。
自分のことは言われなくてもしている
「こうすればいいんじゃない?」と自分から提案できる
こうした行動が日常的に見られれば中学受験にとても向いています。
将来の進路に明確な目標がある
中学受験は、将来の進路に早い段階から意識を向けることが求められます。
特定の進学先や進路に対して具体的な希望がある子どもは、中学受験に適していると言えます。
精神的に早熟している
中学受験生は全員、ほんの子どもです。まだ小学生です。
受験勉強には多くの時間やエネルギーが必要です。その中で負担を感じすぎずに、積極的に取り組める子どもは、同世代のなかで「大人びている」=「早熟タイプ」だと言えます。
家族のサポートが得られる
中学受験は子どもだけでなく、家族全体での取り組みが必要です。
親がサポートし、理解を示し、家庭での学習環境を整えることができる家庭では、中学受験がしやすくなります。
長い受験勉強のなかでは、成績が伸び悩む時期やモチベーションを失いかける時期もあります。
そのときに半歩引いて子どもを見守りつつ助けになってあげるには、親の側にも時間的・精神的余裕が必要です。
親と言えども、人間です。サポートできる時間が持てそうかどうかもイメージしてみてください。
これらの特徴を持つ小学生が、中学受験に適している可能性が高いです。ですが、最終的な判断は子どもの個性や家庭環境によるため、慎重な検討が必要です。
また、中学受験が必ずしも成功への唯一の道ではなく、他の進学方法も十分に検討することが重要です。
中学受験をするかどうかをいつ決めればいいか
中学受験に関する決定は、一般的には小学校に入学する前後から3-4年生くらいまでが多いです。
以下は、中学受験を検討する際のおすすめのタイミングの目安です。
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小学校入学前後
1つ目のタイミングは「小学校入学前後」です。小学校の勉強に着手する時期です。
この頃から塾や公文に通いだす子や、通信教育をはじめる子が多くなります。
算数の先取り学習をはじめる
この頃に中学受験を意識される場合、算数の先取り学習をはじめておきましょう。
今はまだ塾に通われないとしても、3-4年生あたりから塾に通われることを検討されるかもしれません。中学受験塾(集団塾)の3-4年生のカリキュラムは数か月から1学年程度先取りした状態で授業が進んでいます。
先取り学習していない状態で入塾テストを受けても合格は困難です。
中学受験される場合は、小学校入学前後からの先取り学習がおすすめです。
小学校3年生から4年生
2つ目のタイミングは3年生から4年生にかけてです。この頃にも塾に通いだす子が多くなります。
通信教育をしている子も塾に変えるか、このまま最後まで通信教育で行くか検討する時期です。
これらの学年では中学校の説明会に参加し、第一志望校の候補を絞り、中学校のカリキュラムについて理解を深めることが重要です。
塾に行く場合は対策が必要
SAPIXや浜学園、希学園など最難関中学に強い塾では入塾テストのハードルも高いです。事前に対策してから受けるようにしましょう。
希望の塾に入るために別の塾で対策する方もいらっしゃいます。
小学校5年生
3つ目のタイミングは5年生です。
このときに受験を決められる方は、「もともと受験予定がなかった場合」が多いです。
友だちが塾に通っているのを知って自分も行きたくなった。知り合いの中学生が中高一貫に通っていて、自分も通いたくなった。
このように、子ども自身が親に受験希望を伝えてくることもよくあります。
志望校の出題傾向を確認
この時期からの勉強開始だと志望校の候補が絞られてきます。
志望校の受験科目や受験パターン(理科・社会が必要なのか、英語入試が使えるのかなど)を確認し、出題傾向にあわせた対策に絞りましょう。
小学校6年生
最後のタイミングは6年生です。
この時期から急に受験を決めるのは、大抵は公立中高一貫校に興味が出たときでしょう。
- 近くの公立中学が中高一貫校になると知った
- 近くの公立中高一貫校の大学進学実績が良いと知った
こうした事情で受験を急遽決めるケースもよくあります。
集団塾ではカリキュラムが先へ先へと進んでしまっているので、個別塾やオンライン家庭教師で対策される方が多くなります。
親の側も急いで動かないといけなくなってしまい、忙しくなります。
受験決定のタイミング次第で志望校や対策方法を変える
以上をまとめると、中学受験を決めるタイミングは主に下記の4回あります。
小学校入学前後 | ・生物や天体/天気、歴史など幅広い分野の知識にふれる ・算数の先取り学習をはじめる ・学習手段を選ぶ(塾・通信教育・市販教材) |
小学校3-4年生 | 通塾する場合は入塾テストの対策をする |
小学校5年生 | 志望校の受験パターンや出題傾向をすぐに確認する |
小学校6年生 | 個別塾やオンライン家庭教師などで 志望校や子どもに合わせたカリキュラムを作成する |
どのタイミングでも受験決定が遅すぎることはありませんが、時期によって志望校の選択幅が狭まったり、対策方法が限定されたりします。
受験の可能性があるご家庭では「受験対策」だけでも早めにはじめておきましょう。
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まとめ
中学受験をするかどうか迷われている保護者の方向けに、受験するかどうかの判断基準や判断するタイミングを紹介しました。
中学受験に有利なタイプの子もいますので、子どもの様子をご覧になりつつ、受験について子どもとコミュニケーションを取るようにしましょう。
子どもの学習スタイルや将来のイメージ、学習習慣や集中できる環境も大切です。
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