中学受験対策をしている塾は数多くありますが、本当に受験対策に強い塾は限られています。
1回きりの中学受験ですから、慎重に選びたいですよね。
そこで、中学受験に強い塾の特徴と選び方、逆に選んではいけない塾の特徴を紹介します。
ここで紹介している内容を知っておくとかなり納得のいく塾選びができるはずです。
※関連記事:中学受験準備:いつから始める?どういう子が中学受験で有利になる?
中学受験に強い塾の選び方
中学受験塾を選ぶ際に考慮すべきポイントはいくつかあります。
選び方を紹介します。
※関連記事:共働き家庭の中学受験塾選びのポイント
合格実績と評判を知る
塾の合格実績や「その校舎からの」生徒の進学実績を確認しましょう。
また、口コミや実際に通っている・通っていた生徒の保護者からの評判も参考にすると良いです。
合格者数だけでなく、志望校ごとの合格実績も確認し、目指す学校に対する実績があるか確認しましょう。
指導者の年齢と経験と実績を聞く
塾の指導者陣が経験豊富で、中学受験対策に精通しているか確認しましょう。
また、大事なのは年齢です。
20代の若手でも指導力抜群の人はいます。ですが、さまざまな性格の生徒を的確に指導するにはある程度の経験も必要です。
若手、中堅、ベテランがバランス良く在籍している塾が理想的です。
学習環境を確認する
塾の見学会などで、塾の教室や施設の状況を確認しておきましょう。
特に下記の5点は確認必須項目です。
- 静かで集中しやすい環境か
- トイレは清潔か
- 教室内にタバコのにおいなどが充満していないか
- 教材棚は整理されているか
- 机やイスに落書きはないか
指導方針を確認する
塾の指導方針が子どもの学習スタイルや家庭の教育方針に合っているか確認しましょう。
- 宿題の量
- 教材の難易度(生徒ががんばらないといけないのか、授業でフォローアップするのか)
- 志望校選択はどうしているか
これらの点が家庭の方針とずれていると、最初は良くてもいずれ不満が蓄積されます。
学年ごとのカリキュラムを確認する
集団塾には必ず志望校に合わせたカリキュラムがあります。その内容を確認しておきましょう。
特に聞いておきたいのは「4年生、5年生、6年生の学年ごとの指導目標」です。
大手中学受験塾では下記のようなカリキュラムが設定されています。
- 4年生→本格的な受験対策に入る(考えて解くスタイルを身につける)
- 5年生→入試レベルの問題を解く(得意分野なら合格レベルまで行く)
- 6年生→5年生の復習とその応用・実践編、志望校別の特訓(苦手分野の克服と入試で点を取れる力をつける)
各学年の指導目標についていけそうかを検討できるだけでなく、入塾後にその指導目標をお子様が達成できているかの振り返りもできます。
学年ごとの目標を達成できていなければフォローを塾と相談したり、場合によっては転塾を考える必要も出てきます。
模擬試験の実施頻度と子どもへのフィードバックを確認する
たいていの大手受験塾では模擬試験を実施しています。
それがどの程度の頻度なのかと、その結果分析をどう子どもに伝えるのか確認しましょう。
「偏差値を上げられるようにがんばれ!」で終わっている塾もありますし、「偏差値を5ポイント上げるためにこの範囲を復習しておこう」と具体的にアドバイスしてくれる塾もあります。
塾からの模試のフィードバックが乏しいと、子どもは「良かった/悪かった」という一喜一憂だけで終わってしまいます。
6年生での受験対策の充実度を確認する
塾が中学受験に特化した充実した受験対策を提供しているか確認します。
特に6年生で記述特訓や長文読解の対策などをしているか確認しましょう。
保護者とのコミュニケーション頻度を聞く
塾が保護者とどれくらいの頻度でコミュニケーションを取っているのか(電話、面談)を聞いておきましょう。
月1回は何らかの連絡があると助かりますし、年3-4回は面談があると学習計画の修正などもしやすくなります。
塾に行ったら子どもがどうしているのか分からない状態がつづくと、いつの間にか子どもが勉強嫌いになっていたり、塾の先生と相性が悪化していたりします。
年間費用を確認する(通年授業、季節授業)
塾の年間費用を聞いておきましょう。月々の月謝だけでなく、春・夏・冬の講習会の費用も聞きます。
受験対策に自信のある塾は費用も包み隠さず説明してくれます。
校舎責任者と面談する(必須)
塾の説明会では必ず校舎責任者と面談しましょう。立ち話ではなく、個別面談が望ましいです。
塾の力量は校舎責任者によって大きく変わります。
同じ塾でも、責任者が変われば一気に雰囲気も変わります。
責任者が信頼できそうな人かどうか、保護者や子どもの話に耳を傾けられる人かどうか確認しておきましょう。
体験授業や短期受講からはじめる
集団塾を選ぶ際にはすぐに入会するのではなく、体験授業や短期受講からはじめましょう。
数回程度(1か月ほど)受けてみて、子どもから授業や指導者の様子を聞きます。最初の説明と食い違いがないか確認し、大丈夫そうなら入会しましょう。
中学受験に強い塾の特徴
ここからはもう少し掘り下げて、受験対策に強い塾の特徴を紹介します。
塾選びの際に確認できるものもあれば、しばらく受けてみてはじめて分かるものもあります。
生徒の自主性を伸ばすのが上手い
まず、中学受験では子どもの自主性の成長が重要ポイントです(PR Times)。
自主的に勉強に取り組める子は伸びやすいですし、勉強に対して受け身な子(言われたことしかしない)は5年生以降、算数で伸び悩みがちです。
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目標設定とフィードバックを欠かさない
自主性を伸ばすために塾の先生は生徒と共に具体的な目標を設定し、タイミングよくフィードバックをしています。
目標が達成できたかどうかだけでなく、取り組み方がどうだったのか。
細かく状況を見ながら、変化があったときにすかさずフィードバックしている塾では生徒が伸びやすいです。
授業のゴールを説明する
自主性を伸ばすのが上手い塾は授業の仕方にもひと工夫入れています。
授業の最初に「今日の授業の目標」を生徒に説明します。生徒はその目標を意識して授業に取りくみ、授業の最後にはまた授業目標を思い出させるような声かけをしてくれます。
授業目標の設定・共有・確認がないと、ただ問題の解説を聞くだけの受け身の学習スタイルになってしまいます。
いくつもの種類の授業を使い分けている
集団塾だからといって集団授業だけ実施している塾は少数派です。
- 集団授業
- 個別授業
- オンライン授業
実績を出せる塾では上記の3つはほぼセットです。
そして大切なのは、この3種類を使い分けられているかどうかです。授業形態によってメリットは異なりますから、そのメリットを活かした使い分けができると生徒の成績アップもしやすくなります。
※関連記事:個別塾と集団塾の違いやメリットを比較
集団授業のメリット
集団授業のメリットは大きく下記の2点です。
競争意識の醸成
集団授業の大きな特徴はやはり「ほかの生徒の存在・反応が見えること」です。
ほかの生徒についていこうとモチベーションが上がったり、ライバルを見つけて負けないようにコツコツ勉強したりします。
学習進度の統一
同一のカリキュラムで授業が進みますから、同じ授業を受けているなかで自分がどれくらいの理解度にあるのかを感じ取れます。
テストの点数も大切ですが、授業を受けながら「自分は今クラスのトップを走っている」などと感じ取れるとさらにモチベーションアップにつながります。
個別授業のメリット
一方、個別授業のメリットは下記の2点です。
1人ひとりの学力に合わせた指導
個別授業では生徒一人ひとりの学力や進捗に合わせた指導が可能です。
集団授業がむずかしすぎる子だけでなく、簡単と感じている子もいます。
それぞれの子どもの学力に応じてフォローをしたり、さらに伸ばしたりできるのが個別指導のメリットの1つです。
学習ペースのアドバイス
子どもはそれぞれ学習ペースが異なります。
基礎を固めるべき子、大量の問題を解いて身につける子、単元のすべての問題に取り組むほうが良い子、単元の特定の範囲にしぼって取り組むほうが良い子など。
これらは個別にアドバイスをもらう必要があり、定期的に個別指導を受けるなかで得られます。
オンライン授業のメリット
オンライン授業には、集団授業にも個別授業にもない大きなメリットが2つあります。
移動時間ゼロ
まず、移動時間がゼロであるというのが大きなメリットです。自宅で受けられるため、リビングや自分の部屋で受講可能です。
中学受験は時間との戦いですから、塾まで片道15分とすると往復で30分。授業の待ち時間や片付けの時間も含めると1日45分は節約できます。
この45分をテスト直しに回しても良いでしょうし、リフレッシュ時間に回すのも良いですね。
アーカイブで何度も受講できる
オンライン授業は録画され、生徒が後で繰り返し視聴できます。
授業で教わった内容を1回の受講で完全に覚えて理解するのはまず不可能です。繰り返し受講できれば、1回の授業の理解度を3倍にも4倍にも高められます。
経験豊富な指導者が多数在籍している
受験指導の経験豊富な指導者が在籍している塾は、中学受験において求められる知識やスキルについて的確なアドバイスや指導が期待できます。
実力のある指導者は大抵最上位クラスを担当します。良い指導者が少ない校舎だと、最上位クラスの実績は良くてもそれ以外のクラスは伸び悩みます。
集中できる学習環境を整えている
前述の「塾の選び方」でも紹介したように、学習環境は非常に大切です。
1Fにトイレのにおいが充満している、壁紙がボロボロ、机やいすの落書きがきれいにされていないなどの環境だと、校舎の責任者やスタッフが雑な仕事をしています。
授業や生徒指導も雑だろうと想像できます。
逆に、きちんと整理整頓されて掃除も行き届いていれば、細かいところまで見る姿勢を持っている塾だと分かります。
塾に来る生徒全員に声をかけている
受験に強い塾は生徒の様子を本当に細かく見ています。
それが分かるのは、「授業の前後で生徒全員に声をかけているかどうか」です。
ただ「こんにちは」「さよなら」だけでなく、「社会の勉強がんばってる?」「〇〇中学に興味があるって言っていたけど、最近どう?」などのように一言加えているかどうかが重要です。
保護者と定期的にコミュニケーションを取っている
塾と保護者との間に定期的にコミュニケーションが行われているのも強い塾の特徴です。
勉強するのは子どもですが、サポートするのは塾と保護者です。
授業や家庭学習の進捗状況の共有をお互いにし、相談の機会が設けられていると、子どもの状況に合わせたサポートがしやすくなります。
※関連記事:中学受験をやめたいと思ったら?:保護者ができる対処法と勉強嫌いにならないようにする上手なサポート方法
子どものモチベーション維持に気を配っている
長期間にわたって勉強が続くので、モチベーションを維持することはかなり重要です。
生徒に対して適切な励ましや目標設定のサポートが行われている塾は、学習意欲が向上しやすい働きかけを行っています。
志望校別の対策を毎年練りなおしている
各中学校の入試傾向に合わせた対策は6年生の受験対策で大きなポイントです。
入試傾向は短期間で大きく変わるわけではありません。ですが、毎年入試問題を確認して出題傾向や難易度を把握し、次年度の対策を練っている塾は受験対策に強いです。
中学受験で選んではいけない塾の特徴
ここまでは中学受験対策に強い塾の特徴や選び方を紹介してきました。
ここでは、中学受験で選んではいけない塾の特徴を紹介します。
合格実績が不明瞭
塾の合格実績が十分に明示されていない場合は注意が必要です。
中学受験対策の専門塾であれば、普通は実績を明示しています。
その塾の信頼性が問われる可能性があります。
過度に宣伝をしている
塾が宣伝で高い合格率や特別な成績保証をうたっている場合、その内容と実際の教育サービスが合致しているか確認しましょう。
合格率が高いのは、確実に合格できそうな中学を受けるように塾側が強く働きかけているからかもしれません。
成績保証も普通の塾はしません。どんな子も100%成績を上げられる方法など存在しないからですし、どうなれば成績が上がったと言えるのかもよく分かりません。
過度な宣伝をしている塾は、そうしないと生徒が集まらない塾だと言えます。
教材やカリキュラムに不備が多い
塾の提供する教材やカリキュラムがコースによって変わらなかったり、10年も20年も改訂されていなかったりするのは要注意です。
適切な学習サポートが得られない可能性があります。
若い指導者ばかりいる
塾の指導陣はベテラン、中堅、若手のバランスが取れているのが理想的です。
そんなに上手くいかないのが現実ですが、それでも「若い人ばかり(20代ばかり)」だとさすがにちょっと変です。
中堅やベテランが仕事をしにくい雰囲気なのか、あるいは責任者の指導方針や運営方針に強く反対して辞めたのかもしれません。
若いからダメだというわけではないにしても、経験の浅い指導者ばかりだと「勢い」だけで受験対策に走ってしまうかもしれません。
年間授業料がよく分からない
塾の授業料や不透明である場合は警戒が必要です。
集団塾では通年授業と季節講習で年間授業料がおおよそ決まっているはずです。
入塾手続き前に十分な説明がない、季節講習でいくら必要なのかよくわからないという状態だと、突然高額な授業料を請求される可能性があります。
生徒が授業を受けるだけになっている
塾が生徒の進捗状況を把握せず、個別のサポートやフィードバックが不十分な場合は、生徒の学習効果が十分に発揮されない可能性があります。
子どもは塾に行って授業を受けて帰ってくるだけになりがちです。
指導方針や理念があいまい
塾あるいは校舎ごとの責任者は指導方針を定めているのが普通です。
- 一切手を抜かずに勉強に取り組ませる方針
- 学習への興味を持続させる方針
- 自分やライバルと競争させる方針
など、何を一番重視するのかを決めています。
そこが曖昧になっている塾は、ただ算数や国語の問題の解き方を教えているだけになっている可能性が高いです。
中学受験のためにはいつから塾に通いはじめれば良いか
最後に、中学受験を予定している(検討している)子はいつから塾に通いはじめるのが良いかを紹介します。
※関連記事:中学受験準備:いつから始める?どういう子が中学受験で有利になる?
新学年の授業スタートの2月~3月
まず1つ目は「2-3月」です。中学受験生なら2月、それ以外なら3月がおすすめです。
集団指導塾ではふつう、1年ごとにカリキュラムが組み立てられています。
3年生は1年間で〇〇を身につけて、4年生では1年間かけて△△を勉強する。
やはり新たなカリキュラムがスタートする時期から入ると、スムーズに授業に慣れられます。
夏期講習がはじまる7月
2つ目のおすすめ時期は、夏期講習がはじまる「7月」です。
年度途中からの入塾だと、授業が一部終わっています。「周りの生徒は習っているのに自分は知らない内容」があります。
夏期講習は1学期の復習からはじまりますから、習っていない内容もこのタイミングで復習できます。
冬期講習がはじまる12月
3つ目のおすすめ時期は、冬期講習がはじまる「12月」です。
同じく年度途中からの入塾ですから、知らない内容がたくさんあります。
冬期講習を受けて2学期の復習をしっかりしてから3学期のカリキュラムに移ることができます。
7月からの入塾に比べれば、復習をする時間が十分取りづらいかもしれません。塾の自習室をつかったり、家庭学習で復習の時間を持つようにしましょう。
まとめ
いかがでしょうか。
中学受験生とその保護者の方向けに、中学受験に強い塾の特徴と塾の選び方、選んではいけない塾の特徴を紹介しました。
指導方針、学習環境、教材やカリキュラムの確認と合わせて、生徒への声かけの仕方も要チェックです。
満足のいく塾選びができれば、満足のいく中学受験にきっとできます。
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