英検といえば紙の問題用紙をみて、紙の解答用紙に答えるイメージが強いかもしれません。
ですが、英検S-CBTという受験方式はパソコンで受けることができ、「1日で2次試験まですべて終わる」という特徴があります。
ほかにも英検S-CBTには従来の英検とは異なる特徴やメリットがあります。
入試などで英検を有利に活用したい人に特におすすめですので、ぜひ最後までご覧ください。
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英検S-CBTとは何か
普通の英検とは別に、英検S-CBTという試験方式があります。聞きなれない人もまだまだ多い試験でしょう。
まずは、どのような試験なのか紹介します。
英検には2種類ある
2021年4月以降、英検には2種類あります。
従来型の英検
試験会場に行き、用紙の解答欄を塗りつぶして解答します。
英検S-CBT
試験会場のPCで受けられる英検で、マイクに向かって話したり(スピーキング)、マウスを操作して解答をクリックして解答します。
対応級は3級から準1級まで
S-CBTは従来型の英検と異なり、3級から準1級まで受けられます。
1級・4級・5級を受けたい人は従来型の英検に申し込む必要があります。
実施日程は原則、毎週土日祝
S-CBTの実施日程はたくさんあります。
原則、毎週土日・祝日に実施しており、候補から自分の都合の良い日を選べます。
詳しくは日本英語検定協会のHPでご確認ください。
1日で一次試験・二次試験を受けられる
S-CBTの大きな特徴の1つとして、「1日で試験を終えられる」という点があります。
従来型の英検は一次試験、二次試験が2日に分かれています。S-CBTは1日ですべて受け終えられます。
年6回受けられる
従来型の英検は年3回あり、同一試験期間内にもう一度受けることはできません。
ところがS-CBTは同一試験期間内に「2回まで」受けることができます。
1回受けて不合格であっても、勉強しなおしてすぐまた受けなおせます。
もちろん2回目で合格すれば、その級の資格を通常どおり取得できます。
S-CBTの合否結果は約1か月後に分かる
合否結果は約1か月後に分かります。従来型の英検が約3週間後なので、少しゆっくりめです。
従来型の英検とほぼ同じ資格扱い
受験方式に違いはありますが、S-CBTで合格しても従来型で合格したのと「ほぼ」同じ扱いです。
「ほぼ」としているのは、大学や企業によっては資格としての利用に制限が設けられている場合があるからです。
利用したい場合は、志望先の企業や大学に確認しておきましょう。
一次試験免除申請が可能(従来型英検と同じ)
普通の英検同様、一次試験に合格して二次試験に不合格の場合、一次試験の免除申請をすれば二次試験から受けられます。
同一試験期間内に二次試験だけ受けられる
従来型の英検なら二次試験が不合格なら次の試験期間を待たないといけません。ですが、S-CBTは同一期間内にもう1一度受けられます。
そのため、「早く英検資格を手に入れたい」という人にとってかなり便利な試験方式です。
従来型英検との違い
英検S-CBTの特徴について、「従来型の英検との違い」からもう少し見てみましょう。
「違い」が分かると、「どちらの方式で受けるほうが自分に有利か」が分かるようになります。
対応級が違う
S-CBTは一部の級しか受けることができません。
試験を受けるツールが違う
前述のように、試験の受け方も違います。
なお、どちらも試験会場に行って受けます。
試験の順番が違う
実は、従来型の英検とS-CBTは試験の順番が異なります。
スピーキングが録音形式
S-CBTはスピーキングが録音形式です。
後述しますが、この特徴を活かしてS-CBTを受けるほうが有利になる人もいます。
気軽に聞き返せる
スピーキングでは質問が聞き取れなかったときに聞き返すことができます。
ボタンを押すだけなので、気軽に聞き返せます。
リスニングの問題先読みが従来型よりむずかしい
英検のリスニングは問題を先読みするのが定番の解き方です。S-CBTは従来型にくらべてリスニングの問題先読みがしづらいです。
従来型ならリーディング・ライティングで5分余らせてリスニングの問題先読みができます。ところがS-CBTはスピーキングの後すぐにはじまるため、しっかり先読みする時間がありません。
しかも設問がPC画面上に表示されるので、問題用紙に数字などのメモを直接書き込むことができません。
S-CBTを受ける予定の人は過去問での対策方法をS-CBTに合わせておきましょう。
難易度は同じ
従来型もS-CBTも難易度は変わりません。
ただし、人によって「S-CBTのほうが解きやすい/解きにくい」といった「好み」はあります。
受験費用はS-CBTのほうが若干高い
検定料は従来型よりS-CBTのほうが少し高めです。
S-CBT | 従来型 | |
5級 | – | 4,100円 |
4級 | – | 4,700円 |
3級 | 7,800円 | 6,900円 |
準2級 | 9,100円 | 8,500円 |
準2級プラス | – | 8,700円 |
2級 | 9,700円 | 9,100円 |
準1級 | 1万600円 | 1万500円 |
1級 | – | 1万2,500円 |
団体受検はない
従来型英検には団体受検がありますが、S-CBTは個人受検のみです。
自分で申込をする必要があります。
従来型との違いのまとめ
英検S-CBT | 従来型の英検 | |
解答方式 | PCでタイピング ※ライティングは手書きも選択可 | 解答欄塗りつぶし |
対応級 | 3級~準1級 | 全級 |
受検日時 | 多数の候補から選択 (原則、毎週土日) | 年3回 |
同一期間の受検可能回数 | 2回 | 1回 |
試験の順番 | スピーキング→リスニング →リーディング→ライティング | リーディング→ライティング →リスニング→スピーキング |
試験の日数 | 1日 | 2日(一次試験、二次試験) |
英検S-CBTのメリット
S-CBTの特徴が分かったところで、S-CBTを受けるメリットについて考えたいと思います。
リットです。
英検S-CBTと従来型英検の選択方法:どちらを受けるべきか?
英検S-CBT(コンピュータベーステスト)と従来型英検(ペーパー試験)では、それぞれに異なる特徴とメリットがあります。
どちらを選ぶかは、受験者のライフスタイルや試験に対する期待、準備状況などによって決まります。
このセクションでは、それぞれの形式が持つメリットを詳しく解説し、どちらの試験形式が自分に合っているかを説明します。
英検S-CBTを受けるメリット
自宅受験が可能、フレキシブルな受験日程
英検S-CBTの最大の魅力は、自宅で受験できるという点です。
従来型英検は試験会場に出向いて受験しなければなりませんが、S-CBTでは自宅で試験を受けることができ、移動の手間を省くことができます。
また、S-CBTは受験日程がフレキシブルで、自分の都合に合わせて好きな日を選んで受験できます。
忙しい日程を持つ人や遠方に住んでいる人にとって、非常に便利な選択肢です。
- 自宅受験: 通常の試験会場に行かず、自宅からオンラインで受験可能。
- フレキシブルな受験日程: 自分のライフスタイルに合わせて受験日程を選択できる。
面接官と話さなくて良い
S-CBTはスピーキングで面接官と直接話す必要がありません。
面接が苦手という人にとってかなり大きなメリットです。
ライティングでタイピングを選べる
リスニングと並んで大きな特徴のひとつがライティングです。手書きだけでなく、タイピングも選べるため、以下のようなメリットが発生します。
書いては消し、消してはまた書くという手作業の大半をクリックや選択などの簡単な動作だけで処理できます。
修正に手間取らないため、ライティングで点数が取りやすくなります。
速く解答できる
従来型は塗りつぶす必要がありますが、S-CBTはクリックひとつで解答できます。
解答を変えたいときにもクリックだけで解除→選択ができます。
消しゴムできれいに消して、またきれいに塗りなおして…という作業が必要なくなります。
英検は時間マネジメントが重要な試験ですから、解答時間を短縮できるのは大きなメリットです。
結果が早く分かる
S-CBTでは、試験の結果がオンラインで即座に確認できます。
従来型の英検では、試験後に数週間かかる場合がありますが、S-CBTは試験後、最短で1〜2日以内に結果を通知してくれるため、合格発表を待つストレスを軽減できます。
このように、結果が早いことで、次のステップに迅速に進むことができるため、特に就職や進学を控えている人にとっては大きなメリットとなります。
- 早期の結果通知: 数日内に試験結果をオンラインで確認可能。
従来型英検を受けるメリット
会場受験で対面式の安心感
従来型の英検は、決まった試験会場で対面式の試験を受ける形式です。この形式の大きな利点は、試験の環境が整っており、集中して試験に臨むことができる点です。
自宅受験にはオンライン環境やPCの不具合などのリスクが伴いますが、従来型の英検では、安定した試験環境のもとで受験できるので、試験に集中しやすいという安心感があります。
- 試験会場での受験: 安定した試験環境で受験できる。
- 試験の集中度: 自宅でのオンライン受験と比べて、試験中の集中力を保ちやすい。
紙の試験問題を使う伝統的な形式
従来型英検は、紙の試験問題を使う伝統的な形式です。
この形式は、コンピュータ操作に不安がある人や、画面を見ながらの試験に抵抗がある人にとっては、非常に安心感があります。
また、紙の問題では、ページをめくることで全体の進行状況を把握しやすく、直感的に問題を解くことができるため、試験の進行がしやすいと感じる受験者も多いです。
- 紙の試験問題: コンピュータに慣れていない人でも安心して受験できる。
- 直感的な操作: 紙問題なので、ページをめくって全体を見渡しながら解答しやすい。
結論:自分に合った試験形式を選ぼう
英検S-CBTと従来型英検は、それぞれに異なるメリットがあります。自宅で受験できることや、結果がすぐに分かる点でS-CBTは非常に便利でフレキシブルな選択肢となります。
しかし、試験会場での受験を望む人や、紙の問題を使った試験形式を好む人には従来型英検が向いています。
自分のライフスタイルや受験に対する考え方を基に、最適な試験形式を選ぶことが大切です。
どちらの英検を受けるべきか?S-CBTと従来型英検の選び方
英検にはS-CBT(コンピュータベーステスト)と従来型英検(ペーパー試験)の2つの形式があります。どちらを選ぶかは、受験者のライフスタイルや好みによるところが大きいです。
このセクションでは、S-CBTと従来型英検の特徴に基づき、どちらの試験が自分に合っているのかを具体的に解説します。
自分の目的や試験への期待に応じて、最適な試験形式を選ぶことが重要です。
英検S-CBTが向いている人
時間に柔軟性を持ちたい人
英検S-CBTの最大の利点は、フレキシブルな受験日程です。
S-CBTは自宅で受験できるため、自分の都合に合わせて受験日程を自由に選ぶことができます。
また、試験の時間帯も複数選べることが多く、忙しい日程の中でも、都合の良いタイミングで受験できるという点が大きな魅力です。
特に、学校や仕事のスケジュールが忙しく、時間に制約がある人には非常に便利な試験形式です。
- フレキシブルな日程: 自分の都合に合わせて、好きな日に試験を受けることができる。
- 受験時間の自由度: 時間帯の選択肢があるため、自分のライフスタイルに合わせやすい。
コンピュータを使った試験に抵抗がない人
S-CBTは、試験自体がコンピュータを使用して行われます。試験の解答を画面上で行い、選択肢をクリックして解答する形式が主流です。
この形式に慣れている人や、コンピュータ操作に不安がない人にとっては非常に便利でスムーズに受験できます。
逆に、コンピュータを使った試験に不安を感じる人には、従来型の紙ベースの試験の方が向いているかもしれません。
二次試験の面接が苦手な人
前述のように、S-CBTのスピーキングテストは録音型で、ボタンひとつで気軽に聞き返すことができます。
面接官と向き合わなくて良いので、二次試験が苦手な人はS-CBTのほうが高得点を取りやすいです。
また、面接官(外国人)は通常の日本人と違って会話中にうなずくなどのジェスチャーをしません(受検者に配慮してうなずく面接官もいます)。
「じっとこちらの目を見てくるのが苦手」という人はS-CBTのほうが断然良いです。
中学・高校・大学入試で英検利用したい人
中学・高校・大学入試の英検利用を考えている人はS-CBTのほうがおすすめです。もちろん、従来型でもS-CBTでも入試に利用できます。ただし、1つ違いがあります。
それは、S-CBTは「1日で4技能試験すべて受けられる」という点です。
入試では「級」以外に「CSEのスコア」を利用条件に採用している学校もあります。従来型英検なら一次試験に合格していないとスピーキングテストが受けられず、CSEスコアをもらえません。
ですが、S-CBTなら1日で4技能の試験を受けられるので、リーディング・ライティング・リスニングのスコアが低くてもCSEスコアを得られます。
そのため、「英検〇級合格」という条件をクリアしていなくても、「CESスコア〇以上」の条件をクリアしていれば大学入試に利用できる場合があります。
スピーキングが得意な人にとっては逆転がねらえる受検方式です。
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- コンピュータ操作への適応: 画面上での選択や入力に抵抗がない人には最適。
- デジタル環境に慣れている人: 日常的にコンピュータを使っている人にとって、S-CBTは自然な試験形式です。
- 受験で英検利用を考えている人:試験結果を早く手にいられ、「合格」していなくてもスコアが手に入ります。
従来型英検が向いている人
従来の形式に慣れている人
従来型の英検は、紙の試験問題を使って受験する形式であり、多くの受験者がこの形式に慣れています。
紙の試験に慣れている人、または過去に紙の試験を受けたことがある人には、従来型の形式がストレスなく受けられるでしょう。
特に、長年にわたってペーパー試験が主流だったため、紙の問題を手に取って解答する形式が安心感を与えます。
- 紙の試験形式に慣れている: 過去にペーパー試験を受けたことがある人には、従来型が最適。
- 試験に対する心理的な安心感: 視覚的に問題を確認しながら進められるため、集中しやすい。
試験会場での受験を希望する人
従来型英検は、試験会場で実施されるため、対面式で受験することになります。これは、自宅で受けるS-CBTにはない特徴です。
試験会場に行くことで、他の受験者と一緒に試験を受けることができ、試験の雰囲気を感じながら受けられるという点で安心感を覚える人も多いです。
また、試験会場では試験監督がいるため、万が一のトラブルが発生した場合も迅速に対応してもらえるという点も、安心感を求める受験者には重要です。
- 試験会場で受けたい: 自宅での受験ではなく、会場での受験を希望する人に向いている。
- 対面式の試験に安心感を感じる: 試験官がいる環境で、万が一のトラブルにも対応してもらえる安心感がある。
結論:自分のライフスタイルに合わせて選ぼう
S-CBTと従来型英検は、それぞれにメリットとデメリットがあります。
時間に柔軟性を持ちたい人、コンピュータでの受験に慣れている人にはS-CBTが向いています。
一方で、従来のペーパー試験形式や試験会場での受験に慣れている人には、従来型英検が適しています。
自分のライフスタイルや受験環境に合わせて、最適な試験形式を選ぶことが、試験の成功に繋がる重要なポイントです。
S-CBTの練習ができる問題集
最後に、S-CBTの練習ができる問題集を紹介します。
S-CBTはリスニングの問題先読みをする時間が乏しい、PCに向かってスピーキングするなど、従来型とは異なる特徴があります。
はじめてS-CBTで受検する人は、数回練習しておくことをおすすめします。
『英検S-CBT専用 予想問題ドリル』
英検S-CBTの模試2回分をPCで体験できる問題集です。
リスニング・リーディングは自動ですぐに採点され、スピーキング・ライティングでは自分の解答を保存して復習できるようになっています。「筆記型」「タイピング型」のどちらにも対応しているので、自分の受けたい試験対策ができます。

英検S-CBT専用 英検3級予想問題ドリル 改訂版 (旺文社英検書)

英検S-CBT専用 英検準2級予想問題ドリル 改訂版 (旺文社英検書)

英検S-CBT専用 英検2級予想問題ドリル 改訂版 (旺文社英検書)

英検S-CBT専用 英検準1級予想問題ドリル 改訂版 (旺文社英検書)
利点:S-CBTは紙版のテストと難易度も出題傾向も同じですが、解いているときの操作感が違います。はじめてS-CBTで受けるときは戸惑いがちですから、本番慣れができる貴重な問題集です。
出版社:旺文社
まとめ
いかがでしょうか。
英検S-CBTについて、従来型の英検との違いを軸にその特徴を説明しました。
難易度も問題形式も同じですが、毎週土日祝に受けられる、ライティングのタイピングが便利、同一期間内に2回受けられるなどのメリットがあります。
また、スピーキングが手軽という特徴もあるので、二次試験が苦手な人にはS-CBTのほうがおすすめです。
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