「行きたい大学がない。どうやって選べばいいかわからない」
「やりたいことがないから大学も学部も選べない」
高校生からこのような相談を受けることがたびたびあります。
大学選びは「何を勉強するか」「就活でどこが有利になるか」という視点だけで語られることもあります。もちろんそれらの大切な視点ですが、「行きたい」と思える大学や学部を見つけることが本来の大学選びです。
そこで、大学・学部をどうやって選べばいいか、行きたい大学がない人はどのようにして大学・学部選びをすれば良いかを紹介します。
※関連記事:【大学受験対策】塾はいつから通えばいいか
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実践型プログラミングスクール【テックジム】の魅力はこちらから2022年度の旺文社のデータによると、日本国内だけで大学は790、学部は2500以上もあります。
大学種別 | 大学数 | 学部数 |
国立 | 82 | 390 |
公立 | 94 | 208 |
私立 | 592 | 1895 |
その他 | 22 | 18 |
総数 | 790 | 2511 |
これだけでもかなりの数ですが、海外も含めるとさらに膨大な数になります。この中から進学したい大学・学部を1つ選ぶのは大変です。受験する大学や学部を選ぶにはどうすればいいか。その方法を紹介します。
まず、大学入学後に実家暮らしをするのか一人暮らしをするのかを決めておきましょう。
どちらでも良いという人もいますが、実家暮らしか一人暮らしかを決めている人も少なくありません。そこのこだわりがあると、そもそも選ぶ大学の幅が大きく変わります。
実家暮らしなら「片道2時間以内」で通学できる大学がしぼられますし、
一人暮らしなら「実家からなら片道数時間以上かかる地域」の大学になるでしょう。
大学は全国に800もありますが、居住地域を絞るだけで進学先候補を何分の一にしぼれます。一人暮らしをしたいのか実家暮らしを続けたいのか考えてみましょう。
進学先候補の地域をある程度絞ったら、早速大学のパンフレットを取りよせましょう。取り寄せ方法は大きく3つあります。
大学受験をする人の多い高校であれば3つ目の手段(高校で資料請求)が一般的な資料請求方法です。ほかにも、直接大学に資料請求をしたり、一括資料請求ができるサイトから取り寄せる方法もあります。
一括資料請求の場合、10大学以上から資料請求をすると図書カード1000円分、2000円分をもらえるという特典もあります。
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資料が届いたら早速、目をとおしてみましょう。確認すべきポイントは3つです。
大学の求める学生像というのは、「国際社会で活躍できる人材の育成」「対話型のリーダーシップを発揮できる人になること」といった、大学の指導方針です。
ひと昔前ならそうした指導方針は形だけのものでしたが、少子化と大学数の激増によって「学生の確保」や「経営の健全化」が大学側にとって喫緊の課題になっています。
大学経営を健全に行うため各大学が指導方針(=大学のイロ)を明確にしてきています。大学の求める学生像をみて、自分が魅力を感じるかどうかも参考にしてみましょう。
また、どのような資格が取れるのか、資格取得も含めて就職先はどの辺りが多いのかも確認しておきましょう。
各企業は、どの大学出身の社員がどれだけ社内で活躍しているかをチェックしています。有名大学でなくても、就職後に活躍している人が多い大学は「就職枠」が多くなります。
「主な就職先」に有名企業が名前を連ねていれば、そうした有名企業で過去の卒業生が活躍して評価されていることがわかります。社会に出てから活躍できるのは、その学生の資質だけでなくやはり大学教育がそれだけ実践的であったり、実践につながる学究的なカリキュラムだからです。
就職率がいくら高くても、満足度が低い場合もありえます。採用されやすい企業を受けるのか、本当に就職したい企業を受けるのかで満足度は大きく変わります。
将来どのように働きたいかを想像しながら資料をみると、自分の将来を具体的にイメージしやすくなります。
大学の資料をみて気になる大学があれば、大学の説明会に足を運んでみましょう。大学のオープンキャンパスに行ってみてもいいですし、その前に大学合同説明会に参加するのもおすすめです。
大学合同説明会というのは、何十もの大学が一か所に集まって個別に開いてくれる説明会・相談会です。その大学の広報担当者と直接話ができます。
などを聞いてみましょう。
このときの印象を「◎」「〇」「△」などとつけておき、その後オープンキャンパスに行く大学を決めてみてもいいですね。
資料や合同説明会で気になる大学をいくつか発見できたら、その大学のオープンキャンパスに参加しましょう。大学進学者の9割以上は高校在学時にオープンキャンパスに参加しています(リクルートより)。
オープンキャンパスでは、大学や学生の雰囲気が自分に合っているかどうかを確認しましょう。
大学を名前だけで選んだ結果、入学後に「自分に合わない」と感じてしまっても時すでに遅しです。「進学したい」「自分に合っている」と感じる大学を選ぶようにしましょう。
どの大学のオープンキャンパスでも、学部の説明会を開いてくれています。下記の5点をチェックしておくようにしましょう。
ほかにも、学生が説明してくれる場合はその学生が大学で学んだなかで何に特に興味を感じたのかも聞いてみると良いですね。生の声を聞けるので、自分が通学したとしたらどうなりそうかをイメージしやすくなります。
どの大学も就職活動の支援に力を入れています。就職率が何%なのか、どのような業種に進む学生が多いのかなどを聞いて、大学選びや将来の仕事選びの参考にしましょう。
最初のうちは有名企業や大企業への就職率が気になるでしょうが、あまり有名ではない企業や中小企業にも自分の好みに合う企業はたくさんあります。過去の卒業生がどのように企業を選んだのか、企業との接点をどのように持っていたのか(大学に説明に来てくれたり、インターンをいつ頃・どれくらいの期間行くのか)などを聞いておきましょう。
を知っておくようにします。
大学入学後に「思っていたのと違う」と違和感を覚えて通学するのがつらくなる人もいます。受験するときに大学や学部を有名かどうかなどの「一般的な印象」だけで選ぶと、そうしたミスマッチが起こりやすくなります。
大学や学部選びは「将来の仕事」をベースに考えると失敗しにくくなります。将来の仕事についてわかってきたら、「どの仕事に興味を感じるか」を考えてみましょう。
を探します。学部が決まれば、学びたい内容に近い内容を学べる大学を探します。
将来の仕事→学部→大学の順に選びます。
大学を偏差値だけで選ぶよりも、「学びたい内容を学べるのかどうか」で選ぶほうが就職活動の際に志望理由を面接で伝えやすく、希望する企業から採用してもらいやすくなります。
何より、大学生活での満足度が大きく上がります。
前述のように、日本全国で学部は2500もあります。同じような名前の学部でもカリキュラムはかなり違っていることがよくあります。
英文学科でも、ある大学は英語のリーディング・ライティングを重視していますし、別の大学は英文学の歴史に重点を置いています。
国際学部でも、全員留学が義務な大学もあれば一定以上の学力を持つ学生しか留学できないところもあります。
それぞれの大学の伝統や教授の専門分野によってカリキュラムは大きく変わります。資料をみたり、説明会で聞くなどして情報収集をしておきましょう。
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実践型プログラミングスクール【テックジム】の魅力はこちらから大学や学部の情報収集のためにネットやSNSを活用する人は多いです。
YouTubeの動画をみて大学や学部について知った・調べているという高校生は多いです。ところが、18~24歳の人でそうしたメディアやSNSの情報をあまり信頼できないと考える人が9割近くもいるという調査もあります(株式会社シグナルより)。
SNSは手軽に生の声を得られるというメリットがありますが、信憑性に欠けると感じている人も多いです。1つの情報源だけで判断せずに、学校や塾の先生など複数の情報源からの情報を総合して判断するようにしましょう。
志望大学は必ず複数つくっておきましょう。その大学・学部でないと取れない資格がある、その大学以外の大学なら進学意志はないといった理由があれば別ですが、そうでなければ事前に志望大学は複数持っておくのがおすすめです。
高校受験では志望校を1-2校にしぼるのが普通です。その感覚で志望大学も1-2校にする人がいますが、それだと入試直前や共通テストを受けた後に困ってしまう場合があります。
など、予定どおりいかないケースは多々あります。そんなときに第一志望大学しか決めていないと、どの大学に出願すべきかわからなくなってしまいます。
ギリギリになってから急に大学選びをはじめても、簡単に「行きたい」と思える大学は見つかりません。「受かりそうだから」という理由で選ばざるを得なくなることが多いです。
合同説明会やオープンキャンパスに行ってみて気になる大学がいくつかあれば、いったんすべて志望大学として候補においておきましょう。
志望順位を決めるにあたって、国公立と私立のどちらを第一志望にするのか決めておきましょう。
前述の「志望大学を複数つくっておく」のと同じで、試験日程が重なっていたり連続していたりすると、どちらを受けるか迷います。受験間近になると不安感から「受かりそうなほうを受けたい」と考える受験生もいます。
国公立大か私立大かとなると、現役生の場合は大抵私立大のほうが受かりやすいです。入試科目を絞れるので、得意な地歴公民を活かしたい、苦手な数学での受験を避けたいといった気持ちが起こってきます。
「進学したい」と思って受験したのであれば良いのですが、「合格したいから」という理由だけで受けた場合はそのあとに問題が起こることがあります。合格した途端に、「本当にこの大学で良かったのかな」「やっぱり〇〇大学を受けておけば良かったかも」と不安になるのです。
行きたいから受けたのではなく、受かりたいから受けた大学だと、受かった後に後悔するケースも少なくありません。
受験勉強の時間は限られています。本当に行きたい大学の対策に時間を重点的に使わないと本来の実力を発揮することさえむずかしくなります。
国公立大と私立大のどちらを第一志望にするのかだけでも決めておけば、入試直前に「どうしよう」と迷いながら受験勉強をつづけることを避けやすくなります。
※関連記事:難関私立大学の一覧:偏差値60以上の難関私大に合格する勉強法
志望大学を決めるにあたって、気になる大学の公式SNSをフォローするなどしてアンテナを張っておきましょう。
学生が独自に発信している非公式のSNSもありますが、あまりおすすめできません。学生目線の非常に良いものもありますが、情報が極端に偏っている場合があり、入学してみたら全然違っていたというケースもあります。
それよりも公式SNSなら大学の雰囲気だけでなく、どのようなイベントや就職支援を大学が実施しているのかなども知ることができます。入学後に実際に自分が受け取る情報がどのようなものなのかを知っておけば、「その情報が自分にとってメリットがあるのか」を判断できます。
複数の大学の公式SNSをチェックしておくと、入学後に受け取れる情報の比較もできます。
最後に、学校や塾の先生の意見だけで志望大学を決めないようにしましょう。すべてとは言いませんが、中には「学校や塾の実績づくりのため」に特定の大学の受験を勧めてくるところもあります。
外部の人には「私たちの学校では生徒の進路は生徒の主体的な判断に任せています」と説明しているのに、在校生には「東大/京大を受けよう」と勧めていたり。
自分がその大学に行きたいのなら何も問題ありませんし、むしろカリキュラムも希望に沿った内容になるのでメリットが大きいです。
ですが、行きたい大学がほかにあるのなら、学校・塾の実績つくりのために受験大学を変えてもメリットはあまりありません。
家族や友人にも相談しながら「自分が行きたい」と思える大学を選ぶようにしましょう。
※関連記事:予備校と塾の違い
行きたい大学・学部がない場合、偏差値だけで受験大学を決めてしまう人もいます。この決め方はあまりおすすめできません。その理由を3つお伝えします。
まず、受験勉強が中途半端になります。
偏差値で決めるというのは「受かりそうなところを受ける」という決め方です。勉強した結果偏差値がそれほど上がらなくても、出願時点で「ここなら受かりそうだな」という大学を受けるようになります。
勉強に限らず、努力するときは「達成したい何か」があります。届くかどうかわからない目標であっても、達成したいから必死にがんばります。
志望大学が偏差値60なら、どうすれば偏差値を60にできるかなと工夫します。模試を受けて思ったより伸びていなかったら勉強の仕方を改善しようとします。
※関連記事:【大学受験】高校生の偏差値60越えに必要な勉強時間:上位16%が実施している勉強法とは?
特に現役生は実力が順調に伸びていくことは少ないです。共通テストで8割取りたいのに入試間近の12月時点で共通テストの過去問や模試で3割しか取れない場合もあります。
それでも諦めずに必死にがんばりつづけると、急に得点が3-4割上がることがよくあります。「合格した先輩からのコメント」で、「最後まであきらめずに勉強をがんばってください」というのがありますが、あきらめずに勉強しつづければ急激に伸びる受験生が少なくないのです。
偏差値だけで決めていると、「状況に合わせて柔軟に対応」してしまいます。それが悪いとは言いませんが、粘りや工夫が乏しくなり、努力の割に成果が乏しいケースが多いように感じます。
あきらめずに努力すると夢がかなうことはあるのです。
※関連記事:指定校推薦とは?
偏差値が高ければ自分に合うかというと、必ずしもそうではありません。合格したときはうれしかったのに、入学してから「あれ?なんか違う…」と感じるかもしれません。
「入学後に何を学ぶのか」も調べずに受験する人がいますが、とてもリスクがあります。時間をかけてしっかり調べて、「入学後のイメージ」をつくっておきましょう。
その大学に行きたい理由がないまま受験して入学すると、3年後の就職活動で困るかもしれません。
就職活動では「ストーリー」が求められます。
将来何をしたいのか(どうなりたいのか)
↑
そのために会社で何をしたいのか(どうなりたいのか)
↑
そのために大学で何を学んでいるのか
という一貫したストーリーが必要です。
「合格できそうな大学で家から通える範囲にあったから」
という理由で大学を選んでしまうと、就職活動で志望理由のつじつまを合わせられなくなります。
将来何をしたいのか、何に興味を持っているのかをよく考え、そこからの逆算で大学や学部を選択するようにしましょう。
ベネッセ教育総合研究所の調査によると、将来の夢がない高校生は高1-2時点で5割以上いるそうです。
将来の目標がはっきりしている人の割合 | |
高1 | 43.8% |
高2 | 48.6% |
高3 | 60.1% |
将来の希望や興味がない場合はどうすればいいでしょうか。
自分が何に「楽しい・好き・熱中できる」かを考えてみましょう。「将来の職業、大学で学びたいこと」のように堅苦しく考える必要はありません。やっていて楽しいと思えることを思い浮かべます。
など、「好き・楽しい」と思えるものならなんでもいいのです。
好きなものを思い浮かべたら、「なぜそれが好きなんだろう?」と考えてみましょう。動物が好きなら、なぜ動物が好きなのでしょう。
モフモフがいい。慕ってくれるのがいい。癒される。
さまざまな理由があるでしょう。理由が思い浮かんだら、また「なぜそれが好きなんだろう?」と考えてみます。
動物に限らずモフモフした感触が好きなのかもしれません。もしそうなら、モフモフのぬいぐるみも好きでしょうか、人をダメにするクッションも好きでしょうか。動物のモフモフとどう違うでしょうか。
慕ってくれるのがいいのなら、小さい子どもが自分のことを慕ってくれたらどう感じるでしょうか。あるいは、慕ってくれるのが良いと感じるのは、守りたいからでしょうか、守ってほしいからでしょうか。慕ってくるのが人間と動物とではどう違うでしょうか。
こんなことを考えてみると、自分が本当に好きだと感じるものの正体が見えてきます。
自分で考えるだけでなく、他者からフィードバックをもらってみましょう。
「自分は~が好き。~だからかなと思ってるけど、どう思う?」
とストレートに聞いてみましょう。「言われてみたらそうだね」という反応が返ってくるかもしれませんし、「あなたは~をしているときのほうが楽しそうだよ」と返してくれるかもしれません。
いずれにしても、自分から見える自分だけでなく、他者から見える自分も「自分」です。いろいろな角度から見てみると、思ってもみなかった「自分が楽しんでいる瞬間」が見えてくるかもしれません。
そこからまた「やっていて楽しいと思えるもの」を探してみましょう。
大学で学ぶ内容も将来の仕事も、大まかに文系/理系にわけられます。どちらにより魅力を感じるか、仕事の一覧を検索してみるなどして調べてみましょう。
文理融合の学部もたくさん生まれてきていますが、入試も入学後のカリキュラムも文系・理系のどちらか一方をメインにしています。文系・理系のどちらが良い/悪いというのはありませんので、「自分に合いそうかどうか」を基準に選んでみましょう。
※関連記事:文理選択の仕方
高校生や大学生のなかには、仕事に対してネガティブなイメージを持つ人がたくさんいます。以前より増えた気がします。
メディアやSNSで「仕事=パワハラ、きつい、人間関係大変」というネガティブキャンペーンが張られていて、そのネガティブなイメージに凝り固まってしまった人がとても多くなりました。
ですが、仕事は本来、「やっていて楽しい」と思える最上の活動ではないでしょうか。少なくとも私はそう感じながら仕事をしています。
上手くいかないことや失敗することが多々あり、自分の弱点や至らない点もたくさん自覚させられます。ですが、それらも含めて「やっぱり仕事は良いものだ」とつくづく感じます。
どのような形であれ、誰かのためになる活動をして喜ばれ、そのうえ自分も楽しめるのが仕事です。
「やっていて楽しい」「突きつめるともっと楽しいかも」と感じられるものを見つけ、そこから将来の自分の姿を想像してみれば、学びたいと思える学部や行きたいと思える大学にも出会いやすくなります。
高校生向けに大学や学部の選び方を紹介しました。
合同説明会に行く、資料請求をする、オープンキャンパスに行くなどして「聞いて、見て、楽しい」と思えるものを探すようにしましょう。文理選択も、大学で勉強する内容も、将来の仕事も自分に合うものを選ぶようにすると受験勉強もがんばりやすくなります。
また、どの学部で何を学べるかは学部の名前だけで判断しづらくなっています。オープンキャンパスでしっかり聞いておき、入学してから「こんなはずじゃなかった」と後悔することのないようにしたいですね。
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