「どの模試を受けたら良いのかな?」
「模試の勉強ってどうすれば良いか分からない」
このような疑問を持っている中学生は多いのではないでしょうか。
模試は成績表の見方も活用の仕方も分かりにくく、結果に一喜一憂するばかりになりがちです。ですが、模試は高校入試に向けてとても大切な試験であり、上手く活用できれば効率よく成績を上げられます。
そこで、模試の成績表の見方(どこを見れば良いか)、模試の対策の仕方、模試を受けた後の活用の仕方を紹介します。
※関連記事:中学生に必要な勉強時間
模試とは?基本を押さえて効率的に活用しよう
まず、模試とは何なのかを解説します。
模試の種類と目的
模試(模擬試験)は、本番の試験に近い形式で実施される練習試験です。受験生にとって重要なステップであり、目的に応じてさまざまな種類があります。
たとえば、「塾内模試」はその塾に通っている同学年の生徒との学力比較ができます。範囲が限定されているので、個別の理解度を測るのに適しています。一方、「業者模試」はその都道府県のすべての生徒を対象に行われる模試で、対象範囲が広いので偏差値や志望校判定の参考に使われます。
模試を受けることで、現在の学力や弱点を把握できるだけでなく、試験本番に向けた実践的な準備が可能になります。
また、時間配分や解答順序の練習としても効果的で、受験生の心構えや集中力向上にも役立ちます。
学校の定期テストとの違い
模試と学校の定期テストには大きな違いがあります。
学校のテストは、最近の授業で習った内容の理解度を確認するために実施されるもので、出題範囲が限られており、学内での評価が主な目的です。一方、模試はより広い範囲をカバーし、都道府県内全域での順位や偏差値が出るため、受験における客観的な位置づけを知ることができます。
また、模試では志望校の合格可能性が判定されるため、受験生にとって進路選択の重要な指標となります。
この違いを理解しておくと、模試を受験するメリットを知って入試本番に向けた効果的な対策がしやすくなります。模試はただのテストではなく、受験全体を見すえた計画作りのためのツールです。
模試のメリット
模試にはいくつかのメリットがあります。
定期テストより広い範囲で現在の学力を把握できる
模試は中1のはじめから習ったすべての単元が試験範囲です。定期テストよりも広い範囲で学力を確認できます。
高校入試は中1~中3までの「全範囲」が出てくるため、定期テストだけでは「入試で問われる実力」は確認できません。
模試を受ければ広い範囲での学力を確認できます。
それまでの勉強の成果を確認して今後の学習計画に活かせる
模試に向ければ、それまで勉強した成果を確認できます。
問題集なら解けていた問題でも、模試になると間違うケースがよくあります。本当に問題を解けるようになったかどうか、制限時間内に速く・正確に解けるかを確認できます。
今の定着状況が分かれば、その後の勉強計画にも活かせます。
例えば以下のように勉強方法を見直すヒントになります。
模試の活用法については、この記事の後半で紹介しています。そちらも参考にしてみてください。
勉強のモチベーションを維持できる
模試を受けると、勉強のモチベーションを高めて維持しやすくなります。
普段からコツコツと勉強する習慣がついている人でも、勉強が惰性になったり(なんとなく作業的に問題を解いているだけになったり)、勉強の工夫をしなくなったりします。
模試を1回受けると、「良かった/悪かった」という自己評価が発生します。その自己評価が次の行動へのモチベーションにつながります。
結果が良ければ励みになりますし、悪ければ「どうすれば良くなるかな」と考え工夫するようになります。
さらに定期的に模試を受けると短中期的な目標ができ、次の模試に向けてほど良い緊張感を持ちながら勉強を続けられるようになります。
模試の受験前にやるべきこと
模試を受ける予定が分かれば、その受験前に以下のことをやっておきましょう。
目標を立てる
模試を有効活用するためには、受験前に目標を明確に立てることが重要です。
目標設定の第一歩は、自分の現在の学力を把握することです。その上で、「全体の偏差値を○○にする」「特定科目で○点以上を取る」など、具体的で達成可能な目標を設定します。
また、志望校の合格ラインやライバルの成績を意識し、目標を現実的かつチャレンジングな内容にしましょう。
目標を設定することで、模試の結果をただ受け止めるだけでなく、自分の成長や課題を明確にすることができます。さらに、目標を紙に書き出したり、スケジュールに組み込んだりすることで、受験勉強全体のモチベーションも向上します。
出題範囲を確認して効率的に準備する
模試の受験前には、必ず出題範囲を確認し、効率的に準備しましょう。模試は学校の定期テストよりも範囲が広い場合が多いため、重点を置くべきポイントを見極めましょう。
まずは、出題範囲が公表されている場合、その内容に基づいて自分の弱点を洗い出し、優先順位をつけて復習します。特に、苦手科目や頻出分野に時間をかけるのが効果的です。
また、模試での得点に直結しやすい基礎知識の確認も欠かせません。問題集や過去の模試を活用して、問題形式や出題傾向に慣れておくことも重要です。
事前準備をしっかり行うことで、模試の結果をより正確な実力測定として活かすことができます。
模試の成績表の見方
いざ模試を受けると、採点済の答案と一緒に「成績表」が渡されます。学校の成績表よりさまざまな種類の数字が書かれていて、どれを見ればよいのか分かりにくいかもしれません。
ざっと、以下のような項目があります。
このようにたくさん項目がありますが、すべてを見る必要はありません。
偏差値を見る
模試の成績表が渡されたら、まず「偏差値」を見ましょう。偏差値とは、「そのテストを受けた人たちのなかで、自分の成績がどうだったのか」を教えてくれる数字です。
さらに、成績表では「科目別の偏差値」「5教科/4教科/3教科の偏差値」も表示されていることが多いです。
科目別偏差値をみて、「成績の良かった科目」「良くなかった科目」を判断しましょう。
単元や大問別の得点率を見る
科目ごとの偏差値が分かれば、次の単元や大問ごとの得点率を見てみましょう。自身がどの単元で点を稼いで、どの単元で点を取りそこなったのかを具体的に把握できます。
例えば数学の「一次関数」で以下のような結果だったとします。
得点率 | |
自分 | 50% |
他の受験生平均 | 40% |
同じ第一志望の受験生平均 | 60% |
合格者(目安)の平均 | 70% |
「得点率50%」だと、学校の定期テストだと50点なので「良くない結果」と感じるかもしれません。ですがほかの受験生平均が40%なら、それを上回っているので「良い結果」と言えそうです。
ただし、第一志望校が同じほかの受験生平均が60%なら、得点率50%だと「良くない結果」になります。ほかの受験生と結果を比較できるのも模試の強みのひとつです。
では、どこまで一次関数を解けるようにすれば良いかというと、「合格者平均」(上記の表なら70%)を目標の目安になります。
このように、単元ごと(大問ごと)の結果をみて、どの単元をどこまで正解できるようにすれば良いかが、模試の成績表で分かります。
模試後に必ずやるべき3つのステップ
模試を受け終わったら、早速その後の勉強に活かしましょう。
問題を解きなおす
まず、答えや解説にさっと目をとおしてから解きなおしてみましょう。
試験中は間違えた問題でも、落ち着いて考えてみたら正解できることはよくあります。正しい解き方をくり返しアウトプットすると、脳が正しい解き方を学んでテストでもスラスラと思い出しやすくなります。
脳に正しい解き方を学習させるため、「正解できそうな問題」はすぐ解きなおしておきましょう。
苦手単元を問題集で復習する
解説を読んでもいまいちしっくりこない問題や単元もあるでしょう。そうした苦手単元は問題集を使って集中的に復習しましょう。例えば以下のような単元(範囲)を解けているかどうか、模試の成績表や答案用紙をみて確認してみましょう。
上記はテストでよく出てくる範囲です。苦手なものがひとつでもあれば、まずその範囲を集中的に勉強してみましょう。
以下に、各範囲の勉強に使える記事リンクを貼っています。
※関連記事:中学英語の文法一覧:三人称単数など中1、中2、中3で習う英文法のまとめと英語の勉強の仕方
※関連記事:高校入試数学のよく出る問題
※関連記事:数学の文章問題:高校入試でよく出る文章問題の解き方やコツを解説
※関連記事:【中学古文】高校入試によく出る古文単語と歴史的仮名遣いの一覧:練習問題でばっちり覚えよう!
※関連記事:中学理科の計算問題とおすすめの理科問題集:酸化銅、密度、濃度、地震、質量、圧力、物体の運動、仕事など
※関連記事:中2地理でよく出る一問一答問題(日本の地域的特色のまとめ):日本の自然環境や地域区分など
※関連記事:日本史の年表:縄文時代から昭和までの重要な出来事を年代順に一覧で紹介
模試の過去問を使って演習する
ひととおり苦手単元を復習しおえたら、模試の過去問を使って演習してみましょう。単元ごとなら解ける問題でも、模試のように広い範囲から出題されると解けなくなってしまうことがよくあります。記憶の定着がまだ不十分だからです。
模試は良問ばかりでつくられており、教材として非常に質が高いです。過去問を繰り返し解けば定着が進み、応用力を伸ばせます。
模試を受けるタイミングの選び方
自分で模試を申し込む際には、以下のようなタイミングがおすすめです。
中1や中2の長期休み前後に受ける
中1や中2から高校受験対策をはじめている人は、夏休みや冬休みの前後に受けておくのがおすすめです。長期休みに何を勉強すれば良いか、また勉強した内容が身についたのかを知ることができます。
中3夏以降は毎月受ける
中学3年生の夏以降が模試の本格的な活用期です。夏の模試は現在の学力を測り、志望校合格の可能性を知るための重要な指標となります。
また、多くの地域や塾では毎月のように模試があります。秋以降は志望校別の模試も増え、特定校の出題傾向に沿った対策が可能です。できるだけ、毎月模試を受けるようにしましょう。
実際の体験談から学ぶ模試の効果的な活用法
模試を効果的に活用して成績を伸ばした例には共通点があります。
模試の復習をくり返した中学生の例
ある中学生は、模試の復習を徹底することで志望校合格を果たしました。
この生徒は、模試終了後に問題と解答をすぐに照らし合わせ、間違えた問題をノートにまとめました。その際、なぜ間違えたのか、正しい解答を導くプロセスをノートに書き、次回の模試や学校のテストに活用しました。
また、模試の結果をもとに、重点的に学習する分野を決めることで、効率的な勉強が可能になったといいます。
このように、模試を単なる学力測定の場として終わらせず、復習や学習計画の改善に活用することで、大きな成果を上げられるのです。
成績を伸ばすために役立つポイント
模試を通じて成績を伸ばすためには、いくつかのポイントを意識することが重要です。
まず、目標を設定することです。模試の前に「数学で○点以上を取る」「偏差値を○○以上に上げる」など、具体的な目標を立てることで集中力を高められます。
次に、模試後の復習を徹底することです。間違えた問題や時間が足りなかった部分を分析し、改善策を練ることが大切です。
また、模試の結果をただ見るだけではなく、成績表から自分の弱点や伸びている部分を確認し、次の学習計画に反映させることが成績アップの鍵となります。
このように、模試を普段の学習計画に組み込むことが成功の秘訣です。
模試対策用の問題集の選び方
模試に向けて勉強するには、適切な問題集を選ぶと勉強が効率よく進みます。問題集の選び方(ポイント)を紹介します。
今の自分の学力に合うものを選ぶ
まず、今の自分の学力に合う問題集を選びましょう。簡単すぎるもの、むずかしすぎるものを使って勉強しても成果につながりにくいです。
基礎からしっかり勉強したいから基礎レベルのものを選んだところ、簡単すぎてスラスラ解けてしまった。難関校を志望しているから難問ぞろいの問題集を選んだら、解説を読んでもむずかしくて理解しきれない。といったことがよくあります。
大抵の問題集は問題のレベルが3段階に分かれています。1段階目は解けそう、3段階目はむずかしそうに感じるぐらいがちょうど良いです。
解説がくわしいものを選ぶ
問題の解説がくわしいものを選ぶようにしましょう。
解説がうすいものを選ぶと、公式が省略されていてなぜその解き方になるのか分からないこともあります。
公式やポイントを分かりやすく提示してくれているものや、途中式を省略せずに書いてくれているものを選ぶとひとりでも勉強しやすいです。
中学 自由自在問題集 理科: 基礎から難関校突破まで自由自在の実力をつけるスーパー問題集 (受験研究社)
実力アップ問題集 中3理科 (中学実力アップ問題集)
演習量が多いものを選ぶ
模試対策としては、問題量の多いものがおすすめです。問題量が少ないコンパクトなものもありますが、「分かったつもり」で終わってしまいがちです。
さまざまなパターンの問題が掲載されている問題集を選べば、応用問題にも早く慣れられます。
中学 自由自在問題集 理科: 基礎から難関校突破まで自由自在の実力をつけるスーパー問題集 (受験研究社)
苦手単元の克服には定期テスト対策用を使う
苦手単元があり、その克服をしたい場合には定期テスト対策用の問題集もおすすめです。
解説が丁寧で、基本的な知識や問題から勉強できます。
例えば以下のような問題集が定番です。
中学教科書ワーク 理科 3年 東京書籍版 (オールカラー,付録付き)
中学定期テスト 得点アップ問題集 中2理科 改訂版
難関校対策には私立過去問集を使う
難関高校を目指している人は、私立高校対策用の問題集を使うと役立ちます。
公立入試では必ずしも必要ではない細かい知識や解法も学べるので、結果的に応用問題の正答率が上がります。
最高水準問題集 高校入試 理科
模試に関する中学生向けQ&A
Q1. 模試って何のために受けるの?
A: 模試は、現在の学力を測るための試験です。自分の得意科目や苦手科目を知ることで、どこを重点的に勉強するべきかが分かります。また、志望校に合格できる可能性を確認する指標にもなります。
Q2. 塾の模試と業者模試はどう違うの?
A: 業者模試は都道府県単位での偏差値が算出され、多くの受験生と自分の学力を比較できます。一方、塾の模試は塾の授業進度や範囲に合わせて行われるため、普段の授業内容の理解度を確認するのに役立ちます。
Q3. 模試を受ける前に準備することは?
A: まず、目標を設定しましょう。「英語で80点以上取る」など具体的な目標を立てると、集中力が上がります。また、模試の試験範囲を確認して、特に苦手な分野を重点的に復習しておくと良いです。
Q4. 模試の結果が悪かったらどうすればいい?
A: 模試の結果が悪くても落ち込む必要はありません。結果を分析して、どの分野が弱いのかを確認しましょう。その上で、間違えた問題を解き直し、同じミスを繰り返さないようにすることが大切です。
Q5. 模試の復習ってどうやればいいの?
A: 模試の復習は、間違えた問題を中心に行います。なぜ間違えたのかを分析し、正しい解き方を理解することが重要です。また、分からない単語や公式はノートにまとめて、何度も見返すと記憶に残りやすくなります。
Q6. 模試を受けるタイミングはいつがいいの?
A: 中1や中2の間は長期休みの前後に受け、中3夏以降は毎月受けましょう。特に中3夏・秋は志望校合格に向けた実力を知るために最適な時期です。
Q7. 模試を選ぶポイントは?
A: 志望校のレベルや目的に合った模試を選びましょう。志望校の出題傾向に特化した模試や、全国規模の模試で偏差値を確認できるものなど、自分の目標に合った模試を選ぶことが大切です。
Q8. 模試で緊張してしまうけどどうすればいい?
A: 緊張するのは誰でも同じです。本番のような模試の雰囲気に慣れるため、模試を何度も受けると気持ちが落ち着いてきます。また、模試を「練習の場」と考え、リラックスして臨むと良い結果が出やすくなります。
Q9. 模試の結果で志望校が「不合格圏内」と出たら?
A: まだ時間があるなら、今からでも逆転可能です。模試の結果を基に苦手分野を特定し、重点的に対策しましょう。また、担任の先生や塾の講師に相談して勉強法を見直すのも効果的です。
Q10. 模試を受けるのは何回くらいが良いの?
A: 高校受験では、中3の1年間に最低でも3回は模試を受けると良いと言われています。最初は現状把握のため、2回目は中間チェック、3回目は本番直前の力試しとして活用します。
中3になれば短期間で受験勉強がどんどん進むため毎月受けるのがおすすめです。
まとめ
いかがでしょうか。中学生向けに、模試の活用の仕方を紹介しました。
模試を受ける前の勉強の優先順位、模試対策用の問題集、成績表の見方、模試後の勉強の仕方について説明しています。
模試は実力把握だけでなく、模試後の勉強に活用できるというメリットがあります。定期的に受けて高校入試に向けた勉強に活かしましょう!
コメント