この記事では、5年生から中学受験に取り組む家庭向けに、出遅れを取り戻す対策方法と効果的な塾の選び方、そして親のサポート方法について詳しく解説します。
周囲よりも出遅れているのは間違いありませんが、対策次第である程度取り戻せます。
※関連記事:塾なしで中学受験を成功させる方法
5年生からの中学受験スタートは遅いのか?
5年生からだと中学受験の勉強をはじめるのは遅いでしょうか?
出遅れているかもしれませんが、遅すぎるわけではありません。
中学受験生は4年生までの塾スタートが多い
中学受験をする家庭の多くは4年生までに塾通いをはじめています。
学研の調査では、塾に通いはじめた時期は下記の表のとおりだったそうです。
学年 | 割合 |
小2まで | 12% |
小3 | 20% |
小4 | 26% |
小5 | 15% |
小6 | 10% |
通ってない | 17% |
2人に1人は4年生までで塾に通いはじめています。
出遅れを取り戻す勉強の仕方が必要
ほかの受験生の多くがすでに1年以上勉強しているわけですから、勉強をスタートさせた時点でこの差はとても大きいです。
ですが、勉強の仕方を工夫すれば出遅れを取り戻すのはある程度可能です。
中学受験出遅れを取り返すための対策
中学受験を5年生から始めることは、やはりやや遅いです。ですが、決して手遅れではありません。
確かに周りは3年生くらいのスタートが多いです。ですが、5年生のほうが子どもは自立しています。
じっくりと計画を練り適切なサポートを受ければ、出遅れを取り返すことが可能です。
以下はそのためのおすすめの対策方法です。
基礎学力の確認
まず、現在の子どもの基礎学力を確認しましょう。
- 算数の計算
- 国語の漢字
- 理科・社会の知識
中学受験は小学校の内容を越える範囲が出題されますが、それらをどれだけ解けるようになるかは上記の基礎学力によって変わります。
学年の遅れを感じている場合でも、焦らずに基本から着実に学ぶことが大切です。
目標の設定と計画の策定
5年生から始める場合、入試までの長期的な目標を設定し、それに向けた計画を立てることが重要です。
志望校の入試傾向や難易度に応じて、受験科目や学習スケジュールを具体的に定めましょう。
※関連記事:親によるスケジュール管理と勉強時間の生み出し方のコツ
学習習慣の確立
受験勉強は短期間の集中だけではなく、長期間のコツコツとした努力が必要です。
特に5年生からスタートする場合、勉強したりしなかったりを繰り返している時間的余裕はありません。
子どもには、毎日の学習習慣を身につけさせましょう。
規則正しい生活リズムと合わせて、持続可能な学習スタイルを見つけましょう。
勉強に集中しやすい環境の整備
出遅れを少しでも取り戻すには、勉強の質をできるだけ高めるのが不可欠です。
勉強に集中できるかどうかは子ども自身の気合いだけでは不十分です。むしろ家族のサポートや物理的な環境整備が役立ちます。
- 家庭内の音
- 机のうえの整理整頓
- 学習環境をサポートしてくれるアイテム
など、必要と思われるものはそろえておきましょう。
※関連記事:勉強の集中力を高める方法とおすすめアイテム
算数の取りこぼしをなくすことに全力を注ぐ
受験勉強に出遅れた以上、2-3年生から勉強している子と同じ内容を勉強するのはやはり厳しいです。
算数は入試標準レベルの問題で正解を取ることに全力を傾けましょう。
これらのことを勉強スタートから受験直前までずっと意識しておきましょう。
これで、合格ラインが6-7割でも4-5割は得点できるようになります。算数はひとまずここまでで十分です。
国理社を得意にする
5年生から勉強をはじめて算数を得点源にできる子は少ないです。算数は前述のように「最低限必要な点数」に抑えておき、国理社で点数をかせぐようにしましょう。
特に理科・社会は、受験塾に通っている子は伸び悩む傾向があります。ライバルに差をつけるには理科・社会がねらいめです。
国語の漢字や書き抜き問題、理科・社会の暗記分野で点数を稼げるようにしましょう。
※関連記事:中学受験国語の読解テクニック:塾や家庭教師が個別指導で教えている読む力・解く力・書く力を伸ばす方法
※関連記事:【中学受験】理科の語呂合わせの一覧
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5年生から対策できる中学受験塾の選び方
多くの大手中学受験塾では5年生の2月から本格的な受験対策に入っています。
小学校の算数も先取り学習を終えています。
入塾してすぐ習っていない範囲の応用問題を解くのは子どもにとって相当大変です。
5年生から中学受験塾を探す場合、以下のポイントで選びましょう。
※関連記事:難関中学に合格するにはいつから塾に通えばいいか
補習の充実度
集団塾を選ぶ際には、どれだけ塾で補習を受けさせてもらえるか確認しましょう。
5年生では塾のカリキュラムがかなり進んでいるので、この時期からスタートする子は塾のカリキュラムに全く追いついていない状態です。
当分の間、授業をいくら聞いてもチンプンカンプンな状態がしばらく続きます。
塾教材などを使い、補習や質問対応で少しでも塾のカリキュラムに追いつけるようがんばりましょう。
小人数制のクラス
集団授業を受けるなら、少人数制のクラス(生徒数名程度)を選びましょう。
授業で分からないものが出てきたとき、分かった状態にすぐできる環境が便利です。
他の生徒との競争はもちろん大切ですが、先生に個別で質問しやすいかどうかが非常に重要です。
個別塾やオンライン家庭教師を併用
5年生からの受験対策の王道は個別塾やオンライン家庭教師です。
いくら少人数制のクラスにしても、個別対応には限界があります。集団塾をメインにする場合、個別対応の質と量を確保するために個別塾を併用するのがおすすめです。
メインの集団塾で使っている教材や宿題の分からない箇所を個別塾でフォローしてもらうようにします。
同様に、オンライン家庭教師を併用する方法も有効です。
移動時間がゼロですし、多くの場合、1対1で指導を受けられるので分からないところを分かるまで徹底的に解説してもらえます。
親は学習計画と学習環境をサポートしよう
勉強の出遅れを取り戻さないといけないとはいえ、勉強するのは子ども自身です。親はあくまでサポート役です。
サポート役として最大限効果を発揮できるのは、「学習計画」と「学習環境の整備(集中できる環境づくり)」です。
それぞれの具体的なサポート方法を紹介します。
学習計画に関する親のサポート方法
学習計画は出遅れを取り戻すのに必要不可欠です。
そこに親が強力にサポートできれば、出遅れを取り戻す有効な手段のひとつになります。
合格戦略の明確化
まずは、志望校の合格最低点をどのようにして越えるかの戦略を子どもと一緒に明確にしましょう。
がむしゃらに勉強するよりも、志望校合格のための戦略を策定するほうが効果的です。
- 受験科目は何か
- どの科目を得意にするか(どの科目で貯金をつくるか)
- 苦手科目でもどの範囲では点を取れるようにするか
受験勉強で一番時間を取られる科目はやはり算数です。
中学受験は算数次第と言われるように、算数で点を取れないと合格が厳しくなります。ですが、理科や社会で点を取れれば算数のビハインドもある程度カバーできます。
算数で何点取れば良いかが決まれば、算数で特に重点的に勉強すべき範囲も決められて効率的な受験対策ができます。
週単位・月単位のスケジュール作成
学習スケジュールは週単位・月単位で作成しましょう。スケジュール作成には大人の知恵やアドバイスがとても有効です。
5年生からのスタートでも入試まで2年近くあります。
長期的な目標を達成するためには計画が欠かせません。
週単位と月単位でスケジュールを立てておくと、後々のスケジュール調整がしやすくなります。
※関連記事:親によるスケジュール管理と勉強時間の生み出し方のコツ
予備時間の確保
スケジュールには予備時間を設け、予想外の出来事や理解がむずかしい単元に出くわした場合のための余裕を持たせましょう。
学習計画を柔軟に調整できると勉強のストレスを軽減し、継続的に学習しやすくなります。
進捗確認とスケジュール調整
学習進捗は週単位で行い、計画通りに勉強が進んでいるチェックしましょう。
進んでいない場合はその理由を子どもに確認します。
問題がむずかしくて理解に時間がかかっているケースでは、子どもを励ましながらスケジュールをゆるやかにするか、その単元を飛ばすことも検討しましょう。
計画を変更するのは勇気がいりますが、無理に予定どおり勉強を進めた結果何も身についていないと、後々余計に時間がかかります。
模試の予定を入れる
学習計画には必ず模試の予定を入れましょう。
復習が進むまでは模試を受けても意味がないと考える人もいますが、模試は「変化」を確認するために受けます。
勉強をスタートしたころは「全然解けない状態」ですが、復習が進むにつれて解ける問題が増えてきます。
たとえ点数が上がらなくても子ども自身、テストでの手ごたえが変わってきます。
この変化が勉強へのモチベーションになりますし、学習計画の有効性も確認できます。
勉強の集中力向上のために親ができるサポート方法
学習計画を立てても、勉強にあまり集中できなければ絵にかいた餅です。
計画を最大限有効化するために集中力の向上が必要です。そのために親ができるサポート方法を紹介します。
集中しやすい学習環境の整備
勉強の集中力向上には、集中しやすい学習環境が欠かせません。
- 明るい照明
- 整理された机
- 静かな空間
など、集中しやすい環境を整えましょう。
※関連記事:勉強の集中力を高める方法とおすすめアイテム
適切な休憩
勉強の合間に適度な休憩を取らせて、集中力を維持させましょう。
- 短時間の運動
- 深呼吸
- リラックスした音楽を聴く
- 15分~30分の昼寝
など、気分転換に適した方法を取り入れましょう。
なお、三菱地所など多くの会社でも昼寝タイムを設けるなどして、集中力アップ・生産性アップを図っています(ビジネスインサイダー)。学校から帰ってきたときにまず昼寝をしてから勉強に取りかからせるご家庭もあります。
目標を意識させる
学習には目標が重要です。目標を意識して勉強すれば、おのずと集中力が増します。
勉強をはじめる前に「今日/今週はどの範囲を解けるようにするか」を子どもと一緒に確認しましょう。
子どもが相談しやすい雰囲気づくり
親と子どものコミュニケーションは非常に重要です。子どもが抱える不安や進捗状況を共有し、一緒に目標に向かって進むことで、モチベーションを維持しやすくなります。
弱音は受け止める・否定しない
子どもが弱音をはいたり、問題を解くのに苦労しているといった話をしてきたら、否定せずにまず受け止めるようにしましょう。
受験はあくまで本人次第です。目の前の壁は子どもが自分で越えないといけません。
弱音を吐くのはエネルギーを充填するためです。弱音を受け止めて子どもが自ら壁を乗り越えようとするのをサポートしましょう。
ポジティブなフィードバック
中学受験は子どもにとって大きな挑戦です。親は成功だけでなく失敗も含め、子どもを受け入れ、励ましの言葉や応援を惜しまないことが重要です。
子ども以上に親が焦ってしまうときもあります。「こんなんじゃ合格できないよ!」と心にもない言葉が口から出そうになるときもあります。
「子どもを励まして元気に勉強に向かえるようにするのが自分の役目」と自分で自分に言い聞かせましょう。
できるようになってきたことをほめ、あきらめずに毎日勉強していることを認めてあげます。
そうすると親自身も心に余裕が生まれ、子どもが安心して勉強に向かえるようにもなります。
まとめ
5年生から中学受験をはじめるご家庭向けに、ライバルに追いつくために親ができるサポート方法を紹介しました。
5年生からでも遅すぎることはありません。出遅れを取り返すためには学習計画をつくり、適切な塾の選択をし、勉強の集中力を高めるようにしましょう。
親のサポートが効果的であれば、子どもは自信を持って受験に臨むことができます。
出遅れを感じたとしても、焦らず着実に進めば成功への道が開かれるでしょう。
なお、家庭学習におすすめの問題集は下記の記事で紹介しています。
中学受験算数のおすすめ問題集
中学受験国語のおすすめ問題集
中学受験理科のおすすめ参考書・問題集と図鑑
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