不定詞3用法のひとつである「副詞的用法」。「~のために」という意味で使うことがよく知られていますが、実はほかにも意味や使い方があります。
不定詞は中学・高校の英文法のなかでも重要な文法です。得意にできれば定期テストでも入試でも非常に役立ちます。
そこで、不定詞の副詞的用法の意味や使い方について、例文つきで説明します。不定詞のほかの用法と区別する問題も準備したので、練習して不定詞・副詞的用法を得意にしてしまいましょう!
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不定詞とは?
不定詞とは、「to + 動詞の原形」の形で表される英語の文法要素です。日本語では「~すること」「~するため」などの意味を持ちます。
不定詞は、1つの動詞から派生する形ですが、文の中で名詞・形容詞・副詞としてさまざまな役割を果たします。
【例文】
- To study English is important.
→ 英語を勉強することは重要だ。(「to study」が主語)
※この場合は「名詞的用法」で使われています
動詞を準動詞にする
不定詞とは、動詞のまえにくっついて動詞以外のはたらきをさせるようにする単語です。「to」という形であり、例えば「read(読む)」という動詞にくっつくと「to read」という形になります。
「to read」はもう動詞ではなく、名詞/形容詞/副詞のいずれかのような働きをする単語になります。
簡単に分かる不定詞の3つの用法
不定詞は、以下のように「意味」や「文の中での働き」に応じて3つの主な役割を持っています:
- 名詞的用法(「~すること」と訳すことが多い)
文の中で名詞の役割を果たします。主語・目的語・補語になることができます。- 例:To read books is fun.(本を読むことは楽しい。)
- 例:I want to eat pizza.(私はピザを食べたい。)
- 形容詞的用法(「~するための」「~すべき」と訳すことが多い)
名詞を修飾します。不定詞の前にある名詞を詳しく説明する役割を持っています。- 例:I have a book to read.(読むための本があります。)
- 例:He needs a place to live.(彼は住む場所が必要です。)
- 副詞的用法(「~するために」「~して」と訳すことが多い)
動詞・形容詞・副詞を修飾し、理由・目的・結果などを説明する役割を果たします。- 例:I went to the park to play soccer.(サッカーをするために公園へ行きました。)
- 例:She is happy to see you.(彼女はあなたに会えて嬉しいです。)
この3つの用法のどれになるかで意味が変わります。
不定詞の3つの用法の見分け方や見分ける練習問題を以下の記事で紹介しています。
※関連記事:【中学英語】不定詞の用法の簡単な見分け方:和訳や文の要素で見分けるコツを紹介
※関連記事:【中2英語】不定詞の練習問題:名詞的用法・形容詞的用法・副詞的用法を見分ける問題
不定詞の副詞的用法とは
不定詞の3つの用法のうち、副詞的用法についてその意味や使い方を解説します。
副詞的用法には以下の3つの意味があります。
それぞれ解説します。
なお、名詞的用法と形容詞的用法については、以下の記事でくわしく解説しています。
※関連記事:不定詞の名詞的用法とは
※関連記事:不定詞の形容詞的用法とは
目的:~するために
1つ目は中学校で習う「~するために」という意味です。動作の目的を表すときに使います。
I went to the park to play tennis.
(私はテニスをするために公園に行った。)
上記の例文では「to play(~するために)」が不定詞です。公園に行った「目的」として「to play tennis」で「テニスをするために」と表しています。
また、「to the park」にも「to」がついています。形が同じなのでややこしいですが、このtoは不定詞ではなく前置詞です。「公園に(行った)」という意味で使われています。
※関連記事:前置詞toと不定詞toの見分け方
目的を表す「to」は文頭におくこともあります。
To study English, I bought the book.
(英語の勉強をするために、その本を買った。)
上記の例文では、「To study(勉強するために)」が副詞的用法の不定詞です。本を買った目的は「英語の勉強をするためだ」と説明しています。
副詞的用法のイディオム:「in order to」(~するために)
副詞的用法の不定詞で「in order to」というイディオムがあります。「~するために」という意味で、通常の「to~」よりも丁寧な(フォーマルな)言い方になります。
I practiced tennis hard in order to win the next game.
(次の試合に勝つため、必死に練習した。)
上記の例文では「必死に練習した」のが「試合に勝つ」という目的を遂げるためであるという、ちょっと重いニュアンスを含みます。
I had to leave home right away in order to take the train.
(その電車に乗るために家をすぐ出発しないといけなかった。)
上記の例文では、「in order to」を使うことで、「take the train(その電車に乗る)」ために家をすぐ出発しないといけなかったという意図や目的が明確になります。
結果・連続:~そして…
副詞的用法の2つ目の意味は、「結果・連続」です。「~した結果、…」になったという意味を表します。
He grew up to be a singer.
(彼は成長して歌手になった。)
上記の例文では「to be」が不定詞で、「彼は成長した」→「歌手になった」という結果を表しています。
この意味の場合、1つ目で紹介した「目的」を表す不定詞とも似ています。
I practiced tennis hard in order to win the next game.
この例文を「次の試合に勝つため、必死に練習した。」と訳すこともできますし、
「必死に練習して、次の試合に勝った。」と訳すこともできます。
どちらの訳がふさわしいのかは文脈によります。「必死に練習したから試合に勝てた」を強調したいときには「目的」の意味で訳すほうが良いですし、「次の試合に勝った」と「必死に練習した」の両方を強調したいときは「結果・継続」の意味のほうが良いです。
原因・理由:~なので
副詞的用法の3つ目の意味は「原因・理由」です。「~なので」という意味になります。
I was glad to hear the news.
(その知らせを聞いてうれしかった。)
この例文では、「to hear(聞いたので/聞いて)」が不定詞です。「うれしかった」理由を「その知らせを聞いたから」だと説明しています。
意味の使い分け方
前述のように、副詞的用法には3つの意味があります。形が同じなのでどう見分ければいいか迷うかもしれません。
基本的には「自然な訳になるように」すれば大丈夫です。
例えば、
I was glad to hear the news.という英文の訳として、どれが一番自然でしょうか。
A. その知らせを聞くために喜んだ。
B. 喜んだ結果、その知らせを聞いた。
C. その知らせを聞いて喜んだ。
Cの「その知らせを聞いて喜んだ。」という訳が一番自然ではないでしょうか。
このように、訳してみてしっくりくるものを選べば正解できます。
副詞的用法の使い方を覚えるコツ
不定詞の副詞的用法は、動詞や形容詞を修飾し、理由や目的、結果、条件などを説明する役割を果たします。以下では、副詞的用法を正しく覚えるためのポイントやコツを詳しく解説します。
「~するために」の意味を中心に覚える
副詞的用法の最も基本的な使い方は、「目的」を表す場合です。このとき、不定詞は「~するために」という意味になります。まずはこの意味を中心に覚えましょう。
【例文】
- He studies hard to pass the exam.
(彼は試験に合格するために一生懸命勉強しています。)
→ 「to pass the exam」が「studies hard」を修飾し、目的を表します。 - I went to the park to play soccer.
(サッカーをするために公園へ行きました。)
→ 「to play soccer」が「went」を修飾し、目的を表しています。
【練習ポイント】
「to + 動詞の原形」が動詞を修飾して「目的」を表しているかを確認する癖をつけましょう。日本語訳を「~するために」としてしっくりくる場合、目的を表す副詞的用法と考えられます。
他の意味も順に覚える
副詞的用法は「目的」以外にも以下のような意味を持ちます。これらも例文と一緒に少しずつ覚えましょう。
- 結果(~してその結果)
【例文】- He grew up to be a great musician.
(彼は成長して素晴らしい音楽家になりました。)
→ 「to be a great musician」が「grew up」を修飾し、結果を表しています。
- He grew up to be a great musician.
- 理由(~して)
【例文】- I’m happy to see you again.
(再会できて嬉しいです。)
→ 「to see you again」が「happy」を修飾し、理由を表しています。
- I’m happy to see you again.
- 条件(~する場合には)
【例文】- To hear him speak, you might think he is a teacher.
(彼が話すのを聞くと、彼が先生だと思うかもしれません。)
→ 「to hear him speak」が「might think」を修飾し、条件を表しています。
- To hear him speak, you might think he is a teacher.
他の用法と混同しないための注意点
副詞的用法を名詞的用法・形容詞的用法と混同しないためには、以下のポイントを意識しましょう。
文中で何を修飾しているか確認する
不定詞を見分けるには、文中で不定詞を含む単語が「何を修飾しているか」に着目すると良いです。
- 動詞や形容詞を修飾している場合 → 副詞的用法
- 名詞の代わりとして使われている場合 → 名詞的用法
- 名詞を修飾している場合 → 形容詞的用法
【例文比較】
- 名詞的用法:I want to read a book.
→ 「to read a book」が「want」の目的語として名詞の役割をしている。 - 形容詞的用法:I have a book to read.
→ 「to read」が「book」を修飾している。 - 副詞的用法:I went to the library to read a book.
→ 「to read a book」が「went」を修飾している。
意味を日本語に訳して判断する
修飾している語を見るだけでなく、日本語訳をしてみるとさらに見分けやすくなります。
- 名詞的用法: 「~すること」と訳すと自然かどうか確認。
- 形容詞的用法: 「~するための」「~すべき」と訳すと自然かどうか確認。
- 副詞的用法: 「~するために」「~して」などと訳すと自然かどうか確認。
副詞的用法の不定詞を見分ける練習問題
ここまえお伝えしてきた内容を定着させるために、テストによく出る問題で練習してみましょう。
以下の10個の文から、副詞的用法の不定詞が使われている文をすべて答えてください。
①She went to the store to buy some bread.
②My dream is to become a doctor.
③He was too tired to continue working.
④They need a place to stay for the night.
⑤I am happy to help you with your homework.
⑥He has the ability to solve complex problems.
⑦She left early to catch the first train.
⑧It’s important to eat healthy food.
⑨We decided to visit the museum.
⑩She bought a book to read on the plane.
解答
①③⑤⑦⑩が副詞的用法です。
①:She went to the store to buy some bread.
(彼女はパンを買うためにお店に行きました。)
「パンを買うために」という目的を表します。
②My dream is to become a doctor.
(私の夢は医者になることです)
名詞的用法:補語。
③He was too tired to continue working.
(彼は働き続けるにはあまりにも疲れていました。)
「あまりにも疲れていた」ので、「働きつづけられなかった」という「原因・理由」を表します。
④They need a place to stay for the night.
(彼らは夜泊まるための場所が必要です。)
形容詞的用法:名詞を修飾。
⑤I am happy to help you with your homework.
(あなたの宿題を手伝えてうれしいです。)
「手伝えた」から「うれしい」という「原因・理由」を表します。
⑥He has the ability to solve complex problems.
(彼は複雑な問題を解く能力を持っています。)
形容詞的用法:名詞を修飾。
⑦She left early to catch the first train.
(彼女は最初の電車に乗るために早く出発しました。)
「電車に乗るために」という「目的」を表します。
⑧It’s important to eat healthy food.
(健康的な食事を摂ることは重要です。)
名詞的用法:主語。
⑨We decided to visit the museum.
(私たちは博物館を訪れることを決めました。)
名詞的用法:目的語。
⑩She arrived at the station to find that the train had already left.
(彼女は駅に到着して、すでに電車が出発していたことに気づいた。)
「駅に到着」→「(電車がすでに出発したことに)気づいた」という「結果」を表します。
まとめ
いかがでしょうか。
不定詞の副詞的用法について解説しました。
動詞を準動詞(名詞や副詞、形容詞の働きをする動詞)に変える働きを持ち、「~するために」という「目的」、「~して…になる」という「結果」、「~なので」という「原因・理由」の3つの意味に分かれます。
これら3つは使い方が同じなので、和訳してみて自然な訳になるかどうかで使い分けます。
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