「内申点って通知表と同じだよね」
「内申点が悪くても、当日の学力検査で良い点を取ればいいんでしょ」
「定期テストで良い点を取っていたら内申点は良くなる」
これ、すべて違います。こう思っている中学生はすぐに認識を改めないと、高校入試で痛い目に合うかもしれません。
中学校に入ると通知表以外に内申点が登場しますが、
- 内申点が何のためにあるのか
- どうすれば内申点をあげられるのか
を知っている人は少ないです。
そこで、「内申点とはなにか」「どうすればあげられるのか」を解説します。
多くの地域では中学1年生からの内申点が高校入試の合否に関わります。1日でも早く知っておいて、正しく対策しておきましょう。
※関連記事:【5教科】高校入試の勉強方法と勉強スケジュールを徹底解説します:いつから?どうやって?勉強時間は?
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高校受験の内申点とは何か
生徒の成績を記録した用紙として、小学校には通知表があります。中学校では通知表に加えて内申点が登場します。
この内申点は何のためにあるのか、何にどれだけ関わってくるのかを確認していきます。
学習状況を伝える書類
内申点は内申書に記載される成績です。
文部科学省では、内申書を下記のように定義しています。
進学のための入学試験や就職に当たり、在籍校から受験先等に対して生徒の学習状況を伝えるために作成する書類。
文部科学省-学習評価に関する法令等の規定より引用
内申点は生徒の学習状況を伝えるためのものとされています。では、同じようなものとして通知表とはどう違うのでしょうか。
通知表との違い
内申点と通知表はよく似ていますが、目的が違います。
内申点も通知表も中学校の先生が作成するもので、その生徒の中学1年生から3年生までの学業成績と平常点(素行、積極性など)の記録です。
違いを表にまとめました。
記録する成績の期間 | 成績のつけかた | 渡される人 | |
内申点 | 1年ごと | 9教科5段階で45点満点を2倍、3倍することがある ※地域によって計算方法はことなる | 受験する高校の先生 |
通知表 | 学期ごと | 9教科5段階の点数そのまま | 生徒本人 |
内申点は1年ごと(中学1年生・2年生・3年生)でつけられるのに対して、通知表は学期ごと(1学期・2学期・3学期/前期・後期)でつけられます。
1年トータルで内申点をつけますから、1学期が良くなくても2学期や3学期でばん回が可能です。
また、内申点は生徒が受験する先の高校の先生に渡されるのに対して、通知表は生徒本人に渡されます。
これは、後ほど説明しますが、内申点が「高校入試の合否にかかわる」からです。合格させて大丈夫かどうの判断資料の1つとして内申点が活用されるため、受験先高校の先生に渡されます。
学業成績と平常点からなる
内申点は「学業成績」と「平常点」の2種類からなります。
学業成績は、ほぼ「定期テストの結果」で決まります。模試の結果などを算入する学校や先生もいますが、公立中学ではほぼ定期テストです。
平常点は、授業中の積極性(質問頻度・姿勢など)や提出物の提出状況などからなります。
定期テストの点数だけでなく、平常点もかかわります。授業中などの過ごし方も大切になります。
学業成績と平常点のウェイトは決まっておらず、8割がた学業成績で内申点を決めている先生もいれば、提出物の未提出などの平常点のマイナス評価が大きい先生もいます。
高校入試の合否にかかわる
内申点は何のために作成されるのかというと、高校入試のためです。
「高校入試の合否を判断する資料の1つ」として利用されます。
そもそも、高校入試の合否は
- 内申点
- 当日の学科試験
の2項目で大体決まります。ほかに面接を課されたり、推薦の場合はスポーツや芸術の成果も加わったりします。
多くの入試では内申点と学科試験で合否を決めるのですが、この2項目のウェイトは高校によってことなります。
おおむね、下記のような比でとらえておくと間違いはありません。
内申点 : 当日の学科試験 | |
上位校 | 3 : 7 |
中堅校① | 5 : 5 |
中堅校② | 7 : 3 |
上位校は当日の学科試験重視が多く、それ以外の学校は内申点重視か、内申点と学科試験を同じくらいのウェイトで評価します。
※関連記事:【5教科】高校入試の勉強方法と勉強スケジュールを徹底解説します:いつから?どうやって?勉強時間は?
学科試験重視であっても、内申点をおろそかにすると合格はむずかしくなります。
おおむね、内申点の平均点な合格ラインよりも5段階で1低いと、受験校のランクを1つ下げないといけなくなります。
内申点はいつから高校受験の成績に入るか
内申点は高校入試の合否に関わります。特に公立高校入試の場合、
「内申点+入試当日の学科試験」で合否が決まるからです。
では、いつからの内申点が高校入試に関係するでしょうか。
都道府県によって異なる
内申点が高校入試に影響するのは都道府県によって異なります。
- 中1から関わる
- 中2から関わる
- 中3から関わる
上記の3パターンに加えて、中1~中3までの内申点の比重が学年によって変わる場合も多いです。一番多いのは中1、中2は比重が軽めで中3が一番重要になるパターンです。
中学1年生から成績に入る都道府県が多い
内申点を高校入試の合否判定に入れる時期は都道府県によってことなります。
ほとんどの地域では中学1年生から3年生までの3年間が合否にかかわります。
ほかに「2-3年生だけ」「3年生だけ」のパターンもあります。下記の表に2025年度入試で、この3パターンが47都道府県でいくつあるのかをまとめました。
合否に関わる学年 | 該当する都道府県の数 |
中学3年間 | 36 |
中学2、3年生のみ | 3 |
中学3年生のみ | 8 |
47都道府県のうち、36道府県で「中学3年間」の内申点が入試合否にかかわります。
ほとんどの地域では1年生から定期テストでしっかり成績を取る必要があります。
※関連記事:教科別の定期テスト対策を下記の記事で紹介しています。
英語の定期テスト対策
数学の定期テスト対策
国語の定期テスト対策
理科の定期テスト対策
社会の定期テスト対策
9教科の内申点が成績に入る
内申点について忘れてはいけないのは、副教科の内申点も高校入試に関わるという点です。しかも、英語・数学・国語・理科・社会の5教科と音楽・美術・技術家庭・保健体育の4教科の比重が変わる場合もあります。
5教科の定期テスト勉強をがんばっていたら実技教科で内申点を大きく下げてしまって、高校の志望校やコースをワンランク下げないといけなくなるケースもあり、注意が必要です。
中3の3学期(後期)まで成績に入る
高校受験に関係するのは中3の3学期(後期)、つまり最後までです。
定期テストの点数や学校の提出物も「最後まで、気を抜かずに」対応しましょう。
内申点の計算方法(都道府県別)
全国47都道府県の内申点の計算方法を載せておきます。
最新の情報はお住まいの地域で必ず確認するようにしましょう。
都道府県 | 内申の対象学年 | 内申の計算方法 |
北海道 | 中学3年間 | 中1,2の9教科×2+中3の9教科×3(315点満点) |
青森県 | 中学3年間 | 中1~中3の9教科の合計(135点満点) |
岩手県 | 中学3年間 | 中1:5教科×2+実技4教科5×3(110点満点) 中2:5教科×4+実技4教科×6(220点満点) 中3:5教科×6+実技4教科×9(330点満点) |
宮城県 | 中学3年間 | 中1:5教科+実技4教科×2(65点満点) 中2:5教科+実技4教科×2(65点満点) 中3:5教科+実技4教科×2(65点満点) 合計195点満点 |
秋田県 | 中学3年間 | 中1:5教科+実技4教科×2(65点満点) 中2:5教科+実技4教科×2(65点満点) 中3:5教科+実技4教科×2(65点満点) 合計195点満点 |
山形県 | 中3のみ | 中3の9教科×5点(45点満点)。 |
福島県 | 中学3年間 | 5教科+実技4教科×2(195点満点) |
茨城県 | 中学3年間 | 中1~中3の9教科(135点満点) |
栃木県 | 中学3年間 | 中1~中3の9教科(135点満点) |
群馬県 | 中学3年間 | 中1~中3の9教科(135点満点) |
埼玉県 | 中学3年間 | 中1~中3の9教科(135点満点) 学校ごとに、学年ごとの比重が変わる。おおむね、中3が2倍。 |
千葉県 | 中学3年間 | 中1~中3の9教科(135点満点) |
東京都 | 中3のみ | 中3の5教科+実技4教科×2(65点満点) |
神奈川県 | 中2、中3 | 中2の9教科+中3の9教科×2(135点満点) |
新潟県 | 中学3年間 | 中1~中3の9教科(135点満点) |
富山県 | 中2,中3 | 中2の9教科+中3の9教科×2+特別活動等15点満点(135点満点) |
石川県 | 中学3年間 | 中1・中2の9教科+中3の9教科×2(180点満点) |
福井県 | 中3のみ | 中3の9教科(45点満点)。 |
山梨県 | 中学3年間 | 中1~中3の5教科×2+中1~中3の実技4教科×3(330点満点) |
長野県 | 中3のみ | 中3の9教科×5点(45点満点)。 |
岐阜県 | 中学3年間 | 中1・中2の9教科+中3の9教科×2(180点満点) |
静岡県 | 中3のみ | 中3の9教科(45点満点)。 |
愛知県 | 中3のみ | 中3の9教科×2(90点満点)。 |
三重県 | 中3のみが多い | 前期:中3の9教科など(学校による) 後期:中3の9教科(45点満点) |
滋賀県 | 中学3年間 | 中1~中3の9教科(135点満点) |
京都府 | 中学3年間 | 前期:中1~中3の9教科(135点満点) 中期:中1~中3の5教科+中1~中3の実技4教科×2(195点満点) |
大阪府 | 中学3年間 | 中1~中2の9教科×2+中3の9教科×6(450点満点) |
兵庫県 | 中学3年間 | 中1~中2の9教科+中3の5教科×4+中3の実技4教科7.5倍(250点満点) |
奈良県 | 中2、中3 ※2026年度より中学3年間 | 現行:中2の9教科+中3の9教科×2(135点満点) 2026年度より:中1、中2で主体的に学習に取り組む態度」の観点を3段階評価×9教科(27点満点)+中3の9教科×2(90点満点) |
鳥取県 | 中3のみ | 9教科×高校ごとの倍率(2~4倍)+実技4教科×2×高校ごとの倍率(2~4倍) ※合計130点満点、195点満点、260点満点のいずれか + 実技4教科×5段階の評定×高校ごとの倍率×2 |
島根県 | 中学3年間 | 中1、中2の9教科+中3の9教科×2(180点満点) |
岡山県 | 中学3年間 | 中1、中2の9教科+中3の5教科×2+中3の実技4教科×3(200点満点) |
広島県 | 中学3年間 | 中1~中3の5教科+実技4教科×2(195点満点) |
山口県 | 中学3年間 | 中1~中3の9教科(135点満点) |
徳島県 | 中学3年間 | 中1~中3の5教科+実技4教科×2(195点満点) |
香川県 | 中学3年間 | 中1、中2の9教科+中3の5教科×2+中3の実技4教科×4(220点満点) |
愛媛県 | 中学3年間 | 中1~中3の9教科(135点満点) |
高知県 | 中学3年間 | 中1、中2の5教科+中1、中2の実技4教科×2+中3の5教科10段階評価+中3の実技4教科10段階評価×2(260点満点) |
福岡県 | 中3のみ | 中3の9教科(45点満点) |
佐賀県 | 中学3年間 | 中1~中3の9教科(135点満点) |
長崎県 | 中学3年間 | 中1~中3の9教科(135点満点) |
熊本県 | 中学3年間 | 中1、中2の9教科+中3の9教科×2(180点満点) |
大分県 | 中学3年間 | 中1、中2の5教科+中1、中2の実技4教科×2+中3の5教科×2+中3の実技4教科×4(260点満点) |
宮崎県 | 中学3年間 | 中1~中3の9教科(135点満点) |
鹿児島県 | 中3のみ | 中3の5教科×2+中3の実技4教科×20(450点満点) |
沖縄県 | 中学3年間 | 中1~中3の5教科+中1~中3の実技4教科×1.5倍(165点満点) |
内申点で注意すること
中学に入学直後からの成績がかかわる内申点。もし内申点が低いとどうなるのでしょうか。
注意点をいくつか紹介します。
高校入試で不利になる
1番のデメリットは「高校入試で不利になること」です。
合否の決めるメインの基準は「内申点」と「当日の学科試験」の2つです。内申点が低いと、ライバルよりもビハインドを抱えた状態で学科試験に臨まないといけなくなります。
例えばある高校入試の平均合格ラインに内申点が50点足りないとすると、学科試験でほかの受験生より50点多く取らないといけなくなります。
高校入試では、同じ高校を受ける受験生はみんな同じくらいの学力です。正解する問題も間違う問題もよく似ています。
50点のビハインドを取り返すには、ライバルたちが間違ってしまうような難しい問題でいくつも正解を取る必要があります。かなり大変です。
内申点が足を引っ張ってしまうような事態は避けましょう。
中学生のためのZ会5段階で「1」は避けたい
内申点はほとんどの地域で、1~5までの5段階評価です。「1」が最低で、「5」が最高です。
「5」はいくつあっても大歓迎ですが、「1」は絶対に避けましょう。
合格に必要な内申点は高校によってことなりますが、上位校だと「平均4.0~4.5」は必要です。
9教科合計で「40」必要な高校では、「1」が1教科でもあるとほかの8教科すべて「5」を取らないといけなくなります。
過去の成績は変えられない
すでに中学1年生や2年生で内申点が低い人はどうすればいいか。
過去の内申点は変えられません。目標の内申点が35点(45点満点)の人が1年生で20点(45点満点)を取ってしまったら、35-20=15点マイナスからのスタートになります。
これからのテストと平常点でばん回する
過去の成績は変えられませんが、これからの成績は上げていけます。
1年生ならまだ2年あります。現在2年生でもまだ1年あります。
1年生でマイナス15点を背負ってしまっても、2年生や3年生で取り返すことは可能です。何より、3年生で内申点の比重が高い地域はたくさんあります。
1、2年生でのんびりしてしまって、3年生になってから必死にがんばって盛り返した人もたくさんいます。
これからのテストで平常点をあげていけば、まだまだ可能性のある人がほとんどです。
内申点の上げ方
具体的に、内申点をあげる方法を3つお伝えします。
定期テストの点数をあげる
内申点アップの1つ目の方法は「定期テストの点数をあげること」です。
内申点の比重で1番大きいのは定期テストの点数です。現在50点の人は70点に、70点の人は90点にあげるようにしましょう。
ほかの要素もかみあえば、「1教科20点あげれば内申点が1あがる」と思っておいてください。(あくまで目安です。絶対ではありません。)
テストで20点あげるにはどうするか。下記の3つの方法で対策をしてみましょう。
- 前回のテストの答案をみて、「不正解の理由」を20点分探す
- 苦手範囲は標準レベルの問題で点を稼ぐ
- テスト2週間前から計画的に勉強する
※関連記事:教科ごとの定期テスト対策の方法を下記の記事で詳しく説明しています。
英語の定期テスト対策:2週間前からの勉強法
数学の定期テスト対策:2週間前からの勉強法
国語の定期テスト対策:暗記で高得点を取る!
理科で70点、90点を取れる勉強法
社会で70点、90点を取れる勉強法
提出課題を期限どおりに間違いなく出す
内申点アップの2つ目の方法は「提出物」です。
定期テストで80点取っているのに内申点が「3」しかないという子がときどきいます。
原因は大抵、提出課題です。期限に遅れて提出すると、大きな減点になります。
また、期限どおりに出すのはもちろん、「学校の先生の指示どおりに間違いなく仕上げているかどうか」も大切です。
下記の3点をチェックしてみましょう。
- 丁寧な字で書く
- 答え合わせや間違いなおしをする
- 途中式や解説まで書く
提出期限に間に合わせるために乱雑な字で急いで書く人もいますが、もっと早くから提出課題に取り組むようにしましょう。
提出が遅れるよりはマシですが、雑な仕上げだと「提出物でプラスをつくる」までにはいきません。
積極的な授業態度をみせる
内申点アップの3つ目の方法は「積極的な授業態度」です。
授業で先生の説明を熱心に聞いたり、ノートを取ったりします。
1回1回の授業を「定期テスト対策のつもり」で受けるのがおすすめです。意識しなくても自然にこうした姿勢になりますし、かなりの学習効果を見込めます。
逆に、授業に下記のような姿勢で臨んでしまっていないか、チェックしてみてください。
- 授業中に寝ている
- 授業と関係ない作業をしている
- 席が近い友だちとおしゃべりしている
1つでもしてしまっていると、先生には気づかれています。生徒が思っているよりも、先生側からは生徒の動きがよく見えています。ベテランの先生は背中で生徒の様子がわかります。
このようなマイナスの授業態度は非常に印象に残ります。先生も人間ですから、がんばっていた姿よりもマイナスの態度の印象が脳裏に焼き付いてしまいます。
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「人からの働きかけ」と「学習環境」によって子どもの学習行動や意識は変わります。
※関連記事:塾はいつから通う?費用は?
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みんなの塾まとめ
中学校で登場する「内申点」。何に使われるのか、どうすれば上げられるのかを知っている人は、高い内申点を取る過ごし方ができています。
逆に、知らずに過ごしていると、あとで高校入試のときに損をするかもしれません。
ここで紹介したことを踏まえて、明日からの中学校生活の過ごし方を変えて、自身の高校入試を少しでも有利に持っていくようにしましょう!
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