「子どもの文章を読んでも何を言いたいのかまったくわからない…」
「文章を上手に書けるようになってほしい!」
そう願う保護者の方は多いですよね。
以前とは違って、小学校の勉強でも中学受験でも「書く」は重要テーマになっています。苦手なままにはしておけないですね。
そこで、今回は自宅でできる、小学生の文章力をアップさせるためのおすすめのトレーニング方法を紹介します。
ドリルや問題集をつかったり、アプリをつかったりするのはもちろん、親子の会話をちょっと工夫するだけで大きな成果を見込めます。
ご家庭にあう方法をお選びいただき、ぜひ小学生のうちにしっかりした文章力を身につけておきましょう。
この記事では下記の方向けです。
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※関連記事:国語の記述問題の書き方と勉強方法
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※関連記事:Z会小学生コースの進め方:自主性や考える力を伸ばせる問題の特徴を紹介
小学生が文章力をたかめるにはどうすればいいでしょうか。その方法をいくつか紹介します。
まず語彙をふやしましょう。
文章を書くには、自分の思いや考えを表現するための語彙を持っている必要があります。
「運動会のかけっこで1番になってうれしかったです。」
「友だちから誕生日のプレゼントをもらってうれしかったです。」
などのように、なんでも「うれしい」という言葉で済ませてしまうと、面白みが欠けます。その文章を書いた人の感情が伝わりにくくなります。
「運動会のかけっこで1番になって、思わず叫んでしまうほどうれしかったです。」
「友だちから誕生日のプレゼントをもらって心がはずむような気分でした。」
のように、どのようにうれしかったのかを表現する言葉や「うれしい」の別の表現を知っていると、相手に感情を伝えやすくなります。
※関連記事:国語辞典を使う習慣をつくって語彙力を伸ばす方法
一時期、10代の子どもたちの間で、楽しいことやうれしいこと、驚くことがあったときに「やばい」とよく言われていました。
「昨日お母さんにゲーム禁止にされた」「えー、やばい!」
「私の好きな芸能人が結婚したの!」「え!やばい!」
「スマホの電池切れた!」「やばいじゃん」
という感じで、何に対しても「やばい」と反応します。
「『やばい』としか発しない状況をなんとかしないと…」と、専門家があわてて対策チームを立ち上げたほどでした。
文部科学省の学習指導要領にも「語彙をふやす」という表現が非常に多くなっています。
「書く力」は「読む力」をベースにしています。たくさん本を読んで、どのような表現を読むとどう感じるかを知っておきましょう。
読むときは同じ作家・同じジャンルばかりではなく、いろいろな種類の本を読むのがおすすめです。
天気や人体、動・植物の生態についての本であれば「わかりやすい説明の仕方」を感じられますし、「論理的な書き方」を学べます。
絵本や物語なら「情緒的な表現」にたくさん触れられます。
小学生は学年があがると読書量が減っていく傾向にあります。
ということが調査の結果でわかったそうです。
大きくなってくると親の影響下から卒業していきますし、早い段階から本に触れさせておきたいですね。
読書などで知った慣用句や比喩表現を、自分の作文でも使ってみましょう。
「雷のようなうなり声」「油を売る」など、状況に応じて適切に使えば臨場感のある表現がたくさんあります。
実際に使って初めて「使える表現」になります。
本の読み聞かせも文章力アップにつながります。
8割以上の家庭が週1回以上読み聞かせをしているそうです(文部科学省「読み聞かせの状況」より)。読み聞かせで子どもの情感が刺激され、読解力や語彙力のアップにつながります。
さまざまな表現方法に慣れておくと、同じ意味をさまざまな表現で書けるようになります。
文章力をあげる5つ目のトレーニング方法は、「親子の会話に『どうして?』『本当に?』を入れること」です。
作文をするには、「何を書くか?」を考える必要があります。
「りんご好き?」と聞かれたら「好き」と答えるのは簡単ですが、「なぜ好き?」と聞かれると、「ん…?」と考えます。
など、「りんごが好きな理由」はいくつもあります。なかには「りんごが好きではないけれど、アップルパイは好き」という子もいます。
1つ理由が出てくると、その理由をさらに深堀りしましょう。
「甘いから好き」
→「どうして甘いのが好き?」「辛いりんごはどう思う?」
のように、さらに「なぜ?」と考えたり、「逆の場合ならどうか?」と考えてみるのもおすすめです。
作文のときに「何を書けばいいか分からない」と手が止まってしまう小学生がよくいます。
与えられたテーマについてどの角度から考えればいいか知らないのです。
普段の生活で「考える機会」をつくっておけば、「なぜ?」「本当に?」「逆なら?」という思考の糸口を取得できます。
いざ作文するときに、思考の糸口を持っている子は作文を書きやすくなります。
文章力をあげる6つ目の方法は、「定期的に文章を書くこと」です。
当たり前のことですが、文章を書かないと文章力はつきません。
文章を書くには「何について書くのか」「結論は何か」「どうしてその結論なのか」を整理する必要があります。そして、読む人にわかるように書く(伝える)必要があります。
この過程をとおして論理的思考力やクリティカルシンキング(批判的思考力)が育っていきます。
作文を書く前に、構成を考えると書きやすくなります。
起承転結が定番ですが、小学生が書きやすいのは「はじめ・なか・おわり」の3パートです。
作文では書き出しがとても重要です。2-3行の短いセンテンスのなかで下記2点を伝える書き方をします。
作文の書き出しは、「セリフからはじめる」「気づきや発見からはじめる」「疑問から入る」のいずれかにすると魅力的で、書きやすい作文にできます。
「小学校の思い出について」をテーマに書き方の例を紹介します。
【セリフからはじめる】
「何の本を読んでいるの?」
6年生の新学期、休み時間に教室で本を読んでいると話しかけられました。
【気づきや発見からはじめる】
みんなで協力すると、思ってもみなかったすごいことができる。5年生のときの運動会でそう感じました。
【疑問から入る】
友だちって必ず賛成しないといけないものでしょうか。私は「友だちだからこそ」反対意見を伝える大切さを学びました。
子どもが作文を書いたら、親子で一緒に読み返してみましょう。ポイントは3つです。
子どもは作文を書き終えると「やっと書き終わった…」と終了してしまいがちです。
しばらく時間を空けて一緒に読み返してみる時間を設けてみましょう。これだけで「もっとこう書くほうが良かったかも」と子どもが自分で気づくことがよくあります。
このとき、親から見てつたない作文だったとしても子どもなりにがんばって書いたであろうポイントを1つは見つけてあげましょう。
「漢字で書いたね」
「前半は字が丁寧だね」
「この表現、臨場感があって好き」
こうしたプラス評価のフィードバックで、子どもは「良い書き方」や「丁寧に書く姿勢」を向上させようとします。
そのうえで、「どうすればもっと良い文章になるか」を一緒に考えてみます。子どもが「工夫して書く姿勢」を養うのにつながります。
塾で受けられる作文指導のクオリティを自宅で受けるなら通信教育がおすすめです。
移動時間がゼロですし、塾に比べて短時間の1回あたりの勉強が短時間に設計されています。「塾と併用」「通信教育単独」のどちらも選べます。
難関中学、最難関中学(首都圏御三家、灘中学、ラサール中学など)を目指しているならZ会がおすすめです。下記のような特長があります。
※関連記事:Z会中学受験コースだけで難関中学に合格する方法
小学校の勉強をフォローしたり、中学受験対策をするための通信教育として進研ゼミも多くの受験生に選ばれています。楽しく、自信をつけながら学べるという特徴があります。
※関連記事:進研ゼミ小学講座の特徴と効果的な利用法
市販教材も通信教育同様に、教材を使った練習です。大きな違いは、本屋で子どもと一緒に選べるという点です。
せっかく練習する機会を親が与えても、肝心の子どもにその気がなければ意味がありません。
最近では国語嫌いな子どもの興味をひけるように、さまざまなドリルが出版されています。
自宅でする学習だからこそ、「やらされ」の勉強ではなく、積極的に・自主的に取り組めるようにしたいですよね。それが可能なのも家庭学習の良い点の1つだと思います。
ぜひ1度、お子様と一緒に探してみてください。
※関連記事:文章力のトレーニングにおすすめのドリル
「言葉力トレーニング」「ビノバ国語 小学1年生」など、無料で使えるアプリをお手元のタブレットにダウンロードすると、すぐに練習できます。
アプリの良いところは音楽やアニメーションで子どもが楽しく学習できる点です。しかも無料!
ゲーミフィケーションを取り入れたアプリはこれからますます増えてくるでしょうから、ぜひお試しください。
※関連記事:幼児・小学生におすすめの国語アプリ
「良い文章」とは、「書きやすい」「読みやすい」文章です。これにはコツがあります。
そのコツを3つお伝えします。
文章を書くときには、1文を短くしましょう。
「先週の日曜日、近所に住む友だちと一緒に公園へ行ってボール投げをして遊んで楽しかったけれど、雨が降ってきて傘を持っていなかったので家に帰って、今度は家で一緒に遊びました。」
という文があるとします。言っていることはわかるけれど長いですよね。1文を短くするとこうなります。
「先週の日曜日、近所に住む友だちと一緒に公園へ行きました。ボール投げをして楽しかったけれど、雨が降ってきました。傘を持っていなかったので家に帰り、家で一緒に遊びました。」
先ほどの1文を3つの文にわけました。短くカットしただけですが、すっきりしました。
原稿用紙に書くときは1文を2行以内(40字)に収まるように書くと、すっきりとした読みやすい文章になります。
文を書いたら、主語と述語が合っているか確認しましょう。小学生の間は、主語と述語が合っていない文章を書きがちです。例えば下記の文をご覧ください。
「私が昨日したことは、飼い犬を散歩させました。」
この文だと、主語は「したことは」で述語は「させました」になります。
「したことは~させました」だと、主語と述語が不一致です。
国語の記述問題でもよくこうした書き方をして減点になる子がいます。
「昨日、私は宿題をして飼い犬を散歩させました。」
と書くと、主語と述語が「私は~させました」になり、違和感がなくなります。
文を書いた後で「主語と述語は合ってるかな?」と確認してみましょう。
「うれしい」「悲しい」「楽しい」といった形容詞をできるだけ使わずに文章を書いてみましょう。
形容詞は一言で感情を表現できて便利なのですが、あまり使うと単調になります。
「うれしい」「悲しい」といった形容詞の代わりに、
を具体的に書くようにしましょう。
「トランポリンをして楽しかった。」
という文があるとします。「どう感じたか」「なぜそう感じたか」「どう行動したか」を入れると、下記のようになります。
「トランポリンだといつもの自分の3倍も高くジャンプできて、鳥になったような気分だった。うれしさで心臓がとびはねるような気持になり、近くにいた友だちに「見て、見て、すごい飛んでる!」と大きな声で呼びかけた。」
この文章のほうが「どう楽しかったのか」が伝わりますし、そのときの情景が浮かびやすくなります。
ここまで文章力をあげる方法を紹介してきました。
大切なのは「継続」です。
文章力は1週間、2週間という短い期間ではあがりません。漢字を覚えたり、算数の計算問題のように、みるみる目に見えてできるようにはなっていきません。
毎週、毎月コツコツつづけていくと、半年後や1年後にちょっとした変化が出てきます。
文章を書いている子ども自身も気づかないくらいの、ゆっくりとした成長です。
練習をはじめた頃に書いた文章を残しておいて、最近子どもが書いた文章と読みくらべると、いかに文章力がアップしたかわかりやすいです。
大きな成長を感じられて、親子ともに励みになります。
文章力は「思考力」と「相手に論理的に伝える力」からなります。思考力はすべての教科の基本です。
小学校低学年の間はたし算やかけ算など、機械的に手を動かせば解ける勉強が多いですが、4年生以降は考えて理解しないと伸びづらくなっていきます。
これは「小4の壁」の原因の1つでもあり、中学受験をする子にとっても鬼門です。
※関連記事:中学受験の算数はなぜむずかしいのか?受験算数の伸ばし方4つを紹介!
思考力は意識しなくてもある程度は伸びますが、意識したほうが断然伸びます。
「どうして?」「本当に?」と質問して、考える習慣をつけておくと良いですね。
また、先述のように、入試では記述問題が多くなっています。そのなかには国語と社会、社会と理科、数学と国語のように、文系・理系の枠をこえて無教科型で問われる問題も多数あります。
教科ごとの知識やテクニックは短期間でだれでも一定レベルまで伸ばせます。ですが、教科の枠をこえると短期間では解けるようになりません。
「つまり何を問うているのか」を見抜く力と、教科単位のテクニックによらない伝え方の両方を、時間をかけて習得する必要があります。
小学校低学年のうちに、そうした力をつける習慣づくりをしておきたいですね。
※関連記事:小学校低学年の勉強時間どれくらい?やる気の出し方は?親ができる学習サポート
今の保護者の方が小学生のころ、長い文章を書くのは夏休みの読書感想文くらいしかなかったと思います。
自分で文章を書くよりも、誰か大人が書いた文章を読む時間のほうが圧倒的に長かったです。
ところが、平成29年に文部科学省ではその方針を大きく転換しました。
文部科学省では国語教育のあり方について下記のように提言しています。
小学校段階では,「聞く」「話す」「読む」「書く」のうち,「読む」「書く」が確実に身に付くようにしていくことが大切である。これは,いわゆる「読み・書き」の徹底を図ることが重要であること,情緒力を身に付けるには「読む」ことが基本になること,論理的思考力の育成は「書く」ことが中心になると考えられることによる。今以上に,「読む・書く」の定着を図ることが重要である。
文部科学省「国語力を身につけるための国語教育の在り方」より引用
つまり、小学校段階では下記の2点を重視することになりました。
「読む力」をベースにした「書く力」が重視されるようになっています。
中学受験で記述問題がふえ、公立中高一貫校の入試や高校受験でも作文・小論文は必須です。
そして2020年度からは大学受験でも小論文が重要な入試科目になりました。ほとんどの大学で小論文入試が採用されるようになり、年々合格枠が増加しています。
小論文は推薦入試や一般入試の一部で試験科目として利用されていますが、実は推薦入試による入学者の割合は国公立・私立あわせて全体の4割近くにもなります。
書く力はそれだけ重視されているのです。
特に上位校の入試は記述問題がほとんどです。
難関中学の入試対策として、4-5年生からは本格的に記述問題の対策をするのが一般的です。
※関連記事:【中学受験国語】おすすめの記述・作文問題集:書き方の基本から難関レベル対策まで
小学校の国語は、「1-2年生→3-4年生→5-6年生」と3つの段階にわけて文章力をきたえるカリキュラムになっています。
文章力は国語だけでなく、どの教科でも比重が大きくなっています。
3年生の子なら「3-4年生」のカリキュラムに応じた文章力を身につけるようにするか、語彙力が豊富なら「5-6年生」のカリキュラムに応じた作文トレーニングをしておきましょう。
※関連記事:学年ごとの国語の勉強について下記の記事で紹介しています。
【3年生】国語の勉強方法 ・ 国語の問題集
【4年生】国語の勉強方法 ・ 国語の問題集
【5年生】国語の勉強方法 ・ 国語の問題集
【6年生】国語の勉強方法 ・ 国語の問題集
小学生やその保護者の方向けに、文章力の伸ばし方を紹介しました。
文章力は現代の学校教育でとても重視されています。
文章力をあげるには、語彙などの知識、読解力、思考力など総合的に力をたかめておく必要があります。
一朝一夕にはあがりませんので、自宅でできる範囲内で文章力をあげていく習慣やきっかけをつくっておきたいですね。
3年生からは文章中の重要な言葉や一文を探し出す勉強が小学校ではじまります。そのタイミングに合わせて読解や文章を書くトレーニングを入れてみてはいかがでしょうか。
※関連記事:おすすめの記述・作文問題集
※関連記事:【小学校3年生】おすすめの国語ドリル
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Z会中学受験コースだけで難関中学に合格する方法
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