大阪にある公立中高一貫校の適性検査対策をお伝えします。
大阪では私立中学だけでなく公立中高一貫校も人気があります。
そこで、この記事では富田林中学校の入試情報を紹介し、適性検査の傾向と対策を説明します。
6年間の教育環境だけでなくその後の進路にも大きな影響を与える受検ですから、しっかり情報収集して対策したいですね。
※関連記事:公立中高一貫校の魅力とは:学校の種類や入試制度について解説
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※関連記事:Z会中学受験コースだけで難関中学に合格する方法
大阪には3校の公立中高一貫校があります。
富田林中学校の入試対策について、概要から紹介します。
富田林中学校の偏差値は64です(シリタスより)。
ただし、公立中高一貫校の偏差値は参考程度にとどめておきましょう。当日の問題によって大きく得点が変わります。
±10くらいの幅で捉えるほうが良いでしょう。
富田林中学校の進学実績は下記のとおりです。
国公私立大学(一部) | 現浪 | 現役 |
京都 | 2 | 2 |
大阪 | 13 | 11 |
神戸 | 6 | 6 |
大阪公立 | 22 | 21 |
大阪教育 | 4 | 3 |
関関同立近 | 425 | 399 |
※最新の状況はHPなどでご確認ください。
富田林中学校の選抜方法を確認します。
適性検査と作文の結果で合否が決まります。配点は下記のとおりです。
配点は下記のとおりです。
適性検査Ⅰ(45分):100点
適性検査Ⅱ(45分):100点
適性検査Ⅲ(45分):100点
作文(30分):60点
4つとも受検してその得点を合計します。
小学校で習得される基礎的・基本的な知識・技能、思考力・判断力・表現力、中高一貫校で6年間学び続けていくことができる意欲・適性等をみること
大阪府教育委員会 府立中学校入学者選抜方針より
概要が分かったところで、富田林中学校の適性検査対策を問題ごとに見てみましょう。
まず適性検査Ⅰから紹介します。
適性検査Ⅰは国語・英語の問題です。
富中の適性検査Ⅰでは国語の長文読解が3題出ます。
おおむね、下記の3種類です。
長文読み取りに必要な知識や能力を問う問題で、小学校の国語のテストと大きく変わりません。
初めてみる長文を読み(長さは普通の小学校のテストよりやや長いくらいです)、問題に答えます。
問題は以下のような種類がメインです。
なお、記述問題の字数は「25字以内」が2問程度、「45字以内」が1問程度です。
富田林中学では英語が必出です。
リスニング問題中心で、英語の音声を聞いてその内容に合うイラストや英単語を選択します。
例えば、下記のようなイラストが出てきます。部屋の様子を説明する女性の音声(英語)が流れ、その音声の内容に合うイラストを選びます。
イラストは問題ごとに4種類あり、上記の例だと「ネコの位置」が異なるイラストが並びます。
英語のレベルはおおむね英検5級までです。
適性検査Ⅰの国語は通常の長文読解問題です。
問題集を使って「読み方」「解き方」をマスターしておきましょう。
上記のような解き方を身につけておくと、得点を取りやすくなります。
長文問題のなかでも、「記述問題の答え方」は特にしっかり練習しましょう。
記述問題を苦手にしている小学生は多く、しかも学校では「記述問題の答え方」を習わないことが多いです。
問題の問われ方によって、回答の文末を下記のように答えるというルールがあります。
知っておくと正しく答えて減点を防げます。
※関連記事:中学受験国語の記述問題を解くコツと自宅でできる勉強方法
富田林中学の英語は英検5級全部で629語の英単語リストが公表されています。その単語の発音とつづり・意味を覚えておきましょう。
私立中学では英検3級レベルの英語入試もめずらしくはありませんが、富田林中学は公立中なので小学校で習う範囲に限定されます。
リスニング問題は、音声が流れはじめる前に問題をよく見て「何を聞き取れば良いのか」を事前に見つけておきましょう。
例えば前述の「部屋の様子」のイラストでは、「ネコの位置」さえ聞き取れれば正解できます。イスや机の話は聞かなくても大丈夫です。
このような「先読みテクニック」は英検対策では常とう手段です。そのため、英検5級に合格している人にとってはかなり高得点を見込める問題です。
※関連記事:英検5級のリスニング対策
※関連記事:英検5級の問題集
つづいて、適性検査Ⅱの出題傾向と対策を紹介します。
適性検査Ⅱは理科・社会の問題です。
富中の適性検査Ⅱでは社会が出題されます。社会は地理・歴史の融合問題がよく出てきます。
例えば、「キャベツ」を題材として取り上げた問題では、キャベツが西洋から伝わったという話の流れから日英同盟などの歴史の選択問題が出ています。
また、キャベツの生産が天候の影響を受けることから、時期別の取扱量や月別平均価格の資料が提示され、その資料をみて「取扱量」と「価格」の関係性を50字以内で記述する問題も出ています。
適性検査Ⅱでは理科の実験もよく出題されます。
実験は小学校の理科でおなじみの発芽の実験などもあれば、小学生になじみのうすい実験も出てきます。
例えば、温度によって油の位置が変わるような仕組みにした温度計が紹介され、そこから以下のようなオリジナルの温度計が登場します。
この温度計を使って、以下の表のア~エから温度変化によって油の位置が最も大きく変わるものを選択する問題が出ています。
ア | イ | ウ | エ | |
ガラス管の種類 | 0.2cm2 | 0 cm2 | 0.8 cm2 | 0.8 cm2 |
装置に入れる水の体積 | 250cm3 | 200 cm3 | 200 cm3 | 150 cm3 |
装置に入れる空気の体積 | 0 cm3 | 50 cm3 | 50 cm3 | 100 cm3 |
適性検査Ⅱの最後は、理科・社会の教科横断の思考力問題が出てきます。
例えば、下記のような流れで問題が進んでいます。
月の満ち欠けの問題
↓
街灯の柱の影の長さとランプに太陽が直接当たらない部分の照合問題
↓
光が当たらないときにだけ明かりがつくオリジナルのランプの問題
このように、理科・社会の基礎知識の問題と、その知識や周辺知識を活用した応用レベルの問題が出てきます。
まず、理科・社会で苦手分野をつくらないようにしましょう。
富田林中学校の適性検査Ⅱは応用問題も出てきますが、知識問題も少なくありません。
知識問題は小学校の普通のテストと変わらない難易度です。ここでしっかり点数を取っておきたいです。
苦手分野が1つもない状態にしておけば、どの分野が出題されても点を取りやすくなります。
理科や社会の問題では、小学校の勉強で見たことのない地図や資料も出てきます。45分という限られた時間のなかで10種類ほどの資料を見て問題を解く必要があります。
地図や資料を見て、その内容を速く・的確に把握する練習をしておきましょう。
地図に慣れるにはgoogle mapと実際の地形とを見比べると良いでしょう。地図の方位表示など表記の仕方も理解しやすくなります。
つづいて、富中の適性検査Ⅲの出題傾向と対策を紹介します。
適性検査Ⅲは算数の問題です。
適性検査Ⅲは算数の基礎知識のおさらい問題からはじまります。
出題範囲は広く、下記のような問題です。
いずれも小学校で習う基礎レベルの問題です。
算数の基礎問題が数問つづいた後で、思考力問題が登場します。
例えば、下記のように4つの立方体を組み合わせた形の異なるブロックが8つあります。
これらのブロックの表面積を求める問題につづいて、以下のような記述問題が出てきます。
問題に提示されていた8つのブロックをどのように組み合わせても、図3のような立方体が「つくれない」理由を書かせる問題です。
「どうすればつくれるか?」ではなく、「どうしてつくれないか?」を問われています。
「つくれない理由」を考え、それを採点者に分かるように「論理的に」「端的に」書く必要があります。
適性検査Ⅲにはオリジナルルールのゲームも登場します。
例えば、1~20までの数字のうち1つも数字を選び、その数字の大きさによって2種類の式に分けて計算します。
選んだ数字は上記の□に入れます。
このルールに慣れるための練習問題が数問つづいた後、以下のような問題が出ています。
「9回目の計算で200になるのは、最初に1~20のうちどの数字を選んだときか?」
「2023回目の計算が最も大きくなるのは、最初に1~20のうちどの数字を選んだときか?」
適性検査Ⅲでは思考力問題も出てきますが、問題の多くは小学校の基礎知識を問う問題です。基礎問題でしっかり正解を取れれば合格点にかなり近づけます。
特に算数の「資料の調べ方」「図形」「比」「割合」「倍数・約数」はスラスラ解けるようにしておきましょう。
これらの問題は思考力問題でもよく使います。
また、適性検査は問題数が少ないため、1問あたりの配点が大きいです。1つでも苦手なまま入試に臨むと、そこで大きく点数を下げてしまいかねません。
富田林中学校の適性検査Ⅲでは「条件を論理的に整理して解く力」が問われます。
オリジナルルールのゲームや装置の問題を解くのに必要です。
初めてみる内容も少なくないため、短時間で状況を整理して答えを導く必要があります。
論理性は一朝一夕で身につくものではありません。日ごろから論理的に条件を整理する練習をすると伸びていきます。
『5分で論理的思考力ドリル』などで練習すると条件を整理する力がつきやすいです。
また、数字ロジックやロジックパズルを使うと楽しく論理性や集中力を養えます。
※関連記事:子ども向けロジックパズル
最後に、富田林中学の作文対策を紹介します。
富田林中学の作文は100字程度の短文を読み、その内容をもとに380-440字で受検生自身の意見を書く問題です。
例えば、「読書は知識が身につくだけでなく、ものの見方も変わる」という内容の文章を読んだうえで、「これまでの読書体験をもとにあなたの読書についての考えを書いてください」という問題が出ています。
作文を書く際にはいきなり書きはじめるのではなく、まずメモを作成しましょう。
作文は下記の順に書きます。
結論 → 本文で理由2つ → 再度結論
最初の「結論」と「理由2つ」についてのメモを作成します。
メモができたらその内容が問題に合っているか確認したうえで、メモを見ながら書きましょう。
作文は練習すればだれでもある程度書けるようになります。
定期的に、月1回ずつや夏休みなどに短期集中で10-15回程度作文を書いて練習しましょう。
※関連記事:【中学受験】作文の書き方やルールとおすすめの対策問題集
公立中高一貫の適性検査と、小学校のテストや私立中学の入試とでは問題のパターンが大きく異なっています。
違いをまとめると2点あります。
まず、小学校や私立中学入試は算数・国語など教科ごとにテストがあります。
算数のテストでは算数の知識や技能が主に問われます。
それに対して適性検査では教科横断です。算数・国語・理科・社会の、複数教科の知識を使って解きます。
欠けている知識があると問題を解きづらくなるので、どの教科も得意にしておく必要があります。
小学校のテストや私立中学の入試は知識の習得が重きをなします。公式や解法の知識があり、その知識を速く・正確に使えるかどうかが重要です。
一方、適性検査で求められる知識は小学校で普通に習う範囲までです。知識を「活用できるレベル」で定着させられているかどうかが重要です。
工夫して何かに取り組むと、自然と知識を活用します。
パズルや難問、工作など、「作り出す」「考えて解く」といった作業を日常生活で取り入れてみましょう。
適性検査の対策に便利な問題集を紹介します。
前述のように適性検査では思考力・分析力・表現力が求められており、それらの力をどう活かせばいいかを、問題演習をとおして身につけます。
算数的分野↓
理科的分野↓
社会的分野↓
出版社:朝日学生新聞社
特徴:
公立中高一貫校の教育方針に、将来、国際社会で活躍できるリーダーを育てることが
Amazonより引用
あります。リーダーには、身の回りの事象を数理的に分析・考察し、課題を解決する力、
課題を総合的に解決する力などが求められます。
算数分野の適性検査では、ものごとを数理的に分析・考察し、課題を解決する能力の
基礎が問われます。問題を解くためには、次のような力が必要となります。
●問題文を正確に読む力
●条件を整理し分析する力
●問題の本質や着眼点を見つける力
●解き方を工夫する力
●なぜ、そのような考え方、解き方で答えを求められるのか、理論的に説明する力
この本では、全国の適性検査から厳選した過去問をもとに、分野ごとに系統立てて、頻出問題の傾向と対策を伝授します。
中には難しい問題もありますが、これらの問題を解くことによって、一つひとつ求められる力を養ってください。
資料問題編↓
数と図形編↓
生活と科学編↓
出版社:東京学参
特徴:
【 公立中高一貫校適性検査対策問題集 資料問題編 】解答解説付き
●全国の中高一貫校の適性検査の問題から、資料をもとにした問題(理科・社会分野)を選び出し、10パターンに分類。
●地図やグラフ・表の読み取りなど資料を用いた問題対策に。着眼点、考え方・解き方をていねいに示した例題と的確なヒントが参考になる練習問題です。
●各単元ごとに集中的に取り組み、問題のパターンを掴めるようになりましょう。苦手単元の克服にもおすすめです。自分の力で公立中高一貫校適性検査を攻略するための一冊
Amazonより引用
・公立中高一貫校適性検査必須の出題形式「資料を使って解く問題」を完全攻略
・実際の出題から良問を精選
・資料をもとにした問題を選び、10パターンに分類
・例題で考え方・解法を身につけ、豊富な練習問題で実戦力を養う
・複合問題にも対応できる力を養う
問題のボリュームが多く、6年生がさまざまなパターンをしっかり演習するのに適しています。
東京では公立中高一貫校の難易度が非常にたかいです。
塾に行って対策するほうが良いのかなと気になるご家庭も多いと思います。
家庭だけで取り組むことも可能ですが、ラスト1-2年は塾に行くほうが便利でしょう。
子どもが4年生くらいまでなら、まずご家庭で対策しておきましょう。
具体的には下記の3点です。
塾に行く場合でもこれら3点は実施しておくほうが良いです。
算数の先取り学習や国語の長文読解の勉強には市販の問題集も便利です。
解説が丁寧で分かりやすく、繰り返し練習できます。
また、記述問題の解答にはルールがあるので、問題集でしっかり覚えて慣れておくと良いでしょう。
※関連記事:中学受験国語の記述問題を解くコツと自宅でできる勉強方法
※関連記事:中学受験国語の記述対策問題集
家庭学習に取り組まれていても、やはり5-6年生くらいになると塾で対策するほうが安心です。
必要な対策を網羅できますし、受検まで間に合うカリキュラムで勉強に取りくめます。
子どもによって得意・不得意は発生しますから、不得意内容については家庭で特訓するなどすると効果的に合格する力を養えます。
※関連記事:公立中高一貫校に向いている子・向いていない子の特徴:合格できる子になるための対策方法とは?
もし塾には行かず家庭学習のみで受検されるなら、Z会が便利です。
5年生から受けられる公立中高一貫校対策専用コースがありますし、4年生までに受けられる講座でも論理性や課題解決力、作文力を養う内容が豊富です。
Z会 公立中高一貫校受検対策講座のご案内いかがでしょうか。
富田林中学校に合格するにはどうすればいいのか、過去問をもとに傾向と対策を紹介しました。
資料問題や論理性を問う問題では日ごろからグラフ・表の読み取りを行い、慣れておきましょう。
英語は英検5級の対策をしておけば高得点を取りやすいです。
また、小学校で習う範囲しか出題されませんが、基礎学力が高いレベルで求められます。苦手分野がないようにしっかり勉強しておきましょう。
以下のリンクは難関公立中受検対策に強いZ会のHPです。リンク先で公立中受検対策講座の詳細を確認できます。
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