中学受験の算数は小学校で習わない単元や、小学校で習った単元をさらに応用させている単元がたくさんあります。なかでも「比」は入試の中心であり、得意な子はグッと合格に近づけます。
苦手にしている子も多い単元の1つですが、手順をふめば得意にしやすくなります。比が得意になれば、算数に苦手意識をもっている子も「いけるかも!」と自信につながりやすくなります。
そこで、今回の記事ではどうすれば比が得意になるかを解説します。
Z会の通信教育 中学受験コース※Z会の中学受験コースのメリットや活用法を下記の記事で紹介しています。
Z会中学受験コースだけで難関中学に合格する方法
比を苦手にしている人は多いですが、コツをつかめば比を使って解けるようになります。
比を解けるようにするには以下の2つの解き方を知っておくと便利です。
それぞれ、例題の解説をしながら説明します。
※関連記事:【中学受験の比の問題】逆比・比例式・連比の練習問題
比の文章題では「比1あたりの値を求める」ようにしましょう。
比の問題は、「A:B=5:3」のように何かの数値を比で表して解きます。このとき、比1あたりの値はいくらかを求めると、大抵の問題は解けます。
「兄と弟でがそれぞれお金を持っている。所持金を比で表すと、兄と弟は5:3である。兄弟あわせて4000円持っているとすると、兄はいくら持っているか。」
兄:弟=5:3なので、合わせると兄弟で「8」のお金を持っていることになります。
つまり、8=4000円です。
8で4000円なので、1ならいくらになるかを計算します。
4000円÷8=500円
1あたり500円と分かりました。兄は5なので、500円×5=2500円持っていると分かります。
比のままでは分かりづらいという人は、比を具体的な数字に見立てると解きやすくなります。
「兄と弟でがそれぞれお金を持っている。所持金を比で表すと、兄と弟は5:3である。兄は弟の何倍のお金を持っているか。」
所持金の比が兄5、弟3です。比をそのまま所持金に見立てて計算します。便宜上、単位をつけると兄は5円、弟は3円持っていることになります。
5円は3円の何倍ですか?という問題と同じ意味になるので、
5÷3=5/3
つまり、兄は弟の5/3倍のお金を持っていることになります。
比のままだと抽象的でピンときづらいかもしれませんが、単位をともなった具体的な数字に見立ててあげると計算しやすくなります。
比を使って解く問題の多くは比例式を使います。せっかく解き方が分かっても、計算方法が分からないと解けないままです。
比例式にして計算する方法を説明します。
比の計算の仕方をおさらいしておきます。
「相似である2つの三角形ABCと三角形DEFがあるとします。
辺ABと辺DEの比が1:2で、辺ABの長さが4cmのとき辺DEの長さは何cmになるでしょうか。」
比例式にすると以下のようになります。
1:2=4cm:□
□=2×4cm
□=8cm
比例式の外どうし・内どうしをかけ算して、「=」で結びます。
連比は応用問題で必須の計算方法です。
「リンゴをA、B、Cの3人で分けたとします。リンゴの数はA:Bが2:1、B:Cが4:3になりました。Cは全体の何割のリンゴをもらいましたか。」という問題で計算の仕方を説明します。
連比を使うと下記のようになります。
A:B =2:1
B:C= 4:3
上の式と下の式でBが共通していますが、数字が異なっています。上の式では「1」で、下の式では「4」です。上の式を4倍して、2つの比例式に共通しているBの比を同じ大きさにします。
すると、以下の比例式になります。
A:B:C=8:4:3
すると、ABC合わせて15の比だと分かります。そのうちCは3なので、全体のなかでCは3/15、つまり2割のリンゴをもらったことが分かります。
比が苦手になる理由を解消すれば、比を得意にできます。
その方法を紹介します。
オーガニックの出産祝い【Haruulala】比を勉強する前に、分数と小数の計算練習をしておきましょう。
比では分数や小数がよく出てきます。分数や小数の計算が得意でないと計算間違いをしやすくなります。
分数、小数の計算のなかでも、小数を分数に変換する方法に早く慣れておきましょう。
1.2→12/10(約分して6/5)
0.02→2/100(約分して1/50)
小数をみてすぐに分数が出てくるまで練習しておくほうが良いです。
「分数どうし」か「整数どうし」にできれば、次にその数字をできるだけ簡単な数字にしましょう。
15:10
と出てきたら両方の数字を5で割って、
3:2
とします。15:10のままでも計算はできますが、3:2のほうが直感的に把握しやすく、計算ミスも減らせます。
同様に、
2/3:1/2
と出てきたら通分しましょう。
4/6:3/6
=4:3
とします。
例えば三角形ABCがあり、各辺の長さの比が下記のとおりだとします。
この条件をもとにして各辺の長さを1つの比例式で表すような問題が出てきます。2種類の比例式が出てきているので、1つの比例式になおします。
辺AB | 辺BC | 辺AC | |
1つ目の比例式 | 3 | 2 | |
2つ目の比例式 | 2 | 1 |
上記の表のように、「辺ABが2回登場している」ことがわかります。辺ABを同じ数字になるようにかけ算をして、1つの比例式にまとめます。
辺AB | 辺BC | 辺AC | |
1つ目の比例式×2 | 6 | 4 | |
2つ目の比例式×3 | 6 | 3 | |
1つの比例式にする | 6 | 4 | 3 |
これで、
辺AB:辺BC:辺AC=6:4:3
であるとわかります。
比を用いた計算方法をややこしく感じるのは、その計算方法に慣れていないからです。
慣れるにはどうするか。分数と小数に慣れるときと同じです。
使う頻度をふやし、どちらの計算も扱いましょう。
たとえば旅人算が出てきたら、線分図を使って解く方法(今までのやり方)と比を使って解く方法の両方で解きます。1つの問題を2回解くわけです。1つで2度おいしい方法ですね。
「2回ずつ解いていたら、勉強時間が2倍になる!」
と思うかもしれませんが、大丈夫です。2倍にはなりません。
最初だけ2倍になるかもしれませんが、2日3日とつづければ解くのがどんどん早くなります。
5日もすれば、どちらかの方法だけで解くよりもむしろ早くなっているかもしれません。
なぜなら、どちらの方法も使い慣れるからです。
どちらか一方だけで練習するよりも、やり方の違う2種類を同時に使うほうが、定着率があがります。
解いていて自分でも実感できるようになりますから、まずは5日間、あきらめずに取り組んでみてください。
比の計算問題で「逆比」というものが良く出てきます。速さの問題でよく出てくる方法で、比を逆にして答えを求めます。
例えば、姉と弟が家から学校まで別々に歩いている状況で、姉と弟の歩く速さの比が4:3だったとします。
この姉と弟が家から学校に着くまでにかかった時間の比はいくらでしょうか。
速さの比が、
姉:弟=4:3なので、
時間の比は、
姉:弟=3:4になります。
比の値が逆になっているので、「逆比」と言います。
速さ以外に、仕事算でも使います。登場する場面が限られており、「知っていれば確実にモノにできる問題」です。ぜひ、解きなれておきたいですね。
※関連記事:逆比、連比、比例式の解き方と問題
塾に通ってみて上手くいかなければ、通信教育を試してみるのも一つの手です。
移動時間がゼロですし、塾に比べて短時間の1回あたりの勉強が短時間に設計されています。「塾と併用」「通信教育単独」のどちらも選べます。
難関中学、最難関中学(首都圏御三家、灘中学、ラサール中学など)を目指しているならZ会がおすすめです。下記のような特長があります。
※関連記事:Z会中学受験コースだけで難関中学に合格する方法
中学受験対策の通信教育として進研ゼミも多くの受験生に選ばれています。楽しく、自信をつけながら学べるという特徴があります。
※関連記事:進研ゼミ小学講座の特徴と効果的な利用法
算数に苦手意識のある子を「算数好き」にする通信教育としてRISUが注目を集めています。
ゲームのようにステージをクリアすればするほど算数の問題を解けるようにしていくシステムです。
小学校の勉強先取りはもちろん中学受験の問題もたくさんあり、RISUの会員で四谷大塚の全国小学生学力テストやSAPIXの模試で全国1位を取っている子も出ています。
費用のシステムが分かりにくいので、その解説も含めて下記の記事で紹介しています。
比が苦手になる子は、どうして苦手になるのでしょうか。理由は下記のように2つあります。
それぞれ説明します。
まず、比でつまずく子は分数、小数でつまずいている可能性があります。
たとえば下記の計算式をご覧ください。〇を求める計算をしています。
上記のように、比を扱うには分数と小数の計算ルールをマスターしておく必要があります。
それぞれのルールは決して複雑ではありませんが、前触れなしに1度に出て来られると戸惑います。
分数や小数の計算がまったくわからない子は少ないですが、ちょっと考えないと解き方を思い出せない子は少なくありません。考えなくてもサラっとできるくらい定着しておく必要があります。
比が苦手な子のなかには、比例式を苦手にしている子もいます。
1:2=□:8
上記のような式から□の数字を求めます。
外側どうし・内側どうしをかけ算して解きます。
1×□=2×8
□=16
比例式の解き方はしっかりマスターしておきましょう。
比を使って解く問題では、人数や辺の長さといった普通の数字以外に、比を数字で表します。
人数なら5人、辺の長さなら10cmのように単位をつけます。
比の場合は①・②のような丸数字にします。
丸数字を苦手にしていると、比を使って解くのが非常に困難になります。
中学受験の算数で比は非常に重要な単元です。その理由を説明します。
比を使う問題というと文章題が思い浮かぶかもしれません。
ですが、中学入試算数の問題はほかにも比や比例式を使って解くものが多く、例えば図形でもよく使います。
特に入試の合否を分ける応用問題はたいてい比を使います。
比は多くの単元の応用問題の正解/不正解にかかわっているため、比ができるかどうかで算数の得点が大きく変わります。
比が含まれている問題の得点率が低いということは、
比が得意になると正解できる問題が増え、ライバルに大きな差をつけられるのです。
比を得意にして、気持ちに余裕を持って模試や入試にのぞみたいですね。
ポイントがわかったところで、実際に中学受験の「比」の演習をして早く解きなれましょう。
おすすめの問題集を4冊紹介します。
面積比版はコチラ↓
出版社:富士教育出版社
レベル:基本~標準(★☆☆)
出版社:株式会社認知工学
レベル:基本~標準(★☆☆)
線分図を使って解く比・割合の問題がまとめられています。あれこれ勉強してこんがらがってきた頃に復習用として使うのがおすすめです。
出版社:文芸社
レベル:標準(★★☆)
特徴:
中学受験において頻出である比・割合の線分図。特に中堅校以上の私立中学・国立中学などでは、必出といっていい。今から線分図に取り組むという人も、今まで線分図を習ってちょっとわかりにくいという人も、試行錯誤しながらでも必ず習得できるように、大判で実際に書き込みをしながら学べるなど、既存の学習参考書よりも工夫して書かれた参考書。
Amazonより引用
割合に限定されているわけではありませんが、文章題全般の学習用に便利です。
出版社:文英堂
レベル:基礎~標準(★☆☆)
特徴:
弱点克服が中学入試突破の最大のカギ!
「苦手」分野を「短期間」で「集中ケア」する問題集!【1】文章題の解き方・コツが短期間で身につく!
文章題の問題に特化して掲載しているので、
効率的に点数をアップさせることができます。【2】 例題・ポイントで確認,練習問題で定着!
例題とポイントで学習内容やコツを確認し、
書き込み式の練習問題に取り組むことで、
ひとりで解ける力がつきます。【3】 丁寧な解説で,着実にレベルアップ!
Amazonより引用
正しい解法が身につくように、
例題と練習問題には丁寧な解説を載せているので、
中学入試算数の考え方・解き方をしっかり学習できます。
ほかの科目の勉強方法や問題を下記の記事で案内しています。ぜひ、ご覧ください。
【算数】
割合の解き方
中学入試によく出る割合の問題
比の解き方
中学入試によく出る比の問題
速さの解き方
中学入試によく出る速さの問題
平面図形・空間図形の解き方
【国語】
【中学受験】国語の勉強法と入試出題傾向を解説
【中学受験】国語長文読解を短期間で伸ばす勉強法
記述問題の書き方と勉強方法
おすすめの記述・作文問題集
【理科】
【中学受験】理科を得意にできる勉強方法
【中学受験】理科のおすすめ問題集
中学入試の理科によく出る問題の一問一答
中学入試理科でよく出る問題の語呂合わせ一覧
中学受験の理科でよく出る記述問題
中学入試の理科でよく出る計算問題の公式一覧とおすすめの計算問題集
【社会】
【中学受験】社会で貯金を20点つくる勉強法を紹介
中学入試の社会によく出る問題の一問一答
中学受験の社会によく出る年号・年代の語呂合わせ
【中学受験】歴史の流れを時代別に解説
【中学受験】社会のおすすめ問題集
中学受験生向けに比の問題の解き方を説明しました。
比の文章題では連比など比の計算方法をマスターしておくと解きやすくなります。小数と分数の変換を得意にしておきましょう。
比は模試でも入試でもたくさん出てきますし、配点の高い問題が多いです。比を得意にして、大きく点数アップできるように頑張りましょう!
Z会の通信教育 中学受験コース※Z会の中学受験コースのメリットや活用法を下記の記事で紹介しています。
Z会中学受験コースだけで難関中学に合格する方法
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