いきなりですが、本日は大学進学を目指す方に耳よりの情報をお伝えします!
「英検®優遇制度」をご存じでしょうか。
高校生本人の英検®の級によって、大学受験で様々な優遇措置を受けられるシステムです。
多くの大学が採用している制度で、上手に利用すれば志望校合格を大きくたぐり寄せられます。
しかも、大学入学後にもメリットがあります。
そこで、今回はこの「英検®優遇制度」について紹介します。
※関連記事:【英検scbt】従来型英検との違いや申込・実施日程など:スピーキングはscbtのほうが有利な理由とは
この記事は下記の方向けです。
大学受験の英検®優遇制度とは
英検®の級を所持している人が、その級を大学入試で英語の点数に換算してくれる制度です。
英語の試験が免除されたり満点扱いされたりするなど、検定保有者にとって良いことづくめです。
対象者は準2級からで、制度を利用しているほとんどの大学では2級以上から優遇制度を設けています。
英検資格を持っていれば、それだけ英語の学力があると認定されるわけです。
この認定があるおかげで、大学入試で英語を受けなくてもよくなることがあります。
制度の導入開始以降、以下のグラフのように利用大学は急増しています。
2023年度入試では全国で459大学にもなりました。実に半数以上の大学が英語資格を利用していることになります。
中でも英検を利用している大学はそのうち9割以上です。
具体的な優遇制度は下記のとおりです。
- 英語の試験優遇
- 英検®資格必須の大学・学部に出願可能
- 大学入学後に単位として認定
3つそれぞれ説明します。
※関連記事:大学受験で英検準2級が利用できる大学の一覧
英語の試験で優遇される
大学入試の英語で加点されたり、試験自体を免除されたりします。
英検®2級を所持していれば5点追加、準1級や1級なら20点追加、
のように、大学入試での自身も英語の点数に追加してもらえます。
詳しく解説します。
級によって加点される
まず多いのが、「加点制度」です。
英検®資格の級によって学科試験の点数に加点されます。
例えば入試で120点(200点満点)だったのが、20点加点されて「140点」になったりします。
加点される点数は級によって変わりますが、5点~40点くらいまで多いです。詳しくは志望大学の募集要項で確認ください。
英語の試験が免除される
次に、大学や学部によっては、英検®資格証明書を提出すると試験が免除される場合もあります。
これは英語だけでなく、ほかの科目も含めて大学入試に大きく有利になります。
英語の試験が「満点扱い」や「100点満点で85点扱い」など高得点に認定されます。
しかも英語の入試を受けなくていいので、その分ほかの科目に受験勉強の時間を割けます。
たとえば高1や高2で英検®対策をしておけば、高3では数学や国語などの科目に集中できるわけです。
英検®資格のおかげで英語以外の科目も点数がアップさせられます。
英検®資格必須の大学・学部に出願可能
「英検〇級を持っていれば、この大学・学部に出願できます」というパターンです。
受験資格を得るので、加点や試験免除といった入試得点にプラスがあるわけではありません。
ただ、外国語学部など、一部の大学・学部では条件を満たす級に合格していなければ、そもそも出願さえできません。スタートラインに立つための最低条件です。
大学入学後に単位認定
たとえば、東京学芸大学・教育学部では2級以上を持っていれば2単位に認定され、明治大学・理工学部では1級で8単位、準1級で4単位に認定されます。
入試だけでなく入学後にもメリットがあるなんて、素晴らしい制度ですね。
奨学金を支給してくれる大学もある
大学のなかには、一定以上の級を取得していると奨学金を支給してくれるところもあります。お茶の水女子大学、京都薬科大学、筑波大学などです。
大学は受験も進学も大きな費用がかかりますから、入学後の学費節約も非常に大きなメリットになります。
※関連記事:大学4年間の費用はいくらかかる?
※関連記事:【大学受験】塾・予備校の費用はいくらかかるか
大学入試の英検利用制度の活用手順
英検®資格を持っているだけでは、優遇制度は使えません。
制度の活用手順を説明します。
※関連記事:英検scbtは大学受験に使えない?scbtの入試利用やスピーキングで有利になる理由を解説します
大学の募集要項で英検利用の可否を確認する
まず、最新の大学の募集要項を確認しましょう。昨年度まで制度がなかったのに今年度から始まっているケースもあります。
逆に、昨年度に制度があったからといって、今年度も同じとは限りません。加点が変更になったりするなど、優遇措置の中身が変わっている場合もあります。
優遇制度があるかの最新情報を大学に確認する。
ここを忘れていると、せっかく検定を受けても無駄になってしまう可能性があります。気をつけましょう。
同様に、検定を利用できる条件にも注意してください。
英検®は1度取得しておけば永年使えます。ですが、大学入試に利用するには「3年以内に取得」など、利用年数に制限があることもあります。
「子どものころ取ったから」と油断していると、優遇措置を受けられない可能性もあります。
【最新の募集要項で確認】
①英検®優遇制度があるか?
②優遇制度の中身は?
③優遇制度利用の条件は?
出願に余裕をもって英検合格を目指す
英検に合格しても、すぐに資格証明書が発行されるわけではありません。
通常、合格発表日から10日ほど経ってから手元に届きます。
システムトラブルや配達の都合などで遅延してしまう可能性もあります。
せっかく検定試験に合格したのに、合格証明書が間に合わなかった…となっては元も子もないです。余裕を持って大学の出願期限に間に合うように検定を取得しておきましょう。
試験回数が多いS-CBTを活用するのもオススメです。
また、もし合格証明書を紛失してしまっても再発行(1,100円)できます(日本英語検定協会-合格証明書(有料))。
英検利用の入試方式で出願する
志望大学の出願時に、英検利用ができる入試方式を選びましょう。
ウェブ出願時に利用する入試方式を選択できます。
英検受験時の生年月日の登録に注意する
英検を受験する際に、生年月日を間違えないように注意しましょう。
登録した生年月日が違っていると、そのまま英検資格証明書にも登録されます。
せっかく目標の級を取得して大学入試で利用申請しても、大学側が英検資格を照会したときに生年月日が違っていると、大学入試で使えなくなる可能性があります。
スマホで登録するときには数字がずれてしまうケースがよくあります。登録ボタンを押す前には必ず確認しておきましょう。
英検利用で有利になるのは何級からか
出願資格の取得や加点制度など、英検®を取得しておくと大学入試に有利になります。
では、何級から優遇制度で有利になるでしょうか。
準2級から英検利用可能
結論からお伝えすると、大学入試で英検®資格を利用するには最低準2級が必要です。
準2級は「高校中級程度」(高1~2レベル)とされており、大学受験生としては決して難しくありません。
そのため、優遇措置を受けられる大学も限られており、加点される場合でもその点数が小さいです。
英検準2級を利用できる大学一覧
準2級から英検を利用できる大学(一部)を一覧で紹介します。
級指定のない大学も含めており、最新の情報は各大学の募集要項でご確認ください。
もっと多くの大学一覧を以下の記事で紹介しています。
大学受験で英検準2級が利用できる大学の一覧
大学受験で英検2級が利用できる大学の一覧
2級以上から大きく有利になる
大学入試で英検優遇制度を利用したい人は、2級以上を取得するようにしましょう。2級以上あるとかなり優遇されます。
早稲田や上智などの難関大学の推薦入試の出願資格になっていたり、入試で7割の得点に見なしてくれる大学も出ていきます。
2級は「高校卒業程度」(高3レベル)の学力とされており、MARCHや関関同立レベルです。準1級だと早慶レベルです。
「高校卒業程度」という学力目安からするとあまり大したことないように見えるかもしれませんが、上智大学などの難関大学でも利用できるようになります。
※関連記事:難関大学とはどこまでか:難関大学に合格するために高1、高2、高3で必要な勉強時間や勉強法を解説
ちなみに2級からは海外留学の履歴書にも載せられます。
大学入試だけでなく、その後も一生役立つ資格です。
準2級~1級までのレベルは下記の表のとおりです。
級 | 推奨目安 | 出題目安 |
準2級 | 高校中級程度(高校1~2年生レベル) | 教育や科学などを題材とした、長文の穴埋め問題が加わります。 センター試験の問題形式と共通点が多く、入試対策にも最適。 高校卒業段階の英語力の達成目標:準2級~2級(文部科学省) |
2級 | 高校卒業程度(高校3年生レベル) | 医療やテクノロジーなど社会性のある英文読解も出題されます。 海外留学、国内での入試優遇・単位認定など、コミュニケーション力が高く評価されます。 ビジネスシーンでも採用試験の履歴書などで英語力をアピールできます。 ライティングが加わります。 |
準1級 | 大学中級程度 | エッセイ形式の実践的な英作文の問題が出題されます。 「実際に使える英語力」の証明として高く評価されています。 |
1級 | 大学上級程度 | 二次試験では2分間のスピーチと、その内容への質問がなされます。 カギは英語の知識のみでなく、相手に伝える発信力と対応力。 世界で活躍できる人材の英語力を証明します。 |
難関大学志望者は準1級以上がおすすめ
早慶上智、GMARCH、関関同立などの難関大学志望者は準1級の取得を目指しましょう。英語の試験で「満点」に換算してくれるなど、優遇内容が2級より格段に大きくなります。
もちろんそれだけ英検対策も難易度が上がりますが、英検対策を中学生や高1から計画的に行っておけば高3になったときの自分をかなり力強く助けられます。
※関連記事:難関私立大学の一覧:偏差値60以上の難関私大に合格する勉強法と勉強時間
英検®の合格率と合格点
合格するにはどのくらいの英語力が必要なのか、下記表にまとめました。
英検®は2015年度まで合格率が発表されていました。2016年度以降は不明ですが、それまでは下記のとおりでした。
1級 | 準1級 | 2級 | 準2級 | |
2015年 | 12.0% | 16.0% | 26.4% | 36.7% |
2014年 | 10.4% | 15.3% | 25.1% | 35.7% |
2013年 | 10.4% | 15.3% | 26.2% | 35.9% |
2012年 | 10.0% | 15.1% | 25.0% | 35.8% |
2011年 | 9.6% | 14.5% | 25.2% | 36.1% |
2010年 | 8.8% | 14.4% | 24.9% | 35.1% |
1級は10%前後、準1級は15%前後、2級は25%前後、準2級は36%前後でした。今も問題の難易度は大きく変わっていませんが、級があがるごとに合格率は下がっています。
また、各級の合格ラインは下記のように公表されています。
級 | 1次スコア | 2次スコア |
1級 | 2028/2550点(79.5%) | 602/850点(70.8%) |
準1級 | 1792/2250点(79.6%) | 512/750点(68.3%) |
2級 | 1520/1950点(77.9%) | 460/650点(70.8%) |
準2級 | 1322/1800点(73.4%) | 406/600点(67.8%) |
一次試験、二次試験ともに7-8割ほどの得点が必要です。
準2級はやや下がりますが、それでも1次・2次ともに7割前後が求められます。
英検®は大学入試よりも対策しやすい
大学入試は「そんなの誰が知ってんだ!?」と感じるような細かい文法知識を問う問題が出ることもよくありますが、それにくらべて英検®は文法問題がいやらしくありません。
例えば大学受験の英文法で定番の『Next Stage』よりもかなり取り組みやすいです。
Next Stage 英文法・語法問題[4th EDITION]: 入試英語頻出ポイント218の征服
Bright Stage[ブライトステージ] 英文法・語法問題
文法だけでなく、英検は長文も短いです。
大学入試では1題800-1000字が多いですが、英検®の長文は1題あたり300-400字程度です。
級によっては100語程度のライティング(英作)が必要ですが、
定型表現を使えば非常に書きやすいです。
しっかり対策をすれば、決してむずかしい試験ではありません。
※関連記事:【大学受験対策】塾はいつから通えばいいか
高校2年生までに2級を取っておけば、英語の学科試験を免除してもらえる大学も多数あります。
英語の受験勉強をほぼしなくていいので、
その勉強時間を数学や国語などほかの科目に回せば、受験をかなり有利に持っていけます。
一石二鳥です。
現在高2までの人は、ぜひ積極的に英検®を受けてみましょう!
※関連記事:級ごとの英検®対策の仕方を下記の記事で紹介しています。
【一次試験対策】
英検®2級のレベルと一次試験対策(リーディング・ライティング・リスニング)の仕方を徹底解説!
英検®準2級のレベルと一次試験対策(リーディング・ライティング・リスニング)の仕方を徹底解説!
英検®3級のレベルと一次試験対策(リーディング・ライティング・リスニング)の仕方を解説
【二次試験対策】
英検®3級の二次試験対策(スピーキング)の仕方と当日の流れ
英検®以外に優遇措置を受けられる英語資格試験
英検®以外にも、優遇措置を受けられる英語資格試験があります。
- ケンブリッジ英語検定英検
- GTEC
- IELTS
- TEAP
- TEAP CBT
- TOEFL iBT
- TOEIC など
大学によって、利用できる英語資格試験が異なります。
優遇対象なのかどうかは、必ず志望大学の募集要項を見て確認しておきましょう。
英語資格検定に迷ったら英検®がオススメ
上記のように、利用できる英語資格検定はいくつもあります。中高一貫校や高校によって生徒に受験を勧めている英語資格検定はさまざまです。
どの検定を受ければいいか迷ったら、英検®を受けましょう。理由は2つあります。
- 利用している大学が多い
- 対策がしやすい
大学の検定資格利用状況によって受検する資格を変えるのは得策ではありません。検定に応じた対策が必要なので、実力が同じでも対策がうすいと合格を取れない場合もよくあります。
その点、英検®なら多くの大学で採用されている英語資格です。英検1つ取っておけば、ほとんどの受験生にとってほかの英語資格が必須ではなくなります。
また、英検®は昔からある検定です。対策問題集を出版している出版会社はとても多く、対策が非常にしやすいです。
一般的には、昔からあるものは新しいものに淘汰されがちです。ところが英語資格検定が誕生しても、下記グラフのように多くの人が英検を受検しています。
今後も英検対策は充実化していくでしょう。
※関連記事:【英検3級】一次試験対策の演習問題(リーディング・ライティング)
英検®は大学入試に有利
大学入試の英語は、とても重要な科目です。
その理由は2つあります。
- 文系、理系ともに必須科目
- 配点がたかい
文系、理系共にほとんどの大学で英語は必須科目です。
大抵の場合、必須科目は下記のようにわかれています。
- 文系学部→英語・国語(と地歴公民)
- 理系学部→英語・数学(と理科)
両方に共通しているのは、「英語」です。
つまり、どの学部に進む受験生でも、英語で点数を取れればほとんどの大学入試で有利になるでしょう。
さらに、大学入試は科目によって配点が変わる「傾斜配点」であることがほとんどです。
下記は2023年度の大学入学共通テストの配点表です。
ほとんどの受験生にとって、英語は数学ⅠAⅡBや国語と同じく200点という最大の配点です。
ほかの科目が1科目100点なのに比べると、2倍です。
配点が2倍もあれば、失敗すれば致命的にもなりますが、ほかの科目のマイナス分を英語で補うことも可能です。
英語の点数をあげれば、大学受験を優位に進められるのは間違いありません。
英語の実力をあげて英検に合格しておけば、大学受験で優遇してもらえるのです。
この制度のために英検®を取得する価値は十分あると言えます。
※関連記事:英検2級合格までの道:0から始めて合格するまでの時間と効果的な英検対策法完全ガイド!
まとめ
英検®を活用して優遇措置を受ければ、大学入試を有利に持っていけます。
そのためには英語の実力をたかめることが欠かせません。
英語力を計画的に高めておいて、大学入試で第一志望校合格を勝ち取りましょう!
※中学受験の優遇制度や利用できる私立中学について、こちらの記事で紹介しています。
英検®が使える東京の私立中学一覧
英検®が使える神奈川、埼玉、千葉の私立中学一覧
英検®が使える関西の私立中学一覧
※高校受験の優遇制度について、こちらの記事で紹介しています。
※関連記事:英検2級面接問題サンプル(スピーキング練習問題)と回答例
※関連記事:【大学受験】合格を取れる小論文の書き方のコツを例文付きで解説
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