中学受験するかしないか:中学受験のメリットの紹介、高校受験との比較

立派な校舎の正門 中学受験の勉強法
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「中学受験をするかしないか迷っている」
「受験させたいけど、費用が気になる」

お子様が小学校に上がられる前後には、受験をするかしないか1度は考えますよね。

小学生の間は伸び伸びさせてあげたいし、長い将来のために勉強もしっかりさせてあげたい。

どちらも子どもにとって大切ですから、迷ってしまいます。

ただ、受験するなら早く勉強をはじめないと準備が間に合わなくなります。

そこで、今回の記事では下記の2点をお伝えします。

  • 受験するかしないか迷ったときの決め方
  • 決めるまでにやっておくべきこと

中学受験をお考えの方はぜひ参考にしてください。

中学受験と高校受験どちらがいいか

前項でもお伝えしたように、
私立高校では高校受験をして入学した子のほうが中学受験をして入学した子よりも学力平均が高い傾向にあります。

それぞれの受験傾向の違いと、中学受験に向いている子の特徴をお伝えします。

中学受験と高校受験の比較

中学受験・高校受験にはいくつか違いがあります。

違いをまとめた下記の表をご覧ください。

 中学受験高校受験
問題のむずかしさむずかしい
(★★★)
標準~むずかしい
(★★☆)
合格しにくさ合格しにくい
(★★★)
合格しやすい
(★☆☆)
入試科目の多さ少ない
(★☆☆)
※1科目~4科目
やや多い
(★★☆)
※3科目~5科目

中学受験のほうが問題がむずかしい

中学入試では、小学校で習う内容よりはるかに難易度のたかい問題が出題されます。

高校入試でも定期テストよりむずかしい問題が出される地域が多いですが、それでも中学受験ほど難易度に差がありません。

中学受験のほうが不合格が多い

高校への進学率は、全国的にみると毎年98-99%です。ほぼ全員が高校に進学できます。

一方、中学受験は10人に1人はどこにも合格しません(ベネッセ教育総合研究所)。

※関連記事:中学受験でまさかの全落ち!?子どもはどうなる?そのとき親はどうすればいい?

中学受験をする場合には、不合格になったときのことを想像しておく必要があります。

高校受験のほうが科目数が多い

中学入試の受験科目は1-4科目です。首都圏では4科目受験がメインで、関西圏では3科目受験も多いです。

英語利用入試や「自己推薦型入試」「適性検査型入試」「思考力型入試」も増えてきており、その場合1科目で受験したり、面接だけという場合もあります。

※関連記事:英検®資格で優遇される私立中学一覧
東京の私立中学一覧
東京以外の首都圏の私立中学一覧
関西圏の私立中学一覧

※関連記事:英検®対策問題集
英検®5級~3級まで
英検®準2級~1級まで

中学入試に比べると、高校入試は科目数が多いです。
一部の私立高校入試で3科目ですが、多くは5科目受験です。

※関連記事:中学生必見!高校受験で使える英検®優遇措置について解説します!

受験するかどうかを小4までに決める

前述のように、中学受験・高校受験それぞれにメリット・デメリットがあります。

どちらが絶対に良い!というのはありません。

ただ、どちらを選ぶにしても、「小4までには決めましょう」。中学受験をしない場合でも、高校受験があります。

どちらの受験を選ぶにしても、選択が遅れると勉強の準備期間が足りなくなります。

3-4年間の勉強期間を見越しておく

中学受験・高校受験どちらにしても、安定して十分な実力をつけるには3-4年かかります。

下記のグラフは中学受験生が塾に通い出した学年を調査した結果です。

76%の人は4年生までに塾で受験勉強を開始しています。

エデュナビ「中学受験、塾に通い始めるのはいつから?」をもとに作成

高校受験をする子も5年生から塾に通う子と中学1年生から塾に通う子が多いです。

小学校の間から「思考力・判断力・表現力」をきたえておくと入試で高得点を狙えます。ただこうした勉強は暗記や機械的な解き方では身につかないため、数年単位で準備しておく必要があります。

早めに先取り学習をしておいて、子どもの様子をみるようにしておくと判断しやすくなります。

中学受験をする理由

そもそも中学受験を経験したご家庭が、中学受験をしようと決めた理由は何だったのでしょうか。

朝日小学生新聞社が行った調査結果をお伝えします。

中学受験をすることにした理由(3つまで回答)回答率
子ども自身が希望59.5%
教育内容が地元の中学より良い48.0%
高校受験をしなくて済む43.0%
大学進学に有利39.8%
きめこやかに指導してもらえる22.9%
地元の中学校に行きたくない20.1%
親も国・私立の中学校に通っていた12.0%
子どもの特別な能力を伸ばしたい6.7%
2019年度 志望校選びや子育ての工夫 アンケート結果より作成
  • 1番多かった受験理由は「子ども自身が希望」
  • 2番目に多かった受験理由は「教育内容」
  • 3番目に多かった受験理由は「高校受験をしなくて済む」

という結果です。

1位は「子ども自身が希望」となっていますが、
子どもが「絶対受験したくない!」と言っていたら受験はむずかしいでしょう。

言いかえれば、「子ども自身が希望した」という理由は、受験理由というより「受験するためにクリアすべき条件」みたいなものです。

そういう意味では、下記の2つが中学受験の目的と言えそうです。

  • 中高一貫校の教育環境に魅力
  • 高校受験の回避

この2つの目的に沿って、受験するかどうかを考えてみると判断しやすくなります。

「教育環境」「高校受験」それぞれの内容を比較してみます。

私立中学のメリット

私立中学には6年一貫という大きな特徴があります。この特徴によるメリットを4つお伝えします。

大学受験に有利

多くの私立中学は高校2年生までに英語・数学の高校課程を教え終わります。

ラスト1年間は入試対策に取り組めるため、大学入試にかなり有利です。

「ダイヤモンド社」の国公立大学への合格力を高校ごとにランキングによると、2022年度入試で以下の表のような結果でした。

トップ10に入っている学校の内訳は、
私立が6校・公立が2校・国立が2校」でした。

ほとんど私立高校ばかりです。

 高校名国立/公立/私立
1位東大寺学園私立
2位私立
3位東京芸術大学音楽学部附属音楽国立
4位北野公立
5位甲陽私立
6位開成私立
7位三国ヶ丘公立
8位天王寺公立
9位久留米大学附設私立
10位栄光学園私立
ダイヤモンドオンラインをもとに作成

高校受験がない

中高一貫校には高校受験がありません。ここからさらにメリットが3つ生まれます。

  • 勉強に時間のかかる英語数学の授業を、ほかの科目より先に進められる
  • 特定の範囲は、中学課程と高校課程を混ぜて効率よく勉強を進められる
  • 中学生の間に伸び伸びと過ごせる

これらは中高一貫校を選ぶ大きな理由になっています。

同じ学力層の子が集まる

全員選抜試験を受けて入学していますから、中高一貫校には同じ学力層の子が集まっています。

学力の近い友だちどうしで勉強の刺激を受けられますし、ご家庭どうしの考え方にも親和性があります。

子どもどうし・親どうしが安心して交流できます。

特に女子校の場合は、人間関係に安心感を持てるかどうかはとても大きいです。
エデュナビより)

多様な学びを選べる

中高一貫校は学習環境や学習方針をある程度独自に設定できます。

少子化になってきたこともあり、
最近では独自色を出す学校が増えてきています。

例えば、獨協中学・高校は「他の生き物と共存共栄をする」という方針を立て、校舎の屋上を緑化するなどしています。

また、瀧野川女子学園中学高等学校は全国に先駆けて教育をIT化したことで知られています。

ご家庭の方針にあう学校を選べるのも中高一貫校のメリットですね。

公立中学のメリット

公立中学の教育環境にもたくさんメリットがあります。3つ紹介します。

経済的負担が小さい

公立中学は義務教育ですから、授業料や教材費がかかりません。

家から近いので電車通学ではなく、定期代もかかりません。

文部科学省の「平成30年度子どもの学習費調査」によれば1年間の教育費が、

  • 私立中学校が1,406,433円(約140万円)
  • 公立中学校は488,397円(約49万円)

でした。1年間で90万円も変わります。

公立中学に通えば、単純に90万円の節約にもなりますし、浮いたお金で性能の良い顕微鏡などの学習ツールを買ってあげることもできます。

また、「中高一貫校に通うと塾に行かなくていい」という考えがひと昔前はありました。

ですが、今では中高一貫生の2人に1人は塾に通っていることが分かっています。

中高一貫校だから学校外の教育費を節約できるわけではないのです。

※関連記事:私立中学生の2人に1人は通塾:いつから通う?いくらかかる?どんな塾がいい?

いろいろな人に出会える

公立中学には学力も家庭のバックグラウンドも違う、いろいろな子どもが通っています。

社会にでれば当然さまざまな人と仕事をします。

「自分の常識は他人の非常識」と言います。「自分と相手は違う考えや習慣だ」と念頭においてコミュニケーションを取れる力を身につければ、就職活動でも就職してからも高く評価されます。

高校受験がある

「高校受験がある」というのは実は大きなメリットになりえます。

遅くとも中学3年生からは必死に勉強するようになります。中学課程を1度しっかり勉強しなおすので、学力が相当高まります。

高校受験勉強をすると、多くの生徒は中高一貫生よりも学力が高くなるのです。中学受験直後は受験組のほうが学力はかなり上ですが、高校受験を機に大半が追い抜かされます。

私立高校ではトップ10~20人くらいは中高一貫生ですが、下位生も中高一貫生です。

以下のような成績イメージです。

公立の中高一貫校もある

ご存じの方も多いと思いますが、中高一貫は私立だけではありません。公立でも中高一貫校はたくさんあります。

 公立中学私立中学公立中高一貫校
(連携校除く)
公立中高一貫校の割合
学校数9,027校780校143校1.6%
政府統計の総合窓口「令和4年度学校基本調査」をもとに作成

全国に中高一貫校を500校設置するという目標を掲げており、これからますます公立中高一貫校が増えていくでしょう。

※関連記事:人気急上昇中の公立中高一貫校の魅力とは?私立中とは全く違うその入試制度を解説します!
※関連記事:全国の公立中高一貫校偏差値表

これらのメリット・デメリットを踏まえて、私立にするか公立にするか、あるいは公立中高一貫校にするかを選ぶようにしてみましょう。

受験するかしないか決めるまでにやっておくこと

受験すると決めていなくても、すぐにはじめておくほうがいいことがあります。

2つ紹介します。

受験勉強をはじめておく

受験するかどうか決めていなくても、受験勉強をしておくほうがいいです。

中学入試の問題はむずかしいため、解けるようになるのに時間がかかります。

受験すると決め志望校も決めたのに、入試まで残り期間が短く残念な結果になるかもしれません。

そうならないように、早めに勉強をはじめておきましょう。

中学受験専門塾に通い出すと「受験モード」になるため、その前に通信教育を活用して自宅で本格的なリビング学習をしているご家庭も多いです。

※関連記事:中学受験の勉強はいつから?塾通い前に親が自宅でできる準備を紹介!

学習習慣をつけておく

受験してもしなくても、小学生の間に家庭での学習習慣をつけておくほうがいいです。

小学校でも学年が上がるにつれて勉強内容はむずかしく、学習量も増えていきます。

例えば、小学校で習う漢字は1026字ありますが、
1年生で習うのは80字なのに2年生でいきなり倍の160字になります。

自宅で勉強する習慣のある子はしっかりと学校の勉強にもついていけるようになります(朝日新聞ーベネッセ・木村治生さん「学習時間より『学習方略』が成績に影響する」より)。

中学受験をした人のその後

中学受験を経験した人は、その後私立中学に通っているのでしょうか。また、受験経験をどのように感じているのでしょうか。

中学受験経験者は10人に1人

まず、中学受験はレアな選択ではありません。

私立中学に通う子は全国で7.6%です(文部科学省ー学校基本調査より)が、受験した結果、地元の公立中学に通っている子も2割います。

ベネッセ教育総合研究所をもとに作成

中学受験で子どもの精神的成長を実感

いざ中学受験を経験し、振り返ったときに
各ご家庭ではどのように感じてられたのでしょうか。

下記の表は、首都圏中心に展開している栄光ゼミナールが2022年に行った調査結果です。「受験とはどのようなものだったと感じますか。」という問いに対して、子どもと保護者の方からの回答結果(複数回答)です。

 子どもの回答保護者の回答
精神的成長に役立った44.0%80.9%
学力の向上に役立った65.7%72.1%
勉強の面白さを学べた41.0%42.4%
親子のきずなが深まった8.0%27.0%
多くの友達ができて良かった19.7%
自由な時間が減って苦しかった17.0%
親の経済的負担が苦しかった15.8%
親の精神的負担が苦しかった13.9%
栄光ゼミナール 受験生アンケート[中学受験編]より作成
  • 「精神的成長」と「学力向上」というポジティブな回答は7-8割
  • 「自由時間が減った」「親の負担が大きかった」というネガティブな回答は2割弱

受験勉強や入試をとおして、
子どもの精神的成長や学力の向上を保護者の方々は実感されていることがわかります。

また、4割の親子が「勉強の面白さを学べた」と回答し、
2割の子どもが「(塾で)多くの友だちをつくれた」と回答しています。

中学受験勉強をとおして成長し、仲間が広がっていく様子がうかがえます。

受験からはいつでも撤退できる

中学受験からはいつでも撤退できます。

「不安はあるけど気になる」というお気持ちであれば、とりあえず勉強をはじめておいて、

「どうやらわが子はもっと成長できそうだ」

と思ったらもっと本格的に受験勉強に入る。逆に、

「これ以上続けてもプラスにならなさそうだ」

と感じたらやめる。

小さく始めてみると後悔しない判断ができるはずです。

まとめ

いかがでしょうか。

中学受験をするかしないか迷ったら、「公立中学と私立中学の違い」「中学受験と高校受験の違い」で検討されるのがおすすめです。

中学受験は絶対しないといけないものではありませんが、受験勉強はとても役に立ちます。

迷われている場合は受験勉強だけ先にはじめておきましょう。

受験する場合もしない場合も、お子様を思ってのご判断です。悩まれたとしても、「親の直感」はたいてい当たります。

最終的にご家庭で決められたことは、絶対にお子様にとってプラスになります。納得のいくご経験を親子でできることを祈っています!

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