「評定って何に使うのかよくわからない」
「大学受験の勉強って高3になってからが大事だよね」
このように思っている高校生は多いのではないでしょうか。
定期テストの点数にくらべて評定はなかなか重視されませんが、実は大学受験にかなり影響します。
そこで、下記の4つの内容を紹介します。
- 評定とは何か
- 評定はどのように計算するのか
- 評定と大学受験の関係
- 評定の上げ方
推薦を考えている人は特に評定についてくわしく知っておき、計画的に上げるようにしましょう。
※関連記事:指定校推薦とは?
以下のリンクは難関大学受験に強いZ会の案内です。
Z会 高校講座の案内
※関連記事:【高校生向け】Z会だけで難関大学に合格する方法:予備校より安くて難問対策に強い
評定平均とは
高校生になると「評定」という成績評価がつけられるようになります。高校生活だけでなく大学進学に関わる大切な成績です。
高校3年間の成績
評定とは高校3年間の成績です。校内の成績というだけでなく、大学進学にも関わります。
5段階評価
評定は1~5までの5段階で成績が示されています。1が一番評価が低く、5が一番評価が高いです。
一般に「良い成績」というのは「4以上」だと思っておいてください。
特にここでは「大学進学」に関係する範囲内で解説します。
高1から高3の1学期までの成績
評定平均は、「高1の1学期」から「高3の1学期」までの成績が関わります。
高校入試だと中3の一年間だけという地域もありますが、高校の評定平均は全国どこでも高1の始めから高3の夏休み前までです。
成績評価の3つの観点
2022年からの学習指導要領では、以下の3つの観点が明示されています(文部科学省「新しい学習指導要領の考え方」より)。
- 学びに向かう力・人間性等
- 生きて働く知識・技能
- 思考力・判断力・表現力等
この3つの観点は現時点では点数化されない方針ですが、指導要領で決められているわけですから成績評価に全く関係しないとは言えないでしょう。
具体的には、下記の3つが特に評定に関わります。
- 定期テストの成績
- 授業中の姿勢
- 部活などの活動
高3になってから評定平均を上げるのは大変
前述のように評定は高1から入りますし、高3まで評価の重みも同じです。
3学期制の学校なら年に5回定期テストがあります。高1で5回、高2で5回、高3は1学期のみで2回。合計12回です。
高3では全12回の定期テストのうちたった2回しかありません。高校入試なら「中3で取り返す」ことも可能ですが、大学入試だと高3になってから取り返すのはあまり現実的ではないことがわかります。
評定平均の出し方
評定平均について分かったところで、実際に評定平均を計算してみましょう。
各学年の全科目の評定を平均する
評定平均の算出方法は単純です。学年ごとの全科目の評定の平均が「評定平均」になります。
ちなみに、口頭では「評定平均」ではなく「評定」で済ます場合もあります。「評定はいくつ?」のように。
この場合の「評定」は「評定平均」を指しています。
評定平均の計算例
評定平均の計算の仕方を例に取って説明します。
下記の表をご覧ください。高1の成績が下記のとおりだったとします。
科目名 | 英コミュ | 論表 | 数Ⅰ | 数A | 現代の国語 | 言語文化 | 物理基礎 | 生物基礎 | 地理総合 | 歴史総合 |
評定 | 4 | 4 | 5 | 5 | 4 | 3 | 5 | 4 | 4 | 4 |
全10科目で評定の合計は42です。下記のように計算して評定平均を出します。
42÷10=4.2
高1での評定平均が4.2になると分かります。
高2で12科目46だとすると、高1・高2での評定平均は下記のようになります。
(42+46)÷(10+12)=4.0
高1・高2それぞれの評定の合計を科目数で割って算出します。
高2の評定を2倍3倍するといった傾斜配点はありません。高1の最初から定期テストをがんばった人が有利になるのです。
※関連記事:【高校生】定期テストで90点以上を取れる勉強方法
大学進学に評定平均が重要な理由
それでは、大学入試でどのように評定が活用されるのかを説明します。
公募推薦・総合型選抜の出願条件になる
評定は公募推薦や総合型選抜入試の出願条件になります。大学や学部ごとに定められている評定平均を取っていないと、そもそも出願できません。
高1や高2時点ではまだまだ志望校・志望学部を選んでいる人が大半ですが、高3になって行きたい大学学部が決まって推薦をもらいたいと思っても評定平均が足りていないと出願できない場合もあります。
必要な評定は大学や学部によって異なりますから、できるだけ上げておくことが大切です。
例えば筑波大学は情報学群知識情報・図書館学類では4.0以上必要で、それ以外の学群・学類では4.3以上必要です(最新の出願条件は各大学HPでご確認ください)。
もちろん評定が出願条件を越えていても合格になるわけではありません。大学によって異なりますが、評定平均に加えて共通テストの点数や大学での試験で合否が決まります。
評定平均が決定的な項目ではないとはいえ、入試で同じ点数だった場合は評定平均の高い受験生が合格になると言われています。少しでも評定平均を上げておくほうがいいですね。
指定校推薦をもらえる
学校からの推薦のなかでも指定校推薦という制度があります。これは非常にお得な制度で、「推薦をもらえればほぼ100%合格が決まります」。
総合型選抜などと違い、共通テストや大学での入試を受ける必要がありません。高校から推薦をもらえたら、志望理由書を書いて面接を経て合格が決まります。
そのため、指定校推薦を狙っている人にとって評定は入試の点数と同じ意味合いを持ちます。高校入学前から指定校推薦を希望している人も多く、定期テストの勉強を入試と同じように一生懸命に取り組んでいます。
※関連記事:指定校推薦とは?
※関連記事:指定校推薦は欠席何日まで大丈夫?
推薦入試で加算される
評定平均は公募推薦でも役立ちます。
英語や数学といった当日の筆記試験に加えて、高校での評定平均を10倍するなどして入試得点に加算してくれる入試制度を設けている大学は多いです。
例えば、「英語100点+評定平均×10点」といった得点化がされます。評定平均が3.0の受験生と4.0の受験生では入試得点に10点の差が生まれます。合否のボーダーライン上に何人もの受験生がひしめいているのが普通ですから、最初からほかの受験生より10点高いと圧倒的に有利ですね。
実力を伸ばすための土台になる
「定期テスト対策と受験対策は別」と言われることがありますが、定期テストの勉強は実力をつけるための土台になります。定期テストで正解できていれば、復習をしたり応用問題にチャレンジしたりすれば実力アップをしやすくなります。
指定校推薦は必ずもらえるわけではありませんし、公募推薦はほぼ実力勝負です。
高い評定平均を取れるくらい日ごろからコツコツ勉強しておくと、いざ受験勉強を本格化したときに実力を伸ばしやすいです。
評定平均は4.0以上を目指そう
評定平均4.0以上を目安にしましょう。大学・学部によって求められる評定は異なりますが、前述の筑波大学で4.0以上か4.3以上、上智大学で4.0以上を求められるなど、多くの上位大学では4.0以上が基準です。
大学によっては特定科目を重視
大学によっては出願条件として、「全体の評定平均」と「特定科目の評定平均」を分けているところもあります。
例えば上智大学・文学部・英文学科は「全体の評定平均が4.0以上及び英語が4.5以上」を出願条件としていますが、経済学部・経済学科では「全体の評定平均が4.0以上及び数学が4.5以上」としています(上智大学HPより)。
大学・学部・学科によってさまざまですし、年度によっても変わります。必ず志望校のHPを見て最新の情報を確認しておきましょう。
難関大学を目指している人にはZ会がおすすめです。下記のPRリンクから資料請求ができます。
難関大学の受験対策なら Z会の通信教育※関連記事:【高校生向け】Z会だけで難関大学に合格する方法
評定平均を上げる方法
ここまで、評定平均とは何か、何に使われるかを説明してきました。ここからは評定平均を上げるための方法を4つお伝えします。
定期テストで高得点を取る
評定平均を上げる1つ目の方法は「定期テストで高得点を取ること」です。評定は定期テストの点数だけで決まるわけではありませんが、かなりの比重を占めます。
推薦を考えている人は必ず、「定期テスト対策」に力を入れるようにしましょう。おおむね、80点以上取っていれば評定4になります。
※関連記事:【高校生】定期テストで90点以上を取れる勉強方法
高校の評定3、4、5は定期テスト何点からか(目安)
評定平均はほぼ定期テストの点数で決まります。以下に、定期テストで何点取れば評定平均がいくらになるかをまとめています。
評定3…定期テスト45 点~ 64 点
評定4…定期テスト65 点~ 79 点
評定5…定期テスト80 点~100 点
高1の最初から定期テスト対策をしておく
前述のように、評定平均は高1から入ります。その最初の中間テストから高得点を取れるようにテスト対策をしましょう。
高校受験をする(した)人は高校入学前から、中高一貫校の人は高1になる直前の春休みから次学期の予習をしておくほうがいいです。
高校の勉強はこまめな予習・復習が必須です。なかでも復習の頻度が大切です。授業前日に予習しておけば学校の授業が「復習」になるため、効率よくテスト勉強ができるようになります。
高3の1学期まであきらめずに取り組む
現在高2や高3の人で評定が4.0未満の人も、高3の1学期まであきらめずにテスト対策に取り組みましょう。高3の1学期まで評定平均に入りますから、0.1でも上げられればそれが活きるケースもありえます。
指定校推薦をねらっている人は特に、最後まで「評定を上げる努力」をし続けましょう。4.5あるから大丈夫だろうと思っていたら、同じ大学・学部で希望を出したライバルが4.6だったという場合もあります。
逆に、3.5しかないから推薦は無理だろうと思っていたらたまたま強力なライバルがおらず、法政大学や関西大学の推薦をもらえたという場合もよくあります。
積極的な授業態度を取る
評定には定期テスト以外に普段の授業態度も入ります。
- 授業中にノートを取る姿を先生に見せる
- 先生が説明しているときは先生の目を見て聞く
- 説明が理解できたらうなずく
- 授業後に定期的に質問に行く
これらの行動を取るようにしましょう。特に、「うなずく」のは重要です。
先生も人間ですから、説明しているのに生徒からの反応がなければ不安になります。寝ている生徒や明らかに集中していない様子の生徒もいます。
そんなときに説明に対してタイミング良くうなずいてくれる生徒は極めて好印象です。「ちゃんと理解できているようだな」と安心できます。
単に首を小さくタテに振るだけでなく、肩からうなずくようにするとさらに印象づけられます。
副教科も手を抜かない
5教科だけでなく、副教科もがんばりましょう。評定平均は「全科目均等」です。5教科で好成績を取っても副教科で下げてしまっては効果半減です。
副教科も4以上を取れるように、提出物をちゃんと出すなどしておきましょう。
部活・生徒会活動をがんばる
高校生活での「積極性」は大きくプラス評価になります。学校は勉強だけする場所ではありません。部活や生徒会活動はかなりプラスになる可能性があります。
部活なら全国大会に出場するか主将を目指すなどしましょう。また、生徒会活動を高校3年間のどこかでしておくと、合格に近づく大学もあります。
ただし、生徒会役員は選挙でえらばれますから、希望したからといって必ずできるわけではありません。その点には注意しましょう。
コース選択・文理選択に注意しよう
最後に、推薦を考えている人は「高校のコース選択」と「文理選択」に注意しましょう。選択の仕方次第で有利にも不利にもなります。
場合によっては所属コースを下げる
指定校推薦を取りに行くに明確に決めている人は、場合によっては所属コースを下げることも検討してみましょう。
評定は学業が大きく影響しますから、学力の高い上位コースのほうが推薦をもらいやすいと考えている人が多いです。実は、多くの私立高校では上位コースの生徒のほうが推薦をもらいにくいです。
ほとんどの高校では上位大学の合格・進学実績を重視しています。なかでも有名大学の実績は高校にとって死活問題です。
有名大学の実績数を稼いでくれるのは上位コースの生徒です。推薦で「私立大学の合格を1つ」取るよりも、一般選抜で「国公立大学1つ+私立大学3-4つ」の合格を取ってくれるほうが高校にとってはありがたいです。
そこで上位コースに指定校推薦の枠をあまり回さない高校もあります。あるいは、上位コースにも指定校推薦の枠を回しても、あまり使えないという事情もあります。
上位コースの平均くらいの成績の生徒と中位コースの上位の生徒では、学力は上位コースの平均の生徒のほうが高いのが一般的です。ですが、評定平均は中位コースの成績上位の生徒のほうが高いです。
コース内での成績で評定が計算されるからです。
このため、上位コースの生徒が一般選抜で偏差値55くらいの大学に合格して、中位コースの生徒が偏差値60くらいの大学の指定校推薦をもらったという例が毎年たくさんあります。
もちろん、偏差値だけで大学入試の成功・失敗が決まるわけではありません。ですが、志望している大学に一般選抜で届かなかったのに、自分より模試の偏差値が低い生徒が指定校推薦で合格しているのを見ると、不公平感を感じてもおかしくありません。
指定校推薦での大学進学を強く希望するなら、あえて所属コースを下げるという選択肢も重要な受験戦略です。
文系理系で得意・不得意科目が変わる
高1の終わりに文理選択があります。高2以降、文系に進むのか理系に進むのかを決めるものです。
※関連記事:【文理選択の仕方】大学の決め方は?
行きたい学部や将来やりたいことが決まっていれば文理選択で悩まないでしょうが、ほとんどの高1生はそこまで決まっていません。
- 理系のほうが年収は高そう
- 理系のほうが仕事は安定しそう
といった理由で理系を選ぶ人も多いですが、その前に大学受験があります。学歴はいまでも就職活動に大きく影響します。
数学が苦手なのに「理系のほうが将来良さそうだから」と理系を選ぶと、数学の評定が足を引っ張って希望する大学の推薦入試に出願できないといったことも起こり得ます。
得意・不得意科目がはっきりしている場合は、自身の評定平均を計算するなど慎重に文系理系を選択しましょう。
※関連記事:指定校推薦で落ちるのはどんなとき?
難関大学を目指している人にはZ会がおすすめです。下記のPRリンクから資料請求ができます。
難関大学の受験対策なら Z会の通信教育※関連記事:【高校生向け】Z会だけで難関大学に合格する方法
まとめ
高校の評定について説明しました。
評定は高1の1学期から高3の1学期までの成績などで決まります。副教科も含めた全科目の評定を平均して求めるので、どの科目も高1のはじめから定期テストに一生懸命取り組みましょう。
また、部活や生徒会活動をがんばると評定にプラスになります。推薦を考えている人は、「定期テスト」「授業態度」「部活や生徒会活動」を積極的にがんばりましょう。
以下のリンクは難関大学受験に強いZ会の案内です。リンク先で資料請求ができます。
Z会 高校講座の案内
※関連記事:【高校生向け】Z会だけで難関大学に合格する方法:予備校より安くて難問対策に強い
また、推薦入試や後期試験で小論文が入試科目になっていることがよくあります。共通テスト対策をしながらでも小論文の対策も週1~月2くらいではしておきましょう。
推薦をもらえるようにするには学校の評定平均を4.0以上にしておくほうがいいです。定期テストで80点、90点を目指してがんばりましょう!
※関連記事:合格を取れる小論文の書き方のコツを例文付きで解説!最短3週間で間に合います!
※関連記事:医療・看護・保健学部の小論文過去問
※関連記事:教育学部の小論文過去問
※関連記事:高校の評定の出し方と上げ方:大学受験に評定が重要な理由
※関連記事:【高校生】定期テストで90点以上を取れる勉強方法
【下記リンクは大学受験小論文の専門指導を受けられる予備校のPRです。ちょっとお高いですが、「短期間でなんとかしたい!」という方向けです。】
小論文専門の個別指導塾・予備校「翔励学院」
コメント