「奈良時代は短くて印象に残らない」
「何を覚えればいいか分からない」
このように奈良時代の勉強で困っている中学生は多いのではないでしょうか。
奈良時代は710年~794年までの80年間ほどの短い時代です。その後に平安時代という長い時代が到来することもあり、印象がうすい時代かもしれません。
そこで、奈良時代の年表をつかって奈良時代の出来事や人物を確認し、流れを解説します。
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奈良時代はいつからいつまでか
奈良時代は710年から794年までです。平城京遷都(710年)から、平安京遷都(794年)までです。
奈良時代まで都は奈良にありましたが、平安京遷都以降は現代にいたるまで京都になっています。
奈良時代の年表
710年 | 平城京に遷都される |
718年 | 『養老律令』が藤原不比等らによって撰定される |
723年 | 三世一身法が制定される |
729年 | 長屋王が謀反の疑いで自害する(長屋王の変) |
740年 | ・藤原広嗣の乱が起こる ・聖武天皇が恭仁京の建設を開始する |
741年 | 国分寺建立の詔が発布される |
743年 | ・大仏造立の詔が出される ・墾田永年私財法が施行される |
752年 | 東大寺大仏の開眼供養が行われる |
753年 | 唐より鑑真が来日する |
757年 | 橘奈良麻呂の変が起こる |
758年 | ・淳仁天皇が即位する ・藤原仲麻呂が「恵美押勝」の名を賜る |
764年 | ・藤原仲麻呂の乱が起こる ・孝謙上皇が重祚して称徳天皇が即位する ・淳仁天皇が淡路に配流される(淡路廃帝) |
769年 | 宇佐八幡宮神託事件が起こる(道鏡が天皇になり損ねる) |
784年 | 長岡京に遷都される |
785年 | 藤原種継が暗殺され、早良親王(桓武天皇の弟)が流罪となる |
奈良時代の出来事
奈良時代の出来事・流れを説明します。
なお、内容は山川日本史探求教科書をもとにしています。
詳説日本史 日本史探究 【日探705】 山川出版社81 文部科学省検定済教科書 高等学校地理歴史科用 高校教科書 歴史 高校生
710年平城京遷都
奈良時代は710年平城京に遷都したことからはじまります。持統天皇の妹である元明天皇の治世からスタートします。
平城京は「唐の長安」をまねて造られました。都の中央に「朱雀大路」という南北に走る大通りをつくり、その周辺を碁盤の目のように区切って町がつくられました。「条坊制」というつくりかたです。
723年三世一身の法で「公地公民制」がくずれる
古代では、土地も人民もすべて天皇のものであるという「公地公民制」が原則でした。ところが、723年の三世一身の法でこの原則がくずれます。
自分で切り拓いた土地は3世代にわたって所有していいという法で、土地の私有を認めるものでした。
この制度が施行された背景には、「人々の開墾意欲低下」と「日本国内の人口増加」があります。
それまで「班田収授法」という、朝廷が所有している土地(=口分田)を人民に貸す制度がありました(その人が亡くなったら土地は朝廷に戻される)。
朝廷に返さないといけない土地を一生懸命に耕さないといけないため人々のモチベーションが低下し、朝廷の収入は減っていきました。しかも、人口が増えるにつれて人民に貸し出せる土地が乏しくなってきました。
そこで、農民に自発的に開墾用の土地を増やしてもらおうと三世一身の法を出しました。自分で新たに増やした開墾地は孫の代まで所有して構わないとしました。
743年墾田永年私財法が出される
開墾地を増やそうとして三世一身の法が制定されましたが、思ったほど増えませんでした。3世代後(孫の世代)には返却しないといけないため、人々の開墾意欲がそれほど上がらなかったためです。
そこで朝廷は墾田永年私財法を出して、「永久に自分の土地にして良い」としました。
これである程度朝廷の収入は持ちなおしましたが、平安時代になってさらに問題は大きくなっていきました。
仏教の力で国を治める聖武天皇
奈良時代の天皇のなかでも、特に重要なのが聖武天皇です。
聖武天皇は子どものころから「将来天皇になるべき人」として育てられました。ところが成人して天皇に即位すると、近親者で政治的にも大きな味方であった長屋王が反逆の罪で自害します(729年長屋王の変)。
さらに政治的有力者であった藤原広嗣が反乱を起こし(740年)、聖武天皇にとって心の休まらない時期がつづきます。
それもあってか、聖武天皇はたびたび遷都したり、お寺や大仏の建立で国を鎮めようとします(国分寺建立の詔、大仏建立の詔)。東大寺法華堂や東大寺伝法堂、唐から鑑真をまねいて建立した唐招提寺もその一例です。
聖武天皇の死後、光明皇后が外国交易で得た宝物を正倉院におさめ、聖武天皇の功績が世に残るようにしました。
僧・道鏡による天皇位簒奪(さんだつ)の試み
古代では蘇我氏や藤原氏など、天皇と密接な関係をきずいて権力をにぎった豪族や貴族がいました。奈良時代には自らが天皇になろうとした人物すらいました。それが僧である道鏡(どうきょう)です。
道鏡が出てきたころは藤原仲麻呂が孝謙上皇に信頼されていました。孝謙上皇の病を道鏡が治したことで、道鏡は孝謙上皇の信頼を勝ち取ります。
逆に信頼を失っていった(政治力が低下した)藤原仲麻呂は起死回生のために反乱を起こしますが失敗します(藤原仲麻呂の乱)。さらに孝謙上皇による道鏡への信頼に不安を抱いていた淳仁天皇が孝謙上皇の命令で淡路に配流されます(淡路廃帝)。
道鏡は孝謙上皇(重祚して称徳天皇)の信頼をバックに、「次の天皇」になろうと画策します。しかし、朝廷の臣下の機転で道鏡は天皇になることができませんでした(宇佐八幡宮神託事件)。
この事件は朝廷の貴族や皇族に大きな衝撃を与えることになりました。僧がお寺の中だけでなく朝廷でも巨大な政治力を持ち、天皇位すら奪いかねない状態になったからです。道鏡以降も、同じような僧が現れないとは限りません。
その後に京都への遷都(平安京)がなされたのも、奈良の伝統的な寺院による朝廷への影響力を小さくするためという目的もありました。
歴史書や歌集の編纂(さん)
奈良時代には重要な歴史書物や歌集がいくつか完成しています。
代表的なものは以下のとおりです。
これらの歴史書や歌集は、「天皇がいかに尊い存在であるか」「天武天皇とそれ以降の天皇の正当性」を示すためにつくられました。
これほど素晴らしい業績を残してきた一族なのだからみんな言うことを聞きましょう、というアピールです。
日本史(歴史)の勉強で年表を使うメリット
中学歴史や高校の歴史総合、日本史探求では「年表」使って勉強するといくつかメリットがあります。
スタディサプリENGLISH(新日常英会話コース)歴史の流れを把握できる
何よりも、年表をみながら勉強すると歴史の流れを把握しやすくなります。
日本史は縦の流れ(古い順に何が起こったか)が重要です。年表は重要な出来事を順番に掲載しているので、「何が起こったか」だけでなく「どの順に起こったか」も分かります。
重要な出来事を効果的に覚えられる
定期テストや入試の勉強で必要なのは「効率的」「効果的」な勉強です。短時間で「大切なことだけ」覚えると高得点につながります。
その点、年表には重要な出来事のみ書かれてあるので、「何を覚えれればいいか」が一目瞭然です。
テスト直前に年表をみて総チェックもできます。
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記述問題の対策に役立つ
年表は記述問題の対策にも役立ちます。
中学校の社会のテストや高校の歴史総合、日本史探求のテストでは「なぜその出来事が起こったのか?」「その後にどのような影響があったのか?」を記述する問題が良く出てきます。
年表は出来事が順に載っているので出来事の関係性を考えやすいです。
年表をみながら記述問題の解答を確認するとさらに効果的です。
※関連記事:日本史の論述問題と解答例
まとめ
いかがでしょうか。
中学生や高校生向けに奈良時代の年表を紹介し、奈良時代の出来事や重要ポイントを解説しました。
奈良時代は710年(平城京遷都)から794年(平安京遷都)までの約80年間です。その間、三世一身の法や墾田永年私財法で律令制がくずれる一方、日本書紀や古事記の編纂で天皇の正当性をアピールし、東大寺大仏や国分寺の建立など仏教の力で国を治めようとしました。
短期間の時代でしたがテストによく出るポイントはいくつもあります。年表をつかって出来事の順番や流れもしっかり覚えておきましょう!
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