中学受験算数の伸ばし方:苦手な算数を家庭で克服できる勉強方法をお伝えします!

中学受験の勉強法
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5-6年生になると、受験算数の問題が急激にむずかしくなります。

  • 「同じ問題で何度も間違えてしまう」
  • 「宿題に時間がかかりすぎて、テストの直しや苦手単元の復習ができない」

こういうお悩みを抱えている方はとても多いですよね。

いくら勉強してもなかなか上がらないので、「算数は苦手」と思い込んでしまっている子がとても多いです。

実は、算数が伸びない理由は能力やセンスよりも、「勉強の仕方」にあります。
知らず知らずのうちに「伸びにくい勉強方法」をしている子が多いです。

勉強方法を変えるだけで成績が急上昇していく子もいます。

そこで今回は、算数が得意になる勉強方法を5つお伝えします。

※関連記事:国語の読解力を伸ばす勉強法3つ

なぜ算数に苦労するのか

算数が苦手な中学受験生はたくさんいます。

なぜ算数が苦手になるのか、その理由から確認していきます。

中学受験は選抜試験

受験算数は小学校で習う算数にくらべて難易度が非常にたかいです。

中学受験が選抜試験なので、
志望校に届く子」と「そうでない子」をわける必要があるためです。

下記のグラフをご覧ください。
中学受験生を対象に苦手な科目を調査した結果です。

算数は国語に次いで苦手な科目の2位になっています。

中学受験情報局より

「中学受験は算数で決まる」とも言われます。
その大事な算数を苦手にしたままで入試に突入するわけにはいきませんね。

「怒られない勉強」になってしまう

算数が苦手な子は、「解けるようにしよう」という意識が薄れ、「先生や親に怒られないようにしよう」という意識で勉強していることが多いです。

受験算数が苦手な子にとって、塾の宿題や模試の結果は大きなストレスになりやすいです。問題の難易度があがっていき、問題量も増えていきます。宿題をするのに時間がかかります。

そうなると算数の勉強に対して消極的になるため、結果的に周囲の大人も子どもを叱ってでも勉強に向かわせないといけない状況になってしまいます。

下記のグラフは、中学受験をする6年生の1日の勉強時間を調査した結果です。

エデュナビより

「3.5時間以上」勉強する子が1番多く、
2人に1人は1日2時間以上勉強している様子がわかります。

この勉強に加えて塾の授業がありますから、いかに中学受験生が長い時間勉強しているかがわかります。

勉強が「やらされ」になってしまう子が出てきます。

勉強に対して受け身になり、成績をあげるためではなく「怒られないように」勉強をするようになります。

こうなると、余計に算数の実力が上がらなくなります。

算数の苦手を克服する勉強方法

算数が嫌いな子も、問題が解けるようになってくれば自信がついて前向きに取り組めるようになります。

そこで、受験算数が苦手な小学生向けに、
家庭学習で克服できる勉強方法を5つ紹介します。

復習中心に勉強する

算数は範囲が広いからといって、どんどん新しい問題ばかり解いていませんか。

算数の勉強は何よりも、復習中心に進めましょう。

家庭学習の子も塾の子も、1度勉強した範囲を何度も繰り返し勉強してみてください。子どもは1度解いたら次の問題、次の単元に進みたがりますが、必ず復習しましょう。

「エビングハウスの忘却曲線」を聞いたことのある人は多いと思います。下記のグラフです。

マナブレイン「エビングハウス忘却曲線」から分かる効率的な復習のタイミングとは?より

1度学習してもまた忘れてしまうが、復習すると定着度があがっていくという内容です。実はその後の研究で、人間の記憶のメカニズムはこのグラフで示されているほど単純ではないことがわかっています。それでも、この研究結果は下記の2点で非常に役に立ちます。

①時間の経過とともに人は忘れる
②忘れたころに復習すると、定着率があがる

残念ながら、1度正解したからもう大丈夫!とはならないのです。人は忘れる生きものです。脳の構造上、「大事なことだけ思い出しやすくする」ために、忘れるようにできているのです。

言いかえると、「何度も思い出すタイミングをつくれば記憶に定着する」のです。まず、下記の4回のタイミングで復習するようにしてみてください。

  • 翌日
  • 1週間後
  • 1か月後
  • 模試の後

復習の頻度がある程度多いほうが記憶に定着します。

「じゃあ今日からこの4回のタイミングでばっちり復習するぞ!」
とできればいいのですが、あいにく日常生活はそんなにスケジュールどおりいきませんよね。

子どもにも保護者の方にもいろいろ都合があります。気分が乗らない日もあります。

このタイミングをすべて守ろうとしなくていいので、
できるときに復習しておく
と、実践してみてください。

ただし、この4回のなかでも「翌日の復習」はマストにしておくことを強くオススメします。

上の兄弟姉妹を受験専門塾に通わせていた方はご存じかもしれませんが、通常、中学受験専門塾では入試までに同じ内容を4-5回は繰り返します。

たいてい1-2週間以内に復習テストがありますし、1-2か月ごとに模試があります。
ですから上記の4回のタイミングのうち、
「1週間後」「1か月後」は塾のカリキュラムに任せてしまいましょう。

では「模試の後」の復習のタイミングはどうするか。

できれば復習するほうがいい…のですが、解きなおしてもあまり意味をなさない場合もあります。
※この点は後ほど説明します

いずれにしても、授業のあった翌日や宿題を解いた翌日などには必ず復習をしてみましょう。

前日に正解した問題をもう1度解く

2つ目の勉強方法は、1つ目の方法を少しアレンジしたやり方です。

勉強した翌日に解きなおしをします。
このとき、「1度正解した問題」も解きなおしてください。

間違えた問題だけを解きなおす子もいますが、これはもったいないです。人間の脳は正しいアウトプットを繰り返すことで定着するのです。

たとえば、朝起きたとき「こんばんは」とは言いません。眠くて頭がぼーっとしていても「おはよう」と間違えずに言えます。
なぜかというと、正しく「おはよう」と何百回何千回も言ってきたからです。

1度「おはよう」と正しく言えたら次の日から何も言わなくなったら、どうなるでしょう。
朝起きたときには「おはよう」と言うものだという認識はするでしょうが、とっさに「おはよう」と言えなくなるでしょう。

勉強も同じです。「分かっている」だけでなく、繰り返しアウトプットして正解するほうが定着します。

何度も何度も解きなおすほうがいいですが、時間的にむずかしい場合もあります。
その場合は、間違った問題だけでなく正解した問題も翌日に1度解きなおしましょう

毎日計算問題を解く

算数を苦手にしている子の多くは、計算力が足りていません。

時間をかければ解ける、複雑な計算でなければ解ける、
というのは計算力が不十分な証拠です。

入試問題はレベルがたかいです。
しかも普段とはことなる環境で問題を解きますから、
普段からあやふやなものは、入試本番ではバタバタと間違えやすくなります。

緊張していても頭が真っ白になっても、あるいは焦っていてもスラスラと正解できるくらいの計算力を身につけましょう。そのために毎日計算問題を解いてください。

また、計算問題は絶対に間違わないように、少しくらい時間がかかってもいいので全問正解できるように注意して解きましょう。

先ほどの「1度正解した問題をまた解く」というのと同じ理由で、正解を重ねることで実力がつきます。

文章題は図を描く(条件を箇条書きにする)

「中学受験の算数はなぜむずかしいのか?受験算数の伸ばし方4つを紹介!」
でもお伝えしていますが、中学入試の文章題は問題文だけで3-4行あります。

①家から学校まで徒歩で出発した兄を10分後に弟が自転車で追いかけて、
②兄は途中で家に向かって違う道から走って戻ろうとして、
③弟は兄を追い越してしまって学校に先に着いて、
④帰りはスピードをゆるめて自転車で走ったとき、
⑤兄弟は家から何mのところで出会ったかを答えなさい
。」

なんていうややこしい状況が設定されます。

※関連記事:【中学受験】速さの解き方のコツ
※関連記事:中学入試によく出る「速さ」の問題

この問題では線を引いた箇所が5つありますから、
5つの条件が設定されていることになります。

1度読んだだけでは何がどうなっているのか状況がわかりづらいです。

①~⑤それぞれの条件を少しずつ図に描いてみるといいです。
棒人間の兄弟が自転車に乗ったり走ったりしている図です。

いきなり5つすべてを描こうとしなくても、描けるところからでも構いません。

人間は頭でイメージできるようになると、格段に理解しやすくなります。
文章題を解くときに必ず図を描くようにしてみましょう。

先生になり切って解き方を解説する

算数が苦手な子は、理解しながら勉強する習慣が身についていないことがよくみられます。
「問題に正解しているが、なぜその解き方をするのかわからない」という状態です。

「この単元の問題は全部、かけ算をつかって解いている。
なぜかけ算をつかうのかわからないけど、とにかくかけ算をつかえば正解できる。
だからとにかくかけ算をしよう。」

基本問題は解けるのに応用問題になると不自然に×が増える子は、
たいていこうした機械的な解き方をしています。

本人はそういう勉強の仕方をするものだと思っていますし、小学校3年生まではこの解き方で高得点をとれます。そのため、
実は解法を理解できていなかったのが小6になってから分かった、
というケースもたくさんみてきました。

問題に正解できていたら、「どうしてこの解き方なの?」と子どもに質問して答えさせてあげましょう。「そういえば、どうしてこういう解き方をするんだろう?」と子どもが考えるようになります。

「どうしてこの解き方?」と考えながら勉強するのが習慣になるまで、日常的に問いかけてあげてください。

正解した問題すべてで問いかけてあげるのが理想ですが、それはさすがに聞く側も聞かれる側も疲れます。
週に何回か、できるときだけでいいです。

注意いただきたいのは、
問いかける問題は「間違えた問題」ではなく、
「正解した問題」だということです。

間違えた問題で「どうしてこの解き方なの?」と聞かれると、ただ怒られているだけだと感じます。

正解できている問題で聞いてあげれば、正解の理由を考えやすいです。
文章題や図形問題からランダムに選んで、お子様に質問してあげてください。

質問をしても、お子様が解き方をうまく説明できない場合もあります。

問題集やノートを見直して、途中式を指さしながら
「ここはどうしてこの解き方だと思う?」
と聞いてあげます。これで、理解を深めてあげられます。

「どうしてこの解き方?」と質問したときに、お子様の表情が「待ってました!」のようになれば習慣化できたと言えるでしょう。
あとは、たまに質問する程度で大丈夫でしょう。

なお、こうした「自分で説明する」という能動的な学習方法は定着率があがるとされています。

下記は、アメリカ国立訓練研究所が発表した「ラーニングピラミッド」という、学習方法別の学習定着率を示した図です。

出典:ラーニングピラミッド――キャリア教育ラボ

単に講義を聞くだけだと定着率が1番低く、人に教える(説明する)学習方法が1番たかくなっています。

90%などの数字にはあまり根拠はないと言われていますが、「能動的に学習すると定着率があがる」ことがわかる図です。

算数克服におすすめ問題集

自宅学習用のおすすめ問題集を2つ紹介します。

タブレット学習で算数を得意にするならRISU

『ハイレベル算数ドリル 小学5年 500題』

Amazonより

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出版社:文理

値段:1,298円(税込)

ページ数:160ページ

学習ペース(目安):1日1ページ(30分)

特徴:

「学校の算数の勉強では物足りないから,ハイレベルな問題に取り組みたい! 」
そんな小学生のための算数ドリルです。小学5年生で習う単元をもとにした,難しい問題にチャレンジすることができます。
問題数は,充実の500題。1日30分程度でできる切り取り式のドリルです。取り組むことで算数の本物の実力を付けることができます。

★取り組みやすい3段階構成
「標準レベル」→「ハイレベル」→「トップレベルにトライ! 」と,段階を踏んで難易度が上がっていくので,自分に合った方法で,気軽に取り組むことができます。
基本の確認をしたい単元は「標準レベル」の問題を解いてみたり,自信のある単元はいきなり「ハイレベル」や「トップレベルにトライ! 」の問題を解いてみたりするなど,幅広い用途で使うことができます。

★答え合わせのしやすい縮小版の「答え」とわかりやすい「てびき」
問題にそのまま解答が載っているので,答え合わせの手間を大幅に減らすことができます。
また,詳しい「てびき」が充実しているので,わからなかった問題もしっかり理解することができ,お子様の学習を強力にサポートします。

★「学習ボード」つき

5年生で扱った学習事項を整理した,学習ボードがついています。5年生でどういうことを習うのかを,一覧で確認することができます。

★現在の学力の把握ができる「学力診断テスト」つき
巻末に,このドリルで習ったことが身に付いているかどうか,確認できる「総仕上げテスト」がついています。
このテストでは学力診断が可能です。答え合わせ後,学力診断ページにアクセスしてご利用ください。

Amazonより引用

【おすすめする理由】

何といっても、問題量が豊富です。

算数は1度できるようになっても、すぐに解き方を忘れてしまいます。
繰り返し練習するためには、問題量が豊富な問題集を使うと便利です。

しかも、毎日30分ずつの演習時間なのでつづけやすいです。

ただし、この問題集は簡単ではありません。

もう少し難易度を抑えた問題集のほうがいい人は、
次に紹介する問題集をご検討ください。

『算数ラボ 考える力のトレーニング 6級 』

Amazonより

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出版社:好学出版

値段:995円(税込)

ページ数:164ページ

学習ペース(目安):1週間4ページ

特徴:

◎思考力を伸ばす問題集
小学生のうちに身に付けておきたい力の一つに「考える力」=「思考力」があります。
その考える力のうち、「算数的思考力・論理的思考力・表現力」を伸ばすことに特化した問題集です。

◎スローステップで思考力を伸ばせる構成
級別に6種類(10級~5級)あるので、自分のレベルに合わせて使用できます。
また、それぞれ易しい問題から難しい問題へとゆっくりと解き進められる3ステージ構成なので、ドリルのように楽しく解き進めるうちに、だんだん思考力が身に付いていきます。

◎詳しい解説
別冊の「答えと考え方」には詳しい解説を掲載しています。

◎モチベーションに繋がる正答率
掲載している問題はすべて「算数・数学思考力検定」で実際に出題された問題で、受検した小学生の正答率も掲載しています。
正答率の低い問題に正解できた子にはしっかり褒めて上げるなど、モチベーションアップにご利用いただけます。

Amazonより引用

【おすすめする理由】

算数的な考え方を身につける練習ができます。

4年生以降の受験算数で苦労する子の多くは、
算数を機械的に解くクセがついています。

「どうしてこうなるんだろう?」
を考える勉強方法にチェンジしていくと、
本来持っているその子のポテンシャルを
さらに引き出せるようになります。

級別にわかれているので、
お子様にあうものを選びやすいです。

まとめ

いかがでしょうか。受験算数は多くの中学受験生や保護者の方を悩ませています。
その苦労の何割かは、勉強方法を変えれば解決できるかもしれません。

※苦手な子が多い単元について、下記の記事で勉強方法を解説しています。
【中学受験】割合の解き方
【中学受験】比の解き方
【中学受験】速さの解き方
【中学受験】平面図形・空間図形の解き方

算数克服の第一歩は計算力をたかめ、
正解できそうな問題で確実に点数をかせぐことです。

基礎力をたかめるのと並行して、
理解しながら解く習慣をみにつければ、受験算数の苦手克服の日は遠くありません。

また、どうしても算数が克服できないという場合は、個別塾の利用をオススメします。

個別指導は、「わからない問題をわかるようにするための授業形態」です。
時間的・経済的負担を気にされる方もいらっしゃいますが、使い方次第でむしろ負担を少なくできます。

※関連記事:【中学受験】塾掛け持ちの効果:集団塾と個別塾併用のメリット

最後まであきらめず、悔いのない受験勉強をできるよう応援しています!

【算数が伸びる勉強法5つ】
①復習中心に勉強する
②前日に正解した問題をもう1度解く
③毎日計算問題を解く
④文章題は図を描く(条件を箇条書きにする)
⑤先生になり切って解き方を解説する

※下記の書籍で小学生向けの勉強方法を細かく解説しています。
『自己肯定感と脳科学で小学生は3倍勉強上手になる』

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