「三国同盟と三国協商って何が違うの?国の名前がごちゃごちゃして覚えにくい…」
そんな中学生の疑問や不安を解消するために、この記事では三国同盟と三国協商の違いや国名の覚え方、年号、目的を丁寧に解説します。
また、定期テストや高校入試に頻出の一問一答・記述問題の対策問題も収録しているので、この記事1つでしっかり得点力アップが狙えます!
歴史が苦手な人も、語呂合わせや図解で楽しく理解できる構成になっているので、ぜひ最後まで読んでみてください。
三国同盟・三国協商とは?|中学生向けに分かりやすく解説

第一次世界大戦(1914年〜1918年)の前、ヨーロッパでは国どうしの関係がどんどん悪くなっていきました。その中で、大きく分けて「三国同盟」と「三国協商」という2つのグループができ、世界を巻き込む大戦争の原因になったのです。
ここでは、その2つのグループがどうしてできたのか、どんな国が参加していたのかを、図や語呂合わせなしでも覚えられるよう、わかりやすく解説します。
なぜ三国同盟と三国協商ができたの?
19世紀後半から20世紀初めにかけて、ヨーロッパでは帝国主義(ていこくしゅぎ)が広がり、国どうしが植民地や勢力を広げようとして対立するようになりました。
特に注目すべき点は次の3つです。
- ドイツ帝国の台頭(たいとう)
→ 強力な軍隊と工業力で急速に力をつけたドイツが、他の国をおびやかす存在に。 - フランスとドイツの因縁
→ 1871年の「普仏戦争」でフランスが敗れ、アルザス=ロレーヌ地方をドイツに奪われた。 - イギリスとドイツの海軍競争
→ 世界一の海軍国だったイギリスに、ドイツが挑戦して緊張が高まった。
こうした背景から、「仲間をつくって、戦争になっても味方がいるようにしよう」という考えから、同盟や協商が生まれたのです。
三国同盟とは?
三国同盟の結成国と成立年
三国同盟(さんごくどうめい)は、1882年に
- ドイツ
- オーストリア=ハンガリー帝国(略してオーストリア)
- イタリア
の3か国によって結ばれた軍事同盟です。
☑覚え方:ド・オ・イ(ドイツ、オーストリア、イタリア)
三国同盟の目的と背景
- ドイツとオーストリアは、もともと中部ヨーロッパで協力していた。
- ドイツはフランスとの再戦を見すえて、味方を増やしたかった。
- イタリアは、他の列強国に対抗するために同盟を結んだ。
つまり、敵が攻めてきたときに助け合う「軍事的な守り」のためのグループでした。
三国協商とは?
三国協商の結成国と成立年
三国協商(さんごくきょうしょう)は、1907年に
- イギリス
- フランス
- ロシア
の3か国が結びついてできた協力関係です。
☑覚え方:イ・フ・ロ(イギリス、フランス、ロシア)
※こちらは「同盟」とはちがい、「協商(話し合いで協力)」という形ですが、ほぼ同じように戦争への備えの意味を持つものでした。
三国協商の目的と背景
- フランスは、因縁のあるドイツを警戒。
- ロシアは、バルカン半島への影響力を強めたかった。
- イギリスは、「ドイツの軍拡」を止めたかった。
こうして、三国同盟に対抗するかたちで、三国協商ができたのです。
三国同盟と三国協商の違いはここに注目!
どちらが先にできた?
- 三国同盟(1882年)→先にできた!
- 三国協商(1907年)→あとで対抗してできた!
つまり、三国同盟が先、三国協商があとです。
対立構造のポイントをおさえよう
両方のグループは、おたがいににらみ合っていました。
- 三国同盟(ドイツ中心)と
- 三国協商(イギリス中心)が
世界の強国を二つに分けるような形で対立していたため、ちょっとした事件が大戦につながる爆発力をもっていたのです。
この緊張状態が「ヨーロッパの火薬庫(バルカン半島)」での事件をきっかけに、第一次世界大戦へと発展します。
三国同盟と三国協商の国名を簡単に覚えるコツ
三国同盟・三国協商は、似たような名前で混乱しやすいうえに、国名の組み合わせを覚えるのが苦手な人が多い範囲です。
ここでは、テストでしっかり点を取れるように、カンタンで覚えやすい方法を紹介します。
三国同盟の覚え方|「イ・ド・オ」で覚えよう!
三国同盟を結んだ国は、以下の3つです。
- イタリア(I)
- ドイツ(D)
- オーストリア(A)
順番は気にせず、「イ・ド・オ」という頭文字で覚えるとスッキリ記憶できます!
覚え方のポイント
- イ(イタリア)・ド(ドイツ)・オ(オーストリア)=イドオ
- 語呂にすると「井戸をのぞく三国同盟」とイメージするのもアリ!
三国協商の覚え方|「イ・フ・ロ」でしっかり記憶!
三国協商に参加した国は、以下の3つです。
- イギリス(I)
- フランス(F)
- ロシア(R)
こちらは「イ・フ・ロ」でしっかり覚えましょう!
覚え方のポイント
- イ・フ・ロ → お風呂(イフロ)と語感が似ているので「三国協商でお風呂会議」とイメージするのも◎
語呂合わせで楽しく覚える方法
頭文字だけだと不安な人や、もっと印象に残る覚え方が欲しい人には、「語呂合わせ」がおすすめです!
先生が教える!テストに強いゴロ合わせ例
ここでは、現役塾講師が教えている定番の語呂合わせを紹介します。
【三国同盟(イタリア・ドイツ・オーストリア)】
☑「井戸を掘るイタリア人とドイツ人とオーストリア人」
→「イ・ド・オ」がすべて入っていて覚えやすい!
【三国協商(イギリス・フランス・ロシア)】
☑「イフロに入った英・仏・ロシアの三国」
→「イフロ=お風呂」と重ねて覚えるのがコツ!
☑テスト中、「あれ?どっちが協商だっけ?」となったら、「お風呂(イフロ)」=協商とすぐ連想できるようになります。
生徒の実体験から生まれたオリジナル語呂
実際に塾の生徒が作ってくれた「ちょっと笑える」「でも記憶に残る」オリジナル語呂も紹介します。
【三国同盟】
☑「イタリア人、ドイツに旅行、オーストリアで迷子」
→ イ・ド・オ の順に国が出てくるので、そのまま丸暗記!
【三国協商】
☑「イギリスとフランス、ロシアで温泉旅行(イフロ)」
→ 旅行・温泉というストーリー仕立てで記憶に残る!
☑まとめ:覚え方のコツ3か条
- 頭文字で「イ・ド・オ」「イ・フ・ロ」とシンプルに覚える
- 語呂合わせやイメージで記憶を深く定着させる
- ストーリー仕立てで楽しく覚えれば、テスト中も思い出しやすい!
定期テストに出る!三国同盟・三国協商の一問一答【中学生向け】

一問一答|三国同盟・三国協商の基礎確認
Q:1882年に結成された同盟は?
→ A:三国同盟
Q:1907年に結成された協力関係は?
→ A:三国協商
Q:「ドイツ・オーストリア・イタリア」が組んだのは?
→ A:三国同盟
Q:「イギリス・フランス・ロシア」が協力したのは?
→ A:三国協商
Q:三国同盟の目的は?
→ A:フランスなどの敵国に備えた軍事的な守り
Q:三国協商の目的は?
→ A:ドイツの軍事的な脅威に対抗するための協力
※なお、もっと一問一答問題を解きたい人向けに、以下の記事に多数問題を掲載しています。
【中3歴史の問題】第一次世界大戦の一問一答
テストでよく出る引っかけ問題にも注意!
☑よくある間違い:
- 三国同盟と三国協商の国の組み合わせを混同
- 「同盟」と「協商」という言葉の印象で、強さを逆に覚えてしまう(例:協商=弱そう→味方じゃない?など)
☑間違えないためのコツ:
- 「イフロ=お風呂=協商(イギリス・フランス・ロシア)」
- 「井戸=イ・ド・オ=同盟(イタリア・ドイツ・オーストリア)」
※テストでは「次の3か国が結成したのはどちら?」という選択問題や、「〇年に結成されたのは?」という年号に関する設問がよく出ます!
高校入試に出る!三国同盟・三国協商の記述問題対策
記述対策①:三国同盟と三国協商の違いを説明せよ
【出題例】
「三国同盟と三国協商の違いについて、国名や目的にふれて説明しなさい。」
【模範解答】
三国同盟は1882年にドイツ・オーストリア・イタリアが結んだ軍事同盟で、フランスなどの敵に備えるためだった。三国協商は1907年にイギリス・フランス・ロシアがドイツに対抗するために結成した協力関係である。
記述対策②:第一次世界大戦との関係を説明せよ
【出題例】
「三国同盟と三国協商が第一次世界大戦のきっかけになった理由を、対立構造にふれて説明しなさい。」
【模範解答】
ヨーロッパで三国同盟と三国協商という二つの対立するグループができたことで緊張が高まり、バルカン半島での事件をきっかけに第一次世界大戦が始まった。
模範解答と減点されないポイント解説
記述問題は「対比+背景」で得点力アップ!
- 単に「〇〇とは〜です」だけでなく、「△△とは違い、〇〇は〜です」と対比形式にすると点が伸びる。
- なぜそうなったのか?という背景(歴史的な流れ)も一文加えると説得力がUP!
【まとめ】三国同盟と三国協商のポイントをおさらいしよう
テスト直前のチェックリスト
- 三国同盟の3か国を言える(イタリア・ドイツ・オーストリア)
- 三国協商の3か国を言える(イギリス・フランス・ロシア)
- 結成年を覚えた(同盟:1882年、協商:1907年)
- 語呂合わせで暗記できた(井戸・お風呂)
- 両者の目的と違いを説明できる
- 第一次世界大戦との関係を答えられる
5分で復習!重要キーワード一覧
キーワード | 意味・ポイント |
---|---|
三国同盟 | ドイツ・オーストリア・イタリアの軍事同盟(1882年) |
三国協商 | イギリス・フランス・ロシアの協力関係(1907年) |
軍事同盟 | 戦争のとき助け合う約束 |
対立構造 | 大国が2つのグループに分かれて争う状態 |
第一次世界大戦 | 三国同盟・協商の対立が原因で起きた世界的戦争 |
よくある質問(Q&A)|中学生からの疑問に答えます!
ここでは、授業や塾で中学生がよく聞いてくる質問をQ&A形式で解説します。
「ちょっと疑問に思ったこと」「テストに出るか微妙だけど気になること」なども、スッキリ解消しておきましょう!
Q:「三国同盟」と「三国協商」はどっちが悪者?
A:どちらも“悪”ではありません。対立していた関係なだけです。
歴史の授業では「三国同盟と三国協商が対立していた」と教わりますが、どちらかが正義でどちらかが悪ということではありません。
たとえば:
- 三国同盟(ドイツ・オーストリア・イタリア)は、自分たちの安全を守るために結びました。
- 三国協商(イギリス・フランス・ロシア)も、ドイツの拡大に危機感をもって結束しました。
それぞれに「国を守る理由」があり、現代の視点からは一方的に悪とは言えないのです。
Q:第一次世界大戦とは直接関係あるの?
A:はい、大きく関係しています。きっかけとなった要因の一つです。
三国同盟と三国協商という2つの陣営がヨーロッパでにらみ合う構図が生まれたことで、少しの事件でも戦争につながる状態になっていました。
実際に、サラエボ事件(1914年)という小さなきっかけから、両陣営が次々に参戦し、世界大戦に発展しました。
ポイント:「対立構造の固定化」が戦争を止められない状態を生み出してしまったのです。
Q:なぜイタリアはのちに敵側に?(裏切りの理由)
A:イタリアは三国同盟に入っていたけれど、第一次世界大戦では協商側に寝返りました。
その理由は以下の通りです:
- オーストリアとイタリアは、実は昔から領土をめぐって仲が悪かった
- 三国同盟は「守るための同盟」だったので、イタリアは「攻める戦争」は協力しなくてOKと解釈
- 協商側から「戦争が終わったら領土をあげる」と条件を提示された
そのため、イタリアは1915年に協商側として参戦しました。
この行動を「イタリアの裏切り」と表現することもありますが、当時の国益を考えた“戦略的な判断”だったともいえます。
この記事の信頼性と筆者プロフィール
歴史的な内容は「ただ暗記する」だけでなく、正しい理解・背景・出典のある情報が大切です。
ここでは、この記事がなぜ信頼できるかをご紹介します。
執筆者:現役塾講師
指導歴:25年以上(1999年〜現在)
- 担当科目:社会(歴史・地理・公民)を中心に、中学受験〜高校入試〜大学受験まで対応
- 合格実績:開成・灘・麻布・桜蔭などの最難関中学、都立日比谷・西高校、難関私立高校、東大・京大・早慶・医学部医学科など多数
- 指導スタイル:苦手な子にも「歴史はストーリーで理解すれば覚えられる!」をモットーに、語呂や図解、記述対策に強い指導を実施中
保護者の方へ:お子さまが「歴史が苦手」「用語を覚えられない」と悩んでいる場合も、この記事で紹介している方法(語呂・図解・対比記述)は実際の授業で効果が出ています!
使用資料・参考文献
- 文部科学省検定済教科書(東京書籍など)
- 『中学社会 歴史が面白いほどわかる本』(KADOKAWA)
- Benesse教育サイト:【近現代(明治時代~)】 三国干渉・三国同盟・三国協商の違い
- 学習サイト「マナレキ」:三国同盟と三国協商の違いを簡単にわかりやすく解説!
- 学習塾リアル:三国同盟と三国協商の覚え方のコツ!違いや比較ポイントまとめ
※出典や年号は最新の教科書・教育指導要領に基づいて記載しています。
なぜこの記事は信頼できるのか?
- 現役塾講師が監修しており、教育現場で実際に使われている内容に即している
- 文部科学省の指導要領・検定済教科書に準拠し、正確な情報を掲載
- 学習塾や教育メディアで公開されている信頼できる外部資料を参照
- 中学生に合わせた「かみ砕いた解説」と「語呂・図解・対比」で学習効果を高める工夫を多数掲載
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