中学受験で塾に通っていると、「この塾のままでいいだろうか?」と気になるときがあります。その多くは成績があがらないときです。
第一志望校合格のために通っているわけですから、成績があがらないと不安になりますよね。
そこでこの記事では、
- 転塾を考えるのはどういうときか
- 転塾するならいつまでがおすすめか
- 成績が上がる塾を選ぶポイントはなにか
をお伝えします。
※関連記事:6年生で転塾するときの注意点:6年生夏・秋の過ごし方
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中学受験で転塾はどういうときに考えるか?
中学受験を予定していて、転塾を考える人は多いです。下記のグラフは中学受験をする予定の家庭を対象にしたアンケート調査の結果です。
※関連記事:中学受験をやめたいと思ったら?:保護者ができる対処法と勉強嫌いにならないようにする上手なサポート方法
■転塾を考えたことがありますか?
調査をした時点で、半数以上のご家庭で転塾を考えた経験がありました。転塾を考えた理由は何だったのか。
■転塾を考えたのはなぜですか?(複数可)
1番多かった転塾検討理由は「成績が上がらないから」でした。ほかにも、「講師の指導に不満があるから」「カリキュラム内容に不満があるから」という理由も20%前後ありますが、これらの不満は成績があがらないのが原因でしょう。
つまり、転塾理由の大半が成績不振のようです。
実際、塾の先生がきびしい、宿題が多いといった不満があっても、成績が順調であれば転塾は考えないでしょう。転塾した結果成績が下がるリスクもあります。
ただし、ほかの調査(株式会社イオレ『小学生の親800人に聞いた「学習塾・中学受験の意識調査」』(2021年))だと転塾検討の家庭は2割という結果もみられています。転塾を検討するかどうかはタイミングや地域によってもことなりそうです。
それでも、転塾を検討している理由はやはり「成績不振」が圧倒的に1番なようです。
転塾はいつまでがいいか(ポイント解説)
転塾はいつでもいいかというと、そうでもありません。おすすめの時期があります。
ほかにも、転塾をお考えであれば注意するほうがいい点をいくつかお伝えします。
転塾後に勉強しなおすなら小5の夏前まで
塾の授業をベースにして成績不振を改善するなら小学校5年生の夏前までがおすすめです。
できれば、小5の2月の転塾がおすすめです。
多くの大手中学受験塾では、小5の2月から中学受験レベルの演習に入るからです。
演習の進み方や難易度は塾によってさまざまです。転塾したら「授業で何をやっているかさっぱりわからない」という状態は避けたいです。
小5の夏期講習で5年生1学期のカリキュラムを復習してくれるところも多いので、そのタイミングから転塾しても比較的スムーズに「次の塾」のカリキュラムに落ち着けます。
ほとんどの人は転塾して成績アップ!
まず、転塾した人は、転塾後に成績は上がったのでしょうか。
下記のグラフは転塾した中学受験生に成績があがったかどうかを聞いた調査の結果です。
この調査結果によると、8割以上の子が成績アップなどの改善がみられたようです。
その一方で、状況が改善されなかった方も2割近くいました。転塾を検討していても、転塾しないほうがいいケースもあるのです。
ミスマッチを解消すれば成績があがる
転塾をきっかけに成績を上げられるのは、成績不振の原因が塾と子どもの方向性のミスマッチが原因のときです。
成績をあげるには、この「方向性のミスマッチ」を解消できる塾を選べばいいのです。
ミスマッチには次の3つがあります。
- 子どもの志望校と塾の得意な中学校のミスマッチ
- 教材の難易度のミスマッチ
- 子どもの学習習慣と塾が求める学習習慣のミスマッチ
このミスマッチを解消するような塾を選べば、成績をあげていくことができます。
その方法を次章でお伝えします。
転塾後に成績のあがる塾の選び方
子どもと塾とのミスマッチ。その内容を説明しながら、成績のあがる塾の選び方を解説します。
子どもの志望校と塾の得意な中学校を合わせる
塾にはそれぞれ得意な中学があります。たとえば、首都圏の中学入試専門塾で有名なSAPIXと四谷大塚で比較してみます。
SAPIXの合格者数 | 四谷大塚の合格者数 | |
男子御三家(合計) | 540名 | 226名 |
女子御三家(合計) | 372名 | 157名 |
成城中(偏差値65) | 57名 | 131名 |
共立女子中(偏差値64) | 60名 | 161名 |
山脇中(偏差値(67) | 99名 | 169名 |
専修大松戸中(偏差値(67) | 109名 | 268名 |
SAPIXは男子御三家や女子御三家といった首都圏の最難関中学の合格実績は、四谷大塚の2倍以上出しています。ところが、それらの最難関よりワンランク入りやすい難関中学では、逆に四谷大塚がSAPIXの2倍以上の合格者を出しているケースもみられます。
■最難関中学は、SAPIX>四谷大塚
■一部の難関中学は、四谷大塚>SAPIX
合格者数が多いというのは、その塾が得意にしていることを表しています。SAPIXは最難関中学に強く、四谷大塚はやや取り組みやすい難関中学に強いのです。
これはあくまで一例ですが、難関中学に行きたいのに難関中学にあまり強くない塾に通っているとしたら、授業が進めば進むほどカリキュラムが本人に合わなくなってきます。むずかしすぎる、簡単すぎるといったミスマッチが発生します。
必要ではない、適切ではない内容の勉強をすると、学力は伸びづらくなります。
志望校に合格するために受験勉強をするわけですから、その志望校に強い塾を選べば「本当に必要な勉強」だけで済みます。
教材の難易度を合わせる
志望校のミスマッチと同様に、教材の難易度のミスマッチも起こりがちです。
というのも、塾でつかう教材はその塾が得意にしている中学の難易度に合わせているからです。
難易度の高い中学が得意な塾なら、難易度の高い問題を多く掲載している教材をつかいます。
逆に、標準的な難易度の中学に強い塾の教材には、むずかしい問題はそこまで掲載していません。
たとえば前述のSAPIXは最難関中学への合格を目指すため、教材の難易度は非常に高いです。
四谷大塚は最難関にも強いですがワンランク入りやすい難関中学への合格も求めているため、教材はSAPIXよりも取り組みやすい難易度です。
もし塾教材がむずかしすぎる、簡単すぎるといったミスマッチがあれば、志望校の入試問題の難易度を確認してみましょう。必要のないレベルの問題をいくら解いても、合格にはなかなか近づけません。
転塾する場合は、新しい塾では教材を見せてもらい、
・その教材の問題を子どもが解けるようになりそうか
・簡単すぎないか
をチェックするようにしましょう。
子どもと塾の学習習慣を合わせる
3つ目のミスマッチは、「学習習慣」です。子どもにとって適切な学習習慣のペースと、塾が考える適切な学習習慣のペースが合わせるようにしましょう。
このミスマッチが1番発生しやすく、ミスマッチかどうかを判断するのに時間がかかります。
たとえば飲食店では、「おひとり様が落ち着ける」「ファミリーが安心して利用できる」のように、会社によって特徴がことなります。塾も同じで、会社によって下記のように指導方針がちがいます。
・安定して高い正答率で志望校合格を目指して、反復練習の量を多くしている
・応用力の育成を目指して、応用問題に時間をかけている
・自ら考える力を伸ばすため、授業や宿題を少なくしている
成績を上げるためにはどの指導方針が良い・良くないというのはありません。どの指導方針であれ、その塾ではその指導方針で合格実績をだしているのです。その方針がお子様に合っているかどうかが1番大切です。
子どもによって特徴はバラバラです。一般的には下記のような組み合わせだと成績が上がりやすいです。
(子どもの性格) (合う指導方針)
作業スピードが高い子 ⇒ 反復練習を多くする方針
いつもマイペースに過ごしたい子 ⇒ 子どもの自主性を大事にする方針
やる気がその日その日で変わりやすい子 ⇒ 楽しく勉強しながら基礎を大切にする方針
これらはあくまで一般論です。お子様の様子を3か月程度みてから判断するようにしましょう。
合っているかどうかの判断基準は「子どもが勉強に前向きになっているかどうか」です。中学受験の問題は難易度が高いため、興味を持って取り組まないとなかなか成績が上がりません。
子どもに興味を持たせる手段として、授業を担当する先生のキャラや授業中の雰囲気に注目してください。成績を上げるために転塾を考えているのに、今の塾と同じような雰囲気の授業だと、同じような成績に落ち着いてしまいます。
体験授業を受けつつ、その校舎の責任者の方とも面談してみまよう。責任者の考え方によって子どもへのアプローチの仕方も変わります。
たとえ授業が同じような雰囲気でも、責任者の方の考え方が今の塾とちがっていれば、長期的には子どもにプラスの影響になっていくかもしれません。
授業進捗のゆっくりな塾を選ぶ
成績不振の原因となる「ミスマッチ」を3種類説明しました。
「次の塾」を選ぶときは、「今の塾」よりも授業が進んでいないところを選ぶようにしましょう。
例えば首都圏のSAPIXや関西圏の浜学園、希学園に通っている子なら、日能研がおすすめです。
日能研は授業進度がとてもゆっくりだからです。
このポイントはかなり重要で、次の塾のほうが先に進んでいると子どもはいきなり置いてけぼりになります。
塾の先生が自習などでフォローしてくれることもありますが、
「分からない問題があれば解説する」
という程度です。これだけではなかなか「分かる!」「できる!」にはなりにくいです。
わかって、できるようになるまで、塾では
授業→宿題→次回授業で解説→週テスト→実力テスト
を繰り返します。自習だけでここまでの繰り返しはむずかしいです。
個別指導や家庭教師を利用する
目当てのタイプの塾が見つかっても、その塾の授業進捗が良いぐあいにゆっくりでいてくれないときもよくあります。
そういうときは、個別指導や家庭教師を利用してみましょう。
塾の授業とは別に下記の2つをピックアップして対策するのがおすすめです。
- 習っていない範囲
- 定着不足な範囲
個別指導塾は利用次第では「課金ゲーム」みたいになってしまうところもありますが、「何を使って」「どう」受講するかを決めておけば、中学受験で非常に有効です。
※関連記事:中学受験で個別塾併用ってどうなの?課金ゲームにならないその方法とは
※関連記事:【中学受験】小学生の家庭教師はいつからがいい?学年ごとのおすすめの利用目的を解説します!
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オンラインコース 【みんなの塾】転塾する理由を明確にしておく
転塾前と後で塾の特徴は異なります。前述のように、授業進度や難易度、宿題の量など、「転塾後に得たい環境」を明確にしておきましょう。
- 復習の時間を取りたいから宿題の量の少ない塾にする
- 子どものペースで勉強させたいから競争心をあおらない塾にする
- 土台をしっかり固めたいから基礎の反復練習を重視する塾にする
上記のように、「どのような塾が良いか」を明確化させておくと塾選びもしやすくなります。
通信教育を試してみる
塾に通ってみて上手くいかなければ、通信教育を試してみるのも一つの手です。
移動時間がゼロですし、塾に比べて短時間の1回あたりの勉強が短時間に設計されています。「塾と併用」「通信教育単独」のどちらも選べます。
難関中学対策ならZ会
難関中学、最難関中学(首都圏御三家、灘中学、ラサール中学など)を目指しているならZ会がおすすめです。下記のような特長があります。
- トータル受講、ライトな受講(要点集中プラン)を選べる
- 1科目から受講できる
- 塾と同じかそれ以上の難易度の問題にもチャレンジできる
- 記述特訓や理科の複雑な計算対策など入試頻出分野の対策講座を取れる
※関連記事:Z会中学受験コースだけで難関中学に合格する方法
苦手、嫌いを克服するなら進研ゼミ
中学受験対策の通信教育として進研ゼミも多くの受験生に選ばれています。楽しく、自信をつけながら学べるという特徴があります。
- 視覚的に理解しやすい授業動画
- 1回15分の設計で勉強がつづけやすい
- 赤ペン先生がほめながら添削してくれる
- 合格実績は4,000名以上
※関連記事:進研ゼミ小学講座の特徴と効果的な利用法
楽しく算数を勉強するならRISU
算数に苦手意識のある子を「算数好き」にする通信教育としてRISUが注目を集めています。
ゲームのようにステージをクリアすればするほど算数の問題を解けるようにしていくシステムです。
小学校の勉強先取りはもちろん中学受験の問題もたくさんあり、RISUの会員で四谷大塚の全国小学生学力テストやSAPIXの模試で全国1位を取っている子も出ています。
費用のシステムが分かりにくいので、その解説も含めて下記の記事で紹介しています。
まとめ
成績が上がらない原因の多くは、子どもと塾のミスマッチです。志望校と教材の難易度がお子様にあっているかどうかを確認してみましょう。
志望校と教材難易度があっているのに成績が上がらないなら、おそらく責任者の指導方針がお子様にあっていません。
※関連記事:中学受験やめようかなと思ったら:やめどき、判断基準を3つ紹介します!
転塾される際には、体験授業を受けつつ責任者とも面談し、責任者の方針が今の塾とちがっているかを確認しておきましょう。
①志望校、教材の難易度、責任者の方針のどれかでミスマッチが起きている
②志望校、教材を確認して問題なければ、責任者の方針があう塾を選びましょう
公立の中高一貫校も現在ではかなり人気があります。入試制度についてこちらの記事で説明しています。
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※Z会の中学受験コースのメリットや活用法を下記の記事で紹介しています。
Z会中学受験コースだけで難関中学に合格する方法
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