東京都は中学入試が盛んです。私立中学だけでなく公立中高一貫校も人気があり、難易度も非常に高いです。
そこで、この記事では東京都立小石川中等教育学校の試験情報を紹介し、適性検査の傾向と対策を説明します。
6年間の教育環境だけでなくその後の進路にも大きな影響を与える受検ですから、しっかり情報収集して対策したいですね。
※関連記事:公立中高一貫校の魅力とは:学校の種類や入試制度について解説
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東京都立小石川中等教育学校の入試概要
東京には11校の公立中高一貫校があります。
まず、小石川中等教育学校の入試概要を紹介します。
偏差値
都立小石川中等教育学校の偏差値は男子73、女子74です(首都圏模試センターより)。
ただし、公立中高一貫校の偏差値は参考程度にとどめておきましょう。当日の問題によって大きく得点が変わります。
±10くらいの幅で捉えるほうが良いでしょう。
進学実績
都立小石川中等教育学校の進学実績は下記のとおりです。
国公私立大学(一部) | 現浪 | 現役 |
北海道 | 2 | 2 |
東北 | 3 | 2 |
東京 | 16 | 15 |
一橋 | 11 | 11 |
東京医科歯科 | 1 | 0 |
東京藝術 | 3 | 3 |
早慶上理 | 239 | 220 |
※最新の状況はHPなどでご確認ください。
選抜方法
都立小石川中等教育学校の選抜方法を確認します。
「報告書200点」+「適性検査600点」の「合計800点満点」で選抜されます。
報告書200点
報告書というのは、5、6年生の2年間の成績です。
配点は下記のとおりです。
5年生:9教科×25点満点⇒225点
6年生:9教科×25点満点⇒225点
合計450点を200点に換算します。
9教科:国語・算数・理科・社会・音楽・図画工作・家庭・体育・外国語
25点満点:成績表の3→25点・2→20点・1→5点で計算
適性検査600点
当日の適性検査は下記のように分かれています。
適性検査Ⅰ:100点満点→200点満点に換算(45分)
適性検査Ⅱ:100点満点→200点満点に換算(45分)
適性検査Ⅲ:100点満点→200点満点に換算(45分)
合計600点満点として計算します。
東京都立小石川中等教育学校の過去問の傾向と対策
概要が分かったところで、小石川中等教育学校の適性検査対策を問題ごとに見てみましょう。
※関連記事:都立の中学受験に合格できる問題集
適性検査Ⅰの対策方法:45分
つづいて、東京都立小石川中等教育学校適性検査の対策方法を見ていきましょう。
まず適性検査Ⅰから紹介します。適性検査Ⅰは国語の長文読解です。
この試験の方針は下記のように規定されています。
文章の内容を的確に読み取ったり、自分の考えを論理的かつ適切に表現したりする力をみる。
東京都立小石川中等教育中学校 適性検査問題等より
工芸作品や読書についての2つの文章(合計3-4ページほど)を読み、以下の問題に答えます。
(1)本文中の傍線部について、なぜそう言えるのかを解答らんに当てはまるように、本文中から20~30字以内で抜き出してください。
文章の内容を的確に読む
文章2つを読んで問題に答えるため、長文読解力を高いレベルで求められます。
これら3点を適切に捉えながら読む練習が必要です。
本文の内容をまとめる
前述のように、小石川中等教育学校では本文内容に関する問題が出されます。
- 筆者はなぜそう主張しているのか
- 筆者の主張を言いかえるとどのような内容か
これら2点を記述する練習と、そのための語彙力を高めるようにしましょう。
本文をもとに自分の意見をまとめる
適性検査Ⅰでは、本文内容をもとにして受験生自身の意見を400~440字で書かせる問題も出ます。
文章を読んでその内容を捉えるだけでなく、その内容を自分のこれからの生活や意見につなげていきます。
国語の授業でも、本文をただ読んで終わりにならず、「その登場人物はなぜそのような言動を取ったのか」「自分ならどうしていたと思うか」を言葉にする練習をしましょう。
適性検査Ⅱの対策方法:45分
適性検査Ⅱは算数・社会の資料問題です。
資料から情報を読み取り、課題に対して思考・判断する力、言葉・数などを用いて論理的に考え表現する力などをみる。
東京都立小石川中等教育中学校 適性検査問題等より
以下のような問題が出されます。
ご覧のように、小学生の日常生活でよくある場面での2人の児童の会話がはじまります。大抵、オリジナルのルールでゲームやプログラミングをするという場面設定がされており、まずそのルールや場面をしっかり理解するところから始まります。
この問題では花子さんと太郎くんの会話がA4用紙1.5枚分つづきます。ちょっとした国語の長文ぐらいの長さです。
問題文をすばやく読み取る
適性検査Ⅱではオリジナルの状況や設定がされ、その説明文(対話文)が長々とつづきます
問題文をはやく適切に読み取り、問題ごとに設定されている状況や条件を整理しましょう。
算数の計算スピードと正確性を高めておく
問題の解き方自体は割合など、通常の解法で十分です。ポイントは時間マネジメントです。
制限時間にくらべて問題量が多く、計算に時間を取られていると「取れるはずの問題」を解く前に時間切れになる恐れがあります。
計算練習を毎日行い、基礎学力を高めておきましょう。
社会のグラフに慣れる
社会の問題では以下のようなグラフがよく出てきます。
どれも初見のグラフなので、事前に内容を覚えておくことはできません。初見のグラフを見慣れておく必要があります。
新聞や社会の資料集でグラフが出てきたら、以下のような視点で考えてみましょう。
適性検査Ⅲの対策方法:45分
適性検査Ⅲは理科や算数の問題です。
身近な事象を通して、分析力や思考力、判断力などを生かして、課題を総合的に解決する力をみる。
東京都立小石川中等教育中学校 適性検査問題等より
適性検査Ⅰ同様に、以下のような対話文と資料をみて問題に解答します。
理科の知識を満遍なくつける
生物・地学・物理・化学の知識を満遍なくつけましょう。
知識を問う問題ではありませんが、苦手分野があると問題を解きづらくなります。
論理的に条件を整理する力をつける
適性検査Ⅲの算数は規則性の問題です。以下のような問題が出ます。
規則性は条件を論理的に整理して解く力が問われます。
前述の問題のように、数名の児童の発言内容を整理します。
『5分で論理的思考力ドリル』などが便利です。
5分で論理的思考力ドリル
また、数字ロジックやロジックパズルを使うと楽しく論理性や集中力を養えます。
※関連記事:子ども向けロジックパズル
公立中高一貫校対策のおすすめ問題集
適性検査の対策に便利な問題集を紹介します。
前述のように適性検査では思考力・分析力・表現力が求められており、それらの力をどう活かせばいいかを、問題演習をとおして身につけます。
『思考力で合格! 公立中高一貫校適性検査対策問題集』
算数的分野↓
思考力で合格! 公立中高一貫校適性検査対策問題集 算数的分野 (朝日小学生新聞の学習シリーズ)
理科的分野↓
考察力で合格! 公立中高一貫校適性検査対策問題集 理科的分野 (朝日小学生新聞の学習シリーズ)
社会的分野↓
分析力で合格! 公立中高一貫校適性検査問題集 社会的分野 (朝日小学生新聞の学習シリーズ)
出版社:朝日学生新聞社
特徴:
公立中高一貫校の教育方針に、将来、国際社会で活躍できるリーダーを育てることが
Amazonより引用
あります。リーダーには、身の回りの事象を数理的に分析・考察し、課題を解決する力、
課題を総合的に解決する力などが求められます。
算数分野の適性検査では、ものごとを数理的に分析・考察し、課題を解決する能力の
基礎が問われます。問題を解くためには、次のような力が必要となります。
●問題文を正確に読む力
●条件を整理し分析する力
●問題の本質や着眼点を見つける力
●解き方を工夫する力
●なぜ、そのような考え方、解き方で答えを求められるのか、理論的に説明する力
この本では、全国の適性検査から厳選した過去問をもとに、分野ごとに系統立てて、頻出問題の傾向と対策を伝授します。
中には難しい問題もありますが、これらの問題を解くことによって、一つひとつ求められる力を養ってください。
『公立中高一貫校 適性検査対策問題集』
資料問題編↓
公立中高一貫校 適性検査対策問題集 資料問題編 (公立中高一貫校入試シリーズAW04)
数と図形編↓
公立中高一貫校 適性検査対策問題集 数と図形編 (公立中高一貫校入試シリーズAW05)
生活と科学編↓
公立中高一貫校 適性検査対策問題集 生活と科学編 (公立中高一貫校入試シリーズAW06)
出版社:東京学参
特徴:
【 公立中高一貫校適性検査対策問題集 資料問題編 】解答解説付き
●全国の中高一貫校の適性検査の問題から、資料をもとにした問題(理科・社会分野)を選び出し、10パターンに分類。
●地図やグラフ・表の読み取りなど資料を用いた問題対策に。着眼点、考え方・解き方をていねいに示した例題と的確なヒントが参考になる練習問題です。
●各単元ごとに集中的に取り組み、問題のパターンを掴めるようになりましょう。苦手単元の克服にもおすすめです。自分の力で公立中高一貫校適性検査を攻略するための一冊
Amazonより引用
・公立中高一貫校適性検査必須の出題形式「資料を使って解く問題」を完全攻略
・実際の出題から良問を精選
・資料をもとにした問題を選び、10パターンに分類
・例題で考え方・解法を身につけ、豊富な練習問題で実戦力を養う
・複合問題にも対応できる力を養う
問題のボリュームが多く、6年生がさまざまなパターンをしっかり演習するのに適しています。
公立中高一貫校対策で塾に行くほうが良いのか
東京では公立中高一貫校の難易度が非常にたかいです。
塾に行って対策するほうが良いのかなと気になるご家庭も多いと思います。
家庭だけで取り組むことも可能ですが、ラスト1-2年は塾に行くほうが便利でしょう。
まず家庭で対策する
子どもが4年生くらいまでなら、まずご家庭で対策しておきましょう。
具体的には下記の3点です。
塾に行く場合でもこれら3点は実施しておくほうが良いです。
市販問題集に取り組んでみる
算数の先取り学習や国語の長文読解の勉強には市販の問題集も便利です。
解説が丁寧で分かりやすく、繰り返し練習できます。
また、記述問題の解答にはルールがあるので、問題集でしっかり覚えて慣れておくと良いでしょう。
※関連記事:中学受験国語の記述問題を解くコツと自宅でできる勉強方法
※関連記事:中学受験国語の記述対策問題集
5-6年生からは塾が便利
家庭学習に取り組まれていても、やはり5-6年生くらいになると塾で対策するほうが安心です。
必要な対策を網羅できますし、受検まで間に合うカリキュラムで勉強に取りくめます。
子どもによって得意・不得意は発生しますから、不得意内容については家庭で特訓するなどすると効果的に合格する力を養えます。
※関連記事:公立中高一貫校に向いている子・向いていない子の特徴:合格できる子になるための対策方法とは?
家庭学習のみで受検するならZ会が便利
もし塾には行かず家庭学習のみで受検されるなら、Z会が便利です。
5年生から受けられる公立中高一貫校対策専用コースがありますし、4年生までに受けられる講座でも論理性や課題解決力、作文力を養う内容が豊富です。
Z会 公立中高一貫校受検対策講座のご案内まとめ
いかがでしょうか。
東京都立小石川中等教育学校の適性検査について、過去問をもとに傾向と対策を紹介しました。
資料問題や記述問題がたくさん出てきます。論理性や記述力を高め、初見のグラフをみて内容を的確に読み取れる力を養っておきましょう。
また、問題文が長いため、速く正確に問題文を読んで解けるだけの基礎学力をつけておきましょう。
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