「大学受験するにはやはり塾や予備校に行かないといけない?」
「独学で大学入試に合格するにはどうすればいいか知りたい」
こういった疑問をお持ちの方は最近多くなってきているように感じます。
ひと昔前なら一般入試対策をすればよかったのですが、最近では推薦入試など入試方式が多様化しています。現在の入試システムに合わせた対策を個別に考える時代になっています。
そこで、塾・予備校に通わずに大学受験をする人はどれくらいいるのか、独学で合格を勝ち取るにはどう勉強すればいいのかを紹介します。
※関連記事:【大学受験対策】塾はいつから通えばいいか
※関連記事:難関私立大学の一覧:偏差値60以上の難関私大に合格する勉強法
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大学受験を塾なしでする人の割合
文部科学省の「学校基本調査の公表について」によると、四年制大学への進学率は54.9%です。短大を合わせると58.9%と、約6割の人が大学・短大に進学しています。
ではその中で、塾や予備校に通わずに受験対策をしている人はどれくらいいるのでしょうか。
高校生全体の通塾率は25%
ベネッセの調査によると、塾・予備校に通っている高校生は約25%。4人に1人です。非常に少ないように感じますが、通っている高校の偏差値別にみてみると、高校によってかなり違いがあります。
高校の偏差値 | 55以上 | 50以上55未満 | 45以上50未満 | 45未満 |
塾・予備校に行っている人の割合 | 39.1% | 23.6% | 22.8% | 12.6% |
偏差値55以上の高校ではほとんどの生徒が大学入試をします。逆に55未満の高校では、卒業生の大学進学率は急激に下がります。
偏差値55未満の高校では大学に進学する場合でも指定校推薦が多いです。上記の調査結果のように、受験対策のために塾・予備校に通う人が少なくなるのはうなずけます。
中堅レベル以上の大学の塾なしは6割
先ほどの通塾率の表で「偏差値55以上の高校」の通塾率をみると約40%です。つまり、大学受験を塾なしでする人は6割ほどいると見てよいでしょう。
「偏差値55以上」の高校生は全体の30.85%です。この学力層の高校生がどの大学に合格しているのかの調査結果はありませんが、学力上位3割に該当する高校の生徒ですから、合格する大学もやはり偏差値上位3割くらいになると想像できます。偏差値50台以上の国公立大・私立大に合格する生徒が多くなるでしょう。
実際、私の塾のある地域では、偏差値55前後の高校では毎年10名程度が偏差値50台の中堅国公立大に合格し、生徒の半数程度が偏差値50前後の中堅私立大に合格しています。
このことから、「中堅大学・難関大学を受験する人の6割は塾・予備校に通っていない」と言えるかと思います。
※関連記事:予備校と塾の違い:部活と定期テスト・大学入試対策の両立にはどちらがいいか
高校生の通塾日数と塾費用はどれくらいか
塾・予備校を利用している高校生は、週何日くらい通っているのでしょうか。
ベネッセの調査によれば、下記のとおりだったそうです。
- 週1日の人は25.9%
- 週2日の人は38.8%
- 週3日の人は18.2%
- 週4日以上の人は14.3%
週3日以内の人は合計で8割以上になります。毎日のように塾・予備校に通って勉強する人よりも、限られた日数だけ通っている人のほうが圧倒的に多いことがわかります。
では塾・予備校の費用はどれくらいなのかというと、文部科学省の「令和3年度 子供の学習費調査の結果について」によると、塾・予備校にかかっている平均費用は年間で下記の表のとおりです。
公立高校 | 私立高校 | |
高校1年 | 12.9万円 | 18.1万円 |
高校2年 | 14.9万円 | 23.7万円 |
高校3年 | 23.3万円 | 32.5万円 |
平均 | 17.1万円 | 24.7万円 |
この調査結果はあくまで「平均」です。塾に通っていない人も含めています。ベネッセの調査では塾・予備校に通っている高校生が25%程度ですから、実質的な平均年間費用はこの表の数値の4倍程度でしょうか。
- 公立高校生が68万円
- 私立高校生が100万円
と考えても良さそうです。
塾・予備校の費用は年間50~60万円程度かかるのが普通という調査結果もあり、小学生の公文やそろばん、通信教育にくらべて負担は大きくなります。
※関連記事:【大学受験】塾・予備校の費用はいくらかかるか
塾に行かずに大学受験をする勉強法
塾にも予備校にも行かずに志望大学に合格するには、どのように勉強すればいいでしょうか。その方法を順に紹介します。
※関連記事:難関私立大学の一覧:偏差値60以上の難関私大に合格する勉強法
志望大学の受験科目を把握する
大学受験の勉強スタートは、志望大学の受験科目の把握です。
【国公立理系】
(共通テスト)英語・数ⅠA/ⅡBC/Ⅲ・国語・理科・地歴公民
(二次試験)英語・数学ⅠA/ⅡBC/Ⅲ・理科
【国公立文系】
(共通テスト)英語・数ⅠA/ⅡBC/Ⅲ・国語・理科・地歴公民
(二次試験)英語・国語・地歴公民
【私立理系】
英語・数ⅠA/ⅡBC/Ⅲ・理科
【私立文系】
英語・国語・地歴公民
上記のように、志望する大学種別や理系文系で科目は異なります。理系・文系それぞれで大学によっても多少異なります。
まずは、志望大学・学部の入試で必要な科目を調べましょう。
模試で現在の学力を把握する
つづいて、「現在の立ち位置」を探りましょう。具体的には模試を活用します。
多くの高校では学校から一括申込で定期的に模試を受けます。成績表が返ってくるとどうしても総合偏差値が気になるでしょうが、下記の3つの箇所をよく見てみましょう。
- 単元ごとの得点率(平均との差)
- 前回の模試と比較して差が大きい科目
- 校内順位(進研模試にて)
高1や高2で模試を受ける目的は「その後の学習に活かすため」です。偏差値の良い/悪いは二の次です。
平均と比べて得点率の低い単元は要復習ですし、逆に高得点を取れている単元は自分の武器でありほかの単元を勉強するときのヒントにもなります。
高得点を取れる単元では問題集でもよく正解できるはずです。ほかの単元の復習をするときには、「得意単元と同じくらい正解できれば大丈夫」という1つの学習基準にできます。
また、定期テストに比べて模試で校内順位(コース内順位)がともなわない人の場合、自分で思っている以上に実力がついていないのかもしれません。その場合には、指定校推薦狙いに切り替える、問題集を最初から復習して実力をつけるようにするなどの対策を取るほうがいいでしょう。
入試問題と合格点をみてゴールを知る
続いて、ゴールがどれくらいのラインなのかをイメージできるようにしましょう。志望校の入試問題に目をとおし、出題傾向や問題の難易度をチェックしておきます。
入試問題は大学によってかなり違っています。「英語の入試問題は長文メイン」だと思っていたら、志望大学は文法問題もしっかり出題していたなんてケースもよくあります。
また、偏差値が高いからといって必ずしも問題の難易度が高いとは限りません。
例えば国公立大の医学部は、偏差値だけみると東大・京大と変わりません。ですが二次問題の難易度はずいぶん差があります。
東大・京大だと難問中心の出題で理Ⅰや文Ⅲだと合格最低ラインは55%ほどです。一方、同程度の偏差値の鳥取大や愛媛大の医学部だと合格ラインは約8割です。定期テストより少しむずかしいというレベルです。
東大・京大だと難問を解く練習をする必要がありますが、中堅国公立大なら医学部でも難問の練習は必要ありません。標準問題の正答率重視の対策で良いのです。
模試の成績表などに記載されている偏差値が同じでも、入試問題の難易度には大きな差があります。志望大学の入試の出題傾向や難易度・合格最低点を必ずチェックしておきましょう。
※関連記事:高校国語の勉強方法(現代文・古文・漢文)
※関連記事:【大学受験】英語の勉強方法
入試から逆算して学習計画を立てる
模試で現在の立ち位置を知り、志望大学の入試問題を見てゴールをイメージできれば、そのゴールから逆算して学習計画を立てるようにしましょう。
高3の1月の共通テストで8割取りたい
↑
高3の秋には共通テスト過去問で7割に届いておきたい
↑
高3の夏には共通テスト対策を本格的にする
↑
高3春休みには英語・数学をひととおり復習しておく
↑
高2の夏休みには数ⅠAと既習範囲の英文法の復習する
といった、季節ごと・長期休みごとの学習予定を立てておきます。
季節休みごとに学校からはゴソっと宿題が出されます。「宿題で忙しくてこの休み中はあまり受験勉強できなかった。ま、仕方ないね」とゆったり構えている大物(?)の高校生もときどきいますが、余裕があると思っていられるのは学習計画を立てていないからです。
あらかじめいつ・どこまで復習しておく必要があるかを2-3年先まで計画しておくと、たった1回、長期休みにのんびり過ごしただけでその後の計画がどれだけ大変になるか実感できます。
ベネッセの調査では、大学受験を意識し始めた時期として「高校3年生頃」が24%だった一方、小学生から高1までに意識し始めていた人も40%以上いました。高1までに大学受験を意識した人と高3になってから受験生としての意識が芽生えた人とでは、大きな差がついてしまうのは想像に難くありません。
大学受験をするなら、高1で学習計画を立てるようにしましょう。
自分に合う参考書を使う
計画を立てたら、早速参考書を使いましょう。
大学受験の定番の参考書はたくさんありますが、自分に合うものを選ぶようにしましょう。難しすぎるもの、簡単すぎるもの、志望校の出題傾向に合わないものを使うと、やや遠回りをしてしまいます。
※関連記事:大学受験の英語の勉強方法:高校生向けに英語を得意にするコツとおすすめの英語参考書を紹介
※関連記事:高校数学のおすすめ問題集・参考書
※関連記事:【大学受験対策】高校国語の勉強方法(現代文・古文・漢文)とおすすめの参考書・問題集
高2の共通テスト同日模試の結果を参考にする
受験勉強が計画どおりに進んでいるかどうかを知るには、模試が非常に便利です。なかでも、高2の1月にある共通テスト同日模試は極めて重要です。
ちょうど1年度に共通テストを受けるわけですが、あと1年間でどれくらい点数を伸ばす必要があるのかが明確にわかります。
高2時点で6割の得点率だったとして、志望大学の合格に共通テストで8割の得点が必要ならあと2割です。その2割をどの科目で稼ぐか。
もちろん全科目勉強して実力を上げていくわけですが、大半の高校生は科目によって完成度にバラつきがあります。
- 数ⅠAは8割まで取れるようになっているけど数ⅡBがまだ5割
- 英数は7割前後まで来たけど地歴公民が4割程度
など、さまざまです。
定着状況を確実に知るには、共通テスト同日模試が何より正確です。
得点化できる範囲を先に得点化する
現役生の場合、高3冬時点でも国語・理科・地歴公民の勉強が追い付いていないケースがよくあります。共通テストまで残り1か月程度だとできることは限られますが、残り1年あれば計画次第で取り返せます。
- 国語は論説文と古典に絞る
- 地歴公民は学校の授業で完璧に覚える
- 化学は先に無機を得点源にする
など、学校の授業も活かしながら「早く確実に得点化できる範囲」を得点化するようにしましょう。狙いどおりに模試で点数を取れると合格に向けて着実に近づいていると実感でき、受験勉強に弾みがつきます。
こうした、「自分の気持ちをいかに盛り上げるか」も受験成功に大切な要素です。
現代文の論説文、古典、地歴公民、化学の無機、生物の暗記範囲全般は即戦力の範囲です。これらの範囲を高3の春休みなどに学習計画に入れておき、高3の4-5月の共通テスト模試で高得点を取れるようにしておくのがおすすめです。
※関連記事:生物基礎の一問一答
※関連記事:化学基礎の一問一答
推薦入試をねらう
大学受験は一般入試だけではありません。国公立も私立も、推薦入試の合格枠は年々拡大しています。
下記の調査はベネッセによる国公立大と私立大の学校推薦型・総合型選抜選抜による入学者数の推移を表した表です。
2004年度から2021年度までで学校推薦型・総合型選抜選抜の国公立大入学者数は実に1.5倍以上になったそうです。
私立大ではすでに一般入試による入学者よりも学校推薦型・総合型選抜選抜による入学者のほうが多くなっています。少子化による学生の取り合いが激化している今、こうした傾向は今後も変わらないと予想されています。
一般入試の対策だけでなく、高1・高2で推薦入試の可能性を考えた対策を取っておくほうが賢明でしょう。
※関連記事:指定校推薦とは?
評定4.0以上取っておく
推薦入試の対策としてまず取り組むべきは、高校の評定アップです。推薦入試では評定平均が出願の条件になっていることもよくあります。
評定平均4.0以上を目指しましょう。それだけあればほとんどの難関大学に出願できますし、評定平均値が入試得点に加算される大学・学部ではかなり有利になります。
定期テストで80-90点取っていると評定平均が4~5になります。全科目で定期テスト対策を入念に行い、評定平均を上げるようにしましょう。
※関連記事:高校の評定の出し方と上げ方
ときどき、塾や予備校の勉強が忙しくて学校の定期テスト対策ができなくなっている高校生がいます。一般入試対策としてはそれも悪くはないでしょうが、一般入試の合格枠がせばまっている状況で、一般入試だけで勝負する方針は必ずしも得策とは言えないでしょう。
※関連記事:【高校生】定期テストで90点以上を取れる勉強方法
小論文の対策をする
推薦入試対策の1つとして、小論文対策も挙げられます。推薦入試や一般入試の後期で小論文を入試科目として採用する大学が増えています。
800字や1000字といった長い文章を書くことに不安を感じるかもしれませんが、書き方の練習をすれば短期間で誰でも書けるようになります。むしろ、小論文入試のむずかしさは「書き方」ではなく「内容」です。
教育や医療系、地域経済の活性化など、専攻分野について受験生自身の意見を書かせる問題がほぼ必ず出題されます。
例えば「「人生は生得的な資質や属性によって規定されると考える」子どもを受け持った場合、学習の意義をどのように伝えるか、自身の考えを書きなさい」(群馬大学・共同教育学部・教育専攻)と出題されたりします。いきなり聞かれてもなかなか答えづらいです。専攻分野への興味・関心を持ち、日ごろから情報のアンテナをはっている人が有利になります。
※関連記事:小論文の書き方とコツを例文付きで解説
※関連記事:医歯薬・看護・保健学部の大学別小論文過去問
※関連記事:教育学部の大学別小論文過去問
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小論文専門の個別指導塾・予備校「翔励学院」目的意識をもって勉強する
一般入試対策、推薦入試対策、あるいは定期テスト対策などいずれの「対策」についても、目的意識を持って取り組む姿勢がとても重要です。
- 評定平均を4.0以上にするため
- 入試本番で解けるようにするため
- 自分の将来の目標に近づくため
など、今自分がしている勉強や宿題が何につながっているのかを意識しながら取り組みましょう。
目的意識を持っていてもいなくても、一見すると同じ行動を取っているに見えます。ところが、目的意識なく「やらされ」で勉強している人は「今、受けたテスト」では点数が取れても1か月後には忘れてしまっています。忘れていてもあまり気にしません。忘れているかどうかも気になりません。
ですが、「入試でも正解できるように」と意識して勉強に取り組んでいると、「以前学校の英単語テストで覚えた英単語、今も覚えているかな」と気になって軽く復習します。忘れていたら5分ほど使ってまた覚えなおします。
この「ちょっとした差」が1年後、2年後に本当に大きな差になります。
※関連記事:難関私立大学の一覧:偏差値60以上の難関私大に合格する勉強法
塾・予備校以外での受験対策
塾・予備校に行かずに自学習していて、思ったほど勉強が進まない(模試で成果がついてこない)ときもあります。そんなときにおすすめの対策をいくつか紹介します。
通信教育を活用する
1つ目は「通信教育」です。
通信教育というと、小学生で学習習慣をつけるために利用するイメージの強い方もいるかもしれません。
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前述のように、塾・予備校に通わずに大学受験をする高校生は約6割いると思われます。
最後に、どうなったら塾・予備校に通うほうがいいのかお伝えします。
自分に合う大学入試のスタイルを知る
大学入試は大きく、一般選抜と推薦入試に分かれています。推薦入試はさらに学校推薦型選抜と総合型選抜に分かれ、学校推薦型選抜はさらに指定校推薦と公募推薦に分かれています。
それぞれの入試スタイルには特徴があります。自分に合う入試スタイルがどれなのか判断できない(不安)ときは塾や予備校に行ってみましょう。
- 話しを聞く
- 短期間通って自分のスタイルを模索する
などの方法がおすすめです。
勉強をもっと効率よく進める
勉強はまず量です。ですが、量をこなしているのに思うような成果が出ないときはあります。
そういうときも塾・予備校に行ってみて下記の3点を確認してみてください。
- 効率の良くない勉強法になっていないか
- 勉強する内容を変えるほうがいいか
- 勉強の量は本当に十分か
最初の面談時に相談し、3か月ほど通ってみて勉強成果の手ごたえを確認してみましょう。手ごたえアリならそのまま継続受講するほうが良いでしょうし、入塾前の自身の勉強法・勉強量で大丈夫だと手ごたえを感じられたら受講をストップしてみても良いですね。
勉強する気はあるのに勉強していない
人間は弱い生き物です。家に帰ればのんびり、ゆっくりしてしまいます。
「明日こそは勉強するぞ!」と決心を新たにする毎日を過ごしていれば、すぐ塾・予備校に行って勉強する環境を手に入れましょう。
この状態になっている人は大抵、一刻の猶予もありません。
まとめ
塾・予備校に行かずに大学受験をする人は大学受験生の6割ほどいます。
推薦入試・一般入試両方に対応できるようにするため、学校の定期テスト対策にも力を入れるようにしましょう。評定平均が4.0以上あれば合格の可能性を広げることができます。
また、定期テスト対策も受験対策も計画的に、目的意識を持って取り組むようにしましょう。「塾・予備校にお任せ」ではなく、独学では足りない部分があれば塾で補うようにすれば効率よく受験勉強ができます。
※関連記事:生物基礎の一問一答
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